コーディネーションとは?【少年サッカー】7つの能力を簡単解説

こんにちは、講師のカズです。

低学年やキンダーの指導では、しっぽ取りや鬼ごっこのような「楽しい系」のメニューをやる場面が多いと思います。
ただ、こういった練習をやりながら、ふと不安になることはないでしょうか。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・これをやっていて、本当に上手くなるのかな
・ただ遊ばせているだけに見えないかな
・保護者に「この練習は何のためですか」と聞かれたら、うまく答えられない

この記事では、こういった不安の正体と、その手当てになる「コーディネーションの7つの能力」について、基本から簡単に解説します。
この記事を読めば、楽しい系のメニューを自信を持って現場で使えるようになると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 「遊ばせているだけ?」という不安の正体

①楽しい系のメニューは、遊びに見える

低学年を任された時、まずはある程度サッカーらしい、高学年でもやるような練習メニューをやらせてみたものの、なんだか子どもたちが楽しそうにやっていない。
そこで、しっぽ取りや鬼ごっこのような、いわゆる「楽しい系」のメニューに切り替える。
こういう流れは、低学年の指導ではよくあるかなと思います。

僕はこういったタグ系の練習メニューを、「ファン系(FUN・楽しい系)のメニュー」という表現で一括りにしています。
子どもたちは喜んでやってくれるのですが、やっている側の指導者としては、「これで上手くなるのかな」「遊ばせているだけじゃないかな」と感じる瞬間があると思います。

②不安の正体は、知識の不足

では、なぜそういう不安になるのか。
一つは、知識の問題だと思います。

経験値については、コーチを始めたばかりであればどうしようもありません。
ですが、理論背景や知識が不足していると、自分がやっていることの正当性を自分でもうまく言語化できず、不安になりやすいと思います。

これは戦術のトレーニングでも同じです。
戦術系のトレーニングをやりたい時に、自分のバックボーンにどれだけ戦術の知識が入っているかで、自分がやっていることをうまく言語化できるかが変わってきます。
それが指導の自信につながっていく要素の一つです。

低学年やキンダーを担当する指導者の場合、この年代に必要な知識、つまり発育発達やコーディネーションの知識が不足しているケースは結構あるかなと思います。

2. コーディネーションとは?運動神経のようなもの

①スキャモンの発育発達曲線と神経系

日本では、ゴールデンエイジという言葉がよく使われますよね。
その根拠としてよく出てくるのが、スキャモンの発育発達曲線です。
神経系がどのように伸びてくるか、という話です。

余談ですが、僕が学んだスペインのコーチングスクールでは、スキャモンの発育発達曲線もゴールデンエイジも出てきませんでした。
「ゴールデンエイジ」「プレゴールデンエイジ」「即座の習得」といった言葉を使っているのは、もしかしたら日本くらいかもしれません。
どこかのヨーロッパのモデルを取り入れた経緯があるのかもしれませんが、少なくともスペインではありませんでした。

とはいえ、日本で広く使われている知識である以上、指導者としてベーシックなものはちゃんと押さえておくことが大切だと思います。
そして、神経系の発達に伴って重要な概念になるのが、コーディネーションです。

②コーディネーションは「体さばき」の能力

コーディネーションとは何か。
僕の中では、単純に言うと「運動神経」のようなものだと捉えています。

運動神経という神経が実際にあるわけではありませんが、「あの子は運動神経がいいよね」と言う時のあの感覚です。
自分の体を思ったように動かす能力、体さばきのイメージですね。
コーディネーション能力は、サッカーに限らず、あらゆるスポーツをやる上での基本的な能力です。

この能力が低いと、ボール扱いがあまり上手くなかったり、走り方がぎこちなかったり、人がやっている動きの真似ができなかったり、といったことが起きてきます。
低学年の子どもを見ていて「動きがぎこちないな」と感じる場面は、まさにここに関わってきます。

ちなみに、僕はフィジカルの専門家ではありません。
フィジカルの知識は時代とともにどんどん更新されていくので、専門の方にはかないません。
ただ、指導者として最低限の知識は持っておく必要がある、というスタンスで話しています。

3. コーディネーションの7つの能力

それでは本題です。
コーディネーションには、学術的に7つの能力があると言われています。
「コーディネーションの能力を今、7つ言ってください」と言われて、スラスラ答えられるでしょうか。

順番は何でもいいのですが、一つずつ見ていきます。

①バランス

バランス感覚ですね。
走る時もそうですし、ボールをキープする時、ジャンプした後に着地する時もそうです。
いろんなスポーツをやる上で、とても大事な能力になります。

②リズム

リズム感です。
ダンスをやっている子どもをイメージすると分かりやすいと思います。
サッカーで言えば、ラダーのトレーニングで一定のリズムで体を動かせる、といったこと全般がリズム能力になります。

③定位

定位は、自分の身体と空間との位置関係を把握する能力です。
サッカーで言うとヘディングの落下地点の予測、野球で言うとフライのキャッチ、陸上の走り幅跳びで踏切位置を調整するのもそうですね。
空間認知のイメージで捉えてもらえればいいと思います。

