こんにちは、講師のカズです。
ジュニアサッカーの指導では、練習メニューを作って、1日のトレーニングを組み立ててから現場に立つことが、指導者の基本中の基本だと僕は考えています。
ただ、これが意外とできていない方が多いと感じることがあります。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・仕事が忙しくて、毎回練習メニューを作る時間がない
・練習の時間配分が正しいのか、自信がない
・頭の中にイメージはあるので、紙に書き出す必要を感じない
この記事では、僕が実際に出会った「練習メニューを作らない指導者」の話をもとに、なぜ書き出すことが大切なのか、1日のトレーニングをどう組み立てるのかを解説します。
この記事を読めば、練習の組み立ての基本が整理でき、明日からのトレーニングの質が一段階上がると思いますので、最後までご覧ください。
1.練習メニューを作らずに現場に立つ指導者は、意外と多い

①「練習メニュー、作ってないです」と言った指導者の話
僕が過去に一緒に活動したことのある指導者の方の話です。
その方は長くサッカー指導をやっていて、外から見ると、わりかし勉強熱心な方だなと僕も思っていました。
ある日、「練習メニューってどうしてるんですか」と聞いたところ、返ってきた答えは「練習メニュー、作ってないです」でした。
これだけ長く指導をやっていて、自分でも勉強熱心だと自認している方が、メニューを作っていない。
では普段どうやって現場に立っているのかと聞くと、「頭の中にトレーニングのイメージはあるので、手ぶらで行きます」とのことでした。
僕は冗談で「勇気あるね」と返しましたが、正直、僕なら怖くてできないなと感じました。
②頭の中のイメージだけでは、武器にならない
念のため「昔はしっかり作り込んでいて、今は即興でできるようになった、ということですか」と聞いてみました。
答えは「昔から作っていない」でした。
何の武器も持たずに、よく現場に立てるなと、ある意味で感心したのを覚えています。
もちろん、頭の中にイメージを持つこと自体は悪いことではありません。
ただ、そのイメージが本当に成立しているのかは、外に出してみないと分かりません。
そして実際に外に出してもらったところ、基本が抜けていることが分かりました。
2.紙に書き出すと「基本の抜け」が見える

①ウォーミングアップとミーティングが抜けていた
その方に、こんなお願いをしてみました。
「90分のトレーニングを、アンダー11を対象として、紙に書き出してみてください」と。
すると、いきなり「トレーニング1」から書き始めたので、「あれ、ウォーミングアップはなし?」と聞くと、「ウォーミングアップはこの前にやりますよ」と言います。
「いや、それも紙に書いてください」と。
ウォーミングアップを書いたら、今度は「ミーティングは最初にやらないの?」「ミーティングはしますよ」「それも書いてください」というやり取りが続きました。
つまり、コミュニケーションに3分、ウォーミングアップに7分、トレーニング1に何を何分、という形で1日を組み立てたことが一度もなかったわけです。
書き出す習慣がないから、頭の中では要素が抜け落ちていても気づけません。
ちなみに「最初のコミュニケーションでは何をするの?」と聞くと「挨拶ですね」という答えでした。
最初のコミュニケーションの時間は、挨拶だけではなく、選手の状態をしっかり観察するための大切な時間だと僕は考えています。
②時間配分の基本は「簡単・低強度から、複雑・高強度へ」
さらに、トレーニングの中身を組み立ててもらうと、時間配分に大きな問題がありました。
例えば、トレーニング1が15分、トレーニング2が15分、ポジショントレーニングが30分、最後のゲームが15分、といった配分です。
小学生に30分のポジショントレーニングをやらせたら、途中で休憩を挟む必要があります。
では休憩を入れて、同じトレーニングをもう1回やるのか。
そして、子どもたちが一番楽しみにしているゲームが最後に15分だけでは、盛り上がりに欠けます。
90分のトレーニングであれば、例えばこういう配分が基本になると思います。
・テクニック系のトレーニングを15分×2本(計30分)
・ポゼッションなどのトレーニングを25分
・別のトレーニングを20分
・最後にゲームを25分
大切な原則は、トレーニングは「簡単で強度が低いものから、複雑で強度の高いものへ」進めていくことです。
最初にポゼッションを30分やって、次にドリルを30分、最後にゲームを15分、という組み立ては、この原則から外れています。
そもそも「ドリルを30分もやるのか」という問題もあります。
ドリルトレーニングの特徴を知っていれば、30分という設定にはならないはずです。

