こんにちは、講師のカズです。
低学年やキンダーの練習では、子どもたちにどう意欲的に取り組んでもらうかが、とても大切かと思います。ただ、「ちゃんとやれ」「集中しろ」と言っても、なかなか変わらない場面は多くの現場であるかなと思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・低学年の練習で、子どもがすぐに飽きてしまう
・集中力が持たない、続かない
・ファン系のメニューは盛り上がるのに、ドリル練習になると全然やらない
僕自身、昔はキンダーや1、2年生の指導が全くできませんでした。今シーズンは、うちのクラブで年長さんのサッカー教室を週2回やっていて、若いコーチの指導を僕がチェックしています。
この記事では、低学年やキンダーで子どもたちの反応がもろに出る理由と、ドリル練習でも意欲的にやってもらうための「やる気の4つのスイッチ」、そしてテンポ感の考え方を解説します。この記事を読めば、「集中力がない」の見方が変わり、明日の練習で何を見直せばいいかが分かると思いますので、最後までご覧ください。
1. 低学年やキンダーは「指導者の鏡」

① 察してくれないから、もろに出ます
キンダーや低学年の指導が難しく感じるのは、子どもたちが指導者のやっていることに対して、大人のように対応してくれないからです。面白くなかったら面白くない顔をするし、飽きたら飽きたサインを思いっきり出します。集中力がないというよりも、他のことが気になればそっちに行く、という感じです。
小学校の高学年になると、「コーチの話はちゃんと聞かなきゃ」「面白くないけど、面白くないと言ったら怒られるから聞こう」と、察してくれます。でも、キンダーや1、2年生は、そこまでコーチの事情を察してくれません。
だから、指導者の鏡だと思ったらいいと思います。
② 待ちが長い練習で、何が起きるか
例えば、待ちが長いトレーニングです。高学年や中学生なら、待ちが長くても「ここで喋ったら叱られるから黙っておこう」とやってくれます。だから、集中しているように見えます。本当は、みんな退屈しています。
でも、キンダーや1年生は、待ちが長いとそこでおしゃべりを始めます。砂遊びを始めます。友達といざこざを起こして、問題が起きます。指導やトレーニングの中でうまくいっていないものが、表面化するということです。
つまり、低学年が難しいのではなく、高学年でも同じ問題は起きています。「待ちが長くて選手が退屈している」という問題は起きているのに、表面化していないだけです。ここがすごく大事なポイントかと思います。
③ 「高学年はできるけど低学年はできない」は、嘘です
僕はいつも、「高学年はできるけど低学年はできません」というのは嘘だと言っています。高学年ができていて低学年ができないということは、たぶん高学年でもできていません。
指導歴が10年、15年、20年あっても成長していないコーチの方は、たぶん低学年ができません。
そういった意味で、今、低学年やキンダーをやっているというのは、指導者として自分の基礎力を磨く、すごくいいチャンスだと思います。
2. ドリル練習でも意欲的にやる「やる気の4つのスイッチ」

ファン系(楽しい系)のメニューは、メニュー自体が楽しく作られていますし、サッカー的な要素やコーディネーションの要素も入っているので、問題ないと思います。
うまくいかないのは、1対1からシュート、シュート練習、ドリブル練習のような、ドリル系寄りのトレーニングです。すぐ飽きる、全然集中しない、ということが結構あるかと思います。
ここで大事なのは、指導のテクニックの背景にある基本的な知識です。現場で僕が介入して仕切り直すと、小手先っぽく見えるテクニックがあるのですが、うまくいくのは子どもたちの特性を利用しているからです。まず「子どもの特性を理解する」、そして「トレーニングの基本を理解する」。この2つかと思います。
その特性として、子どもの意欲を引き出す4つの要素があります。これは僕が昔、ヨコミネ式の横峯さんの本を読んで「そういうことか」と思ったものです。『8人制サッカーの教科書』にも「子どものやる気を引き出す4つのスイッチ」として書かれていますが、大元は横峯さんの書籍が最初ではないかと思います。
① 少し難しいことに挑戦したがる
子どもは、「頑張ればできるかも」という少し難しいことにチャレンジしたがります。
これは、トレーニングの基本そのものだと思います。トレーニングの難易度は、頑張らなくてもできることでもなく、めちゃくちゃ頑張ってもできないことでもなく、「ちょっと頑張ったらできるんじゃないか」というラインに設定します。
ドリルトレーニングをやるにしても、その難易度の設定は適切か。全くできないことになっていないか。ちょっと頑張ればできるラインを狙っているか。ここが最初のチェックポイントです。
② 競争したがる
子どもは競争したがります。ドリルトレーニングの中に、競争の要素は入っていますか。競争の要素があると、子どもは面白がって意欲的にやります。
横峯さんの話で、僕がなるほどと思ったものがあります。大人は「子どもは走るのが好きですよね、しょっちゅう走っていますよね」と言います。でも、そうではない。走るのが好きなら1人で勝手に走っているはずですが、そんなことはない。競争が好きだから、走って競争するのが楽しいから走るんだ、という話です。
昔、僕もスクールでかけっこをよくやっていました。スタートラインにハンデをつけて、3つぐらい距離を変えます。足があまり速くない子でも1位が取れたり、足が速い子は一番後ろから全員を追い抜かないといけない。これをやると、「わー」「やったー」「悔しい」と、すごく盛り上がります。
ただ走っているだけです。大人の我々がサッカーの練習で一番やりたくないダッシュです。でも、競争を取り入れると、子どもはめっちゃ走ります。何年もスクールでやってきたので、実証しています。
③ 認められたがる
3つ目は、認められたがる、です。褒めるのではなく、認める。この違いは難しいのですが、「できたな」と認めてあげるところがすごく大事です。ここはコーチングの領域になります。
例えば、ドリル練習の途中で「ストップ」と止めて、「今、めっちゃ上手かったから、みんなの前でやってくれる?」「めっちゃ良かったよ、お手本を見せて」と認めてあげる。そうすると、その子もそうですし、他の子にも競争の原理が働いて、意欲的にやるようになります。
④ 真似したがる
4つ目は、真似したがる、です。コーチが思いっきりデモンストレーションを見せてもいいですし、さっきのように「ストップ。今のテクニックが上手かったから、みんなに見せてあげて」と言うと、その子は認められる。他の子は「真似しよう」となる。「くそ、俺も負けないぞ」という競争の原理も入る。自分にとっては「ちょっと難しいな」という要素も入る。
4つが全部入っている状態です。こうなると、子どもたちは意欲的にやります。
逆に、単純なパス&コントロールで「集中しろ」「これをやらないと上手くならないぞ」と言っても、やる気のスイッチのどこにも触れていないので、面白くない。面白くないということは、やらない、ということです。
内発的動機づけが高まっている高学年や中学生なら、「パスの精度を上げたいから、単純な練習でもちゃんとやろう」と捉えてくれます。でも、低学年はまだそこまで高まっていないとすれば、コーチの指導の仕方で仕掛けをやっていく必要があります。
参考書籍です。この記事で触れた「4つのスイッチ」の本家と、サッカー側で紹介している本です。
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3. 4つを入れても永遠には持たない:テンポ感

