こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代の指導を始めたばかりの頃は、練習メニューを組むことがとても難しく感じられると思います。
本や動画で知識は入ってくるのに、自分の現場でどう組み立てればいいのかが見えてきません。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・練習メニューを自分で作れない、作っても確信が持てない
・いろいろな本や動画を見るほど、何が正しいのか分からなくなる
・毎週の練習が、その場しのぎで終わっている気がする
僕自身、若い頃に少年団で指導していた時期は、全然勝てないし、選手も上手くならないという状態でした。
そこから抜け出すきっかけになったのが、この記事で書く「軸を1つ作ること」と「何をやったかを記録すること」の2つです。
この記事では、練習メニューがまだ作れない、確信が持てないという指導者の方に向けて、僕が30年の現場で一番効いたと感じているこの2つについて解説します。
派手な方法ではありませんが、1年続けると景色が変わると思いますので、最後までご覧ください。
1. 練習メニューが作れないのは、経験の問題です

①3ヶ月後、1年後がまだイメージできない
トレーニングメニューが組めない段階というのは、「こういう風に組み立てると、こういう風になる」「こうすると3ヶ月後にこうなる、1年後にこうなる」というイメージが、まだ自分の中にない状態です。
これは仕方がないことで、経験値と知識の問題がとても大きいと思います。
だから、何をしていいか分からないという感覚は、能力の問題ではありません。
まだ通っていない道が見えないだけです。
②クラブの方向性があるなら、まずそれに合わせる
チームによっては、もともといるコーチの方や代表の方から「このメニューをやってくれ」と言われることがあります。
その場合は、当然クラブの考えに合ったことをやる必要があります。
もしクラブの方向性とは少し違うことをやりたいのであれば、なぜそれをやりたいのかを確認しておくことは必要かと思います。
ここを飛ばすと、メニューの良し悪し以前のところで話がこじれます。
③自由に決めていい時こそ、迷いが生まれる
一方で、「自分で決めていいよ」「ある程度好きにやっていいですよ」と言われるケースも多いと思います。
実は、この自由な状態の方が迷います。
どこから練習メニューを引用してくるのか。
その入口として、僕が一番いいと思っているのが「軸を1つ作る」ことです。
2. まず「この人だ」と決めて、1年やり込む

①軸を作る=いいなと思った系統を、ひたすら真似する
軸を作るとは、自分の指導の中に、まず1つの引き出し、1つの系統を作ることです。
一番分かりやすいのは書籍だと思います。
「この人が出している系統が好きだな」「この本に書いてある指導をやってみたいな」と思うものがあれば、まずそれをやってみる。
そして、そのやり方をある程度、自分のスキルにしてしまいます。
例えば、スペイン系のこの人の考えがいいな、この練習メニュー集の感じがいいな、と思ったとします。
その時に、それをひたすら徹底して1年ぐらいやってみる。
僕自身はそうやってきましたし、これが一番いいかなと思っています。
②守破離の「守」で、自分なりの解釈が見えてくる
これは守破離と同じです。
誰でもいいし、どの出版社でもネットでもいいのですが、「この人たちのやり方がいいな」と思ったら、それをやってみる。真似するということです。
自分なりに解釈が違うこともあるのですが、それでもやってみる。
1年やった、2年やったという中で「何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか」を見ていかないと、指導者として伸びていきません。
やり込んでみると、「この人たちの、ここはめちゃくちゃいい」「ここは自分にはうまくできなかった」「ここは自分の確信に近づいた」というところが見えてきます。
そこで初めて、「次の違うやり方は何かないか」という段階に進めると思います。
③正解探しをすると、だいたいうまくいかない
この段階でやってはいけないのが、「あれもこれも」と手を広げることです。
要は正解探しをしてしまって、「正しい指導の方法があるのではないか」と探し回る状態です。
遠回りをしたくない、早く答えが欲しいという心境になると、だいたいうまくいきません。
これはサッカーの指導以外でも同じで、何かのスキルを得ようとする時に「正解があるはずだ」と思ってしまうのですが、正解はありません。
経験がない段階は、何が良くて何が良くないかというより、自分に何が合っているかがまだ見つからない状態です。
だからこそ、「この人の考えが好きだ」「こういう風になりたい」と思った系統の練習を、ひたすらやってみるのが一番いいかなと思います。
④僕の原点=2003年、代表と一緒にやり込んだ分厚い資料
僕の場合は、若い頃に少年団で指導していて、全然勝てない、選手も上手くならないという時期がありました。
これではダメだと思って、指導の勉強をもっとやろうとした時に出会ったメソッド、考え方があり、「これだ」と思って、当時の代表と一緒にやり込みました。
最近、2003年あたりにエクセルで作った分厚い紙の資料が出てきました。
自分でメニューを起こして、解説も入れて作ったものです。当時は本当にやり込んでいたなと思います。
その結果、県大会の常連になったり、Jリーグの下部組織に勝ったり、市で100何十チームある中で優勝できたりした時代がありました。
そしてその時に、その年の全国4位だったJクラブの6年生と練習試合をさせてもらい、「全然サッカーの質が違う」と感じたところから、僕は戦術やスペインの系統へ進んでいきました。
軸が1つできたからこそ、次の軸が見えたということです。

