少年サッカー【伸びる子と伸びない子の違い】自分で取り組む力

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代の指導を長く続けていると、伸びる子と伸びない子の違いについて考える場面がよくあります。

小学生の時に上手かった子がその後伸びなかったり、目立たなかった子が中学・高校で逆転したり。
僕自身、指導を始めて30年を超えましたが、この違いはとても大事なテーマだと感じています。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・伸びる子と伸びない子は、何が違うのか知りたい
・上手くさせるために、練習や自主練をやらせた方がいいのか迷う
・「コーチに聞きなさい」と子どもに言っているが、それで良いのか分からない

この記事では、僕が現場で考えている「伸びる子と伸びない子の違い」と、その背景にある内発的動機づけと自己決定論、そして指導者にできることを解説します。
保護者の方の参考にもなる内容だと思いますので、最後までご覧ください。

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1. 伸びる・伸びないは「周りとの比較」ではない

① その子のスタート地点から、どれだけ伸びたか

まず、伸びる・伸びないという評価は、相対的な評価ではないと僕は思っています。
誰々と比べてどうだとか、どっちが上手いとかではありません。

周りと比べれば、県トレやナショトレ、地区のトレセンに入ったとか、全日(全日本少年サッカー大会)や県大会に出たとか、いろいろあります。
ただ、それは相対的に比べた時の話です。

大事なのは絶対値で見た時に、その子がサッカーを始めたころからどれだけ伸びたか。
ある程度伸びた後に、1年経ってどれだけ伸びたか。
その子のスタート地点があって、そこからの伸びで評価する見方が大事かなと思っています。

② 小学生で上手かった子が伸びず、目立たなかった子が逆転する

指導歴の長い方なら分かると思いますが、小学校の時にすごく上手くて、トレセンにも入っていたのに、その後伸びなかった子はたくさんいます。
逆もしかりです。
小学生の時は全然目立たなかったのに、中学・高校でメキメキと技術を伸ばして、逆転していった選手もたくさんいます。

指導者は毎年こういうことを繰り返しているので、今の段階で一喜一憂しても仕方がないことは分かっています。
保護者の方にとっては初めての体験なので、一喜一憂するのは自然なことかなと思います。

③ 決定的な違いは「自分で取り組めるかどうか」

では、30年超えてやってきて、どういう子が伸びるのか。
答えはシンプルで、好きで、真面目に取り組んでいるかどうかだと思います。

もう少し言うと、まずサッカーが好きで、自分で考えることができて、自分でチャレンジすることができるか。
ごく当たり前の話になりますが、伸びる子と伸びない子の決定的な違いは、自分で取り組めるかどうかです。

2. なぜ「やらせる」と伸びないのか

① ルールやモラルは「ダメなものはダメ」

僕は小学生でも中学生でも、サッカーに取り組む姿勢そのものを「やらせる」ことは、あまりしません。

もちろん、規律の面や片付けのように、やらなくてはいけないことはやらせます。
ルールやモラル、規律といった道徳的なものは、無理やりでもやらせないといけないと思っています。
これは好きか嫌いかの話ではなく、ダメなものはダメ、やるべきことはやる、ということです。

② サッカーを一生懸命やるかは、本人の自由意志

一方で、サッカーは人生において、ちゃんとやらなくてもいいものです。
社会のルールを守る、人を思いやる、といったことは絶対にやらないとダメですが、サッカーを一生懸命やるかどうかは、バレエやダンスと同じように本人の自由意志だと思っています。

だから、サッカーを上手くさせるために、あれもこれもやらせないといけない、とは僕はあまり思いません。
やりたくない、苦痛に感じている状態でやらせても上手くならないし、サッカーそのものが嫌いになってしまいます。

子どもたちがサッカーを好きで上手くなりたいと思っているのに、無理やり何かをやらせて嫌いにさせてしまう。
これは本末転倒で、指導者として一番やってはいけないことだと思っています。

僕自身、高校までサッカーをしていましたが、「真面目にやれ」と言われたことはありません。
好きで上手くなりたいから、一生懸命頑張るのは当たり前、という考えでした。
逆に高校の時は、練習があまりにも長くてきつくて、面白くないと思って辞めた口でもあります。

③ 外発的動機づけ=報酬と罰

やらされる状態は、外発的動機づけに近いものです。
外発的動機づけとは、簡単に言うと報酬と罰です。
報酬をもらえるから頑張る、罰を受けたくないから頑張る、という外側からの力による動機づけです。

例えば「試合に負けたら罰走」。
これは完全に罰です。
試合で頑張る理由が、自分がもっと上手くなりたいからではなく、負けたら走らされるのが嫌だから、になってしまいます。

報酬も同じで、「ゴールを決めたらゲームを買ってあげる」を続けると、報酬のためにやる状態になります。
サッカーを始めたばかりの初期の段階なら、物で釣るのも悪いことではありません。
ただ、それをずっと続けるのは違うかなと思います。

④ 内発的動機づけが芽生えると、自走する

大事なのは内発的動機づけです。
選手が自分の内側から起こるモチベーションで、何かを成し遂げようとする状態です。

内発的動機づけが芽生えると、子どもは自走します。
自分で勝手にやっていくようになります。
だからこそ僕は、自ら進んで意欲的に、真面目に取り組むメンタリティに持っていくことが、とても大切かと思っています。

