Junior Soccer College Written by ジュニアサッカー大学

ジュニアサッカー・戦術指導の完全講義【具体的指導方法を解説】

教材

こんにちは。講師のカズです。

この記事は、ジュニア年代における戦術指導の本質と方法を解説した教材となっております。
今後も随時、加筆・修正していくので、常にアップデートされる生きた教材です。

第3章までは『無料』で読めます。
が、ここに本質的な部分はすべて書いています。


育成年代の戦術指導において、僕自身、過去には以下のような疑問や失敗がありました。

  • 子どもたちにどのように戦術指導をしていいかわからない
  • プレーが形になってしまう
  • 戦術用語を教えても実際にプレーできない
  • 練習では上手くいくのに試合でできない
  • 戦術の練習メニューが作れない

練習メニューを書籍から探してきて、実際にやってみるけど上手くいかない…

当時はサッカーの戦術を勉強するればするほど指導が難しく感じてしまい、どこから手をつけていいか分からなくなるの繰り返しでした。

そこから改善を重ね、現在は戦術指導の本質がわかるようになりました。
ポイントは以下の通りです。

  1. いつ、どのようにプレーするかを理解させる
  2. 簡単な分かりやすい言葉で伝える
  3. シンプルなルールで複雑な動き

これは僕が日々実践している方法で、複雑なサッカーを子どもたちにわかりやすく言語化しながらどのようにプレーコンセプトを落とし込むかというもの。

講義では戦術指導の具体的な方法や、どのようなトレーニングを行うと上手く戦術を落としこめないかなど、実際に経験した例をベースにジュニア年代の戦術指導について詳細に解説しています。

この講義における重要なポイントは無料パートの第1章から3章までに書いています。
(全部で4万字弱の完全講義となっております)

では、さっそく始めます。

Contents

第1章:戦術指導を行うことの重要性

①ジュニア年代における戦術指導の3つのメリット

ジュニア年代に戦術指導は必要か?

このような疑問は、以前はジュニア年代の育成においてよく中心的なテーマになっていましたが、現在では小学生にも基本的な戦術を教えるべきだという流れが一般的になってきていると思います。

僕自身は子どもたちに戦術的な要素を指導する上で下記の3つのメリットがあると考えています。

  1. 子どもたちがサッカーを学ぶことができる
  2. サッカーを学ぶことで戦術メモリーが積み上がる
  3. 戦術は選手のプレーを助ける

サッカーの戦術を指導する時には、それが方法によってはマイナスに働くことものあるのですが、適切な方法で行えば必ず選手にとってプラスになります。

1.子どもたちがサッカーを学ぶことができる

ジュニア年代の指導では、子どもたちにサッカーを学ばせることが重要です。

なぜなら、サッカーという競技はテクニック面だけでなく戦術的な知識や試合の状況に応じた状況判断も同時に求められるからです。

この状況判断を磨いていくには必ず戦術の要素が必要になります。

例えばテクニックスキルとしてのドリブルも、必ず状況判断や戦術とリンクしています。
スペインでテクニックと戦術は切り離せないといわれるのは、ボールを扱うスキルは戦術的な判断とともに実行されるものだからです。

そのため戦術を理解するということはサッカーそのものの本質的な部分を学ぶことにつながります。

2.サッカーを学ぶことで戦術メモリーが積み上がる

日本とヨーロッパの育成の違いに戦術メモリーの積み上げの差がよく指摘されます。

これは低い年代から戦術指導を受けることで、その蓄積が大人になってから大きな差を生み出しているということ。

一昔前であれば日本人の選手は、テクニックレベルは高いけど戦術を理解していないと揶揄されました。
テクニックレベルの高さ、これは日本人選手、および指導者のストロングポイントでもありますが、今後は同時に戦術的スキルもレベルアップさせることが必須です。

戦術的なトレーニングを子どもの頃から少しずつ行うことで、それが記憶(メモリー)として蓄積されていきます。

小さな差が長い時間をかけて大きな差を生み出します。
逆にいうと小さな積み重ねがない(基礎ができていない)状態でいきなりハイレベルかつたくさんの知識を詰め込むことはできません。

戦術指導は時間がかかるものですが、コツコツと積み上げていくしかありません。
>>判断力を鍛えるには【戦術メモリーを増やす】少年サッカー指導ポイント

3.戦術は選手のプレーを助ける

戦術指導というと、子どもたちを型にはめるもしくはコーチの思い通りに動かすという認識がいまだにあるかもしれません。

しかしそれは誤解した認識で、実際はそうではありません。
僕自身テクニックトレーニングと同じように戦術トレーニングを重視していますが、方法さえ間違えなければ子どもたちは自由にプレーできます。