3. 軸が1つできたら、次の軸を取り入れる

①ずっと同じやり方は、危険だと感じています
1つ軸ができると、次に新しい軸やスタイルを取り入れていくことで、引き出しが増えていきます。
逆に、ずっと同じやり方を続けることは、僕は結構危険かなと思っています。
これは僕の好みもありますが、僕自身は毎年同じことをやるということができないタイプです。
プレイモデルは当然毎年変わるべきですが、練習のやり方、シーズンの作り方、フォーメーションなども毎年変化させてきました。
②毎年変える中で、指導の幅と深さが養われる
毎年変化させていくことで、自分自身の学びがあります。
「もっとこうしたらいいのではないか」と考えたり、時には大胆に変えてみたりする。
そうしていくことで、指導の幅と深さが養われていきます。
まさにサッカーのプレイと同じで、幅と深さの両方が必要だと、30年やってきて感じています。
③指導者の学びには上限がない
サッカー指導者が学ぶことは、めちゃくちゃ多いと思います。
学ばなくても、ピッチで子どもの前に立てばコーチにはなれます。ただ、コーチの質や持っているものは、やはり知識と経験で決まってきます。
そして知識と経験には上限がありません。
トレーニングの話から、戦術、心理学、マネジメント、僕が言うような複雑系まで、学ぼうと思えばどこまでも学べますし、学ばないと決めれば学ばないこともできます。
経験も同じで、「ジュニアの4、5、6年生しかやらない」と決めればそれまでです。
僕のようにキンダー、低学年、中学、高校、海外、他のスクールと広げていけば、経験の引き出しは際限なく増えていきます。それが現場の子どもたちに還元されると思っているので、指導者は学びをやめてはいけないと思っています。
4. 何の練習をやったかだけは、絶対に残す

①グラフィックはいらない。タイトルと内容だけでいい
ここから、めちゃくちゃ大事な話をします。
練習メニューを自分で作れる人は、実はそれほど多くありません。作るのが苦手という方も多いと思います。
最悪、練習メニューを作るのが大変だとしても、これだけは絶対にやった方がいいということがあります。
それは、何の練習メニューをやったかをストックすることです。
図やアニメーションは要りません。
「この日は4対2のロンドを何分やった」というタイトルと内容だけでいいので、1日のセッションを残していく。図は後で作れば十分です。
②戻せない時間の記録が、1年後、3年後の財産になる
僕自身、この10年ぐらいは記録を残していますが、それ以前はやっていませんでした。
若い頃は、そんな発想もありませんでした。
皆さんも指導現場に立って、時間を使って、子どもたちも同じ時間を共有しています。
自分たちが何をやってきたかを残しておく。精度は低くてもいいので、「だいたいこういうことをやった」だけでも残す。
これが1年、3年経った時に、指導者自身だけでなく、選手にとっても、クラブにとっても財産になります。
逆に、記録を取っていなければ、もう戻せません。
③マッチレポートも、単純なものでいい
試合のマッチレポートも同じです。
誰が何分出たと書くのは大変ですが、本当に単純なものだけでも残した方がいいと思います。
普段練習して、週末に試合をして、1週間の中でものすごい時間を使っているのに、その記録が残っていないのはもったいないと感じます。
僕も18歳でキャリアを始めてから30年、それが全部残っていたらものすごいことだったなと思いますし、もっと若い時からやっておけばよかったと正直に思います。

