こんにちは、講師のカズです。
練習がうまく回らない時、そのメニューをすぐ変えるべきか、我慢して続けるべきか。
指導をしていると、毎回のように迷う場面かと思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・狙った現象が出ないけれど、止めるべきか続けるべきか分からない
・フリーズ(プレイを止めて伝える時間)をどのタイミングで入れたらいいのか迷う
・15分と決めた練習メニューを、予定どおり最後までやるべきか悩む
僕は、この判断を決めるのは、指導者の思惑だけではないと考えています。
もう一つ重要なのが、選手たちの感情です。
この記事では、練習を止めるか続けるかを、僕がどんな基準で見ているかを解説します。
後半では、こうした判断がなぜ本では身につかないのか、という話もします。
この記事を読めば、練習を止める・続けるの迷いが、少し整理できると思いますので、最後までご覧ください。
1. 指導者の思惑と、選手の感情

① 指導者には、出したい現象がある
何らかのトレーニングをする時、指導者側には思惑があると思います。
出したい現象や、改善したいテーマです。
それはそれで大事ですが、あくまで指導者目線の話です。
僕は、もう一つ重要なのは選手たちの感情だと思っています。
② トレーニングは、まさにライブ
僕はいつも、1回のトレーニングを成功させるために、という話をよくします。
トレーニングは、まさにライブです。
リアルに、その場で行われているものです。
そこには、指導者側のやらせたいテーマや改善したい現象があります。
その一方で、選手たちのプレイに対する感情があります。
サッカーをしている時の、この感情的なものがすごく大事になってくると思っています。
③ 育成年代は、選手の感情を置き去りにしやすい
特に育成年代だと、指導者目線になりすぎて、選手たちの感情を置き去りにしてしまうことが、結構あるのかなと思っています。
選手たちは、小学生であれ、中学生であれ、高校生であれ、サッカーをすること自体を楽しみたいと思っています。
うまくいっているな、うまくいっていないな、という色々な感情が、ピッチの中で動いています。
だからこそ、指導者がやりたいことをやらせるだけではなく、選手が何をやりたがっているか。
そこの折り合いをどうつけるかが、とても大切な視点かと思います。
僕自身、過去にはこの視点を持てていませんでした。
2. 練習を止めるか、続けるかの判断

① 必要な時に、必要なことをやる
戦術を落とし込む時も、選手にコーチングする時も、僕が重要視しているのは、必要な時に必要なことをやることです。
指導実践のように、テーマが決まっている中で指導する時は、事前の設定をしていくと思います。
こういう現象が出たら止めて、こういうことを言おう、という設定です。
事前に予定しておくことは、別に悪いことではありません。
ただ、それだけではなく、本当に今それが必要なのかを見ていくことが重要だと思います。
アドバイスをするかしないかは、指導者が言いたいから言う、ではダメです。
選手が言葉を受けることを欲しているのか、欲していなくても、ここは絶対言わなくてはいけない場面なのか。
こちら側の考えと、選手側の感情がうまく交差する場所が、一番重要だと思っています。
② もがいているなら、止めない
トレーニングでも同じです。
練習がうまく回っていないと思った時でも、選手たちが必死にうまくやろうと悪戦苦闘している雰囲気が見られれば、その練習は続けていいと思います。
指導者がイメージしている現象とは違う。
うまくいっていないケースも多い。
それでも、選手がもがきながら何かをやろうとして頑張っている状態なら、あまり止めるべきではありません。
選手が集中してトレーニングに入っているタイミングで、「ストップ、ストップ」と止めて、変更するよ、となる。
選手からすると、気持ちが萎えます。
せっかく頑張ってやろうとしていたのに、止められる。
選手の感情が大事だと言っているのは、こういう側面です。
③ 気持ちが切れたら、すぐやめる
反対に、練習がうまくいっていない時に、もう少しやらせようと思っても、選手の気持ちがもう切れていて、全然集中していないこともあります。
まさに昨日の練習でありました。
最初の7分くらいは良かったのですが、残り3分を切ったあたりで、急に選手のテンションが下がってきました。
そう思った時点で、すぐやめました。
練習がうまくいっていないうえに、選手の集中も保てていない。
意欲的に取り組めていない。
その時点で、その練習メニューはやめないといけません。
④ 生き生きしているなら、テーマを妥協する
逆のケースもあります。
指導者から見ると、現象がうまく出ていない。
ちょっと違うんだよな、と感じる。
それでも、選手が生き生きと躍動してプレイしているのであれば、ある程度テーマを妥協していく必要があると思います。
ものすごく集中して躍動している時に止めて、余計なことを言われると、せっかくいい感じでプレイしていたのに、調子を崩すこともあります。
選手の状態を見ながら、的確にルールを変えたり、練習メニューを変えたり、オーガナイズを変えたりしていく必要があります。
3. 時間で決めずに、選手を観察する