つまり戦術というものは選手のプレーを助けるもの。

1つのコントロールミスもそれが技術だけのミスかというとそうではありません。
サポートのポジショニングの問題や身体の向き、動き出すタイミングなどがミスを誘発している可能性が十分あります。

また、技術的なレベルに問題を抱える選手でも戦術的なスキルが上がることで良いパフォーマンスを発揮できます。

例えば、ボール扱いがあまり得意ではない選手の場合、正しいポジショニングやサポートといった戦術的なスキルを獲得することで、技術的なミスをカバーしてくれます。

反対にボール扱いが得意な選手、例えばドリブルが上手い選手も戦術的なスキルを獲得することで、得意のテクニックをより効果的に発揮できることになります。

つまり、ボール扱いが苦手でも得意でも戦術的なスキルは子どもたちのパフォーマンスを高めてくれます。

②状況判断・選択肢とは何か?

ジュニア年代の戦術指導に対する否定的な意見の中に、選手が機械的な動きになってしまうのではないかという不安があると思いますが、その前に日本でもよく言われる状況判断や選択肢という言葉のポイントを押さえておく必要があります。

状況判断と選択肢

サッカーは状況判断のスポーツだと言われますが、これは状況に応じた適切なプレーを実行することの重要性を意味しています。

いつパスをしていつドリブルをするのかといった簡単な判断から、いつどのようにサポートをするのか、いつサイドチェンジを行うのか。

複雑な現象が起こるサッカーというスポーツの中で、選手はできるだけベストな状況判断を下さなければいけません。

ただ、子どもたちは自然と勝手に良い判断を下せるようにはなりません。そこには戦術指導を介したコーチの関与が不可欠です。

また、選択肢を多く持ちながらのプレーというものも同じです。

長くなるので詳細は割愛しますが、状況判断と選択肢、それに対するコーチの関与については下記の記事を参考にしてください。
>>ジュニアサッカー【状況判断を良くし選択肢を増やす方法】を解説

③プレーのプロセス

先ほどの状況判断や選択肢と大きく関わるのがプレーのプロセスです。

スペイン系の書籍を読むとよく出てくるし、読者の皆さんの中でも知っている方は多いと思いますが、選手のプレーはPAD+Eというプロセスを経て行われます。

  1. P=Percepción(認知)
  2. A=Análisis(分析)
  3. D=Desición(決定)
  4. E=Ejección(実行)

このプロセスの中でPADの部分は頭の中で起こっている現象、そして実行の部分は実際に目に見える現象です。

つまり選手がパスをした時、ボールを蹴るという現象は目に見えますが、彼が何を見てどんな分析を行い決定したのかは目に見えません。
>>サッカー選手がプレーする4つのプロセス「認知・分析・決断・実行」

このPAD+Eという概念や状況判断、選択肢や戦術メモリーの関係を表したのが下記の図です。

図1:PAD+E

図にあるように選択肢や状況判断などはこのPADと密接に関係しています。

テクニックスキルのみに特化したトレーニングはE(実行)の部分のみにフォーカスしますが、戦術指導ではPADの部分をトレーニングします。

また、その中でもコーチがどの部分に働きかけるかは指導のポイントにもなります。

このように、プレーのプロセスを考えた上でも、戦術指導というものはジュニア年代の選手にとってもとても重要なものになります。

第2章:ジュニア年代における個人・グループ・チーム戦術

①ジュニア年代における個人・グループ・チーム戦術

一般的な議論としてはジュニア年代ではチーム戦術は必要ないという考えや、個人戦術を伸ばすべきだ、もしくはグループ戦術まで教えようといったものなどが挙げられます。

この教材を読み進めていくと分かりますが、僕自身はこのような考えを持っていません。

チーム全体の動きに合わせるために個人がどう動くではなく、個人の動きそのものがグループをそしてグループの動きそのものがチーム全体を形成します。

個人・グループ・チームという階層はそれぞれが独立したものではなく、全てがリンクしており、常に全体のまとまりの中での問題です。

サッカーにおける何らかのシチュエーションの中で、それぞれの個人がどのように動くかが重要ですが、それが結果として全体がまとまっていることにつながると考えています。

またグループでの関係性をしっかりとコーディネートすれば、結果としてチーム全体がまとまりを得ると思います。

日本のジュニア年代では8人制サッカーが採用されているので、11人制ほど複雑ではありません。
4〜5人のグループの関係性の延長に少し人数が増えた8人としてのチームというイメージでもいいかと思います。