5. だいたい、やらないです。だからこそ差がつく

①知識を入れて、現場に立つ。その「間」がすっ飛んでいる
正直に言うと、こういう話をしても、だいたいの人はやりません。
「練習メニューをストックしましょう」「セッションを残しましょう」「マッチレポートをつけましょう」と言っても、少年団でもクラブチームでも、ほとんどやっていないと思います。
多くの人がやらずに、また現場で悩みます。
「練習どうしよう」「選手が上手くならない」と、また正解探しの旅に出てしまいます。
答えは現場にあります。
理論は知識として外から入ってきますが、その答えを自分の手で掴みに行く、生々しい経験や自分の言語化を得るには、現場に絡む作業が必要です。ここをやらなすぎだと感じています。
本を読んで、「欧州ではこう言っている」「スペインではこうらしい」と知識を入れることは悪くありません。
ただ、現場に立った時に手ぶらになっている。現場のフィードバックがない、トレーニングのレポートがない、週間のプランニングがない。知識と現場の間がすっ飛んでいる状態です。
②知識→言語化→成果物→現場→フィードバック→ストック
成長のために重要なのは、この一連の流れだと思っています。
知識を入れる。言語化する。何か成果物を作る。現場でやってみる。それをフィードバックする。それをストックする。
学んでいるのに現場がうまくいかないというケースは、この流れのどこかを飛ばしていることが多いと感じます。
知識を入れる部分はとても大事ですが、現場で汗をかく、手を動かす部分をやらないと無理だということです。
例えば、自分の中で言語化する、クラブのホームページやブログに自分の指導の哲学を書く、練習メニューを組み立てて残す。
試合の結果だけでなく、フォーメーションはどうだったか、何分に誰を交代して、なぜそう判断したのかを残す。
僕も昔は、試合前のミーティングで何を話してどう持っていったかを全部記録して、結果どうだったかを振り返っていました。
③やった人だけが見える世界がある
作業としては大変です。
試合が終わった後の30分や1時間は、なかなか取れないかもしれません。
ただ、それをやるかやらないかだけで、1年後には分かります。
1年前の自分とどれだけ差がついているか、絶対に分かると思います。
やれば分かるし、やった人だけが見える世界があります。
これはスペイン留学とも同じで、行ったからこそ見える世界がありました。練習メニューを作ってストックする、マッチレポートを書く、プレイモデルを作って残す。やる人はだいたいいないからこそ、やった人に価値が出てくると思っています。

まとめ
・練習メニューが作れないのは経験の問題で、能力の問題ではない
・まず「この人だ」と決めて、1年ひたすら真似してやり込む(守破離の守)
・正解探しで手を広げると、だいたいうまくいかない
・軸が1つできたら、次の軸を取り入れて幅と深さを広げる
・何の練習をやったかだけは、図なしでもいいから絶対に残す
・知識→言語化→成果物→現場→フィードバック→ストックの流れを飛ばさない
この記事では、練習メニューがまだ作れない、確信が持てない指導者の方に向けて、軸を1つ作ることと記録を残すことの2つについて解説しました。
派手な方法ではありませんが、1年続けた人だけが見える世界があると思います。皆さんの指導現場でも、試してみてください!
僕が作った無料アプリでは、練習メニューを図やアニメーションで作れるだけでなく、その日に何の練習をしたかを「セッション」として残していけます。
図を作る余裕がない日は、タイトルと内容だけ残しておくこともできます。
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