ロンドの応用とは?【少年サッカー】人数を変えずに練習を変える方法

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代の練習メニューを考えるうえで、ロンド(少人数のボール回し)はとても優れた形式だと思っています。
僕自身、9歳、10歳ぐらいから高校生年代まで、ロンドを入れない練習の方が珍しいくらい、長く使い続けてきました。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・ロンドをやっているが、いつも同じ形の繰り返しになってしまう
・「応用」と言われても、人数や形を変えるくらいしか思いつかない
・基本の練習メニューを、どう発展させればいいのか分からない

この記事では、僕がロンドを重要視している理由と、「応用とは何をすることなのか」という考え方を、実際に使っている3つのロンドを例に解説します。
この記事を読めば、手持ちの練習メニューを増やさなくても、1つのロンドから別の練習を生み出せるようになると思いますので、最後までご覧ください。

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1. ロンドが優れている2つの理由

①プレイが途切れない

まず1つ目の理由は、プレイが途切れないことです。

シュート練習のような一方向に進めるトレーニングは、1本ごとにプレイが途切れます。
一方でロンドは、攻撃の局面がひたすら続きます。
プレイが止まらないので運動量も確保できますし、判断の回数も自然と多くなります。

この「トレーニングの構造自体が良い」というのが、僕がロンドをよく使う最初の理由です。

②戦術とテクニックが凝縮される

2つ目の理由は、こちらの方が大きいのですが、オーガナイズによって、かなりのところまでテクニックアクションと戦術コンセプトを詰め込めることです。

僕はよく「サッカーにおけるフラクタル性」という話をします。
8人制と11人制は何が違うのかと言うと、どちらもサッカーという意味ではフラクタルな関係にあります。
変わるのは複雑性で、人数が増えれば複雑性が増し、減れば複雑性が下がります。

ロンドは、5対5+2サーバーのような人数の多いポゼッションに比べると、複雑性が下がった形式です。
複雑性が下がると、プレイの選択肢や戦術的な要素が絞られて、簡略化されます。
つまり、学ばせたい要素だけを凝縮して取り出せる練習構造だということです。

ロンドについての基本的な考え方は、こちらの記事でも解説しています。

2. 応用とは「制約を足して、練習の主語を変える」こと

①人数や形を変えることではありません

「基本の練習メニューを応用する」と聞くと、人数を増やすことや、コートの形を変えることをイメージする方が多いと思います。

僕の考えは少し違います。
応用とは、制約を足したり変えたりして、その練習の目的、いわば「練習の主語」を変えることです。

タッチ数、コートの大きさ、オーガナイズ、ノルマ。
こういったものを変更することで、同じ形のロンドから、まったく違う現象を生み出すことができます。

②ミニマムで落とし込み、複雑性を上げて確かめる

僕の場合は、6人や7人ぐらいのロンドの中で、まずプレイのコンセプト(プレイモデルの原則や、普遍的な戦術)を落とし込みます。

そのうえで、5対5+5や7対7+2のように人数を広げて、複雑性が増した中でも同じプレイができるかを見ます。
できない時に、どんなプレイが生まれてくるのかを観察するのも大切なポイントです。

ミニマムな形で学び、複雑な形で確かめる。
この行き来が、僕のトレーニングの基本的な流れになっています。

3. 同じ6人組が別の練習になる、3つの例

ここからは、実際に僕が使っている3つのロンドで、「何を足すと、何が変わるのか」を具体的に見ていきます。
3つとも、解説動画をYouTubeに公開しています。

①動きを足す:4対2ロンド+モビリティ

1つ目は、4対2のロンドに「パスを出したら必ず別のスペースへ移動する」というルールを足したものです。

このルールを足すと、何が起きるか。
パスを出した選手が移動すると、元いたスペースが空きます。
周りの選手はそのスペースを使わないといけませんし、パスを出した本人も、適当に走るとリターンのパスラインが消えるので、もう一度違うスペースで受け直す意識が必要になります。

つまり、スペースの活用が学べるロンドに変わります。

スペースの活用は3つあります。
スペースを作る動き、スペースを使う動き、スペースを埋める動きです。
「作る・使う」はよく聞くと思いますが、「埋める動き」があることで、グループ全体のバランスが保たれます。