ただトレーニングを進めていく上では個人やグループにフォーカスする方が伝わりやすかったり、子どもたちがチーム全体を俯瞰できなかったりする問題から個人・グループ・チーム全体として階層化するのは有効な手段です。

②個人・グループ・チームの階層

図2:セクター(階層)

上の図は僕がコーチ留学したバルセロナのコーチングスクールの、戦術の授業の中で出てきたものです。

個人とグループそしてチームを階層化したフレームワークと考えてもらえれば大丈夫です。

  1. Individual(インディビデュアル)
  2. Sectorial(セクトリアル)
  3. Intersectorial(インテルセクトリアル)
  4. Colectivo(コレクティーボ)

1つずつ簡単に解説します。

1.Individual(インディビデュアル)

個人から2人までの領域。2人までの領域ですが、日本でいうところの個人のようなイメージで良いかと思います。

2.Sectorial(セクトリアル)

3人〜4人までで、1つのラインまでの領域。日本ではグループのようなイメージ。

3.Intersectorial(インテルセクトリアル)

5人以上で2ラインを含む領域。これも日本だと少し大きなグループのようなイメージ。

4.Colectivo(コレクティーボ)

チーム全体の領域。
コーチングスクールでは10人以上と習いましたが、11人制なら11人、8人制なら8人のチームの最大人数のイメージで大丈夫です。

また、セクトリアルが5人ではダメなのかとか、8人制ではコレクティーボではなくインテルセクトリアルじゃないかいう疑問もあると思いますが、その辺はどうでもいいです。

実際にコーチングスクールでそのような問いをしましたが、その辺の数字は好きにしなさいと言われました。
あくまでも、個人からグループそしてチーム全体をある程度の領域に分けて考えるということが本質です。

③フレームワークの使い方

それぞれのコーディネートに使う

このフレームワークはトレーニングや選手たちのアクションをコーディネートする時に有効です。

また、ゲーム分析から問題を発見したり練習メニューを考えたりする上でも役立ちます。

ゲームを見た時に、チーム全体の問題なのか、グループが機能していないのか、それとも個人の戦術理解に問題があるのか。
複雑なサッカーの現象を整理する時に使えます。

トレーニングとのリンク

この階層分けを見ると後ほど解説する、僕が実際に行なっているトレーニングメニューと一致していることがわかります。

例えばビルドアップの始まりから前進のフェーズをトレーニングする時でも、個人・グループ・チームとの関係性に矛盾が起きないようにコーディネートしています。

ジュニア年代ではグループまでが特に重要

この領域分けを考えた時に、ジュニア年代では個人の部分が重要なのではと思われるかもしれませんが、僕の経験上、グループまでがとても重要な要素になります。

最初に書いた通り、8人制サッカーではグループの少し延長がチーム全体になるからです。

これはチーム全体をコーディネートすることが必要ないということではなく、選手の戦術メモリーやレベルを考えるとどうしても個人とグループのところに重点が置かれます。

そしてその結果としてチームとしてのまとまりを得る。

戦術スキルの習得は時間がかかるものなので、この基礎的な部分がしっかりしていないとチーム全体として機能しません。

指導の留意点

実際の試合ではこのように領域が明確に分かれているわけではなりません。

選手にこのようなフレームワークを教えても戦術理解には繋がらないので注意が必要です。

ただ、選手たちには小さなグループの関係性の中に意識が向くようにします。

なぜなら、まだ戦術的スキルに乏しい選手たちは全体を俯瞰的に見ることができないからです。

そのため前後左右の選手との関係性といった小さなユニットの中でポジショニングや動きを意識させるようにします。

図3:ユニットの例

図のようにスライドを行う際にも、チーム全体は小さなユニットの集合体です。

そのためそのユニット内での関係性に意識を向けさせ、全体はコーチがうまくコーディネートする必要が出てきます。

第3章:戦術トレーニングの本質

①過去の失敗談

僕は過去においてビルドアップやポゼッションスタイルのサッカーを目指していましたが、それをジュニア年代に上手く落とし込むことができませんでした。

その時に発生していた問題は以下の通りです。

  1. メニューをこなせば改善できると思ってしまう
  2. 難しい言葉を伝えてしまう
  3. 選手が型にはまってしまう

1.メニューをこなせば改善できると思ってしまう

当時はポゼッション系のトレーニングをすればポゼッション率が上がるという、漠然とした考えだったので当然上手くいきません。
例えば以下のような練習をしていました。

  1. ウォーミングアップ
  2. 4対2のロンド
  3. 4対4+3フリーマンのポゼッション
  4. 5対5のミニゲーム

こんな感じでよくあるオーソドックスな流れです。

これだけ見るとそんなに悪くないように見えますが、当然練習メニュー自体に大きな問題があるわけではありません。

しかし、ポゼッション系の練習メニューをたくさんこなしても成果が低く、思ったようなプレーができませんでした。

同じメニューをこなしても同じように上達しないというのはまさにこのことで、過去の僕は、ポゼッション系のトレーニングをしたらポゼッションが上手くなるだろうと簡単に考えていました。

