エコロジカル・アプローチとは?【少年サッカー】複雑系で読み解く

こんにちは、講師のカズです。

少年サッカーの指導では、最近「エコロジカル・アプローチ」という言葉をよく聞くようになったと思います。
書籍を読んでみたけれど、正直むずかしくてよく分からない、と感じている方も多いのではないでしょうか。

僕自身、30年以上の指導経験の中で、この考え方はある種の最終形に近いんじゃないか、と感じています。
ただ、その本質を掴むには、もう一段深いところ、複雑系やシステム思考とセットで理解するのが近道だと思っています。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・エコロジカル・アプローチを読んだけれど、いまいち腑に落ちない
・プレイモデルや制約という言葉が、なんとなくしか分からない
・結局、現場で何をどう変えればいいのかが見えてこない

この記事では、エコロジカル・アプローチとは何かを、複雑系という視点から読み解いていきます。
そのうえで、ジュニア年代の現場でどう捉えればいいかまでお話しします。
この記事を読んでいただくと、むずかしく感じていた理論が少し整理されて、日々の指導の見え方が変わってくると思いますので、最後までご覧ください。

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1.エコロジカル・アプローチとは?なぜ今、必須なのか

①経験を積んだ指導者ほど「これだ」と感じる

エコロジカル・アプローチは、ある程度経験値のある指導者ほど「これは面白い」と感じる部分があると思います。
長く現場に立って、いろいろ試してきた人ほど、腹落ちする感覚があるのかもしれません。

僕自身も、30年以上の経験の中で、これはある種の最終形に近いんじゃないか、と感じています。
断定はできませんが、少なくとも、今の時代の指導を考えるうえで避けて通れない考え方だと思っています。

②今後10年のスタンダードになる

僕の中では、エコロジカルを中心に、サッカーを複雑系として捉えていく考え方が、今後10年のスタンダードになっていくと考えています。

サッカー界は進みが早いので、その時々に出てきた理論をある程度理解して進めていかないと、置いていかれてしまう部分があります。
だからこそ、今このタイミングで一度きちんと向き合っておく価値があると思っています。

③サッカーだけでなく、教育や組織にも通じる

エコロジカル・アプローチや複雑系、システム思考は、サッカーの指導現場だけの話ではありません。
他のスポーツはもちろん、教育や人材育成、会社の組織マネジメントなど、「人やチームが成長していく」あらゆる分野に通じる考え方だと感じています。

つまり、これは「サッカーの練習法」という枠を超えた、もっと普遍的な原理だと捉えると、見え方が変わってくると思います。

2.プレイモデルを理解すると、エコロジカルの半分が見えてくる

①プレイモデルは「自己組織化を促すガイドライン」

エコロジカル・アプローチを読むと、プレイモデルの話が出てきます。
プレイモデルは、僕がスペインに留学していた10年前には、もう当たり前のものでした。

プレイモデルとは、サブフェーズごとにプレイ原則を設定していくもので、チーム全体の方向性を揃えるためのガイドラインです。
ここで大事なのは、プレイ原則は「パターンそのものを覚えさせる」ためではなく、「パターンを生み出す」ためにある、という点です。

システム思考の言葉でいえば、自己組織化を促すためのものなんですね。

②「プレイモデル過多」という落とし穴

ただ、現場でプレイモデルをしっかり作り込んでいくと、こんな感覚を持つことがあります。
チーム全体のデザインは整ってくるのに、どこか、プレイモデルが選手のプレイを逆に縛っているんじゃないか、という感覚です。

僕自身、プレイモデルを作り込んだとき、子どもたちが綺麗にビルドアップをする一方で、プレイの再現性が高すぎると感じることがありました。
再現性が高いということは、底にルールが効きすぎているということでもあります。

結果として意外性が少なくなり、新しいプレイが生まれにくくなる。
これを僕は「プレイモデル過多」と呼んで、4〜5年前から話してきました。

③自由度を高めると、カオスに近づく

では、プレイモデルの自由度を高めていくとどうなるか。
今度は少しずつカオスに近づいていきます。

自己組織化や創発が生まれるためには、ある程度のカオスも含んでいく必要があるからです。

このあたりは、システム思考的な発想がないと、理屈が掴みにくいところです。
だからこそ、複雑系という土台を持っておくと、エコロジカル・アプローチの理解が一気に進むと思います。

3.エコロジカルは「人がスキルを獲得するメカニズム」そのもの

①人間は環境に適応する複雑系

エコロジカル・アプローチは、運動学習理論として語られます。
その中で人間は「適応型複雑系」、つまり環境に適応していく複雑系だと定義されています。

そして、その人間がどうやって運動スキルを獲得していくのか、というメソッドに近い部分がエコロジカル・アプローチです。

②すべての鍵は「自己組織化」と「創発」

ここでシステム思考と重ねると、面白いことが見えてきます。
人がスキルを獲得していくメカニズムは、チームでも、他のスポーツでも、会社組織でも、実は同じロジックで語れるんですね。
対象が複雑系である以上、うまく機能させるための考え方は共通してくるからです。

その共通の鍵が「自己組織化」です。
複雑なシステムには、本来、自己組織化する力がそなわっています。

個人でも、グループでも、集団でも、その力をどう促していくか。
ここが一番のポイントだと思っています。

自己組織化がうまく促されると、システムはより高度になり、誰も予想しなかった新しい働きが生まれてくる。
これが「創発」です。

③理論だけでなく、現場で体験しながら

大切なのは、こうした概念を頭で押さえたうえで、現場で体験しながら掴んでいくことだと思います。
「あ、これが自己組織化か」「これが創発か」「今はちょっとカオスに近いな」と、実際のトレーニングの中で感じ取っていく。
理論と現場を往復することで、はじめて自分のものになっていくと感じています。

特に、Jクラブではない、僕らのような街クラブにとって、エコロジカル・アプローチやシステム思考は、大きな武器になっていくと思っています。

今回のテーマの本家にあたる書籍はこちらです。この記事と合わせて読むと、理解が深まると思います。

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まとめ

今回の要点を整理します。

・エコロジカル・アプローチは、複雑系・システム思考とセットで理解すると腑に落ちる
・プレイモデルは「自己組織化を促すガイドライン」。作り込みすぎる「過多」には注意
・人がスキルを獲得するメカニズムは、複雑系として同じロジックで語れる
・すべての鍵は「自己組織化」と、そこから生まれる「創発」

この記事では、エコロジカル・アプローチとは何かを、複雑系という視点から読み解きました。
むずかしく感じる理論ですが、「自己組織化をどう促すか」という一点から捉え直すと、少し見通しが良くなると思います。

皆さんの指導現場でも、まずはその視点で練習を眺めてみてください。

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