僕はこうした普遍的な戦術を「戦術コンセプト」と呼んでいます。
プレイモデルが変わっても、一定数必要とされる戦術アクションのことです。
育成年代では、特殊な戦術よりも、どのサッカースタイルでも必要とされる普遍的な戦術を優先して落とし込みたいと考えています。

このメニューの詳しい解説は、こちらの動画をご覧ください。

②方向を足す:2対1+2対1の前進型ロンド

2つ目は、ロンドに方向性を足した形です。

4対2のロンドを2つのコートに分解して、片方のコートは2対1、もう片方のコートも2対1。
選手はゾーンをまたぐことができず、パスやドリブルでボールをもう片方のコートへ前進させます。

これは、例えば8人制の2-3-2で、2バックのビルドアップがうまくいかない時に使えます。
数的優位のはずなのに前進できない原因を観察すると、パスと運ぶドリブル(コンドゥクシオン)の使い分けができていない、パスで相手のプレスラインを超えるポジショニングが取れていない、ボールを運んだ後に中盤の選手がボールに寄ってしまう、といった問題が見えてきます。

「数的優位なのに、うまく外せない」。
この問題を、6人だけでトレーニングできる形です。

このメニューの詳しい解説は、こちらの動画をご覧ください。

③文脈を足す:2対2+2サーバーのロンド

3つ目は、長方形の両端にサーバーが1人ずつ立ち、中で2対2を行う形です。
これも人数だけ見れば4対2と同じ6人組ですが、今度はデスマルケ(マークを外す動き)がトレーニングされます。

さらに「サーバーからサーバーへのパスはダイレクトのみ」という制約を足すと、楔のパス、いわゆるラインを飛ばす縦パスの要素が入ってきます。
ビルドアップで中盤を経由せずにフォワードへ縦パスを入れ、入った後に素早く中盤がサポートする。
試合の文脈が、ロンドの中に入ってくるということです。

このメニューの詳しい解説は、こちらの動画をご覧ください。

動きを足す、方向を足す、文脈を足す。
同じ6人組のロンドでも、足すものを変えるだけで、練習の主語がまったく別のものに変わります。

4. 練習メニューは「文脈」に合わせて調整する

①誰にでもロンドが正解ではありません

ここまでロンドの話をしてきましたが、どんなグループにもロンドが正解というわけではありません。

僕は今、週に1回、幼稚園の年長さんのグループも担当していますが、そこではロンドはやりません。
「まず楽しんでサッカーをやろう」というコンセプトのグループなので、ファン系のメニューやボールフィーリングが中心になります。

低学年ならファン系やコーディネーション系、中学生以上ならフィジカルを統合したメニューというように、年齢、レベル、チームの文脈によって、提供する練習は変わります。

②バリエーションのストックが判断を支える

だからこそ、練習メニューを考えるうえで大切なのは、いろんなスタイルのメニューのバリエーションを持っておくことだと思います。

ファン系、コーディネーション系、ドリル、ロンド、ポゼッション。
引き出しがあるほど、目の前のグループの文脈に合わせた調整ができます。

まずは、その練習メニューが自分の担当するグループの文脈に合っているかを確かめて、チューニングしていく。
そこが最初の段階かなと思います。
成功と失敗を繰り返しながら、やっていくしかない部分でもあります。

まとめ

・ロンドの強みは「プレイが途切れない」ことと「戦術とテクニックが凝縮される」こと
・人数が変わると複雑性が変わる。ロンドは学ばせたい要素を取り出せるミニマムな形式
・応用とは、人数や形を変えることではなく、制約を足して「練習の主語」を変えること
・動きを足せばスペースの活用、方向を足せば前進、文脈を足せばマークを外す動きの練習になる
・どの練習を選ぶかは、年齢・レベル・チームの文脈に合わせて調整する

この記事では、ロンドの応用の考え方について解説しました。
いつもの4対2に、まず1つだけ制約を足してみる。
それだけで練習の景色が変わると思いますので、皆さんの指導現場でも試してみてください!

なお、この記事で紹介した3つのロンドは、盤面のアニメーションとキーファクター付きのデータを、無料の練習メニュー作成アプリ「TRAINING DESIGNER」で配布しています。
アプリに取り込めば、配置を自分のチームに合わせて動かすこともできます。
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