2.難しい・抽象的な言葉を伝えてしまう

コーチとして戦術の勉強をしていくと、どうしても難しい言葉や抽象的な言葉で指導してしまうケースがあります。

当時はサポート1つとってもいつ、どこに、どのようにサポートするかを伝えることができず、選手への支持は抽象的になるばかり。

また、難しい言葉を使って表現することもしばしばありました。当然選手が適切なプレーを理解することができず、混乱するばかりでした。

3.選手が型にはまってしまう

さらには悪いことに選手たちが形にはまったようなプレーになり躍動感や個人の特徴が活かされないこともありました。

パスの意識が強くなり、ドリブルが得意な選手の良さが出ない。

最後にはパスをつなぐことが怖くなる(ミスしたらどうしよう)という負のスパイラルでした。
戦術的にこう動いて欲しいけど、それを選手に伝えると臨機応変に対応できずコーチに言われたプレーをやっているだけという現象もありました。

今思うと完全に勉強不足でしたが、当時はなぜそのようになるのかがわかりませんでした。

なぜそのようなことが起きるかというと、テクニックでも戦術でも本質的な部分が指導できていなかったことが原因だったと今になって思います。

②戦術指導のポイント【重要】

そのような失敗から学び、現在は以下の3点をポイントに戦術指導を行なっています。

  1. いつ、どのようにプレーするかを理解させる
  2. 簡単な分かりやすい言葉で伝える
  3. シンプルなルールで複雑な動き

難しいサッカーの知識を簡単に分かりやすく伝えること、そして選手が複雑な動きを簡単に実行できるようにすること。

そのために上記の3点を中心に据えて戦術指導を行なっています。

1.いつ、どのようにプレーするかを理解させる

選手への戦術理解はできるだけシンプルにします。

ここで5W1Hというよくある用語を使ってもいいのですが、それだと逆に分かりにくく複雑になります。

  • Who=誰が
  • When=いつ
  • Where=どこで
  • What=何を
  • Why=なぜ
  • How=どのように

ここまで細かくするとサッカーの場合、矛盾が生じることもあるし選手にとってもまた指導者にとっても分かりにくくなります。

そこで必要ないものをそぎ落として『いつ、どのようにプレーするか』と簡単にします。

選手自身にとっては全て1人称のことなので、誰が、どこでは必要ありません。

また『何を』という部分は戦術用語に該当するケースが多いので省略します。

少し話がずれますが、『何を』を外す理由は、抽象的になりがちだからです。
例えばこの『何を』を言葉にすると『サポート』などが挙げられます。
そうすると『サポートしろ』という漠然としたコーチングになるので省略します。

ただ、選手がいつ、どのようにプレーするかをしっかりと理解している状態では便利な部分でもあります。選手に『サポート』と言った時にそれが具体的に何を意味しているかを選手が理解できているかです。

少し話が逸れましたが、まとめると『いつ、どのようにプレーする、なぜなら』と簡略化されます。
これらが何を表しているかというと、以下のようになります。

  1. いつ=プレーの発動条件
  2. どのようにプレーする=キーファクター
  3. なぜなら=サッカーの理屈

このようにシンプルなものになります。

※ちなみに、このような部分を選手に落とし込むことを『プレーのコンセプトをトレーニングする』と僕は表現しています。
この教材でコンセプトと表現する時には、「いつ、どのようにプレーするか、なぜなら」を意味しています。