① 15分と決めたから、を続けない
ジュニア年代や、キンダー(幼稚園年長)のような下の年代でもよくあるのが、飽きているのに続けてしまうことです。
例えば、この練習メニューは15分やろうと決めたとします。
でも、9分や10分で選手が飽きてきている。
本当は少し何かを変えて、刺激を入れて、飽きないように工夫しないといけません。
それなのに、15分と決めたからと強行してしまう。
そうすると、残りの5分くらいは、ほとんど意味のないトレーニングになるだけでなく、選手にとってすごく苦痛な時間になります。
② 盛り上がっているのに、予定で切らない
反対に、15分と決めた練習メニューが、15分くらいでめちゃくちゃ盛り上がっていることもあります。
選手も集中していて、インテンシティも高い。
なんなら、もう一段階ギアを上げていけそうだな、という時です。
そこで、15分だからここで切ろう、と止めてしまう。
確かに、トレーニングプラン通りにはやっています。
ただ、選手と指導者が一体になってその場で作り上げる、ライブとしてのトレーニングの本質は、見失われているように思います。
③ 原因は、選手を観察していないこと
変なタイミングで止めてしまう。
うまくいっていないのに続けてしまう。
その原因は、選手を観察していないことです。
指導者がやりたいことや、考えていることで手一杯になって、選手を細かく観察できていない。
そうすると、選手の感情とのズレが起きて、トレーニングがうまくいかなくなります。
サッカー指導で、こちらがやりたいことを整理するのは大事です。
それと同時に、選手をよく観察することが大事です。
選手の観察を抜きにして、トレーニングやコーチングはありえないと思っています。

4. 止める・続けるは、現場のフィードバックで身につく

① 長く指導していても、基本が抜けやすい
今、僕より若い指導者の方に、キンダーの指導をしてもらっていて、半年ほどフィードバックを続けています。
そこで話すのは、なぜあのタイミングで止めたのか、なぜあそこでトレーニングを変更したのか、なぜ継続しなかったのか、トレーニングのテンポ、といった根本的な話が多いです。
日本の指導者の方は勉強熱心な方が多く、サッカーの知識は十分あると思います。
戦術に関しては、僕より詳しい方もいるかもしれません。
ただ、多くの場合、自分の指導をフィードバックされる機会がありません。
僕自身、30年指導をしてきて、周りの指導者を見ていると、長く指導しているのにトレーニングや指導の基本が抜けているな、と感じることがとても多いです。
経験もあって、サッカーの情報もキャッチアップできるのに、なぜ基本が抜けるのか。
僕は、フィードバックだと思っています。
② 言葉で分かっても、体感しないと分からない
トレーニングのテンポが悪い。
待ちが長くて、選手が集中を欠いている。
トレーニングのテーマが、選手のレベルに合っていない。
こうしたことは言語化できますが、言葉では分かっても、現場で体感しないと理解できないことだと思います。
例えば、トレーニングのテンポが悪いですね、と言われる。
じゃあ僕がやってみますよ、と別の人がやる。
すると、リズムよくポンポンとトレーニングが進んで、選手の集中も保たれている。
自分がやった時との違いを目の当たりにして、初めてテンポ感とはこういうことか、と分かるものだと思います。
練習を続けるのか、オーガナイズを変えるのか、どのタイミングでフリーズを入れるのか。
これはライブの判断なので、生の現場でのフィードバックがないと、なかなか身につかないと思います。
③ 自分の指導を見てもらう機会をつくる
だからこそ、チームの中で2〜3ヶ月に一度でもいいので、指導を見てもらう機会を設ける。
もしくは、武者修行のように外に出て、自分の指導をチェックしてもらう。
月1回でも、2ヶ月に1回でもいいので、そういう場に挑戦していくしかないのかなと思います。
正直、多くの方はやらないと思います。
人に自分の指導を見られるのは、嫌だからです。
経験がないので、怖いと感じるのだと思います。
それでも、そこから逃げずに、指導を見てもらうことが当たり前の文化になってほしいと思っています。
トレーニングをどう進めるか、どのタイミングで変更するか、練習メニューを変える条件は何か。
こうしたことは、書籍にはほとんど書かれていません。
本にできない、伝わらないものだからです。
だからこそ、現場でしか学べない大事な部分だと思います。
まとめ
・練習を止めるか続けるかは、指導者の思惑だけでなく、選手の感情を見て決める
・うまく回っていなくても、選手がもがいて頑張っているなら止めない
・気持ちが切れて集中していないなら、すぐやめる
・現象が出ていなくても、選手が生き生きしているなら、テーマを妥協する
・15分と決めても、飽きたら変える。盛り上がっていたら予定で切らない
・こうした判断は、現場でのフィードバックで身についていく
主体は、小学生であっても中学生であっても、選手です。
褒めた方がいいのか、叱った方がいいのか、のびのびやらせた方がいいのか、あえて放任して待った方がいいのか。
どれを選ぶにしても、選手を観察していないと決まりません。
選手の感情が今どう動いているのかを観察するところから始まる、それが全てではないかと思っています。
この記事では、練習を止めるか続けるかの判断について解説しました。
皆さんの指導現場でも、次の練習で、選手の表情や集中の様子を少しだけ意識して見てみてください。

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