【練習では上手いが試合でできない】少年サッカー・練習のポイント


こんにちは。講師のカズです。

ジュニア年代の指導をしていると、練習では上手くできるのに試合になると良いプレーができないという現象があります。

当然、対戦相手との力の差も関係するのですが、想定しているようなプレーができず、練習の成果が感じられない事も。

このような場合コーチとして原因がつかめず、選手の力不足のように感じてしまいますが、実は普段の練習に問題があるケースがあります。

試合で上手くいかないなと感じたら、この記事の中に指導のヒントがあると思いますのでぜひ読んでみてください。

では解説します。

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では解説します。

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1.練習では上手いが試合でできない原因

①そもそも成功する設定になっている


練習の設定がそもそも上手くプレーできる設定になっていると試合では上手く行きません。

なぜなら試合は基本的には同数ですし、相手もこちらのやりたい事を妨害しようとするからです。

例えば練習ではなるべく成功体験を増やしたいという思いや、コーチが期待するような動きを出やすくするために数的優位な状況で行うことがあります。

✔︎例えば5対3のポゼッション。 攻撃の人数が多く守備側は不利な状態です。

このような練習の場合、基本的にはボールは回り攻撃が上手くできているように見えます。

しかし実際の試合では数的優位な状況は局所的には起こりますが、8対8の同数なのでボールを保持する難易度は高くなります。

✔︎その他にも例えば壁パスの例。

方向がないポゼッション形式の中で壁パス(ワンツー)を意識した練習を行った場合、攻撃側からすると進むべき方向がないので壁パスが成功しやすくなります。

当然守備側は相手がどちらに進むか分からないのでボールを奪いにくくなります。

このケースでも練習では上手くできる原因がそもそもの設定で用意されている状態です。

このように考えると数的優位な練習や方向性がない練習では上手くならないと感じるかもしれませんが実際はそうではありません。

新しい事に取り組む時には最初は出来るだけ成功させる事で感覚をつかませ、その後に難易度を上げて行って難しい状況でも上手くプレーできるようにする必要があります。

つまりすでに上手くプレーできるのに成功しやすい設定ばかりで練習を行うと、試合で問題が生じるという事です。

②試合より練習のインテンシティが低い


練習のインテンシティが低いと、練習では上手くできますが試合で全く通用しないという事が起きます。

なぜなら対戦相手と自チームの力の差にもよりますが、基本的にインテンシティが一番高いのは試合だからです。

例えば1対1の状況でも、試合では相手選手は全力でボールを奪いに来ます。

そのような想定をせずに、ゆるいプレッシャーの中でドリブルの練習をしても試合では通用しません

先のボールポゼッションの練習も同じで、数的優位な状況だと攻撃側はゆるいプレッシャーの中でプレーする事になります。

また、練習中のコーチングの仕方によってもインテンシティは高くなったり低くなったりするので指導者の技量も重要になります。

練習の中でいかに試合と同じようなインテンシティを確保するかが重要なポイントです。

③いつも同じ練習を行なっている

いつも同じ練習を行うとその練習自体は上手くなります。

しかし実際の試合では似たような状況は起こるにしても全く同じ状況は起こりません。

似たような状況でも選手のポジショニングや敵の位置、パスを受ける体勢やボールの速さなど細かな点を考えると、全く同じ状況は起こりません。

つまり常に異なる状況の中で調整する力が必要になります。

僕自身も過去に失敗したことがありますが2人組のコンビネーションをコンセプトにした練習を同じ形で繰り返していました。

そうすると練習ではどんどん上手くなるのですが、試合でなかなか現象が出ない。

その後2人組のコンビネーションのコンセプトを変えずに3対2と別の形で練習を行うと、先に練習していたコンビネーションの良さが発揮されませんでした。

まさに練習が上手くなっただけで、コンビネーションが上手くなったとは言えない状況。

つまり同じコンセプトを違う形の練習で行う事で、状況に応じた調整力が身につきます。

④動きがパターン化されている

先の同じ練習を行うと似ているのですが、決まったパターンの練習を繰り返すと試合で上手く行かない原因になります。

パターンとして練習すると試合でそれを封じられた時に別のアイデアを引き出しにくくなるからです。

例えばシャドウトレーニングでサイドチェンジから縦へ突破、クロスを上げてシュートを行い、そのパターンを試合でやろうとした時、上手くハマれば良いのですが、ハマらないと上手く行っていない事を繰り返す事になります。

もちろん、シャドウトレーニングやパターン練習にはメリットがあります。それが悪いという訳ではなく、それをいつ何のために行うかが重要です。

⑤ミスした時の対処法が提示されていない

ミスをした時の対処法を提示しないと、ミスが出たら全て上手く行かないという心理になってしまいます。
例えば、ファーストタッチ。

練習や試合で選手に意識させる事は多いと思いますがそれをミスした時にどうするのか、といった対処法までを含めて練習する必要があります。

もちろん練習ではミスをしてほしくない部分を指摘すると思います。

しかし試合中にそのミスの指摘をしてもプレーは良い方向へ進みません。

できるだけミスを減らすようにコーチングしながらもミスをした時の対処法を提示する事で選手の心理的負担は下がります。

2.練習のポイント

練習で注意すべきポイントは基本的には先の5つですが、指導者として押さえておくべき重要なポイントを解説します。

①常に試合を想定する

重要なのは練習で上手くできているかではなく、試合でできているかにフォーカスする事です。

なぜならM-T-M(マッチ-トレーニング-マッチ)という言葉があるように、練習は全て試合のためのものであるし、評価は試合でのパフォーマンスだからです。

そのため実際に試合で想定される事や実現可能なテーマ設定、インテンシティなどを練習に組み込み必要があります。

試合から問題点を抽出しそれを改善するメニューを考える。

この時に取り組みたいコンセプトやテーマが現実的な試合から遠ざかると、練習のための練習になってしまいます。

練習は常に試合を想定しましょう。

②成果が出る時期が違う事を理解する

そうは言っても育成年代だとすぐに試合に直結しない、時間がかかるものがあります。

テクニックスキルなどはすぐに成果が出るわけではなく、戦術的なコンセプトでも時間が多くかかるものがあります。

そのため取り組んでいる事が全て直近の試合で成果が出るわけではありません

1週間の練習で改善できるものもあれば1ヶ月のもの、3ヶ月かかるものなど実に様々です。

週末の試合に目を向けることも重要ですが、焦らない姿勢も指導者にとっては大事です。

③短期・中期でプランニングを振り返る

練習を進めていく上では必ず短期・中期でプランニングして振り返る必要があります。

練習で取り組んでいることの成果が試合で出ているのか必ずチェックします。

ここで1年以上の長期スパンで考えないのには理由があります。

なぜなら2年後とか将来といった長いスパンで考えると、現在との距離が長すぎて現在の練習とその成果との因果関係が見えないからです。

長期的なスパンで考えることも大事ですが、それは現在と近い将来の積み上げの先にあるものなので、まずは短期・中期でプランニングと検証を行いましょう。

以上、練習では上手いが試合でできない理由と練習のポイントについて解説しました。

皆さんの指導の参考になれば幸いです!

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