① 15分で飽きてきたら、すぐ次へ
4つのスイッチが入っていれば永遠にできるかというと、そんなことはありません。10分、15分やったら、さすがに飽きてきます。
そこで大事になるのがテンポ感です。15分のボールフィーリング系のトレーニングでも、飽きてきたらすぐ次のテーマ、次の発展に進める。1個のトレーニングの中のテンポ感もそうですし、トレーニングとトレーニングの間のテンポ感もそうです。
② 「はい、並んで」の後のワンクッション
昨日、年長さんのクラスであったことです。一緒にやっている若いコーチが、最初にコーディネーション系をやろうとして、横一列に並ばせて、スキップや後ろ向きに走るような動的ストレッチをやりました。それが、グダるんです。
僕は外から見ながら、「なんで『はい、並んで』と言った瞬間にすぐ動かさなかったの」と思っていました。そこでワンクッション置いたことで、子どもの集中が切れました。3分ぐらい見て、「ちょっと代わろうか。俺がやるから見ておいてね」とやると、めっちゃやります。
「飽きるからダメだ」ではなく、飽きないような工夫をする。工夫をしても限界があるので、集中力が大人ほど長くない前提で、テンポを変えて、パンパンパンパンと進めていく。ここがすごく重要かと思います。
③ 子どもは集中力がないのではなく、短いだけ
これも昔、本で読んだのですが、子どもは集中力がないわけではありません。ものすごく集中力はあるのですが、集中できる時間が短い、ということです。
これを逆手にとって、どう進めていくか。「低学年がうまくいっていないな」「すぐ飽きるな」と感じる方は、この4つのスイッチとテンポ感から見直してもらえたらと思います。
4. 僕も1、2年生が全くできませんでした

① 低学年を任されるのは、チャンスです
若いコーチやコーチを始めたばかりの頃は、「低学年をやってくれ」と言われることが多いかと思います。意外と、メインのコーチも低学年が苦手、ということも結構あります。
僕も昔、キンダーや1、2年生は本当に全くできませんでした。でも、ある時期からできるようになって、それ以来「楽しいな」と思えるようになりました。
年代ごとの特性を考えてトレーニングを組む、トレーニングの基本を押さえる。これは高学年でも中学生でも変わりません。だからこそ、低学年をやると、指導の基本ができているかがもろに見えてきます。
② 本を読んだ後に、現場でアウトプットする
本を読む、セミナーに行く、動画を見る。それを入れて終わりではなく、現場でアウトプットしてみて、何がうまくいくのか、何がうまくいかないのかを試す。現場で冷や汗をかいてやったものが、自分のスキルになっていきます。
大変ですが、やればできるようになると思います。今、低学年やキンダーで悩まれている方は、ぜひ頑張ってやってみてください。


5. まとめ
・低学年やキンダーは指導者の鏡。うまくいっていないものが表面化するだけで、高学年でも同じ問題は起きている
・「高学年はできるけど低学年はできない」は嘘。低学年は自分の基礎力を磨くチャンス
・ドリル練習でも意欲的にやる「やる気の4つのスイッチ」=少し難しいことに挑戦したがる、競争したがる、認められたがる、真似したがる
・4つを入れても永遠には持たない。飽きてきたらすぐ次へ進むテンポ感が大事
・子どもは集中力がないのではなく、短いだけ。逆手にとって進める
この記事では、低学年やキンダーが練習に飽きる、集中しないときの考え方と、やる気の4つのスイッチについて解説しました。まずは、明日の練習で「難易度は適切か」「競争の要素は入っているか」の2つだけ見直してみる。そこからで十分だと思います。皆さんの指導現場でも試してみてください!
なお、低学年の練習メニューを毎回考えて、紙に書いて残すのは作業量が多くなります。僕はその作業を軽くするために、指導者向けの無料アプリを作りました。練習メニューを盤面で組み立てて保存し、次の練習でそのまま使えます。無料メルマガに登録していただくと、すぐに使えます。
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