練習メニューで迷うのはなぜ?【少年サッカー】指導者の4段階

こんにちは、講師のカズです。

少年サッカーの指導では、どんな練習メニューをやるかを決める場面が毎週やってきます。
ネットにも書籍にも練習メニューは溢れていて、探そうと思えばいくらでも見つかります。
それでも、迷いが消えないという声をよく聞きます。

僕自身、指導を始めた頃は、有名な練習を見つけては、そのまま現場に持ち込んでいました。
今振り返ると、あれは練習を選んでいたのではなく、選んだ気になっていただけかなと思います。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・どんな練習をやればいいのか、いまひとつ決められない
・この練習で合っているのか、自信が持てない
・本やセミナーで勉強しているのに、現場が変わった気がしない

この記事では、練習メニューで迷う理由を「指導者の4つの段階」として整理し、その迷いを抜けるために現場で何をすればいいのかを解説します。
読み終える頃には、自分が今どの段階にいるのか、次に何をすればいいのかが見えてくると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 指導者の仕事は、練習と試合の2つです

① やるべきことは、大きく2つに分かれます

僕らサッカー指導者の仕事は、突き詰めると2つだと思っています。
練習をすることと、試合をすることです。

もちろん、クラブの運営やマネジメントもあります。
ただ、選手に対して直接向き合う部分に絞れば、トレーニングを提供して、試合をやっていく。
この2つが柱になります。

② その2つの間に、見えにくい作業があります

ここで見落とされやすいのが、練習と試合の「あいだ」にある作業です。
練習メニューを書き出す。
そのポイントを言葉にする。
試合が終わったら、記録を残す。

たとえば、この試合はフォーメーションが何で、相手との噛み合わせがどうだったのか。
そういったことを、ただ書き留めておく作業です。

正直に言えば、この作業は面倒です。
僕らも10年ほど前はパワーポイントやエクセルでやっていて、時間ばかりかかっていました。
それでも、この作業をやることで現場力がついていく感覚が、はっきりありました。

③ 知識を入れても、現場が変わらない理由

いろいろな指導者の方とお会いしてきて、知識はとても豊富なのに、現場での実力とは離れている、という場面を何度も見てきました。

そういう時、共通していることがあります。
練習メニューを書き起こしていない。
試合のレポートがない。
年間のプランニングもない。

指導者が力をつける場所は、学ぶ場ではないと思っています。
自分でプランニングして、現場に立って、フィードバックする。
この往復のなかにあります。

学ぶことは、それとは別の次元にあります。
理論をいくら入れても、この往復がなければ現場は変わりにくいかなと思います。

④ プロの現場でやっていること

職業としてサッカーを教える現場では、この往復が仕事として組み込まれています。

シーズン前にプランニングをして、プレイモデルを考える。
1年後にどこへ持っていくのか、3ヶ月後にどのレベルにいたいのか。
チームとしてはどうか、個人としてはどうか。
どこがストロングポイントで、どこがネックになっているのか。

そこから逆算して、1週間のメニューを組み立てます。
週末に試合をやったら、今のトレーニングの延長でこうなるはずだった、いや軌道修正が必要だ、と振り返る。
あの練習は効果が薄かったな、と気づく。

この繰り返しが、実は一番大きな学びの場です。
そして、現場に直結する唯一の場所でもあると感じています。

2. 練習メニューで迷うのには、4つの段階があります

練習メニューで迷う正体は、メニューを知らないことではないと思っています。
ゲームを見て分析したことと、やるべき練習がつながらない。
そこにズレがあるだけです。

このズレの大きさは、指導者としての段階によって変わります。
僕自身の経験も含めて、だいたい4つの段階に分かれるかなと思います。

① 第1段階:有名な練習を持ってくる

指導を始めた頃は、試合を見ても、何が問題で、なぜそれが起きているのかを見立てる基準がまだありません。
基準が曖昧なので、分析の解像度が浅くなります。

そうすると、外から答えを持ってくることになります。
スペインではこういう練習をやっているらしい。
楽しそうなメニューだから、これをやってみよう。

練習そのものは悪くありません。
ただ、目の前の選手たちが置かれている状況に合っていないことがあります。
練習は選べても、コーチングでフォーカスするポイントがずれる、ということも起こります。

僕も最初は、自分の主観だけで「この子たちはこうだから、クロスの練習をしよう」と決めていました。
何を知らないのかも分かっていない段階でした。

② 第2段階:自分の分析が合っているか分からなくなる

しばらくすると、違和感が出てきます。
この練習をやっているのに、全然できるようにならない。

ここでようやく、自分が分析できていなかったことに気づきます。
そして、何を練習すればいいのか分からなくなり、悩み始めます。

この時期が、一番大事だと思っています。
ここは泥臭くやるしかない場所です。
悩んでいる時間そのものが、次の段階への材料になっていきます。

③ 第3段階:試合から逆算して組み立てられる

その時期を過ぎると、ゲームのなかで起きている問題と、その原因を意識して見られるようになります。
ここで初めて、試合から逆算して練習をデザインできるようになります。

ここに到達するまでが、一番難しく感じるところかなと思います。

2年、3年とキャリアを重ねて、同じ学年を見続けていると、傾向も見えてきます。
U-10だとこういうことが起きる。
U-12にはこういう傾向がある。
あの時この練習をしたらうまくいったから、また使ってみよう、という判断もできるようになります。

