こんにちは、講師のカズです。
少年サッカーの指導では、ポジションをどう決めるかが、とても大切かと思います。ただ、ポジションを決める前に「選手をどう見ているか」まで掘り下げて考える機会は、あまり多くないかなと思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・上手い子から順にポジションを決めて、余った子を後ろに置いてしまっている
・チームのプレイモデルに合わせているうちに、選手の良さが消えている気がする
・選手評価を書いてはいるけれど、それがポジションや練習につながっていない
僕自身、現場ではよくこの話をするのですが、ブログにはうまく言語化できていませんでした。この記事では、ポジションを決める前提になる「選手を見る3つの視点」と、そこからポジションやフォーメーションがどう決まるのかについて解説します。
選手一人ひとりの何を伸ばせばいいのかが見えやすくなり、ポジションの決め方に迷うことが減ると思いますので、最後までご覧ください。
1. ポジションを決める前に、選手をどう見ているか

① 上手い順に並べていないか
保護者の方の目線だと「上手い子と上手くない子で、ポジションの決め方があるのかな」と気になるところかと思います。
指導者の方にも「ここには上手い選手を置きたい」「ここはあまり上手くない選手でもいいや」という発想はあるかもしれません。
ただ、指導者としてはもう少し掘り下げて、選手の特徴をどう捉えていくかという、もう一つ上のレイヤーで考えたいところです。
ポジションの決め方は、基本的に「選手をどう見ているか」で決まってくるからです。
② 良さを出して、苦手は隠す
15年ぐらい前、スペイン系のサッカー、特にバルサのサッカーやカンテラの話が日本に入ってきた頃、よく言われていたのが「選手の良さを出して、選手の苦手な部分を隠す」という考え方でした。今でも言われていると思います。
どちらかというと、日本の指導の場合は、選手の改善ポイントをしっかり修正していこう、という意識が強いのかなと感じることがあります。これは僕の勝手な憶測です。
そうではなくて、苦手な部分はチームとして隠す。良いところをしっかり表現できるようにして、苦手な部分は味方で補い合う。そういった表現があります。
③ チームはオーケストラのようなもの
僕がスペインのサッカーに憧れた時に印象に残った表現の一つが「チームはオーケストラのようなもので、ハーモニーをどう奏でるか」というものでした。
みんながピアノでもダメで、いろいろな楽器がある。その中で特徴を引き出し合いながら、全体がハーモニーを奏でる。
それ以来、僕は選手の苦手な部分を練習するというよりも、良さをどうやって引き出すか、というところにフォーカスするようになりました。

よく起きるのは、チームのプレイモデルにはめようとして選手の良さが消えてしまい、みんな同じような選手になってしまう、というケースかと思います。
2. 選手を見る3つの視点

ここからは、僕自身も言語化の途中の領域ですが、選手を見る時に使っている3つの視点をお伝えします。
① そもそもできるプレイに、オプションを足す
まず一つ目は、その選手が「そもそも何ができるか」です。
4、5、6年生ぐらいをイメージしてほしいのですが、教えなくてもできるプレイというのが、選手ごとにあると思います。
指導者が教えていないのにできるプレイ、その選手が好むプレイ。それがその選手の最初の重要な特徴、良さの一つになります。
その良さが見つかったら、それをさらに良くするためには何をしたらいいのかを考えます。
例えば、ドリブル突破が得意な子がいるとします。
そのドリブルをさらに良くするために、フェイントを覚えた方がいいのか。それとも、ゴール前の崩しで一回コンビネーションを入れることで、ドリブルがもっと引き立つのか。
そもそもできることに、どういうオプションを足していくのか。それによって、その選手の良さがさらに伸びていく、というイメージです。
② 何ができたら「ものすごく上手く見える」か
二つ目は、あまりこのように言われているのを聞いたことがないので、僕独特の見方かもしれません。
「その選手が、どんなことができるようになったら、ものすごく上手く見えるか」です。僕はこちらの方をよく見ています。
例えば、ボランチ系の選手で、フィジカルは細いけれど、中盤でうまくさばける良さがあるとします。
ちょこちょこ動いてポジショニングをずらしながら、重心の低いところで良いゲームメイクをしている。
そういった選手が「この選手、めちゃくちゃすごい」と見えるためには、何ができたら面白いのかを考えます。
ゲームメイクをしながら、ミドルレンジからスパーンとシュートが打てたら上手く見えるのか。
それとも、予測がとても良くて、中盤でほぼボールを奪えるようになったら上手く見えるのか。
その選手を見ながら「この子だったら、こういうことができるんじゃないか」と探っていきます。
僕はこれを「レバレッジポイント」と呼んでいます。テコの原理のレバレッジです。
その選手のプレイの改善にレバレッジをかけて、そこをやれば、その選手がかなり上手く見える。そういうポイントを探すアプローチです。
③ どうしたら「見劣りしなくなる」か
三つ目は、二つ目と似ていますが、少しネガティブな側からの見方です。
今あまり上手く見えない選手が、どうしたらチームの中で見劣りしなくなるか、を探します。
実際に過去にあった例です。
足元が上手くない選手がいて、チームはポジションスタイルのサッカーをやっている。その子はパスを出そうとするのですが、技術があまりないので「パスで逃げている」ように見えてしまう。コントロールミスをしたら取られてしまう。どうしても見劣りしてしまいます。
その時に僕がやったのは、ボールを持たせることでした。
「足元の技術はなくても、ボールをビビらずに持ちなさい。プレスを外してからパスを入れなさい。失敗してもいいから」と。
それができるようになると、すごく見劣りしなくなりました。「全然、普通にやれているじゃん」という感じです。
チームの一員として全然できる、というふうになるレバレッジポイントはどこか。それを探す見方です。
僕の場合は、だいたいこの3つのどれかを、選手ごとに当てはめています。
3. 個人にフォーカスするとは、伸ばす場所を決めること

