こんにちは、講師のカズです。
子どもたちの指導現場に立つと、サッカーに対して意欲的に取り組む選手とそうでない選手がいます。
せっかくサッカーを始めたのだから、どうせなら一生懸命に取り組んでほしいと思うのは、僕ら大人が抱く一般的な感覚ではないでしょか。
しかしサッカーを始めたばかりの子どもに過度な要求をするのは間違いです。
大事なのは子どもたちのサッカーに対する動機を少しずつ変化させること。
この記事では、サッカーを始めたばかりの子どもに対する指導、最初にコーチが取り組むべき外発的動機づけについて解説します。
幼い子どもの指導が苦手、クラブに低学年生が少ないなどの問題がある方はぜひ読んでみてください。
この記事を読めば、サッカーを始めたばかりの子どもへの指導方法がわかります。
1.サッカーを始めたばかりの子ども

①最初の動機は単純なもの
子どもたちがサッカーを始めたばかりの頃の動機はとても単純なものです。
・友達がいるから
・楽しそうだから
・なんとなく
もちろん最初からサッカー選手になりたいという子どもはいますよね。
しかしそのような子でも年齢が低ければ高学年と同じようには扱えません。
同じようなモチベーションでも、年齢による特性が違います。
つまりサッカーを数年経験してきた高学年生がサッカーに取り組む姿勢と、まだサッカーを始めたばかりの幼児・低学年生ではサッカーに対する動機が違うということ。
最初にここを理解していないと、間違った指導をしてしまうことになります。
②サッカーをやめたくなる時
サッカーに対するモチベーションがまだ低い子どもたちが、サッカーをやめたくなる理由は1つです。
楽しくない。
シンプルにこれだけの理由です。
なぜこのような問題が起きるのか。
理由は簡単で、コーチがサッカーの楽しさ、そのクラブでサッカーをすることの楽しさを伝えきれていないからです。
すごく単純なことですが、実は注意すべき点があります。
それはサッカーの楽しさには様々なものがあり、それらは子どもたちのモチベーションによって異なるからです。
・身体を動かすことが楽しい
・コーチが楽しい
・できるようになる喜び
・競争に勝つ楽しさ
・努力が報われる嬉しさ
他にも色々ありますが、これらの楽しさは質が異なります。
またこれらの楽しさは、コーチが子どもたちが選手へ提供するものでもあります。
つまり子どもたちのモチベーションの段階とコーチが提供するものとの間にギャップが生まれる時、子どもたちはサッカーから離れていきます。
これは逆の場合も同じです。
サッカーに対する意識が高い子どもに、低いレベルのことを要求しても楽しくありません。
③要求レベルを上げるのは内発的動機づけの後
子どもたちに質の高い楽しさを提供する、もしくは高いレベルのことを要求するのは、サッカーに対する動機が十分に高まった後です。
心理学の言葉で言うと、内発的動機づけが十分に育まれている状態。
つまり最初はサッカーに対する動機はそれぞれだけど、その後少しずつ内発的動機づけを高めて行くことが必要です。

