Junior Soccer College Written by ジュニアサッカー大学

少年サッカー【試合におけるコーチング・マネジメント】を徹底解説

コーチング


こんにちは。講師のカズです。

練習試合や公式戦など試合時のコーチングをどのように行うか。

サッカーコーチをしているともっと効果的な方法がないか、自分のやり方は正しいのかと悩んでしまうことがあると思います。

  • 試合前やハーフタイムにどんなことをすればいいのだろ?
  • 試合時のコーチングが上手くいかない
  • ミーティングをするけど子どもが良いプレーができない。


他にも試合に負けた後にどんな言葉をかければ良いのか?

もちろん唯一の正解や正しい方法はありません。

ただ1つ言えるのは下記の通りです。

コーチングの方法によっては子どものパフォーマンスは大きく変わる

つまり選手のモチベーションをどのように高めるか、不安をどれくらい取り除くことができるか、これがコーチの重要な役割となります。

この記事では試合の日のミーティングやコーチングを場面ごと、シチュエーションごとに詳しく解説します。

ただぼくが25年指導してきた経験値やコーチ留学したスペイン・バルセロナのコーチたちのやり方、日本人の子どものメンタリティなどを考慮し、効果的だと思える方法を軸に解説しています。

この記事を読んだ後には、試合時のコーチングのポイントが分かると思いますので、ぜひ指導現場で試してみてください。

動画で解説


今回はけっこうボリュームがありますが、知りたい箇所のみ読んでも大丈夫です。

1.少年サッカー・試合でのコーチングの基本

①コーチの言葉は選手の心をコントロールする


ぼくらサッカーコーチが発する言葉、つまりコーチングは子どもたちに何らかの影響を与えます。

発する言葉によっては子どもたちがポジティブに反応したり反対にネガティブに反応したり。

そういう意味ではコーチングとは選手の心(メンタル)をコントロールするものだと言えますね。

なので選手に対して何か言葉を発する時には最大限注意しないといけません。

それは何気ない雑談やちょっとしたこと、厳しく接する時も励ます時もコーチが意図的に行う必要があり、マネジメントを意識した声のかけ方を行う必要があるということです。

サッカー面でも人間教育の面でも、コーチが選手を望ましい方向へ導く、コントロールするために様々な方法で声かけをします。

②コーチの言葉に影響を受ける子どもたち

選手とコーチとの信頼関係のレベルによって、コーチの言葉は影響を子どもに与えます。

良い関係を築いているほど、コーチが望むべき方向へ選手を導くことができるし、反対に信頼関係がなければ選手は行動を起こしません。

>>参考:【チーム崩壊を招くサッカーコーチの特徴】指導の問題と5つの解決策

そもそもの信頼関係がなければ、コーチの言葉に対して選手が反応を起こさないのでコーチングが響きません。

この記事では、コーチと子どもたちとの間にある程度信頼関係が構築されていることを前提で話しを進めていきます。

③コーチングの目的はプレーを改善しメンタルを良い方向に向けること

コーチングの最大の目的はタイトルの通りです。

僕の場合、良い方向とは以下のようなものをイメージしています。

  • プレーが改善される
  • 選手がサッカーに対して意欲的になる
  • 努力を継続するようになる
  • エゴイストにならない
  • チームを重んじる
  • 責任感を持つ
  • リスペクトを理解する
  • 自分を客観視できる
  • など