③書き出すことは「指導の可視化」
紙に書き出す、あるいはデータとして残すことが何を意味するのか。
それは、記録や管理のためだけではなく、指導者のやっていることが可視化されるということです。
書き出してみると、「ちょっとドリルが長いな」「ここはおかしいな」と自分で気づけます。
感覚だけでやっていると、この「気づき」が起きません。
僕自身は、わりかし紙で持つタイプで、必要な時には練習メニューをプリントアウトして、折りたたんでポケットに入れて現場に立つ、ということをよくやっていました。
形は何でもいいと思いますが、外に出して自分の目で見られる状態にしておくことが大切です。
3.1つのメニューよりも「1日の組み立て」、その先にプランニング

①トレーニングは逆算で決まっていく
練習メニューというと、1つ1つのメニューの引き出しを増やすことに意識が向きがちです。
ただ、本来の考え方は逆で、上から順番に決まっていくものです。
・年間のプランニングがあり
・そこから中期・短期(最低でも3ヶ月ぐらい)のプランニングが決まり
・その中で1週間のトレーニングが決まり
・1日のトレーニングが決まり
・その中の1つのメニューが決まる
3ヶ月後にチームがどういう状態になっていて、選手に何を獲得させたいのか。
そこから逆算するからこそ、今日の練習でやるべきことが決まってくるわけです。
②経験が浅いうちは「1日の組み立て」から練習する
とはいえ、プランニングには確かに難しさがあります。
経験がないと、1年後に選手たちをどこまで成長させられるのか、イメージがつきにくいからです。
だからこそ、経験がまだ浅い方は、せめて1週間なり1日のトレーニングをちゃんと組み立てる練習から始めることをおすすめします。
1日の組み立てがきちんとできることは、サッカーコーチであれば当然求められる部分です。
まずは今週の練習を、ミーティングの時間から最後のゲームまで、時間配分込みで紙に書き出してみてください。
それだけで、自分の練習の癖や抜けが見えてくると思います。
4.コーチの成長は「習慣」で決まる

①良い習慣の3年間と、思いつきの3年間
サッカーコーチも、選手と同じで、習慣(ハビット)の問題だと僕は考えています。
昔から、サッカーではグッドハビット、バッドハビットという言葉がありますが、習慣には良い習慣と悪い習慣がありますよね。
トレーニングメニューをちゃんと作り、キーファクターを事前に準備し、1日の練習をきちんと組み立てる。
そういう良い習慣を身につけて3年間指導した方と、その場その場の思いつきで3年間練習した方。
この2つの3年間では、指導者としての成長がめちゃくちゃ変わると思うんですよね。
即興で現場を回せることは、ある意味では高度なスキルです。
ただ、準備の習慣がないまま年数だけを重ねると、経験が積み上がっていきません。

②まずは「書き出すこと」から始める
指導者の仕事は、突き詰めればトレーニングと試合の2つです。
その大きな柱であるトレーニングの質は、現場に立つ前の準備でほとんど決まっています。
今ではスマホやパソコンで練習メニューをデータとして管理することも簡単になりました。
紙でもデータでも構いませんので、まずは1日のトレーニングを書き出すことを、良い習慣の第一歩にしてみてください。
まとめ

この記事の要点をまとめます。
・練習メニューを作らず、頭の中のイメージだけで現場に立つ指導者は意外と多い
・紙に書き出すと、ミーティングやウォーミングアップなどの「基本の抜け」が可視化される
・時間配分は「簡単・低強度から、複雑・高強度へ」が原則
・本来は年間→3ヶ月→1週間→1日→1つのメニューの順に、逆算で決まっていく
・良い準備の習慣を持つ3年間と、思いつきの3年間では、指導者としての成長が大きく変わる
この記事では、練習メニューを書き出すことの意味と、1日のトレーニングの組み立て方について解説しました。
まずは次の練習を、時間配分込みで書き出すところから、皆さんの指導現場でも試してみてください!
なお、僕は練習メニューの作成と1日のセッションの組み立てが5分でできる無料アプリ「TRAINING DESIGNER」を配布しています。
メニューをストックしておけば、1日のセッションをパパッと組み立てられて、現場ではスマホで確認できます。
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