【勝利と育成は矛盾しない!?】少年サッカー・勝敗へのこだわり+α


ジュニア年代の指導をしていると、勝利か育成のどちらが大事かと疑問を持つことがあります。

  • 勝利至上主義は少年サッカーに必要か?
  • 勝てなくても育成に力を入れるべきか?
  • そもそも2つは矛盾するもの?


実際ぼくも過去に悩んだきましたし、これは指導者としてよく考え、自分なりの哲学を持たなければならない部分です。

ぼくがコーチ留学したスペイン・バルセロナ。
日本でもスペインの育成の考えがいろんなメディアを通じて入ってきます。

しかし、実際に現地で感じたのは子どもたちも指導者も勝利のために練習しているというもの。

育成と勝利は矛盾するものなのか、勝利は育成にとって不要なものなのか。

結論:育成と勝利を目指すことは矛盾しない


これが現在地点のぼくの考えです。

この記事では指導現場で悩む育成と勝利に対する疑問について詳しく解説します。

※最初に誤解がないようにしますが、レクリエーションとしてのサッカーや、クラブのコンセプトや方針で「勝利を目的としない」や「勝利至上主義」と結論づけている場合はこの記事を読む必要はありません。

それは各クラブ・指導者の考えなのでそれはそれで良いかと思います。
その評価は時代の流れや風潮、ニーズが与えてくれます。

今回はあくまでも試合にも勝ちたいけど選手を育てることも大事、どうしたら良いのだろうと疑問を持っている方向けの内容です。

動画で解説

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1.勝利と育成は矛盾しない


最初に結論ですが、現時点でのぼくの考えは育成と勝利は矛盾しません

というかほとんど同じです。

そもそも対立する考えではなく、同じテーマ、もしくは両立するもの。

様々な状況で細かく考えて行くと、相容れない部分がありますが、イメージとしては下の図のような感じです。


この図の端にある若干の交わらない部分が指導者が葛藤する部分。

さらに組織のマネジメントが重要になる部分です。

これについては後ほど解説します。

①試合の目的は勝利を目指すこと


まず最初の立脚点ですが、試合の目的は相手より多く得点をあげ、試合に勝利することです。

そのために、どのような練習をするのか、どのような戦略・戦術が必要なのか。

日々の練習テーマも、子どもたちのモチベーションを上げることも、全て試合に勝利するためという目的につながります。

そのために選手を育成することが大事だと考えています。

こう言うと「じゃあ小学1年生でも勝ちにこだわるべき」という極端な声が聞こえてきそうですが、それは選手のモチベーションの段階によって変わります。

子どもたちの段階に応じたモチベーションの変化とコーチング方法について詳しく知りたい方は少年サッカー【やる気を引き出す3ステップ】モチベーションの段階を参照してください。

あくまでも最初の段階をクリアして、ある程度専門的な競技志向になった状態の子どもたちに関して話を進めます。

②試合のために練習を行う

これも前提条件と言えますが、練習は試合のために行います。

試合で勝利するために練習を行う。これは当然の発想ですね。

③練習のテーマは試合からの逆算

当然ながら日々の練習のテーマは試合から逆算されます。

短期・中期・長期的でも試合を想定してテーマを抽出してトレーニングを行う。

試合の目的は勝利することなので、そのための方法を練習する。

2.育成とは勝利するために必要なものを学ぶこと


このように考えると、育成とは勝利するために必要なものを学ぶことであると言えます。

練習を通じてスキルアップを図るのは試合に勝利するため。

育成と勝利を目指すことは同じ意味だと考えられます。

つまり目の前にある試合、1ヶ月後に行われる試合、全ての試合において勝利を目指して練習する。

その勝利の方法を学ぶのが育成という考えです。

3.育成=勝利を目指すとは勝利至上主義ではない


サッカーの大前提として勝利を目指すこと、そのための方法を学ぶのが育成だとした時に『では勝てば何でもOK』という話にはなりません。

勝利を絶対的な価値とした勝利至上主義の弊害はいろんなところで言われています。

勝利と敗北は対立するものではなく、スポーツの特性上共存するもの。

試合に対する結果は自分たちで可能性を高めることはできても、コントロールできるものではないのでそれを絶対的な価値にすることはできません。

スポーツを行う上で勝利を目指し、そのために練習することは自然の心理ですが、勝利以外に価値がないと指導者が考えると、その弊害を受けるのは子どもたちになります。

①試合に勝てなくても得るものはある

指導者でも選手でも、1つでも多くの試合に勝ちたい、少しでも上の成績を収めたい。
これらは健全なメンタルなので問題ないです。

と同時に試合に勝てなくても得るものがたくさんあることを理解する必要があります。

スポーツが持つ社会的側面や教育的側面を考えるとプロセスを評価するのは当然のことです。

4.実際の試合での問題点

1人でPKをける選手


ここまで読んで頂いた方の中にはいくつかの疑問があると思います。

  • 公式戦の中で選手を出場させれないことがある。
  • 選手の成長を考えれば試合に出したいけど…
  • やはり全員を同じ時間出場させるべき?

チームとして勝利を目指しながらも選手個人にフォーカスした時にこのような問題や疑問が起こります。

①指導者に大事なことはマネジメント

クラブの方針で全員必ず出場させるとか、勝利至上主義でいつも固定メンバーである場合には選手起用のマネジメントはほとんど起こりません。

しかし、勝利と育成を同時に追求する場合には公式戦などでの選手の起用、出場時間で悩むケースは多いです。

ここで最初に出した図を再度見てください。


この両端にある少しだけ交わらない部分が、僕が考える指導者が葛藤する部分でありマネジメントが必要になる部分です。

例えば次のようなケース。

  • 公式戦で勝てば次のステージに進める状況でギリギリの展開
  • その試合に出場していない選手がいるが交代したら失点しそう
  • でも試合に勝てばチーム全体のモチベーションがもっと上がる
  • しかし選手個人のことを考えると試合に出して経験させる方が良い

おそらくこういう経験があると思います。

こういう葛藤する部分が勝利か育成かの問題で矛盾が生じるところです。
これに対して正解や不正解はないのですが、それこそ指導者が決断しないといけない部分。


また、マネジメント能力が問われる部分です。

ただこの場面だけを見て出場させていないから育成していないとか、出場させたから勝利を目指していないと考えるのは正確ではありません。

チームは数ヶ月〜1年単位で動いているので短期・中期・長期でチームをマネジメントしていく必要があります。

ここでは試合に出場させてもさせなくても何らかの問題が必ず発生します。

問題を起こさないようにするというよりも、常にチーム内には問題が起きることを前提できめ細かなマネジメントを行う必要があります。

  • 次の試合で長めに出場させる
  • 1ヶ月単位で出場時間を調整する
  • 今はスタメンが難しいけど3ヶ月後には長い時間出れるようにする
  • 選手のモチベーションを回復させる
  • 再度選手に自信を持たせる

いろんな要素がありますが、チームマネジメントにはかなりのパワーが必要。

しかし、ここを避けてしまうと子どものモチベーション維持ができなくなったりチーム内の雰囲気が悪くなったり、最悪チームが崩壊します。

この葛藤する部分とそれに対するマネジメントが指導者にとっては重要な仕事になります。

5.まとめ:勝利を目指しながら育成しマネジメントする


今回は勝敗と育成の問題について解説しました。

勝利至上主義に陥らず、また勝利を目指しながらそのために練習すること。

少年サッカーにおいてマネジメントの部分はあまりフォーカスされませんが、チームの勝利や個人の育成を現場レベルで見た時にとても重要な要素になります。

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