3. 「どうしたらいいですか」と聞く子は伸びるのか

① 「君はどう思うの?」と返す理由

「どうやったらもっと上手くなりますか、教えてください」という選手は、僕は伸びないと思っています。

中学生で「僕、どうしたらいいですか」と聞いてくる子には、「君はどう思うの?」といつも聞き返します。
そこで「いやー」となったら、「自分で何が分かっていて、何が分かっていないかが分からなかったら、コーチも何も分からないよ」と話して、結構突き放します。

「僕はこう思って、こうなんだけど、どうですかね」という質問なら分かります。
「僕はこう思いました」「僕はこうです」と言える子は伸びると思います。

② 「コーチに聞きなさい」は自立ではない

「コーチ、こういう時はどうしたらいいですか」と聞いてくると、真面目でやる気がある子だな、と一瞬思うかもしれません。
保護者の方にも「コーチに聞きなさい」と言う方は結構いらっしゃいます。

ただ、僕はこのスタンスは間違っていると思っています。
うまくいかないことを「コーチに聞いてみなさい」というのは、自立ではありません。
他責にほぼ近いものです。

それよりも先に、自分ではどう思うか。
聞くだけの思考回路が身につくと、自分でできない状態になっていき、伸びないと思っています。

③ プロになった選手は「ある日から親が何も言わなくなった」

先日、プロ選手200人ほどにインタビューをしてきた方から、インタビューを受ける機会がありました。

その方の話では、プロになった選手は、小学校の時は親にいろいろ言われていたけれど、中学に上がるぐらいで、ある時からピタッと何も言われなくなった。
その日をめちゃくちゃ覚えている、という話でした。

しかも、言われていたのは、サッカーのことではなかったと思います。
コーチの話をちゃんと聞きなさい、仲間を思いやりなさい、時間を守りなさい、試合の前の日は早く寝なさい。
プレイに関してああだこうだは、多分あまり言われていないと思います。

ここがとても大事だと思っています。
上手くなりたい、どうやって上手くなるかな、と頭が働いているうちは、子どもは自分で考えます。
自分で考える力があるから、自分で解決する能力が育つ。

時間はかかりますが、自分でやってみる、PDCAのようなサイクルを子どもたちは勝手に回していきます。

4. 指導者にできること=仕向けて、待つ

① 自己決定論=自分の行動を自分でコントロールしている感覚

人は、他人に自分の行動を規定されるのが嫌な生き物です。
ああしろこうしろと言われるのは嫌なものです。

心理学には、自己決定論という考え方があります。
自分の行動を、自分がコントロールしているという感覚のことです。
この感覚から、自己肯定感や自己効力感が高まっていく仕組みだと思っています。

逆に、自分の行動を誰かにコントロールされている感覚は、とても良くありません。
自分で決めることができなくなり、うまくいかないのは誰々のせい、と他責になっていきます。

② 好きだからこそ、自分に課すことができる

誤解してほしくないのは、好きだから、楽しいからやる、というのは、嫌なことを避けていい話ではない、ということです。

好きで、自分が上手くなりたいと思っているからこそ、自分自身にいろいろなものを課すことができます。
だから伸びる。
それが人に課されると、嫌になります。

周りがあれこれ言い続けると、どこかで折れたり、苦しい時に踏ん張りが効かなくなったりするのではないかと、僕は思っています。

③ 自主練も「やりなさい」ではなく、自らやるように

自主練も同じです。
「自主練をやりなさい」と言ってやらせるのは、自己決定の点で違うと思います。

どうやったら、子どもたちが休みの日も自分からボールを蹴るようになるか。
その持っていき方、環境づくりやメンタルづくりが大事かなと思います。

時間はかかりますし、うまくはまらない選手もいます。
みんながみんな、好きな状態から真面目に取り組み、継続していけるわけではありません。
それはある種の個性なので、仕方がないことです。

④ 簡単に答えを与えないのは、厳しさであり優しさ

中学生ぐらいになると、サッカーは好きだけど真面目に取り組まない子もいます。
その子に強制することでもないと思っています。
それは自分で選んでいることだからです。

なるべく真面目に取り組めるように仕向けます。
それでも最後は、その選手自身の責任で、どう取り組むかが決まってきます。

だからこそ、指導者には我慢と忍耐で待つ作業が必要です。
簡単に答えを与えないのは一種の厳しさで、裏を返せば優しさでもあります。
教えることだけでなく、教えないこと、あえて待つこと、あえて指導しないこと。

そうした逆説的なスキルも、指導者には大切かと思います。

まとめ

・伸びる・伸びないは周りとの比較ではなく、その子がどれだけ伸びたかで見る
・決定的な違いは、サッカーが好きで、自分で考えて、自分で取り組めるかどうか
・ルールやモラルはやらせるが、サッカーへの取り組み方は本人の自由意志
・報酬と罰(外発的動機づけ)より、内側から湧く内発的動機づけが自走を生む
・「どうしたらいいですか」より「僕はこう思う」が言える子が伸びる
・指導者は仕向けて、待つ。簡単に答えを与えないのは厳しさであり優しさ

この記事では、伸びる子と伸びない子の違いについて解説しました。
すぐに結果が出る話ではありませんが、子どもたちが自分で決めて、自分で取り組める環境を少しずつ作っていけたらと思います。
皆さんの指導現場でも、ぜひ「君はどう思う?」から試してみてください。

自主練と伸びる子の関係については、こちらの記事でも書いています。

自己決定感について、もう少し詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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