練習メニューの決め方【少年サッカー】分析なしに練習は決まらない

こんにちは、講師のカズです。

少年サッカーの指導では、「今日の練習をどうするか」を毎回考えることになります。
ただ、練習メニューを探しても、作っても、なかなかしっくりこないと感じる方は多いかなと思います。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・「今日の練習どうしよう」と、毎回メニューを探している
・高学年や低学年に合う練習メニューが分からない
・練習メニューをやってみても、なんかうまくいかない

僕自身も、昔は同じように練習メニューを探していました。
指導者をやっていて、今でも新しい練習メニューを考える時は、書籍をパラパラとめくって、構造的に近いものを探すこともあります。

この記事では、練習メニューを探すにせよ作るにせよ、その前に決めておくべきこと、つまり「分析」について解説します。

できないことに優先順位をつける考え方、ゲーム分析で大事にしている「再現性」、そして分析から練習メニューに落とし込む実例まで、僕の現場の話をもとに書いていきます。
この記事を読めば、練習メニューを探す前に何を考えればいいかがはっきりすると思いますので、最後までご覧ください。

この記事の内容は、動画(22分・字幕つき)でも見られます。

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1. 練習メニューの悩みは、探すことから始まる

① 「今日の練習どうしよう」と「いい練習ないかな」

練習メニューに関する指導者の悩みは、大きく2つあるかなと思います。
一つは「今日の練習どうしようかな」という悩み。
もう一つは「練習メニューを探しているんだけど、なんかいい練習ないかな」という悩みです。

「高学年の練習メニューどうしようかな」「低学年ってどんな練習メニューがいいのかな」と、検索する方は多いと思います。
僕自身も、昔はそうでした。
練習メニューは、最初は作れないものです。

② 今でも、書籍をめくることはあります

指導者をやっていて、今でも僕は、新しい練習メニューを考える時に「こういうイメージなんだけど、構造的に近いものはないかな」と書籍を見ることがあります。
そこからうまくアレンジすることもありますし、ゼロから作ることももちろんあります。

つまり、探すこと自体は悪いことではありません。
ただ、探すにせよ、自分で作るにせよ、その前に決めておかなくてはいけないことがあります。

③ 探す前に、決めておくこと

練習メニューを探す前に、考えておかなくてはいけないもの。
それは何かというと、「分析」です。

分析した結果、何をやらなくてはいけないかによって、練習メニューは決まってきます。
これは、すごくシンプルな話だと思います。

なお、練習メニューで迷う段階には、指導者の経験に応じた流れがあります。
そのあたりは以下の記事で書いていますので、あわせて読んでみてください。

2. 分析なしに、練習メニューは決まらない

① 「盛り上がるシュート練習」の背景は何か

逆説的にいきます。
例えば「高学年で盛り上がるシュート練習のメニューが欲しいな」と考えた時、その背景は何でしょうか。

おそらく、「今週末にすごく重要な入れ替え戦があるから」ではないと思います。

「アイスブレイクの練習メニュー」で考えても同じで、なぜアイスブレイクをする必要があるのか。
その練習メニューをやるということは、今チームがどういう状態にあるか、という分析がかかっているはずです。

② 分析した結果で、やるべきことが決まる

逆に言うと、分析なしに練習メニューは決まりません。
これはもう、覚えてほしいところです。

幼稚園生であれ、低学年であれ、高学年であれ。
シーズンの最初であれ、終盤であれ。
全てにおいて「今、チームや選手がどういう状態だから、何をやろう」というのが、分析の一番基本的な考え方だと思います。

分析なしで練習メニューを組むことも、とりあえずはできます。
練習メニューをやってみてから分析をかけていく、というやり方もあります。
それでも基本は、分析して練習メニューを考える、練習メニューを決める、という順番です。

③ 最初はズレて当たり前

ただ、最初はできません。
当たり前です。
チームや選手を見て、パッと分析して「これが必要だから、このトレーニングだ」とバシッと決まることはないわけです。

大体ズレが起きて、「なんかうまくいかないな」と悩む方が多いと思いますし、必ずそうなると思います。
それは分析の解像度の問題で、どれだけ深く分析するか、思考するか、そして経験値がものを言う世界かなと思っています。

3. できないことは100ある。だから優先順位を決める

① 低学年なら、できないことは当たり前に多い

では、分析はどうやったらいいのか。
最初の段階は、プレイを見た時に「なんかここが良くないな」というところが、何となく見えると思います。

例えば低学年であれば、「ボールが来たら全部前に適当に蹴っているな」「みんなボールに寄ってくるな」といったことです。
これは僕がよく言う話ですが、小学生を見ていると、できないことの方が多いわけです。

