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ジュニアサッカー【中級者】指導者向け:トレーニングの実践ガイド

この記事は、レベル別トレーニング指導ガイドの【中級者向け】です。 基本的なトレーニング技術を身につけた指導者が、トレーニング理論の実践について深く学び、より効果的な指導を実現するための方法を詳しく解説しています。

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導では、トレーニング理論の理解と実践がとても重要です。

しかし、「教授法の使い分けがよく分からない」「認知・判断力を向上させる練習方法が分からない」と悩む指導者の方も多いのではないでしょうか。

僕自身、基本的なトレーニング技術は身につけていても、より深いレベルでのトレーニング理論については長い間試行錯誤していました。

単純な技術練習から、より複雑で効果的な練習へと発展させることの難しさを感じることがありました。

・ドリルとグローバルトレーニングの使い分けが分からない
・選手の認知・判断力を向上させる具体的な方法が分からない
・練習効果を高める工夫が思いつかない

この記事では、教授法の理解と使い分けから、認知・判断力向上の指導方法、練習効果を高める様々な工夫まで詳しく解説します。

この記事を読めば、トレーニング理論を実践に活かす技術を身につけることができ、選手の成長をより効果的に促せるようになると思いますので、最後までご覧ください。

Content

1. トレーニング・メソッド(教授法)をマスターする

①3つの基本的教授法の理解

サッカーのトレーニングには、主に3つの教授法があります。

ドリルトレーニング(アナリティコ)
・特定の技術を反復練習する方法
・環境を単純化して技術習得に集中
・正確性と安定性の向上が目的
・基礎技術の定着に効果的

グローバルトレーニング
・技術と戦術を同時に練習する方法
・実戦に近い環境での練習
・判断を伴う技術の習得
・総合的な能力向上が目的

システミコ(ゲームモデルに基づく)
・チームの戦術システムに特化した練習
・ゲームモデルの実現を目指す
・高度な戦術理解が必要
・チーム戦術の統一が目的

それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが重要です。

②ドリルトレーニングの正しい活用法

ドリルトレーニングは基礎的な方法に見えますが、実は奥が深い教授法です。

ドリルの効果的な活用場面(例)
・新しい技術の習得時
・技術の精度向上が必要な時
・基本に戻って確認したい時

ドリル指導のポイント
・理想的な技術モデルの提示
・段階的な難易度設定
・十分な反復回数の確保
・個別の技術修正

ドリルの限界と注意点
・実戦では使えない可能性
・判断力の向上には限界
・単調になりがちな問題
・動機づけの維持が困難

どんなトレーニング方法にも一長一短がありますが、ドリルトレーニングを軽視せず、適切に活用することで大きな効果を得られます。

③グローバルトレーニングの実践

グローバルトレーニングは、技術と戦術を同時に向上させる効果的な方法です。

グローバルの基本原則
・実戦に近い環境設定
・判断を伴う技術練習
・複数の要素の同時向上
・選手の創造性の発揮

効果的なグローバルトレーニング
・明確な戦術的テーマ設定
・適切な人数とスペース
・段階的な複雑化
・選手の理解度に応じた調整

グローバル指導の難しさ
・多くの要素を同時に見る必要
・個別技術の修正が困難
・指導者の高い戦術理解が必要
・選手のレベル差への対応

グローバルトレーニングを効果的に行うには、指導者の高いスキルが求められます。

③システミコ(ゲームモデル)の実践

グローバルトレーニングに似た教授法として、システミコがあります。
違いは、プレーモデルを含むか含まないか、という認識でOKです。

システミコの基本概念
・チームの理想的なプレーモデル
・ゲーム状況に基づく練習
・システム全体の連動性

ジュニア年代での実践方法
・簡単なゲームモデルから始める
・部分的なシステムの練習
・段階的な複雑化

システミコ実践の注意点
・選手のレベルを考慮
・過度に複雑にしない
・細かくパターン化させない

ちなみに、僕は小・中学生年代の指導においてほとんどシステミコは行いません。

2. 認知・判断力向上の指導法を実践する

①認知能力を向上させるトレーニング設計

サッカーにおける認知能力は、選手の成長に大きく影響します。

認知能力向上の3つのアプローチ

アプローチ1:情報量の段階的増加
・最初は少ない情報から始める
・徐々に判断要素を増やす
・選手の処理能力に応じた調整

アプローチ2:時間的プレッシャーの調整
・最初は十分な時間を与える
・徐々に判断時間を短縮
・実戦的なスピードへの適応

アプローチ3:状況の多様化
・様々なシチュエーションの経験
・予期しない状況への対応
・創造的な解決方法の促進

これらのアプローチを組み合わせることで、認知能力を効果的に向上させられます。

②プレーの判断力の育成方法

状況判断に関する知識については下記の記事を参考にどうぞ。

③タッチ制限の効果的な活用

タッチ制限は、認知・判断力向上の有効な手段の一つです。

タッチ制限のメリット
・判断スピードの向上
・周りを見る習慣の定着
・プレーの効率化

タッチ制限のデメリット
・技術習得の阻害
・創造性の制限
・ストレスの増加
・個人差への対応困難

効果的なタッチ制限の使い方
・選手のレベルに応じた設定
・練習目的の明確化
・段階的な制限の調整
・柔軟な運用

タッチ制限は万能ではありませんが、適切に使えば大きな効果があります。

3. 練習効果を高める工夫を身につける

①コートサイズと練習効果の関係

練習効果は、コートサイズの設定によって大きく変わります。

コートサイズが練習に与える影響(例)

