キック力を上げるには?【少年サッカー】筋力より反復とフォーム

こんにちは、講師のカズです。

読者の方から、以下のようなご質問を頂きました。
以下、質問の内容です。

「小学生年代、特にU-10(小学4年生)のキック力について質問です。シュート力を上げる、または遠くへ蹴れるようにするためには、どんな練習が有効でしょうか。私のチームでは蹴れない選手が多いのですが、その原因は単純に反復でのシュート練習やロングボールを蹴る練習が足りていないのか、それとも筋力がついていないので仕方がないのか。高学年になれば筋力もついて普通に蹴れるようになるものでしょうか。筋力が発達するまでは、インサイドパスなどを中心に練習した方が効率的でしょうか」

ありがとうございます。
質問が具体的で論理的なので、要点がはっきりしていてとてもありがたいです。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・低学年、中学年で、ボールが飛ばない子が多い
・筋力がつくまでは、強いキックの練習は後回しでいいのか分からない
・シュート練習をしても、ボールを拾って並ぶ時間ばかりで反復が足りていない気がする

キック力については、僕自身も今、U-9、U-8を担当していて考えている部分があります。
この記事では、飛距離と筋力の関係、テクニック習得の鍵になる「反復性」、低学年からインステップを蹴らせる理由とキーファクター、そして「ごまかしの効かない距離」で練習する工夫について解説します。

この記事を読めば、「筋力がつくまで待つ」のではなく、今の年代でやっておくべきことがはっきりすると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 飛距離が出ないのは、筋力だけの問題ではない

① 筋力の問題は、当然ある

まず大きな流れとして、小学2、3、4年生あたりでキックの飛距離が出ないのは、筋力の問題も当然あります。
いくらフォームが良くても、パワーが少なければ距離は出ません。
身長が高くなり、筋肉が増えていくにつれて飛距離が伸びていく、というのが基本的な考え方だと思います。

② それでも、低学年から強いキックは蹴らせている

ただ、「反復練習が足りないのか」という点について言うと、僕は小学2、3年生であっても、ロングキックやインステップの強いシュートは蹴らせています。
飛距離は出なくても、正しいフォームで蹴れているかどうかが重要だからです。

「筋力がつくまではインサイドパスを中心に」という考え方もあると思いますが、僕は低学年でもインステップで強く蹴る練習は必要だと考えています。

2. テクニック習得の鍵は「反復性」

① 蹴れない原因があるとすれば、反復の頻度

シュート、パス、コントロールといったテクニックアクションを伸ばすための鍵は、やはり反復性です。
ひたすら反復することが上達のポイントになります。

もし蹴れない原因があるとすれば、単純に反復の頻度が少ない、ということは考えられます。

② シュート練習は、反復回数を稼ぎにくい

ただ、トレーニングの構造上、シュート練習やロングキックは反復回数を稼ぐのが難しいです。
シュートを打って、ボールを拾って、また列に並ぶ。
この流れだと、どうしてもボールに触れていない時間が長くなります。

③ ボールとゴールの数、戻り道の使い方

なので、ボールやゴールの数を増やして環境を整える。
あるいは、シュートを打った後の戻り道に別のトレーニングを入れる。
そういった工夫で、練習全体の反復性を高める必要があるかなと思います。

3. インステップキックのキーファクター

① コツを整理する

インステップキックがうまく蹴れるためのコツ、つまりキーファクターをいくつか挙げると、以下のようなものがあります。

・立ち足の踏み込む位置(ボールの横。動きながらなら少し前)
・助走の角度(少し斜めから入る)
・上半身の使い方(蹴る直前に逆の手を上げ、体をひねる)
・膝の屈曲(立ち足の膝を少し曲げ、蹴り足のかかとをお尻に近づけるように振りかぶる)
・足首の固定(つま先を下に向ける)
・フォロースルー(蹴った足をすぐ地面につけず、ゴールの方へ向ける)