2.簡単な分かりやすい言葉で伝える

発動条件でもキーファクターでもサッカーの理屈でも、できるだけ簡単な言葉で表現します。

ここはコーチの力量が問われる部分ですが、子どもたちが「分かりやすい」と感じることが大切です。

例えばキーファクターを伝える時に「パスの質」と言っても選手は理解できません。

キーファクターでは具体的な分かりやすい基準や行動の指針となる言葉が必要です。
>>サッカー上達のコツ【キーファクター】その言葉で選手は上手くなる

3.シンプルなルールで複雑な動き

戦術指導の最大の難しさは、複雑な動きやその連続性をどのように指導するかです。

過去の僕の失敗談にあるように、1つ間違うと選手が型にはまったような動きになります。

僕ら指導者が理想とするのは、選手たちが躍動感を持ってプレーし、またチーム全体としても有機的なまとまりを持ってプレーすることです。

そのために戦術指導を行うのに、躍動感がなくなりチーム全体がバラバラになってしまったら本末転倒です。

そこで、シンプルな分かりやすいルール設定によって選手どうしが有機的につながっている状態を作ることをトレーニングしています。

ここはこの教材の中心的な部分です。
例えばスペースを作る動きや使う動き、選手が流動的に動く複雑な現象をシンプルな設定でできるようにするというものです。

そこにゲームモデルにおけるプレー原則やプレーのコンセプトをトレーニングすることが深く関わってきます。

③戦術指導の具体例

では、実際にどのように戦術指導を行なっているかを解説します。

ここでは4対2のロンドを例に進めていきます。

下の図はシンプルな4対2のロンドで、攻撃側の目的は保持しながらフリーマンからフリーマンへの前進を目指すことです。

図4:4対2ロンド(前進型)

ここではサポートの高さを調整するトレーニングを行なっているのですが、この図ではAの選手のポジショニングだとDFのCに捕まって上手く前進できません。
反対にBの選手のポジショニングだとパス1本で前進することができます。

ではこのポジショニングをどうやって教えるかというと、先ほどのプレーのコンセプト、つまり

  1. いつ=プレーの発動条件
  2. どのように=キーファクター
  3. なぜなら=サッカーの理屈

が重要になってきます。

前進・展開のためのサポートのプレーコンセプト

  1. いつ=ボールホルダーがプレスを受けていない時
  2. どのようにプレ―する=ポジションを上げて相手のラインを超えたポジショニング
  3. なぜなら=プレスを受けずに前進できるから

このように落とし込んでいきます。

これは『前進のためのサポート』というものになります。

次に別のケースを見てみます。

図5:4対2ロンド(前進型)2

このケースではボールホルダーがプレスを受けています。
Aの選手のポジションではボールを逃がすことができますが、反対にBの選手へのパスコースは消えています。

これも先ほどと同じように考えてみると以下のようになります。

  • いつ=プレーの発動条件
  • どのように=キーファクター
  • なぜなら=サッカーの理屈

保持のためのサポートのプレーコンセプト

  • いつ=ボールホルダーがプレスを受けている時
  • どのようにプレ―する=ポジションを下げて相手のラインより低いポジショニング
  • なぜなら=パスで前進できないから保持できるように

このように落とし込んでいきます。

この練習メニューでは前進とボール保持のサポートの方法とそれを使い分けることをトレーニングしています。

ここではシンプルな練習メニューで解説しましたが、基本的なスタンスはコンセプトをトレーニングすることです。

また、この練習メニューでは他にも運ぶドリブルやコントロールのコンセプトも学ぶこともできます。

コーチング方法について

最初は選手に分かりやすい言葉で理屈や動きを伝えます。

当然、ミスが多く発生しますが、なんとなく感覚をつかんできます。
選手の理解がある程度浸透してきたら質問形式のコーチングで促します。

  • (ボールホルダーが)プレッシャーを受けてらどうするの?
  • フリーならどこにポジションをとる?
  • パスコースがなかったらどうするの?
  • パスが来た時にすぐプレスを受けたらどうするの?

こんな感じで「思い出させる」コーチングを行いながらプレーのコンセプトを無意識で実行できるように進めていきます。

時々、質問して選手に答えてもらうことも有効です。

それらを繰り返しながら、子どもたちのサッカーへの理解を深めていきます。

また、これらの基礎的な戦術理解と動きを組み合わせていく中で、グループ・チーム全体が複雑な動きを有機的につなげていきます。

以上、戦術指導の具体例について解説しました。
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ここまで、この教材の中心的テーマを解説しました。

戦術指導の本質的な部分はこの3章までにつまっているので、トレーニングのイメージが湧いた方はここで読み終えて頂いても大丈夫です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

教材の続きを購入する際の注意点

  • 教材を読んだだけでは同じようにトレーニングすることはできません
  • 選手に落とし込むにはコーチングのスキルも重要なので再現性は保証できません
  • 本質的なコツを掴むには時間がかかります

また、以下の対象者の方は購入しないほうが良いです。

  • ゲームモデルを十分理解している
  • 戦術やテクニックのコンセプトを理解している
  • 現在選手育成は上手くいっている
  • 戦術指導には自信がある
  • 戦術的な動きを引き出す自己組織化が理解できる

念のため注意事項でした。

サッカー指導のスキルアップには時間がかかりますが、もっともっと戦術指導のスキルを上げたいという方は、ぜひ続きも読んでみてください。