こんにちは、講師のカズです。
少年サッカーの低学年の指導では、練習メニューの選び方でとても悩むことが多いかと思います。
サッカーを始めたばかりで「まずは低学年を見てください」と少年団で頼まれた方や、若いコーチで「最初は低学年から」と言われた方も多いかと思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・楽しい練習をやると盛り上がるけれど、これで上手くなっているのか分からない
・サッカーらしい練習をやると、子どもたちが楽しくなさそうにしている
・保護者の方から「遊ばせているだけ」と思われていないか不安になる
僕自身、今は年長さん(キンダー)のチームをスタッフに担当してもらい、僕がチェックする形で関わっています。
この記事では、低学年の練習でFUN系(楽しい系)のメニューをどう位置づけるのか、子どものモチベーションの段階と、練習の中での割合という視点から解説します。この記事を読めば、楽しい練習とサッカーの練習のバランスを、自分なりのロジックで決められるようになると思いますので、最後までご覧ください。
1. 低学年のサッカー指導で大事なこと:コーチの基本が全部詰まっています

①子どもたちは反応を露骨に示します
低学年や年長さんの指導には、サッカーコーチとしての基本的な能力やスキルが全部詰まっていると、僕は感じています。
この年代の子どもたちは、反応を露骨に示します。
楽しくなければ楽しくない顔をしますし、コーチの話がつまらなければ、退屈そうに砂遊びを始めます。
逆に、コーチがうまくまとめることができれば、とても統率が取れます。
子どもたちが指導者のことを察してくれないからこそ、指導者の力量がそのまま出る年代かなと思います。
②年齢が上がると、選手がコーチのミスを隠してくれます
余談ですが、年齢が上がると、選手がコーチのミスを隠してくれる、と僕は表現しています。
高学年の指導を10年、15年と続けていても、低学年や年長さんの指導が全くできない方は多いと感じます。
なぜできないのかというと、指導の基本が抜け落ちているからだと、僕は分析しています。
③今の悩みは、鍛えられるチャンスです
ですので、今、低学年を担当していて悩まれている方は、大いに悩んでもらった方が鍛えられると思っています。
ぜひいい機会だと捉えてチャレンジしてほしいと思います。僕のイメージでは、そこにサッカーコーチとしての基本がすべて入っています。
2. 低学年の練習は、楽しいだけで上手くなる?

①一番の悩みは、楽しさとサッカーらしさの間にあります
低学年を担当した時に一番大きく悩むのは、ここかなと思います。
サッカーらしい練習をやると楽しくなさそうで、楽しい練習をやると、本当に上手くなっているのか分からない。
FUN系のメニューで盛り上げれば、子どもたちは喜んで楽しんでくれます。
ただ、果たしてこれで上手くなるのか、という疑問が出てきます。
では、ちゃんとしたサッカーの練習をやらせると、今度は楽しくなさそうにする。
極端な例ですが、「お腹が痛いです」と言い出す子が出てくることもあります。
②僕の言う楽しさは、真剣に打ち込んでいる状態です
分かりやすく、あえて極端に言うと、僕は「楽しく練習した方が上手くなる」という考えです。
ただ、ここでいう楽しさは、以前に解説した楽しさの定義のことです。
ある種、真剣にサッカーに打ち込んでいる状態を、僕は楽しさと定義しています。
指導者や大人にやらされるのではなく、自ら進んで楽しんでトレーニングをしている。苦しいことも含めて楽しんでいる。
そういった状態だからこそ、楽しくやった方が上手くなる、という発想です。

③低学年には、まだ内発的動機づけが育っていない子が多いです
僕が「楽しくやった方が上手くなる」と言う時は、内発的動機づけが十分に高まっている、根付いている状態が前提です。
一方で、低学年や年長さんには、その内発的動機づけがまだない子が多いです。
例えば年長さんや小学1年生で、「このきつい練習を乗り越えて、ライバルに打ち勝つことが楽しいです」という子はいないかと思います。
コーチが楽しい、友達とボールを蹴るのが楽しい、といった外発的な動機づけの段階が多いはずです。
④子どもの楽しさが、今どのフェーズにあるかを見ます
ですので、子どもたちにとっての楽しさのフェーズが、今どこにあるのかを見ていく必要があります。
例えば1・2年生で、しっぽ取り鬼ごっこのようなFUN系のメニューをやっている時に、「コーチ、もっとロンドやポゼッションの練習がしたいです」と言う子がいれば、内発的な動機が高まっていて、サッカーそのものに熱中できている状態だと思います。
ただ、そういう子はなかなかいません。
5・6年生になると、「コーチ、ちゃんと練習したいです」という子は増えてきます。上手くなりたい、試合に勝ちたいという内側からの動機が高まっている状態です。
低学年はまだそこまで行っていないからこそ、外発的動機づけや、自己決定論的な発想が必要になると、僕はいつもお伝えしています。
3. 低学年の子どものモチベーションは3段階で変化します

①サッカーに興味・関心が湧いた段階
僕の中では、子どもたちのモチベーションには3段階あると考えています。
最初は、サッカーに興味・関心が湧いた段階です。
ワールドカップを見て急にサッカーをやりたいと言い出した、友達がいるから、外から見ていて楽しそうだったから、といった動機です。
この段階では、高いレベルのことは要求できません。
まだ興味を持っただけなので、「サッカー選手になるためには」という話をしても、よく分からないかと思います。
②サッカーの外側からの動機で楽しい段階
次は、サッカーそのものというより、外側からの動機づけで楽しくなっている段階です。
「コーチが楽しい」「友達がいるから楽しい」という理由で、トレーニングに行くのが楽しい、試合が楽しい、という状態になっていきます。
③もっと上手くなるために努力したい段階
その中から、今度は「もっと真剣にやりたい」という気持ちが出てきて、最後は「もっと上手くなるために努力したい」という段階に変化していきます。
このモチベーションの段階については、情報発信を始めたばかりの5年ほど前に図解で解説しています。