飛距離は出なくても、こうしたキーファクターを意識して正しいフォームで蹴る練習は、させておくべきだと思います。

② どのコツから伝えるかが、コーチの腕の見せ所

コーチの腕の見せ所は、選手個人によって、どのキーファクターから伝えていくかという優先順位の判断です。
いきなり5個も6個も言っても、子どもは混乱します。

まずは「手を上げて、体をひねって蹴ろう」といった大きな動きからアドバイスして、その後に足首の伸ばし方などの細かいディテールに入っていくのがいいと思います。

③ 彫刻を彫るように、全体から細部へ

「いきなりディテールから入らない」というのは、戦術やテクニックのトレーニング全般に言えることです。

昔、日本人で初めてFCバルセロナのスクールコーチになった村松尚登さんが、書籍の中で「サッカーの指導は彫刻を彫るようなもの」と表現されていました。
とてもいい表現だなと思っています。

彫刻は、いきなり指の先を細かく彫るのではなく、まず全体のざっくりした形を作ります。
全体のバランスを取りながら、少しずつ各部分の精度を上げていく。
サッカーの指導も同じで、まず大きなデザインから始めて、だんだんとディテールの精度を上げていくイメージが大事だと思います。

インステップキックも、最初は精度が低くてもいいので、いろんなキックを同時にやらせる。
そうすることで、成長とともに少しずつ精度が上がっていきます。

なお、低学年のキック指導については、「大きなデザイン」から入る考え方を別の記事でも解説しています。

4. 逆転の発想と、ごまかしの効かない距離

① ショートパスでつなぎたいからこそ、ロングキックを練習する

逆の発想を持つことも大切です。
例えば「ショートパスでつなぎたいからこそ、ロングキックを練習する」という考え方です。

ロングボールで裏を取れる脅威があるからこそ、相手が警戒して、ショートパスが生きてきます。
ドリブルが得意な子にワンツーを覚えさせることで相手がパスを警戒し、結果として得意のドリブルがより活きる、というのと同じです。

② 距離が短いと、ミスがごまかされる

練習環境について、一つ大事な点があります。
インサイドパスの練習をする時、距離が短いと、正しく蹴れていなくても「なんとなく」通ってしまい、技術的なミスがごまかされることがあります。

これを防ぐには、あえて距離を伸ばしてみることです。
U-10であれば、思い切って距離を取ってパス練習をさせてみてください。
そうすると、キックのフォームが悪い選手は、強いパスが出せなかったり、ズレが大きく出たりして、課題がはっきり見えてきます。

③ 1対1も同じ。広いコートでダイナミックに

これは1対1の練習でも同じです。
狭いエリアだと、ちょっと抜いて数歩運べば勝ちになってしまいますが、実際の試合はもっと広いです。
広いコートでダイナミックに動く練習を取り入れることで、本当の意味で試合に使える技術が身につくと思います。

5. まとめ

・小学2〜4年生で飛距離が出ないのは筋力の問題もある。ただ、正しいフォームで蹴れているかどうかが重要
・テクニック習得の鍵は反復性。シュート練習は反復を稼ぎにくいので、ボールやゴールの数、戻り道の使い方で工夫する
・低学年でもインステップで強く蹴る練習は必要。キーファクター(立ち足・助走・上半身・膝・足首・フォロースルー)を、大きな動きから順に伝える
・彫刻を彫るように、全体から細部へ
・ショートパスでつなぎたいからこそ、ロングキックを練習する
・距離を伸ばして、ごまかしの効かない環境で課題を見えるようにする

この記事では、小学生のキック力を上げるための考え方について解説しました。
ぜひ、練習の距離やスペースを工夫して、ごまかしの効かない環境でチャレンジさせてみてください。
皆さんの指導現場でも試してみてください!

なお、ボールやゴールの数、戻り道のトレーニングまで含めた練習の設定は、図にして残しておくと次に組み替えやすくなります。
僕はその作業を軽くするために、指導者向けの無料アプリ「TRAINING DESIGNER」を配布しています。

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