こんにちは、講師のカズです。
この記事では子どもがサッカーを上達するために絶対に必要な内発的動機づけについて解説します。
・子どもがサッカーに対して真剣に取り組んでいないな。
・上手くなる気がないならサッカーをやる意味ってあるのかな。
・そもそもサッカー好きなのかな。
ジュニア年代のサッカーコーチや保護者の中では、子どもがサッカーに取り組む姿勢を見てこのように感じることは多々あります。
僕は25年の指導経験や、現在小中学生が300名ほど在籍するクラブチームを運営・指導するにあたって、様々な子どもたちを見てきました。
そして指導する中で一番大切にしている、やる気を引き出すための内発的動機づけを意識して日々取り組んでいます。
今回は、少年サッカーにとって重要な内発的動機付けとその方法について解説します。
この記事を読めば、子どもがサッカーが上手くなるための最低条件とその理由がわかりますのでぜひご覧ください。
動画で解説
1. なぜ子どもにやる気がないのか

子どもたちのサッカーに対するモチベーションは様々です。
最初はただ友達がいるからといった理由でサッカーを始める子もいれば、最初から上手くなりたいと思っている子もいます。
そこでぼくたち大人が思うのは
「せっかく始めたサッカーだからもっと意欲的に取り組んでほしい」
というもの。
しかし、大人がそう思っていても実際にプレーする子どもがそう感じていなければ成立しません。
子どもたちのサッカーに対するモチベーションは様々です。
そこで強制的にそれを要求しても、モチベーションが上がるどころかサッカーが嫌になるケースがほとんどです。
子どもたちの取り組む姿勢にやる気が感じない、真剣さが感じなられないケースのほとんどは、まだそのような段階に到達していない状態。
子どもが自ら意欲的にサッカーに取り組むためには、心理学でいうところの内発的動機づけが必要です。
モチベーションの段階に関しては、下記の記事を参考にしてください。

子どもたちのモチベーションの段階、それに応じた声かけの方法がわかります。
2. 外発的動機づけと内発的動機づけとは何か

内発的動機づけを理解する前に簡単に外発的動機づけというものについて説明します。
①外発的動機づけ
外発的動機づけを代表する概念を簡単に説明すると「報酬と罰」です。
例えば試合でゴールを決めたらご褒美として何かを買い与える。
試合に負けたら罰として走らせる。
これは外的な力によって選手をコーチが望む行動をとらせようとするもの。
しかし本来ゴールを決めるといった目的の報酬としてご褒美がもらえるという構図が、ご褒美をもらうという目的のためにゴールを決めるといった、目的と手段が入れ替わってしまう可能性があります。
しかし、メリットはあります。
特にサッカーを始めたばかりの子どもに対して、最初はここからスタートすることはとても重要です。

② 内発的動機づけ
外発的動機づけとは異なる概念が内発的動機づけです。
子どもたちがサッカー自体をプレーすることで満足感を感じたり、自ら上手くなりたい、ライバルに勝ちたいなど、外からの影響ではなく、選手自らそのように感じて行動する状態を内発的動機づけができている状態と表現できます。
自らそのように感じているので、そのための努力を自発的に行うこともできます。
つまり外発的動機づけとは違い、報酬や罰がなくてもその取り組み自体に魅力を感じている状態。
いずれも「意欲に対する質」を説明する概念ですが、その意欲が外側から与えられる報酬と罰によるものなのか、内側から湧き上がるものなのか、大きな違いがあります。
注意:二種類の動機づけを対照的なものと考えるのではなく、他律的な動機づけであってもその過程を通じて自律的な行動になるという自己決定論については、より専門的な話になるのでここでは割愛します。
3. 内発的動機づけがないと上手くならない

ここまで読んで頂いた方はわかると思いますが、結局のところ以下の言葉に集約されます。
内発的動機づけがないと上手くならない
誰かに強制されるのではなく、自分の意思で取り組む方が上達が早いのはわかりますね。
自分がそうなりたいと強く思うから努力する。
努力自体が楽しいから継続する。
何事も上達への道のりはこれに尽きます。

4. やる気に火をつける内発的動機づけを促す方法

サッカーコーチの重要な仕事の1つは、選手の内発的動機づけを行い選手自身が自ら意欲的にサッカーに取り組めるようにマネジメントすることです。
コーチが取り組むことは内発的動機づけを行うこと
これが全てだと言っても過言ではありません。
なぜなら内発的動機づけができていない状態では、サッカー面・人間性の面でも大きな成長が望めないからです。
① まずは楽しむこと・遊びから始める
サッカーを始めたばかりの子どもにとっては、まずは上手くなりたいとかレベルアップしたいということではなく、サッカーをただの遊びとして楽しむことが最優先です。
楽しい遊びなら続けることができます。
しかしその楽しい遊びに少しずつのめり込んでくると徐々にもっと上手くなりたいなどの欲求が湧いてきます。
ここは外発的動機づけの段階ですね。
② 楽しさの質を変化させる
最初は漠然とした楽しさかもしれません。
しかし楽しさが増してくると、上達したいという欲求が優ってくるので少しつらいことでも頑張ってやろうという意識に変化してきます。
サッカーの楽しさの例
・運動欲求
・達成感
・認められる喜び
・仲間との一体感
・ライバルに勝つこと
ライバルに勝つには努力が必要ですが、努力は時に苦痛もともないます。
できなかったことができるようになった時の達成感も同じです。
少しネガティブな感情が必要なものでも「自ら上達したい」という欲求が勝ち、自発的にその先にある目的のために努力できるという状態になれば、内発的な動機づけがなされていると表現できます。
③ 好きこそ物の上手なれ
結局のところ、ことわざにあるように好きでなければ上達しません。
反対にサッカーが好きになればなるほど上達が見込めます。
つまり好きにさせることがコーチの第一優先事項です。
好きにさせてもっと上手くなりたいと思わせる。これに尽きます。
最初はただただサッカーを好きにさせて、そこから少しずつ内発的動機づけを育んでいく。
このプロセスがジュニア年代の育成には必要不可欠です。
5. まとめ
・子どもがサッカーを本気で取り組むためには「内発的動機づけ」が不可欠
・最初は「楽しい」「褒められる」など外発的動機づけから始まる
・少しずつ楽しさの質を変え、「上手くなりたい」という意欲に育てていく
・サッカーそのものに魅力を感じられるような関わりが重要
・コーチの第一優先は、子どもを“サッカー好き”にさせること
この記事では、ジュニアサッカーにおけるやる気の正体=内発的動機づけについて解説しました。
「子どもが真剣にやらない」と感じた時は、まず指導者自身の関わり方を見直してみましょう。
ぜひ、子どもたちの“やる気の種”を育てるコーチングを、現場でも実践してみてください!