サッカーのプレーそのものの改善はとても重要ですが、サッカーに対する考え方や人間性の面で良い考えを持つようになることも重要です。

良い方向へ向かうように、コーチングというツールを使って選手をコントロールすること。

コントロールというとネガティブな印象もありますが、導くと言っても良いですね。

ただ、選手がコーチの言葉を信じているというのは重要なポイントです。

コーチの言葉を信じていなければ、いくら話しをしても納得して行動を起こしません。

2.ミーティングの基本はモチベーションを上げること


試合前やハーフタイム、試合後のミーティングで基本となる考え方は以下の3つです。

  1. 自信をつけさせる
  2. 不安を取り除く
  3. タスクを明確にする


ざっくりとこの3つ。

練習試合や公式戦の違いからこの他の要素もありますが、基本的には僕の場合は3つです。

他の要素は個別性が高く、細かなマネジメントと絡んでくるのでここでは省きます。

①自信をつけさせるためのコーチング

選手に自分たちはできると信じ込ませること。選手個人、チームを信頼していることを伝えます。

選手個人の良さを伝え、だからこそそのポジションや役割を与えていること


自分のストロングポイントを再確認させること、そのプレーが十分通用すること、そしてコーチが信頼しているというスタンスを取ると選手は自信が持てますね。

なおかつ試合でそのストロングポイントが上手く発揮されれば、コーチの言葉の信憑性が増し、コーチが選手に与える影響力が強くなります。

結果、信頼関係がより強固なものになります。

②不安を取り除くためのコーチング


まずは選手が何に不安を感じているかを観察しましょう。

良さを引き出すこととも関係しますが、得意な部分をしっかりと出すこと、それに伴うミスは許容範囲であることなど。

失敗しても問題ないことが担保されていると選手はミスを恐れなくなります


例えばビルドアップを怖がっている場合、失敗してもいいからチャレンジを促し、そこでミスをしてもコーチは叱らないということを担保。

失敗してもいいのでチャレンジすれば、今後もっと上手くなる・プレーの幅が広がることを選手に理解させることができれば納得してチャレンジしてくれると思います。

ただ、それでもやはり怖がっているようならそのタスクを取り除いてあげましょう。

どこまでなら自信を失わないのか。

選手の性格や今後のステップも見据えることが重要です。

③タスクを明確にする

やるべきことを単純化・明確化します。

まだ習慣化されていないタスクをあれこれ指示すると考える要素が増え、プレーのインテンシティ(強度)が下がります。

考える要素とインテンシティについては別記事で詳しく解説していますので、興味があればご覧ください。

>>参考:サッカーにおけるインテンシティとは? 戦術的負荷によって変化する


イメージとしては、すでに習慣化されているタスクに関しては確認作業で、どうしてもその試合で新たなタスクを与える場合は1〜2つ程度が限界かと思います。

ただし練習試合ではインテンシティが下がっても敢えてタスクを多く与えることもありますが、公式戦では出来るだけ少なくしすることをお勧めします。

余談ですがランダムコーチングが良くないと言われるのは、テーマがブレるだけでなく考える要素が多くなりすぎて結果インテンシティが下がってしまい、躍動感がなくなることにもつながります。