④ 第4段階:見た瞬間に分かる

さらに進むと、試合を見た瞬間に「これだ」と分かる感覚が出てきます。
僕もまだまだですが、10年前や20年前には気づかなかったことに、一瞬で気づけるようになってきました。

そうなると、トレーニングメニューの扱い方も変わってきます。
同じメニューを使っていても、まったく違うアプローチができるようになります。

⑤ 途中にある落とし穴:形ができると、変えられなくなる

ただし、第3段階のあたりに落とし穴があります。
自分の形ができてくることです。

形ができること自体は悪くありません。
問題は、その形から出られなくなることです。

たとえばドリル形式でうまくいった成功体験があると、それを捨てられなくなります。
捨てられないので、グローバルなトレーニングのなかで技術を伸ばす、といったやり方に踏み出せなくなります。
毎年同じ練習を繰り返して、指導者としての進化が止まっていく、ということが起こります。

こういう時は、違うカテゴリーを見てみると景色が変わります。
ずっとU-11を見てきた人が、ふとU-15を見た時に、「この年代がこうなるなら、自分がU-11でやってきたことは違うのではないか」と気づく。
そういう視点が持てると、育成に対する幅と深さが変わってくるかなと思います。

3. 23年前のファイルに、練習メニューが200個ありました

① 2003年、まだ少年団だった頃の記録

先日、昔の資料を引っ張り出していたら、分厚いファイルが出てきました。
2003年に作ったものです。
今から23年前で、うちのクラブがまだ少年団だった頃のものでした。

中を開いたら、練習メニューがずらっと並んでいました。
数えてみたら、200個くらいありました。

手書きではありません。
当時のワープロソフトで作ったもので、図解とポイントが1枚ずつ書き込んでありました。
「2003年11月、火曜と木曜の練習メニュー、何時から何をやる」という予定まで残っていました。
雑誌から切り取った資料も一緒にファイリングされていました。

② あの頃は、手作業に1日かかっていました

10年以上前は、出場時間の管理をエクセルでやっていました。
プレイモデルも年間計画も、パワーポイントで作っていました。

プランニングとフィードバックの作業だけで、1日つぶれることもありました。
指導者として通らなければいけない道だとは思っていましたが、時間がかかりすぎていたのは事実です。

③ 今は、1日20分で足ります

今は道具があるので、同じことがずっと短い時間でできます。

練習前に10分だけ取って、今日のトレーニングと気をつけたいことを確認する。
終わったら10分振り返る。
1日20分あれば足ります。

1週間で見るなら、日曜の夜に15分から30分だけ使って、来週のトレーニングを組み立てる。
試合が終わったら15分、記録をつけてみる。
週に1時間か2時間で十分だと思います。

4. 記録がないと、指導も子どもの頑張りも消えていきます

① 書き出すと、できていないことが見えます

練習メニューを一度も書き出したことがないという方は、まず1本作ってみてほしいと思います。
自分が練習を組み立てることをどれだけ苦手にしているか、言語化できていないかが、すぐに分かります。
それが分かるだけでも、やってみる価値はあるかなと思います。

そして、作ったものを紙に出して、現場に立ってみてください。
予定したとおりに進まない、という事実が見えてきます。

書き出したものがなければ、うまくいっていないことにすら気づけません。
その時間は指導者にとって資産のはずなのに、そのまま流れて消えていきます。

試合も同じです。
4月にどんな試合をしていたチームが、半年後にどんなプレイを出せるようになったのか。
記録がなければ、指導した時間も、子どもたちが頑張ってきた時間も、見えないまま流れていきます。

これは、指導者にとっても選手にとっても、とても大きな財産だと思っています。

② 10人聞いていて、やるのは1人か2人です

正直に言うと、ほとんどの人はやりません。
このポッドキャストを聞いてくださっている方でも、実際に始めるのは10人のうち1人か2人だと思います。
4人か5人いれば多い方かなと思います。

日本の育成年代に指導者が10万人いるとして、そのうち1万人が記録をつけているかというと、僕はつけていないと思います。

だからこそ、やるかやらないかで差がつきます。
1年やるか、3年やるか、10年やるかで、積み上がるものがまったく変わってきます。
これは、僕自身が20年ほど続けてきて痛感していることです。

③ まずは3ヶ月だけ、試してみてください

やることはシンプルです。

・練習を組み立てる
・現場でやってみる
・終わったら振り返る
・その振り返りをもとに、次を組み立てる

この繰り返しだけです。

1ヶ月、できれば3ヶ月続けてみると、違う景色が見えてくると思います。
うまくいかなかった記録も含めて、全部が次の材料になります。

まとめ

・練習メニューで迷う正体は、メニューを知らないことではなく、ゲーム分析とやるべき練習がつながらないこと
・迷い方には4つの段階があり、第2段階(自分の分析に自信が持てない時期)が一番大事
・第3段階のあたりで自分の形ができると、今度は練習を変えられなくなる落とし穴がある
・知識と現場のあいだにあるのは、プランニングとフィードバックという地味な作業
・記録がなければ、指導した時間も子どもたちの頑張りも見えないまま流れていく
・週に1時間か2時間、3ヶ月続けるだけで景色が変わる

この記事では、練習メニューで迷う理由と、指導者としての4つの段階について解説しました。
どの段階にいても、やることは同じです。
組み立てて、やってみて、振り返る。
この繰り返しを、まずは3ヶ月だけ試してみてください。

なお、この「組み立てて、振り返る」作業を少しでも軽くするために、練習メニューを図で作れる無料のアプリを配布しています。
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