狭いコートの効果
・判断スピードの向上
・技術の精度向上
・激しい競り合いの経験
・集中力の向上

広いコートの効果
・スペースの活用能力向上
・長いパスの精度向上
・体力的な負荷の増加
・戦術的な視野の拡大

適切なサイズ設定の基準
・練習の目的に応じた設定
・選手の人数とレベル
・年代による調整
・段階的なサイズ変更

同じ練習メニューでも、コートサイズを変えるだけで全く違う効果が得られます。

②少人数でも効果的な戦術練習

人数が少なくても、工夫次第で効果的な戦術練習ができます。

フラクタル理論の活用
・全体の戦術を小さな単位で練習
・2〜3人のユニットでの戦術練習
・部分から全体への発展

少人数練習の具体例
・2対1での数的優位の作り方
・3対2での崩しのパターン
・4対3でのポゼッション
・少人数でのプレッシング

少人数練習のメリット
・全員が多くボールに触れる
・個人の責任が明確
・戦術理解が深まりやすい
・指導者の目が行き届く

人数に関係なく、質の高い戦術練習が可能です。

③練習と試合のギャップを埋める方法

「練習ではうまくいくのに、試合では全く通用しない」という問題の解決法です。

ギャップが生じる5つの原因

原因1:練習環境が単純すぎる
改善策:段階的に実戦に近い環境を作る

原因2:プレッシャーが不足している
改善策:時間制限や競争要素を導入する

原因3:判断要素が少なすぎる
改善策:複数の選択肢がある状況を作る

原因4:個人技術が不安定
改善策:基礎技術の反復練習を並行する

原因5:心理的準備が不足
改善策:試合を想定したメンタル準備

これらの原因を一つずつ解決することで、練習と試合のギャップを埋められます。

4. 高度なトレーニング技術を習得する

①練習テーマの固執から脱却する

多くの指導者が陥りがちな「練習テーマへの固執」について解説します。

テーマ固執の問題点
・選手の自然な成長を阻害
・創造性の抑制
・機械的なプレーの増加
・サッカーの楽しさの減少

バランスの取れたアプローチ
・テーマを設定しつつも柔軟性を保つ
・選手の自発的な成長を尊重
・創発的な学習の促進
・楽しさと学習の両立

自己組織化を促す指導
・選手が自分で気づく環境作り
・最小限の介入で最大の効果
・選手同士の学び合いの促進
・指導者は環境設定に専念

選手が「勝手に上手くなる」環境を作ることも重要です。

②インテンシティ(プレー強度)の理解と調整

インテンシティの理解は、効果的なトレーニングに不可欠です。

インテンシティとは?
・プレーの強度や激しさ
・身体的強度と戦術的強度の両面
・実戦に近いプレッシャー

インテンシティに影響する要因
・戦術的な思考の負荷
・時間的なプレッシャー
・練習環境の設定

インテンシティの調整方法
・コートサイズの変更
・人数の調整
・時間制限の設定
・ルールの工夫

適切なインテンシティを保つことで、実戦的な練習ができますね。

5. まとめ

この記事では、トレーニング理論の実践について解説しました。

・3つの教授法を理解し適切に使い分ける
・認知・判断力向上の体系的な指導法を実践する
・コートサイズや環境設定で練習効果を最大化する
・高度なトレーニング技術で選手の自然な成長を促す

学習のポイント

このレベルで重要なのは、以下の4つのポイントです。

トレーニング理論の実践

・教授法理解:ドリル・グローバル・システミコの使い分け
・認知向上:段階的な認知・判断力育成システム
・効果最大化:環境設定と状況対応による練習改善
・高度技術:固執からの脱却と自己組織化の促進

6. 理解度チェック

以下の質問に答えられるか確認してみましょう。

・3つの教授法の特徴と使い分けができますか?
・認知・判断力を向上させる段階的指導ができますか?
・コートサイズが練習効果に与える影響を理解していますか?
・練習と試合のギャップを埋める方法を知っていますか?
・インテンシティの概念と調整方法を理解していますか?
・選手の自然な成長を促す環境作りができますか?

すべて答えられたら、次のレベルに進む準備ができています。(たぶん…)

トレーニング理論の実践は、指導者としての大きな成長段階です。

理論と実践を結びつけて、より効果的で深みのある指導を目指してください!

7. 学習ステップ

推奨学習順序

・超初級者レベル:基本概念の理解
・初級者レベル:基本的なトレーニング技術の習得
・中級レベル:トレーニング理論の実践(←今ここ)
・上級レベル:計画的で体系的なトレーニング

トレーニング理論を実践できるようになったら、次は長期的な計画策定や体系的なトレーニング設計について学習することをおすすめします。

より高度で組織的なトレーニング運営について理解を深めていきましょう。

次のステップ

✅ [ジュニアサッカー【上級者】指導者向け:トレーニングの応用ガイド]

計画的で体系的なトレーニングについて学習しましょう。

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📙 [ジュニアサッカー【初級者】指導者向け:トレーニングの基礎実践ガイド]

基本的なトレーニング技術をもう一度確認したい方はこちら。

📗 [ジュニアサッカー【超初級者】指導者向け:トレーニングの基礎理解ガイド]

トレーニングの基本概念をもう一度確認したい方はこちら。

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