少年サッカー【やる気を引き出す3ステップ】モチベーションの段階

こんにちは。講師のカズです。

サッカーコーチをしていると、子どものやる気に関して悩む指導者の方は多いと思います。

・試合に負けても悔しくなさそう
・練習中にダラダラしている
・どうやったらもっとやる気が出るのか?

不安になっていろいろ調べると、だいたい「褒めるコーチング」とか「選手の気持ちを聞こう」などの答えに行き着きます。

しかし実際に指導現場に立つと上手く行かない…

また、グループの中でサッカーに対する意識が高い子と低い子が混在していたり、同じようなコーチングをしても反応が薄い選手もいます。

僕も過去には上手くやる気を引き出せない事もありましたが、長い指導経験を経て今ではレベルに応じてどのようなコーチングが必要か分かるようになりました。

この記事ではジュニアサッカーコーチがよく陥る、子どものモチベーションのステップを理解せず適切でないコーチングをしてしまうという問題を解決するための具体的な方法について詳しく解説します。

すぐに実践できる内容なので指導現場でぜひ試してみてください。

動画で解説

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1.コーチングのポイントは「今どの段階にいるかを見極める」こと


上の図は子どもがサッカーを始めてから高いレベルを目指すようになるまでのモチベーションのステップのイメージ図です。

大きく2つの段階に分かれます。

1.サッカーが好きになる
2.高いレベルを目指す


注意:この記事ではAを低学年、Bを中学年、Cを高学年と大まかなイメージで解説していますが、実際には個人によって異なります。

これは子どもたちのサッカーに対する動機が現在どこにあるかによってコーチングの内容や選手へのアプローチを変える目安になっています。

詳しく解説します。

①A君:サッカーを始めたばかり

この段階では、まだサッカーを始めたばかりで、友達がいるから、何となくという状態。

ここでのコーチの仕事は、サッカーの練習に行くのが楽しいと感じさせる事。
そして、もっと上手くなりたいという状態に動機を変化させることを目標とします。

そのため、身体を動かすことを楽しませることや褒めるコーチングがメインになります。

現場よりの具体策で言うと以下の感じです。

・コーチといて楽しい
・面白い
・コーチから褒められた

ここでは次も練習に行きたいという気持ちや自己肯定感を高める必要があります。

この段階で、サッカーが上手くなりたければもっと練習しよう!などのコーチングは響かないし苦痛にもなります。

最初は外発的動機づけにより、モチベーションを上げることが大事ですね。

>>参考:【サッカーを始めたばかり】コーチが最初に取組む外発的動機付け

②B君:もっとサッカーがしたい・上手くなりたい

この段階では、もっとサッカーをしたい・もっと上手くなりたいという状態から、次の本格的にサッカーをしたい・サッカー選手になりたいといったステップを目指します。

サッカーにのめり込んで行く段階です。

他の遊びよりも「サッカーをしたい」と思うのもこの段階で、ここが競技としてのサッカーのスタート地点になります。

③C君:具体的な目標あり

この辺りになるとサッカー選手になりたいなどの具体的な目標が生まれます。

そしてここからは、サッカーが好きな気持ちを失わないようにしながらサッカー選手として高いレベルを目指すならといった教育的な要素が増えてきます。

例えば「ライバルに勝つには努力を継続する」こと。

この段階は、A君の段階とは大きく異なります。

子どものサッカーに対するモチベーションの段階が違えば、アプローチの方法を変えるのは当然ですよね。

2.上手く行かない原因はコーチング内容がレベルに合っていない


この図から分かるように、選手に対するアプローチがレベルに合っていない時に、選手には何も伝わらないどころかサッカーが嫌になるきっかけを与えてしまいます。

例えばAの段階にいる子どもに対して、もっと練習しないと上手くならないよと言ったところで、まだそれは必要な声かけではありません。

反対にCの段階にいる子どもに対して、褒めるコーチングだけを繰り返してもコーチの要求レベルが低すぎて必要な刺激を与えられません。

日本のジュニア年代のコーチングの議論では「褒める指導」とか「自主性」、「やる気を出すには〇〇」など漠然といしたものが多く、そもそも「選手の状態」や「どのステップを踏ませるか」といった具体的な方法が見当たりません

僕は選手のモチベーションの段階をよく観察し、それぞれのレベルで選手が必要とする声かけを行なうようにしています。

3.好きになるまでのコーチング

最初は何となく始めたサッカーですが、コーチの仕事はサッカーを大好きにさせることに全力を注ぎます。

そのためのポイントは以下の通り。

・簡単なことでもできたら褒める
・できなくても励ます
・少し頑張ればできることをさせる
・成功体験を積み上げる
・退屈しないように工夫する
・ユーモアを交えて盛り上げる
※ケンカやルールを守らないなどはキチンと注意する

ひたすら選手を楽しませ『次の練習が楽しみ!』という状態を目指します。
ただ、ポイントの最後にあるように規律(ディシプリン)面の教育も忘れてはいけません。

4.好きになった後のコーチング

子どもがサッカーが好きになって「もっと上手くなりたい」と思い始めたら競技としてのサッカーのスタート地点です。

ここからはサッカー的な内容を深く掘り下げていきます。

コーチングも『サッカーが上手くなるには』といったことを諭して行きます。

ただ、この段階に入ったからといっていきなり過度な要求はダメです。

・勝利を目指すことの重要性
・努力を継続しないと上手くならない
・仲間を助けること
 etc.

このような真剣にサッカーに取り組む上での必要なことを積み上げていきます。

ただし焦ってはいけません。

つねに「今一番ベストなアプローチは何か?」を模索しながら「選手の心に響くコーチング」を行います。

時には一つ前の段階に戻ることも必要で、選手の状況に応じて調整を繰り返します。

5.まとめ

ジュニア年代のコーチングに関する議論を見ていると、「確かにそうだけどしっくりこない」「それって全てに当てはまらない」という漠然とした疑問があると思います。

しかし結局のところ、対象となる選手の段階が明確になっていないことがほとんどです。

サッカー指導のリアルな現場では、「サッカーを始めたばかりの子ども」「試合に勝たせたい」「チーム内の選手のやる気がバラバラ」などいろんな問題を含んでいます。

そういった様々なケースや指導者の葛藤を抜きにした、教科書的なものでは指導は上手くいきません。


日々の指導で、コーチングに悩んだ場合はぜひ参考にしてみて下さい!

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