④楽しさを外発から内発へ変化させていきます
僕はよく「楽しさを変化させていく」という言い方をします。
外発的動機づけから始まって、内発的動機づけへと楽しさを変化させていくことが、指導者のやるべきことかなと思っています。
4. 盛り上がる練習メニューは、練習時間の何割にするか

①FUN系の練習自体は、悪いものではありません
ですので、低学年で楽しい練習をやるのは、全然やっていいと思っています。
ボール集め競争のように、ゲームや遊びの要素を入れたメニューは、それ自体が悪いわけではありません。
その練習がきっかけで「ドリブルの練習をもっとしようかな」と思う子もいます。
ゲーム形式で楽しみながら、ある程度の上達が見込める設定になっているメニューも多いかと思います。
その練習をやっているのは、子どもたちの動機づけがまだその段階だから、という捉え方もできます。
②集中力が持たないから入れる、という発想もあります
90分のトレーニングを、ドリルや基礎練、ロンドだけで組むと、集中力が持ちません。
だからFUN系のメニューを入れる、という発想もあります。
1回のトレーニングの中にFUN系の練習をどれくらい入れるかは、選手たちのモチベーションの状態に関わってくるかなと思います。
③プロやユースでも、楽しい系は入れています
プロのチームやユースでも、ウォーミングアップで楽しい系のメニューを入れることがあります。
僕がスペインに行った時にも、U-17くらいのチームが最初にスピード系の、鬼ごっこのようなメニューで盛り上げている風景を見ました。
楽しい系に何かテーマがあるメニューは、どのカテゴリーでも必要な要素で、違うのはその割合かなと思います。
④僕が高学年で最初にFUN系をあまり入れない理由
僕は高学年では、最初のウォーミングアップでゲーム形式や鬼ごっこ系をあまりやりません。
僕が担当するグループでは、オンとオフのメリハリがつきにくくなってしまうからです。
逆に、1回のセッションの中でオンとオフの切り替えをうまくさせられる指導者の方は、入れてもいいかもしれません。
⑤90分の練習時間のうち、何分をFUN系にするか
低学年に関しては、この割合をどうするかです。
90分のうち60分をFUN系にするのか、45分なのか、それとも最初の2セッション、25分くらいまでをFUN系にするのか。
要するに、割合、程度の問題だと考えています。
僕の場合、4月から1・2年生を始める時は、最初は楽しい雰囲気を出しながら、だんだんサッカーの本質的なトレーニングに近づけていきます。途中で少しFUN系に戻すこともあります。

5. 低学年の練習メニューの決め方:「遊ばせているだけ」と言われないために

①大切なのは、目的とロジックです
FUN系の練習で上手くなるのか、保護者の方に「遊ばせているだけじゃないですか」と言われないか、という怖さもあるかもしれません。
その時に指導者として大切なのは、どういう目的で、どういうロジックがあってその練習をやっているのか、というところだと思います。
僕が今関わっている年長さんのチームは、楽しい系のメニューの時間が長めです。
1対1や最後のゲームは真剣にやりますが、高学年や中学生ほど高い意識で取り組んでいるわけではありません。
でも、それでいいと思っています。
②選手をワンランク次のステップへ
そこから子どもたちの内発的動機が高まって、「もっと自分でやりたい」と思えるように導いていくことが大切かなと思います。
指導者が無理やりやらせるのではなく、選手のモチベーションに合わせて、こちらが調整していく。
そのうえで、せっかくサッカーをやるのであれば、選手をワンランク次のステップに持っていってあげることが、指導者の役目だと僕は考えています。
楽しい楽しいと練習していた低学年の子が、少し真剣に練習に取り組むようになった。自主練をするようになった。
その小さなステップアップの積み重ねかなと思います。
③良い悪いではなく、文脈で決まります
低学年でFUN系の練習をやることが、良いとか悪いとかではありません。結局は文脈によります。
低学年でも高学年でも、チームや選手が置かれている文脈によって、どんなトレーニング、どんなコーチングをするかが変わります。
そのため、観察力と分析力がとても大切になってきます。

まとめ
・低学年の指導には、コーチとしての基本が全部詰まっている
・僕の言う楽しさは、真剣にサッカーに打ち込んでいる状態のこと
・低学年は、まだ外発的な動機づけの段階にいる子が多い
・子どものモチベーションは、興味・関心から、もっと上手くなりたいへと3段階で変化する
・FUN系の練習は良い悪いではなく、1回の練習の中での割合の問題
・大切なのは、目的とロジックを持ち、選手をワンランク次のステップへ導くこと
この記事では、低学年の練習でのFUN系メニューの位置づけと、その割合の考え方について解説しました。
今、低学年の指導で苦労されている方は、「指導の基本を全部、今勉強できている」というつもりで取り組むと、とても力になると思います。皆さんの指導現場でも試してみてください!
なお、僕は指導者向けに、練習メニューを組み立てて保存できる無料アプリを作りました。FUN系のメニューも含めて練習メニューをお配りしているので、1回の練習の組み立てを考える時に使ってみてください。無料メルマガに登録していただくと、すぐに使えます。
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