④識別

識別は「操作性」とも言われます。
道具を使って何かをする能力です。
野球でバットを振る、ボールを投げる、テニスやゴルフ、リレーでバトンを渡すのもそうです。
ゴルフのように、細くて長い棒で小さな球を打つ競技は、まさにこの識別能力がないと成立しません。

⑤反応

リアクションのことです。
運動会で「パーン」というスタートの合図が鳴った瞬間に動き出す、あの能力です。
サッカーで言えば、守備で相手のフェイントやドリブルに対して反応する場面ですね。
アクションではなくリアクション、合図や相手に対して反応する能力です。

⑥連結

連結は少し分かりにくいのですが、体の各部分を滑らかに同調させる能力です。
走る時に上半身の腕の振りと下半身がうまく連動している、というイメージです。
ハードル走で、走って、踏み切って、飛び越えて、着地して、という一連の動きを滑らかに行うのもそうです。

サッカーなら、走りながら胸トラップしてボレーシュートを打つような場面ですね。
低学年でぎこちない動きをする子を見ると、「連結の問題かな」といった見立てができるようになります。

⑦変換

最後が変換です。
状況が変化した時に、動きを切り替える能力です。
走っている途中でボールが浮いたから、急にジャンプという動きに切り替える。
ジャンプヘッドなどはこのイメージに近いと思います。

4. 7つの能力で練習を見ると、不安が消えていく

①しっぽ取りを「7つ」で説明できるか

この7つの能力を頭に入れた上で、しっぽ取りや鬼ごっこのような楽しい系のメニューを見てみてください。
「このメニューは7つのうち、どこに当てはまるのか」が見えてくると思います。

楽しく練習をやっているように見えて、実はちゃんと神経系に刺激を与えている。
それを自分で評価できる、言語化できるようになると、低学年の練習での不安な要素のうちの一つが消えてくると思います。

指導現場に立っても自信になりますし、保護者の方に「この練習は何なんですか」と聞かれても、「これはこういう狙いがあって」と説明できるようになります。
知識と理論をちゃんと頭に入れておく、いわば理論武装も、指導者にはある程度必要かなと思います。

②サッカーはサッカーで上手くなる。そのうえで

一つ、大事な前提があります。
僕は、サッカーはサッカーをすることで上手くなると考えていますし、なるべく要素還元しない方がいいとも考えています。

なので、しっぽ取りをやったから直接サッカーが上手くなる、という話ではありません。
そうではなくて、コーディネーションやアジリティ、内発的動機づけといった知識を総合的に見た時に、「アンダー7でこの練習をやる意義はあるのか」を指導者の中で言い切れるか、言語化できるか。
そこが大事な要素だと思っています。

③いろんなやり方を試して、引き出しを増やす

僕自身、本当にいろんなパターンでやってきました。
ファン系のメニューだけでトレーニングを完結させるやり方もやりましたし、逆に、あるスペイン系のスクールでは、アンダー7でもロンドやポジションの練習を、アンダー10より簡単にした形でちゃんとやらせていました。

ドリル系のトレーニングにも工夫の余地があります。
ドリル系は子どもにとって楽しくなかったりするので、ドリルを10分やったら楽しい系を10分、またドリルを10分、最後は15〜20分ゲームをやって「楽しかったね」で終わる。
そういった組み立て方もあります。

どのやり方が正解、というのは多分ありません。
いろんなやり方をやってみて初めて、「このグループは今こういう段階だから、ファン系から入ろう」「今日はドリルをがっつりやろう」といった、文脈に沿った判断ができるようになります。
自分の引き出し、ストックが増えていくということですね。

5. 低学年の指導経験は、将来絶対に強みになる

最近は「サッカーの戦術」が注目されがちですが、指導者の知識は戦術だけではありません。
フィジカル、心理学、脳科学、マネジメント。
育成年代の指導では、多岐にわたる知識が必要になります。

その中で、低学年を指導する時に特に重要なのは、コーディネーションの知識、発育発達、年代ごとの特徴、そして動機づけだと思います。

僕自身、昔は高学年しかできない指導者でした。
低学年やキンダー、ジュニアユースなど、いろんなカテゴリーをやるようになってから、一気に指導の深みが増したというか、いろんなものが見えてきた感覚があります。
もっと早くやればよかったなと思うくらいです。

小学生の指導を10年、15年やっていても、低学年はできない、という方は実は結構います。
だからこそ、いま低学年を担当している方は、将来それが絶対に強みになります。
これを機に、コーディネーションのような基本的な知識を学んでみるのはいかがでしょうか。

まとめ

・楽しい系(FUN系)メニューへの不安の正体は、知識の不足であることが多い
・コーディネーションとは「運動神経」のようなもので、あらゆるスポーツの基本になる能力
・7つの能力=バランス・リズム・定位・識別・反応・連結・変換
・7つで練習を見ると「遊びに見える練習」の狙いを言語化でき、自信につながる
・サッカーはサッカーで上手くなるのが前提。そのうえで知識を総合して「この練習の意義」を言い切れることが大切
・低学年の指導経験は、将来絶対に強みになる

この記事では、コーディネーションの7つの能力と、低学年指導の不安への手当てについて解説しました。
皆さんの指導現場でも試してみてください!

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