以上の3つが基本的な柱となるものです。

基本的に自信を失わすような言葉、不安になるような言葉は必要ありません。

そしてこれらは試合前・ハーフタイム・試合後に共通するものでもあります。

3.試合前のミーティング

①基本的には先の3つが柱

  • 自信をつけさせるためのコーチング
  • 不安を取り除くためのコーチング
  • タスクを明確にする

先に挙げた3つの項目が試合前のミーティングで柱となる部分ですが、他にも考慮すべき点をピックアップします。

②チーム全体のタスクと個人のタスクを明確に

チーム全体のタスクを明確にすると同時に個人のタスクも明確にします。

そしてチームと個人のやるべきことに矛盾が生じないようにしながら取り組みことに集中させます。

不安を感じているようなら失敗を担保してあげましょう。

③スタメンから外れた選手とチームワーク

選手たちは誰でもスタメンで出たい、長い時間出場したいと思っています。

しかし当然スターティングメンバーを決定する必要があり、そこには嬉しさと落胆が同居します。

なのでスタメンの選手の責任感、控えの選手もチャンスが来ること、チームワークとは何かなど心のケアが必要です。

ここはコーチのトーク力が大きいですね。

④主軸となる選手

主軸となる選手は普段から出場機会も多く、試合時間も長いはずです。

当然子どもたちも選手間でのヒエラルキーを認識しています。

ぼくの考えでは主軸となる選手ほど要求度を上げ、そうでない選手ほど要求度を下げる、ミスを許容することが必要だと思います。

選手によって要求度を変えるのは一見不公平のように見えますが、試合機会や出場時間の差を考えるとチーム内でバランスが取れます。

これが逆転すると危険です。
主軸の選手ほど何も言われなくて、そうでない選手ばかりが叱られるだと必ずチームは崩壊します。

⑤チーム内でまだ信頼を勝ち得ていない選手

先ほど子どもたちは選手間のヒエラルキーを認識していると書きましたが、高学年生になるほどそれは強くなります。

なのでまだチーム内で信頼を勝ち得ていない選手に対してはより深くケアして上げることが重要です。

チームメイトの信頼がまだないので、タスクを減らし不安を取り除きましょう。

ざっと試合前のミーティンで気をつけるポイントを解説しました。

練習の時や試合前後のミーティングでも基本的にはやるべきことは同じようなことですね。

4.試合中のコーチング


次に試合中のコーチングについて解説します。

ここで気をつけたいのは、その試合がシーズンの中でどこに位置しているかや公式戦か練習試合かの違いです。

①公式戦と練習試合では使い分ける

別に同じでもいいですが、ぼくの場合は練習試合と公式戦、時期によって試合中のコーチングを使い分けています。

これはコーチ個人の考え方やチーム作りの方法に影響を受けますね。

②練習試合でのコーチング

  1. 公式戦まで時間がある時
  2. 新しいコンセプトを取り入れる時
  3. 公式戦直前

僕の場合は公式戦まで時間がある時と、新しいコンセプトを取り入れる時には事細かく指示を出します。

要求度を上げて負荷を高くして、選手に取り組んでもらいます。

当然インテンシティが落ちたりパフォーマンスが下がることもありますが、ここは選手をコンフォートゾーンの外に出し、苦痛を伴いながら新しいスキルを獲得する段階だとしています。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

>>参考:【少年サッカー】厳しいサッカーコーチの方が上手くなる理由

その後、公式戦が近づいてくるとコーチングの量を減らし、選手たちが自ら判断することを促しミスも許容。

コーチに言われてやるのではなく、やってきたことがどれくらい自分たちでできるか。
全てができなくてOKで、最大で取り組んできたことの8割程度が自分たちでできれば上出来という基準で考えています。

公式戦が近づくにつれ、選手たちの自主性を高めること

③公式戦でのコーチング

  • 指示によって過負荷にならないようにする
  • インテンシティを落とさないこと
  • 動きに躍動感が出るようにする


基本的に選手に自信を持たせ不安を取り除くことに終始します。もちろん鼓舞したり檄飛ばしたりも。
選手のメンタル状態を見て、どの方法が響くかを見極めます。

またプレーの指示に関しては選手にとって負荷にならないようにします。

選手たちのメンタル状態を注意深く観察し、インテンシティが下がらないように、躍動感が出るようなコーチングがポイントです。

5.ハーフタイムのミーティング


ハーフタイムや試合の合間に伝えるミーティング。

これも公式戦とそれまで時間がある練習試合とでは考え方が異なります。

基本的な3つの柱を軸にしますが、練習試合では少々選手がへこむことがあっても成長の良い機会と捉え、公式戦では選手のモチベーションが下がらないことに最大の注意を払います。

①修正箇所の確認

できるだけ問題が起きている箇所をわかりやすく論理的に選手がすぐに理解できるように伝えます。

また、上手くいっている部分に修正を加える時は要注意です。
コーチのアドヴバイスが逆にパフォーマンスを下げることもあるので、上手くいっている現象に関しても慎重さが求めらますね。

②メンタルを読み助言を与える

特に公式戦の場合は、選手の心理状態をしっかりと理解することが重要です。

ハーフタイムは短いので、前半に上手くいっていない場合のメンタルを短時間で修正するのは正直苦労しますね。
この辺はコーチの話しに安心感が持てるかがポイントになります。

