少年サッカー【戦術指導】何から教えるべきか?結論:戦術コンセプト

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代の指導をしていると『どんな戦術を子どもたちに教えればいいのかわからない』『年齢に応じた戦術指導の方法が知りたい』と悩む指導者の方は多いと思います。

僕自身も過去に同じような悩みを抱えていました。
しかし、スペイン留学経験と日本での長い指導経験での学びを通じて、ジュニア年代で指導すべき戦術のポイントが見えてきました。

この記事では、ジュニア年代の戦術指導で重要な部分とその具体的な指導方法を解説します。
また、プレーモデルとの関係や戦術用語の整理の仕方についても触れていきます。

この記事を読めば、ジュニア年代でどんな戦術を教えればいいのかという疑問が解消され、指導の方向性が明確になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

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1.結論【ジュニア年代では戦術コンセプトを重視する】

最初にいきなり結論ですが、ジュニア年代(ジュニアユースも)では、戦術コンセプトを広く指導すことが望ましいと思います。

僕も基本的に、ジュニア年代ではそのように指導しています。

① 戦術コンセプトとは何か

戦術コンセプトとは、どんなサッカースタイルやフォーメーションであっても、共通して必要になる普遍的な戦術のことです。

攻撃と守備に分けると、以下のようなものがあります。

◾️攻撃の戦術コンセプト
サポート
マークを外す動き
スペースの活用(作る・使う・埋める)
フィハール(ひきつける)
・エントレリネアス(ライン間)
攻撃の警戒
・壁パス
・オーバーラップ
・3人目の動き
・サイドチェンジ

◾️守備の戦術コンセプト
マーク
守備の警戒
予測
・インターセプト
敵の攻撃を遅らせる(ディレイ)
カバーリング
・ペルムータ(カバーリングのカバー・ポジションの交換)
スライド
・プレッシング
・レプリエゲ(後退)

僕がスペイン留学で学んだ際、これらの基本的な考え方を戦術コンセプトとして整理していました。

②戦術コンセプトの普遍性

どんなプレーモデル、サッカースタイルを採用しても、これらの戦術コンセプトの理解は必要になります。

そのため、ジュニア年代では特定のスタイルを優先するのではなく、どんなサッカーにも通用する戦術コンセプトを指導すべきだと僕は考えています。

③戦術コンセプトは他にもある?

今後、時間を経てサッカーが進化するにつれて、これらの項目が増えたり減ったりするかもしれません。
『減ったり、増えたりするなら普遍的ではない!』と突っ込みたくなりますが、まあそういうものだと理解しておけば大浄化と思います。

2.ジュニア年代における戦術指導のポイント

①様々な戦術コンセプトをトレーニングする

戦術コンセプトのトレーニングとは、どんなプレーモデルにも適用できる普遍的な戦術を学ぶことであると考えることができます。

例えば、 プレッシング重視のサッカーやしっかりとブロックを引いて作るスタイルでも、マークやスライドは必要。
ポゼッション重視のサッカーでもカウンター重視でも、サポートやマークを外す動きが必要になります。

そのため、特定の戦術スタイルに固執するよりも、幅広い戦術コンセプトを習得できるトレーニングを優先する方がジュニア年代では重要かなと思います。

②異なるタイプのプレーモデルを採用する

指導者にはそれぞれ好きな戦術スタイルや得意な戦術があります。

しかし、子どもたちにとっては、さまざまな戦術を経験することが大事です。

例えば、あるシーズンはポゼッション重視、次のシーズンは縦に速いスタイルなど様々な経験を積むことで、戦術メモリーの積み上げにも役立ちます。

このように、異なるプレーモデルを採用しながら、そこに内在する普遍的な戦術、つまり戦術コンセプトをトレーニングするというようなアイデアもあります。

しかし、現実的には難しい

様々なプレーモデルを経験させるというのは、実際には指導者としての難易度も高く、また選手たちが混乱してしまう可能性もあります。
実際に毎年プレーモデルを変えるというのは現実的には難しいかと思います。

そこで、僕の場合(現在では)は次のようにしています。

③プレーモデルの自由度を高める

プレーモデルを細かく設定することは必ずしも悪いことではありません。

しかし、ジュニア年代ではプレー原則を厳密に細かく設定するよりも、ある程度自由度を持たせる方がいいかなと思います。

理由としては、特定のプレーだけをトレーニングするというように限定するのではなく、先を見据えて様々なプレーを経験させる方が臨機応変に対応できるようになる可能性が高まるからです。

そのため、 プレーモデルを厳密に設定するよりも、戦術コンセプトのトレーニングを優先する。
プレーモデルを学ぶ割合を少なくし、基本戦術を学ぶ割合を増やす。

こうすることで、子どもたちは特定の戦術に縛られず、幅広い戦術に適応できる選手に育つ可能性は高いと、現在では考えています。

僕の場合は、プレーモデルの大まかなデザインを決めつつ、普遍的な戦術コンセプトを落とし込む。

特定の戦術スタイルにこだわりすぎず、汎用性の高い戦術を学ばせるようにしています。

3.様々な用語を整理すること

戦術のみならず、サッカーにおける考え方は非常に幅広く、多くの専門用語が存在します。

僕は常日頃からサッカーにおける現象を言語化・体系化するようにしています。
こうすることで、頭の中がとてもすっきりします。

以下に例を挙げます。

◾️例
『プレッシング、ポジショナルプレー 』
 →プレーモデルの話

『攻撃、前進、フィニッシュ』
 → フェーズの話

『マークを外す動き、カバーリング』
 → 戦術コンセプトの話

『ルックアップ、体の向き』
 → キーファクターの話

『シュート、ヘディング』
 → テクニック アクションの話

このように様々な用語を整理すると、サッカーの構造を理解しやすくなるだけでなく、自分が何を指導しているかが指導者自身が分かりやすくなります。

つまり、今回の話は『ジュニア年代では戦術コンセプトを指導した方が良い』という話で、『では戦術コンセプトとは何か』という話になります。

『顔を上げれるようにしたい!』であれば、ドリブルのキーファクターの話。

『身体の向きが上手く作れない』であれば、戦術コンセプトにおける『サポート』のキーファクターの話で、それをそのまま整理してコーチングすれば良い、というように複雑な用語の数々を整理して考えることができます。

4.まとめ

最後にまとめておきます。

①ジュニア年代では戦術コンセプトを重視することが重要
②特定の戦術スタイルにこだわるよりも、どんなサッカーにも通用する普遍的な戦術を指導する
③プレーモデルの自由度を高め、異なる戦術スタイルを経験させることで、適応力の高い選手を育てる
④用語を整理することで、トレーニングの意図が明確になる

ジュニア年代の戦術指導をどうしたらいいかわからないという方は、まずは戦術コンセプトという概念を理解して、トレーニングに落とし込んでみてください!

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