こんにちは、講師のカズです。
この記事は、読者の方からいただいたご質問をもとに解説します。
以下、ご質問の内容です。
小学生年代における
1.ロングスロー戦術
2.勝つための時間稼ぎ
についてどう思いますか?
ジュニア年代のサッカー指導では、「試合に勝つための戦術」をどう捉えるかがとても重要です。
しかし、「ロングスローってアリなの?」「時間稼ぎって指導していいの?」と聞かれると、答えに迷ってしまうこともあるかと思います。
僕自身も、昔は「勝つためなら当然」と思っていた時期がありました。でも経験を重ねる中で、その考え方も少しずつ変わってきました。
この記事では、僕の実体験をもとに、育成の視点からこの2つの考えをどう捉えるべきか、深掘りしていきます。
最後まで読めば、ジュニア年代で“勝ちにこだわること”と“育てること”のバランスが見えてくると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
※この記事はポッドキャストでも解説しています。
1. ロングスロー戦術はアリかナシか?

①セットプレーとしての効果はある
ロングスローは、ある意味“スローイン版のコーナーキック”のようなもので、一定の得点チャンスを生むセットプレーです。
実際に、僕が6年生を担当していた時にも、1人だけ異常にスローインが飛ぶ子がいて、終盤の試合で自主的にロングスローを多用していました。
僕はそれを特に指導していたわけではありませんが、本人が楽しそうにやっていたので「否定はしなかった」という感じでした。
②“そればっかり”になるのは違う
ただし、「ロングスローだけで試合を勝とう」となると話は別です。
「とにかくタッチライン付近に蹴って、ロングスローで崩す」みたいな戦い方を徹底すると、サッカーの本質から離れてしまいます。
ロングスローが「武器の一つ」になるのは良いですが、それを“主戦術”にするのは育成上おすすめしません。
③指導者の価値観が問われる
僕自身は、セットプレーの練習をあまり重視していません。
※語弊が内容にいいますが、セットプレーのトレーニングが必要かどうか、ではなく、僕の好みの問題です。
それよりも、「どうやってボールを運ぶか」「どうフィニッシュまで持っていくか」といった“流れの中のサッカー”を育成年代では大切にしたいと考えています。
ただ、子どもたち自身がアイデアを出してロングスローを活かすなら、それはそれで素晴らしい経験になると思います。
2. 時間稼ぎって指導していいの?

①昔は「勝つために当然」だった
昔の僕は「時間稼ぎも戦術の一部」と思っていました。
勝っている状況であれば、ファウルをもらってゆっくり起き上がる、リスタートをゆっくり行う――それも“試合運びのうまさ”だと過去には思っていました。
②今は「日本人らしくない」と感じる
最近は、その考え方も変わってきました。
なぜかというと、日本人の文化や価値観からして「ずる賢さ」ってあまり良いイメージがない。
というか懸念されます。
例えば「マリーシア(ずる賢さ)」が話題になったこともありましたが、日本人はそれを“賢い”とは思えない感覚があります。
③文化を無視した戦術は定着しない
スペインや南米の文化圏では、時間稼ぎやプロフェッショナルファウルが“当たり前”かもしれません。
でも、それはその国の歴史や文化が背景にあるからであって、日本のサッカーにそのまま輸入してもうまくいかない。
僕は「日本のサッカーを育てるには、日本の文化を土台にしたほうがいい」と考えています。
3. 勝つことと育てることのバランス

①“勝利至上”は育成と矛盾する
ロングスローも時間稼ぎも「試合で勝つための手段」です。
でも、ジュニア年代は「勝つこと」だけが目的ではなく、「育てること」が目的であるべきです。
試合に勝つことは大切ですが、その手段として“子どもらしさ”を失わせるような戦術は、本末転倒かなと思います。
②選手の中に選択肢を持たせる
とはいえ、試合終盤で「落ち着いてプレーしよう」と選手自身が判断してゆっくりプレーする――これは非常に価値があります。
そういう“ゲームコントロール”を学ぶのは大事です。
だからこそ、大人が「時間稼ぎしろ!」と教えるのではなく、選手が自然に学べる環境を作ることが大切だと思います。
③僕の立ち位置:文化と感覚を大切に
僕自身、日本人としての感覚を大切にしたいと常に思っています。
サッカーは世界共通のスポーツですが、指導の仕方や価値観は国ごとに違っていい。
むしろ、日本らしさを追求することこそが“ジャパンズウェイ”につながると信じています。
4.まとめ
・ロングスローは効果的な戦術だが、“そればかり”になるのは育成上良くない
・時間稼ぎも状況によっては必要だが、“ずる賢さ”を指導するのは日本人の文化に合わない
・勝つことより「どう育てるか」を基準に、戦術を選んでいく姿勢が大切
この記事では、小学生年代におけるロングスローと時間稼ぎについて解説しました。
ぜひ、皆さんの指導現場でも「子どもたちの成長」を第一に考えながら、戦術の選択をしてみてください!