低学年の試合を見れば、団子になる、声が出ない、サポートができない、マークを外す動きができない、オーバーラップができない。

コントロール・オリエンタード(次のプレイにつながる方向へのコントロール)ができない、バックステップからの体の向きが作れない、コミュニケーションが取れない、戦術理解をしていない。
当たり前ですよね。

できないことの方が多いわけです。

② 100あっても、100は解決できない

できないことを全部出して、100あったとして、100を解決することは不可能です。
だからこそ、その中で「まず今、何をやるべきか」を優先的に考えないといけません。
これがとても大事になってきます。

これはサッカーの戦術でも、テクニックでも、チームマネジメントでも一緒で、まず状態を見た時に「ここから手をつけよう」「その次はこうだ」と考える。

ここで初めて、プランニングという話になってきます。
プランニングをするにしても、今の状態がある程度理解できていないと難しい、ということです。

例えば、チームを見て「毎回練習が楽しそうじゃないから、盛り上がる系の練習メニューを入れたいな」というのは、別に合っていると思います。

高学年で「ボールを奪った後に縦に早く入れて、すぐ失うな」と見えれば、「奪った後に一回組み立て直すような練習が必要なんじゃないか」と見えてきます。
そこで初めて「その手の練習を、どうやったらできるだろうか」となる。

分析をして、やるべきメニューを決める、という一連のプロセスです。

③ 経験が浅くても、プランニングはやってみる

特に経験が短い方だと、プランニングができないと思います。
経験がないと、1年後にどういう状態に持っていくかのイメージができないからです。

それでも、やらないとダメだと思います。
一応作ってみる。
作ってみて、全然プラン通りに進まなかった、でもいいと思います。

僕の場合は、1年間のプランニングをして、そこから大体3〜4ヶ月のサイクルで3ターンぐらいに切って、「ここまで持っていく」というイメージを作ります。

そのために今は何をやるか、を決めていきます。
年間のプランニングを入れながら、現場レベルでは年間プランとは違う問題も出てくるので、そこの帳尻を合わせていく、という感じで日々のトレーニングを進めています。

いずれにせよ、分析です。
ゲーム分析のような難しい話ではなく、まずチームの分析をして「1対1ですぐ抜かれるな」「1対1で全然勝負しないな」といったことをちゃんと見ていく。
それが、練習メニューを作るにせよ探すにせよ、スタート地点になります。

繰り返しているうちに、だんだん分析の解像度が上がっていく。
ざっくり言うと、これが指導者の基本的なサイクルです。

4. ゲーム分析で大事なのは「再現性」

① 繰り返し起きていることを拾う

ゲーム分析について、もう少し掘り下げてみます。
自分のチームの分析、相手チームの分析、それから僕は昔、海外のプロチームの分析を自分のトレーニングのために毎週1本やっていました。
プロの分析は面白いですし、自分のスキルになります。

時間があれば週に1本、興味がある試合を分析してレポートにまとめてみると、良いトレーニングになると思います。

分析する時に大事なのは、再現性です。

フラットにゲームを見ていく中で、フォーメーションや噛み合わせも見ていきますが、その中で「繰り返し起きていること」を拾います。
「繰り返しここがうまくいっているな」「繰り返しここがうまくいっていないな」という、再現性があるものです。

偶発的に起きているものを拾っていっても、「たまたまそうだっただけ」なので分析しにくい。
だからこそ、繰り返し起きている現象を捉えていきます。
時には「これは、たまたま起きただけなのか」と間違うこともありますが、基本はそこです。

② 局面で切る

繰り返し起きていることは、局面で切って拾います。

最初は、攻撃・守備・トランジション(切り替え)の4つの局面で切ってもいいと思います。
さらに細かく見るなら、僕が言っている11のサブフェーズ、例えば攻撃の中のサリーダ・デ・バロン(ボールの出口)、前進とボール保持、フィニッシュ、といった形で切っていくこともできます。

その細かなフェーズの中で、繰り返し起きていることを拾います。

③ うまくいっている現象は、意図的にトレーニングされた痕跡

繰り返し起きている、再現性があるということは、どういうことか。
うまくいっていることであれば、それは事前にトレーニングされている可能性が高いです。
要は、意図的にやっている。

「そのスペースに引っ張るボランチが入ってきている」といった、意図的にトレーニングされてきた痕跡が見えてきます。

反対に、うまくいっていないところは「なぜそこが繰り返しうまくいかないのか」を見ます。
「相手の2人の中盤に対して1ボランチで対応していて、スライドができていないから、そこで常に数的優位を作られているんだな」といった、構造的なものです。