③後半に起こりうることを想定内にする

失敗を想定内にしておくこと

例えば「後半は絶対失点してはいけない」と伝えた場合、選手はそこに意識が強くなりますが、もし失点したら選手のメンタル的にはどうなるでしょうか。

おそらく「失点はダメだ」という意識が強く働きすぎて「もうダメだ」というネガティブな反応を示すかもしれません。

なので失点した場合にはどうするかなど、起こりうるミスを想定内にしておくことでモチベーションが下がるのをできるだけ防ぎます。

もし失点してもこうすれば大丈夫というプランを提示しておけば、実際に失点した時にも次のプランを発動させることができますね。

これは試合前のミーティングでも同じことが言えます。

6.試合後のミーティング


試合後のミーティングも練習試合と公式戦とでは異なりますが、基本は次につながるようにミーティングすることがポイントです。

試合後の説教は嫌なものですが、それをやったほうが今後につながるという意図的なマネジメント戦略があればOKですが慎重さが必要ですね。

①子どもたちの意見を引き出すこと

選手たちのサッカーに対するメンタリティのレベルもありますが、試合後に選手たちがどんな感想を持っているかは指導の参考になります。

質問形式で選手に問いかけ、プレーの分析や今後取り組まなくてはならないことに気づきを与えることができれば、とりあえず成功ではないでしょうか。

いずれにせよ、もっと頑張ろうというメンタリティに持っていければ試合後のミーティングを行うことに価値がありますね。

②試合に勝った後のミーティング

チームが自信を失っている後の勝利なら、選手のプレーを褒めたりそれに至るプロセスを認めてあげましょう。



特に結果ではなくプロセスを評価するは選手の内発的動機付けを高めます。

また勝利した後に子どもたちが天狗にならないようにすることも大事です。

この辺のアメとムチはチームのマネジメントと絡むのでコーチによってアプローチは異なりますが、自分に合った方法を模索しましょう。

③試合に前けた後のミーティング

負けた後に選手たちがヘラヘラしていたら、それはまだサッカーに対する内発的動機づけが高まっていない。

もしくは良いメンタリティを持てていない証拠です。

内発的動機づけは子どもたちがサッカーが上達するために絶対的に必要な概念です


>>参考:なぜ子どもにやる気がないのか【少年サッカー・内発的動機づけの方法】

反対に落ち込んでいるようなら励まし、努力を継続することの重要性や試合とは勝つこともあれば負けることもある、そういうものだということを理解させましょう。

どんなに頑張っても結果が出ないことはあります。

重要なのは試合までのプロセスです。
そこが評価できるようなものであれば、敗戦は受け入れやすいものになります。

7.コーチが2人以上いる時の注意点

補足ですが、試合中にコーチが2人以上いるケースでは問題が起きることがあります。

意見の食い違いや、好き勝手にコーチングしてしまうなど。

詳細は下記の記事をどうぞ。

>>参考:【コーチ2人以上は役割を明確に】少年サッカー・試合中のコーチング

8.まとめ

今回は試合時のミーティングやコーチングについて解説しましたが、最後に気をつけなければならないポイントです。

①長所と短所によってコーチングを変える

子どもたち個人個人の長所と短所は異なります。

長所を伸ばすためのコーチングと短所を克服するためのコーチングは質的に異なるので注意が必要です。

詳しく知りたい方は以下の記事を参考にどうぞ。

>>参考:少年サッカー・長所を伸ばし短所を克服する3つのコーチング

②子どもたちの性格を考慮したコーチング


ぼくが指導者留学したスペイン・バルセロナではコーチが常に試合中に席を立ち、熱心にコーチングして選手と一緒に戦っている姿をたくさん見ました。

しかし文化の異なる日本、日本人の子どものメンタリティを考えると同じようにはできません。

これは選手の年齢やレベル、置かれている状況といったコンテクストも考慮する必要があります。

サッカーに対するモチベーションの段階によっても、クラブのコンセプトによっても変わってきます。

ですので自分のクラブ、チームに照らし合わせて調整を行なってください。


今回は試合におけるコーチングについて徹底解説しました。
指導者の皆さんの参考になれば幸いです!