① 技術を伸ばすことではない
僕はこういったアプローチを「個人にフォーカスする」と言っています。
個人にフォーカスするというのは、足元の技術やテクニックを伸ばすという話ではありません。
その個人にフォーカスした時に「どこを伸ばしていくべきか」を決めることです。
コーチングができるのか、予測が良いのか、ポジショニングが良いのか。選手一人ひとりをよく見ると、個性は全然違います。
② 事実ではなく「フォーカス」を書く
そこから、僕の場合は選手評価をします。
先ほどの3つの視点のどれかが、だいたい当てはまります。それを選手一人ひとりについて書いていきます。
ここで大切なのは、事実を書いても意味がない、ということです。
「この選手はこうだ」と書いても、あまり意味がありません。
「この選手はこうだから、こういうところを伸ばしていく」「この選手はこうだから、ここにフォーカスする」と書きます。
③ 3ヶ月で見直す
「3ヶ月間こういうところにアプローチする」と書いておくと、3ヶ月後にどうなったかが見えやすくなります。
3ヶ月やったけれど少し違ったな、ということもあるし、継続することもあります。
このやり方をやっていると、特にエコロジカル・アプローチ的なことをやっている場合、本当に、ある日突然上手くなる、ということが起きます。
4. 選手の特徴が、ポジションとフォーメーションを決める

① プレイモデルの方を選手に合わせる
ここまでのことがあって初めて、ポジションが決まってくると思います。
チームを始めたばかりの時期に、とりあえず配置してみよう、はあっていいと思います。ただ基本的には、選手の特徴がポジションを決め、その選手たちの特徴によってフォーメーションが決まります。
指導者がやりたいフォーメーションが先にあって、そこに選手を当てはめるのではありません。
プレイモデルも同じで、チームのプレイモデルに選手を合わせるのではなく、いる選手を見た時に、プレイモデルの方を調整します。
だから僕は、毎年だいたいフォーメーションが変わります。2年連続で同じフォーメーションということは、ほぼありません。選手が変わるからです。

② あえて、できないポジションをやらせる
もう一つのポジションの決め方が「あえてそのポジションをやらせる」です。
僕の過去の経験では、体がガッチリしていてパスカットには強いけれど、スピードがなく、プレイエリアも狭い選手がいました。
センターバックのように、ある程度決まったポジションで守備をやる分には強い。
そういう選手に、意図的にサイドバックをやらせました。長い距離を走ってクロスまで行く、縦のダイナミズムを身につけさせるためです。
逆に、線が細くて、足元で細かくやるのは上手いけれど当たりが軽い選手なら、センターバックをやらせる。
ポジションによって要求されるプレイは、ある程度決まっています。それができないところに、あえて当てはめる。そういうやり方もあります。
③ ポジションを動かすことが、自己組織化と創発を生む
最後に、育成年代では、ポジションを少しずつ動かしていくことがとても大切だと思います。
プレイの幅を広げるためでもあり、選手の新たな可能性を見つけるためでもあります。
僕も、サイドバックで良くなってきた子にセンターバックをやらせ、そこで良くなったらボランチをやらせてみる。どちらが上ということではなく、違うことをやらせる、というのはよくやります。
チームを伸ばそうとすると、ポジションを固定して、同じメンバーで同じプレイを繰り返して精度を上げよう、とつい考えてしまうと思います。
これは、複雑系やシステム思考、エコロジカル・アプローチの観点からいくと、多分間違いになります。
ポジションを変える、メンバーを変えることで、いつも通りではない適度なノイズが発生します。
トレーニングの考え方と同じで、そのノイズを打ち消すために、選手たちが個人でもグループでもチームでも自己組織化していきます。これこそが、選手やチームが成長している証です。
いつもやっていないポジションをやらせると、チームとしてうまくいきません。そのノイズが起きている状況でどうやったらうまくやれるのか、というところこそが自己組織化です。
その先に、教えていないものが獲得される。それが創発です。
まとめ
・ポジションの決め方は、選手をどう見ているかで決まる
・良さを出して、苦手はチームで隠す
・選手を見る3つの視点=①できるプレイにオプションを足す ②何ができたら上手く見えるか ③どうしたら見劣りしなくなるか
・個人にフォーカスするとは「どこを伸ばすか」を決めて、3ヶ月で見直すこと
・選手の特徴がポジションとフォーメーションを決める
・ポジションを動かすことで生まれるノイズが、自己組織化と創発を生む
この記事では、ポジションを決める前提になる選手の見方について解説しました。
レバレッジポイントを探るという発想は、僕がシステム思考や複雑系の中で理解できたものです。皆さんの指導現場でも試してみてください!
なお、選手一人ひとりの「どこにフォーカスするか」を書いて、3ヶ月後に見直す。この作業は、紙やエクセルでやろうとすると続きにくいかと思います。僕はその作業のために、指導者向けの無料アプリを作りました。SQUAD MANAGERの選手評価に、選手ごとのフォーカスを書いておくと、3ヶ月後の見直しがスマホからできます。無料メルマガに登録していただくと、すぐに使えます。
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