2.最初のアプローチは外発的動機づけ

ではサッカーを始めたばかりの子どもたちの指導はどのようにするべきでしょうか。
ここでは外発的動機付けという言葉を使って説明します。
①外発的動機づけとは?
外発的動機づけとは心理学の用語で内発的動機づけとセットで語られます。
内発的動機づけを簡単に説明すると、自分の内側から起こる感情で、自らがサッカーが上手くなりたいと感じたり、そのために努力しようという気持ちがある状態。
誰かに言われるからではなく、自分自身でそう思えている状態です。
反対に外発的動機付けとはそのようなモチベーションを外側から与えられている状態。
代表的な例として試合に勝ったらご褒美をあげる、負けたら罰走などといった報酬と罰があります。
これだけ聞くと、それは指導としてよくないと感じると思いますが、サッカーを始めたばかりの子どもには有効で、ここを掘り下げて考える必要があります。
②アプローチ方法
外発的動機づけは、実はいろんな場面で自然な形で行われています。
・子どもに学習の習慣をつけさせるために褒める
・先生が宿題に金色のシールを貼ったり花丸をつける
・物を大事にしない子を叱る
これらをサッカーに落とし込むとどうなるでしょうか。
・良いプレーをして認められる
・失敗してもチャレンジしたことを褒められる
・リフティングが〇〇回できたらシールをもらえる
これらは1つの例ですが、このようなアプローチは外発的動機づけと位置付けられますね。
③コーチが具体的に取組むこと
こうやって見ると、サッカーを始めたばかりの子どもへのアプローチはひたすら外発的動機づけを行うこととも言えます。
最初はとにかくサッカーを楽しませて、少しずつモチベーションを変化させる。
このプロセスなしでは、次の段階に進むことはできません。
そのためサッカーを始めたばかりの子どもに対するコーチの接し方は以下のようになります。
・ユーモアを交えて楽しいコーチだと思わせる
・失敗してもチャレンジしたことを褒める
・ちょっとしたことでも褒める
・ゴールを決めたら選手と一緒に喜ぶ
・ひたすら練習を盛り上げる
上記は例ですが、このように最初は子どもたちに単純な楽しさをひたすら提供することから全ては始まります。
その後子どもたちがサッカーに対してのめり込み出したら、少しずつ楽しさの質を変化させて、内発的動機づけに持っていきます。

3.実際の指導例

最後に僕が所属しているクラブの形態と指導方法について解説します。
これらが全てのクラブに当てはまるわけではないですが、何らかの参考になれば幸いです。
①普及部門の展開
僕のクラブではジュニア年代の指導において2つのコースを設定しています。
1.育成コース
2.スクールコース
育成コースはサッカーの専門性を高めるコースで、ハイレベルな選手を輩出することを目的としています。
つまり内発的動機づけが高まっている選手が対象となるコース。
スクールコースは主に、サッカー初心者の未就学児や小学生の低学年生が対象。
サッカーに対するモチベーションはまだ低いけれど、興味を持った段階の子どもたちが所属しています。
このようにコースを2つに分ける理由はもうお分かりだと思いますが、サッカーに対するモチベーションでグルーピングされているということです。
グルーピングすることで、提供するサッカーの楽しさの質、取り組み・プレーへの要求度を使い分けることができます。
僕がスクールコースを指導する時は当然、まずは外発的動機づけを十分に行い、少しずつ内容を変化さえて行きます。
②単一クラブでのグルーピング(例)
クラブの事情により2つのコースを設定できない場合は、クラブ内でグルーピングすることができます。
1年生〜6年生までを大きく低・中・高学年に分けてグルーピングし、それらに応じてサッカーの楽しさの質やプレーに対する要求レベルを変えることができます。
この場合、低学年生にはこの記事の内容のように外発的動機付けを行い、中・高学年になるにつれて変化させるということが可能です。
この方法で難しいのは低学年だけど意欲がありレベルが高い選手がいる場合や、高学年だけど意欲が低い選手がいる場合。
低学年生を飛び級させるのはそんなに難しくないですが、高学年生を下のクラスに入れるのは注意が必要です。
クラブとして明確な考えと、理屈がいるだけでなく、子どもへのケア、きめ細かなマネジメントが必要になります。
③同じグループでモチベーションが違う
クラブの人数によっては、どうしても同じグループ内に異なるモチベションの子どもが混在するということがあります。
これは僕のクラブでも実際によくある例ですね。
ここでのポイントは、同じグループ内で更にグルーピングする、もしくはコーチングのレベルを変えることです。
外発的動機づけが必要な選手への声かけ、内発的動機づけが十分な選手への声かけ、それらを使い分けながら指導していきます。
実際これは、コーチの力量がかなり問われる部分ですが、モチベーションが高い子が退屈しないように、低い子が劣等感を感じないようにマネジメントする力が必要です。
以上、今回はサッカーを始めたばかりの子どもに対するアプローチと、指導方法について解説しました。
最初は外発的動機づけを上手く使って、その後内発的動機づけに変化させる。
サッカーを始めたばかりの子どもに適したコーチングを行いましょう。