そうすると、どう対応するかも見えてきますし、対応した時に別のところにデメリットが出る可能性も見えてきます。

「いつもサイドを使われているから守備の仕方を変えよう。でもそうすると、ここにリスクが出る。どっちを取るんだ」。
そこはもう、プレイモデルの変更なのか、という話になってきます。

逆に、対戦相手やプロのゲームを参考に分析するなら、繰り返し起きているポジティブな部分を「意図的にデザインされている可能性が高い」と見て、「どういう構造でそうなっているのか」「プレイ原則がどうなっているのか」を探っていきます。

監督に聞いたわけではないので予測でしかありませんが、「この動きいいな」と思ったら、そのプレイ原則を成立させる練習メニューを自分で考えてみる。
そうやって、自分の引き出しが1個増えていきます。

ゲーム分析で「何を見て、どう意図を読むか」については、以下の記事で詳しく書いています。

5. 分析から練習メニューに落とし込む(3-3-1の例)

① サイドバックとサイドハーフの縦関係を、斜めに

一例を挙げます。
僕が3-3-1を採用した時の話ですが、ジュニアの3-3-1では、サイドバックとサイドハーフが縦関係になることが多いです。

プレイモデルによっては、ハーフとサイドバックがグッと開いて、サイドハーフが中に入ってきて数的優位を作る、という動きをパターンとして採用しているチームもあります。
うちの地域でもよく見ます。

僕の場合は、どちらかというとパターンではやらず、自己組織化を促すようなやり方をします。

そうした時に「サイドバックとサイドハーフの縦関係を、斜めの関係にできるようにしたいな」と考えます。
極端に言えば、サイドバックが開いて、サイドハーフが中に入って、そこにフォワードが流れてくる、というモビリティが出るといいな、と思うわけです。

② 3対2のロンドで「外か中か、どっちでもいい」

では、2人が両方とも内側、両方とも外側に開ききったりせず、常に斜めの関係を取れるようにするトレーニングは何か。
中盤も入れて考えた時に、僕の場合は3対2のロンドのような形で、サポート役が外を使ったり中を使ったり、外から中に入ったり、中から外に出たり、というイメージでやります。

3人のロンドで「外か中か、どっちでもいいよ」「外から中に入ってきて」「中から外に開いて」とやる。

今度は試合の中でも同じように「外に開いて、パスコースを切って、中に入っておいで」とやる。
サイドバックとサイドハーフが試合中も縦関係にならないように、「どっちが中でもいいよ。3人のロンドでやったでしょう」と結びつけていく。

一番分かりやすい、簡単な例としてはそんな感じです。

どちらにしても、ゲーム分析なり、「こういうプレイができるようにしたいな」という思いがあります。
ミスの改善でも、オプションを足すのでもいいのですが、何か「こういうプレイができるようになりたい」があって、それに対して練習メニューを作っていく、ということです。

③ 今まさに必要なフェーズか、実現可能か

だからこそ、繰り返しになりますが、「こういうプレイをしてほしい」と思っても、それが今まさに必要なフェーズかどうか、実現可能かどうかが、分析においてすごく重要なテーマになります。

今すぐやるべきではないことをやってしまう。
到底できないことをやらせようとする。
もしくは、そもそも分析がズレている。

例えば「サイド攻撃をしたい」とクロスの練習をバンバンするけれど、そもそもサイドを崩せない、サイドに起点ができない、となれば「クロスをやる前の段階だよね」ということになります。

その辺の分析のズレがあると、「練習をやってもうまくいかないな」となってくると思います。
まず大事なのは、しっかりと状況、文脈を分析すること。
分析については、ゲームを見ながらでないと理解しにくい部分もあるかもしれませんが、まずはここからかなと思います。

まとめ

・練習メニューを探すにせよ作るにせよ、その前に「分析」がある。分析なしに練習メニューは決まらない
・できないことは100ある。100は解決できないので、まず今やるべきことの優先順位を決める
・経験が浅くても、プランニングはやってみる。プラン通りに進まなくてもいい
・ゲーム分析で大事なのは再現性。局面で切って、繰り返し起きていることを拾う
・うまくいっている現象は、意図的にトレーニングされた痕跡。そこからプレイ原則を探り、練習メニューに落とし込む
・「こういうプレイをしてほしい」が、今必要なフェーズか、実現可能かを見る

この記事では、練習メニューの決め方について、分析を起点にした考え方を解説しました。
最初は分析の解像度が高くなくて当たり前なので、繰り返しやっていくうちに上がっていくものだと思います。
皆さんの指導現場でも試してみてください!

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