少年サッカーの練習は週何回・何分?【時間配分と組み立ての基本】

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導では、練習メニューの中身と同じくらい、練習をどう組み立てるかがとても大切かと思います。ただ、この「組み立て方の基本」は、意外と学ぶ機会がありません。

例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。

・週に何回、1回に何分の練習が適切なのか分からない
・90分の練習を、何から始めてどう並べればいいのか迷う
・1つの練習メニューの中で、いつ止めて、いつ声をかければいいのか分からない

僕自身、10年ほど前にスペインのバルセロナに留学し、カタルーニャサッカー協会のコーチングスクールに通いました。そこで「メトドロヒア(メソッド論)」という科目を受けたのですが、そこで教わったのは、当たり前のようで、日本ではあまり体系的に教わらない基礎でした。

この記事では、週何回・1回何分という練習時間の目安から、90分の練習の3つのパート、1つの練習メニューの中の時間配分まで、その基礎を解説します。この記事を読めば、自分の現場の事情に合わせて練習を組み替える時の「基準」が持てるようになると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 練習は週何回、1回何分が基本なのか

①年代別の練習時間の目安

皆さんの現場では、練習は週何回で、1回あたり何分で組んでいますか。

これはクラブチームか少年団か、グラウンドの都合はどうか、といった事情で大きく違うと思います。ただ、一般的に言われている目安というものはあります。特にヨーロッパで、だいたい共通して言われている数字です。

・U-8:45〜60分
・U-10:70〜80分
・U-12:75〜90分
・U-14:90分程度
・U-16:90分程度

つまり、小学校高学年になるとマックスで90分、中学生でも90分あれば十分、という考え方です。U-10はそこから10分ほど削り、U-8は60分前後、というイメージです。僕自身は、U-10でも80分くらいまでは問題ないかなと思っています。

回数については、U-9〜U-10くらいからは平日に週3回、週末に試合。これがスペインやヨーロッパでは主流かと思います。U-8くらいまでは、週2回でもいいという考え方です。

②なぜその時間なのか

なぜこの時間になっているかというと、一番は集中力の問題だと思います。

ウォーミングアップから始めて、最後のゲーム形式まで少しずつ強度を上げていく時に、体力的にも集中力的にも、持つのはこのくらいの時間だろう、という考え方です。怪我のリスクも含まれています。もう一つは、だいたい試合時間に近い長さになっている、ということです。

③日本の現場は事情がバラバラ

日本の場合、平日は1日しかグラウンドが取れない、冬場は小学校のグラウンドにナイターがないので60分しかできない、その代わり土日に長く使える、といった現場が多いと思います。

良くも悪くも、いろんな制約がある中で練習を組んでいるのが日本のグラスルーツです。だからこそ、まず「一般的にはこう」という基準を知っておくことが大切になります。

2. 90分の練習を、3つのパートで組み立てる

①最初の20分:体を温めるパート

では、1回の練習を90分とした時に、何から始めてどう並べるのか。大きく3つのパートに分かれます。

最初は、鬼ごっこやウォーミングアップなど、体を温めるパートです。ロンドも本来はここに入ります。最初にミーティングを入れたとしても、15〜20分くらいで、まずここをやります。

②メインの30分

次が、その日の主要な部分です。ポゼッションやシュート練習など、テーマに沿った練習を30分くらい行います。ここまでで50〜60分です。

③最後の30分:ゲームに近い形式

最後に、もう少しゲームに近い形式を30分くらい行います。例えば、シューティングゲームのようなものを15分の2セットで入れる形です。

そして最後に5分ほど、振り返りやセットプレイを入れます。だいたい「20分・30分・30分・5分」というボリュームになります。

一例を挙げると、パスをしながらの動的ストレッチを10分、ロンドを15分、ここまでで25分。次にポゼッションやシュート練習を30分。最後にゲーム形式を15分×2セット。このような組み立てが、一般的な形かと思います。

④単純なものから、だんだん複雑に

もう一つ、よく教えられるのが練習の流れです。体を温めながら、だんだん練習を複雑に、難しく、インテンシティも上げていく。

最初にすごく複雑なことをやって、その後に単純な練習をする、という流れではなく、ルールも動きも単純なものから始めて、少しずつ高度にしていく。これが1日の組み方の基本になります。

3. 1つの練習メニューの中の、時間配分

①最初の3分は「適応」の時間

ここからさらに細かくして、1つの練習メニューの中の時間配分の話です。例えば、1つの練習が20分あるとした時に、その20分をどう配分するか。皆さんは分かりますか。

スペインで教わった時、僕は「ちょっと長いな」と思ったのですが、最初の3分は「適応する時間」とされています。トレーニングの構造に、選手を慣れさせる時間です。例えばローテーションや、「ここで取られたら、ここで交代」というルールを軽く説明して、まずやってみる。この3分では、ミスを指摘したり、いいプレイを褒めたり、フリーズをかけたりはしません。「こういう動きだよ」「やり方は分かった?」「じゃあやってみよう」という感じで、練習の形に体を慣らします。

②7〜10分プレイして、現象を見る

そこから「ここを意識してやってみて」と伝えて、7〜10分プレイさせます。ここで指導者はシンクロコーチングをしながら、起きている現象を見ていきます。「もう少し走って」「もう見えているよ」といった声かけは、この時間に普通にやります。

③フリーズと問いかけは短く

ここまででだいたい10分です。そこで初めてフリーズをかけて、問いかけをします。「ここ、もっとこうしたらどうだろう」という形です。

スペインではこの問いかけに3分とされていましたが、僕の感覚では3分は長いと思います。1分くらいで十分です。

④最後の10分で修正する

問いかけから改善のポイントが出てきたら、最後の10分は修正の時間です。プレイをもっと良くしていく。ここに一番時間をかけます。

まとめると、適応3分・プレイ7分・問いかけ3分・修正10分で、これだと23分ほどになります。だから実際は、2分・7分・2分・10分くらいで、だいたい20分という配分です。

当然、一度やったことのある練習であれば、最初の適応の時間は短くなります。時期や、そのメニューをやったことがあるか、練習の複雑さによって配分は変わりますが、基本はこの形です。

⑤この基本を知らないと、こうなります

意外と、この基本を知らないことで起きていることがあります。

・適応の時間なのに、ミスを指摘してしまう
・フリーズを入れるタイミングが早すぎる
・問いかけが多すぎる
・最後にフリーズした後、残り2分しかプレイできない

僕が以前、海外の某アジアの国でコンサルをしていた時に、印象に残っていることがあります。現地の指導者の方が、練習の最後にフリーズをかけて「もっとここでこうして」と修正を入れる。そして、その後プレイさせずに練習が終わる。動きの説明をした後にプレイさせないのかと、とても不思議な感覚になりました。

1つの練習メニューの時間配分、1日の練習全体の時間配分、そして1週間のプランニング。ここの基礎的な知識が抜けていると、「練習と試合がうまくつながらない」「練習で迷う」ということが結構起きるかと思います。

4. 型を知らないと、型は崩せない

①一般的な配分を知った上で、自分の現場に合わせる

ここまでの時間配分は、大なり小なり差はあっても、だいたいこの形でやるのが一般的です。「誰が決めたのか」と言われれば、スペインなどではそう言われている、というものです。

大切なのは、この一般的な知識を持った上で崩すことです。「小学校のグラウンドの関係で、この組み方はできないから、こう組み替えよう」と考えるのと、そもそも基本を知らずにオリジナルでやってしまうのとでは、意味が違ってきます。

②平日1日と、土曜日5時間、というご相談

以前、このようなご相談を頂いたことがあります。少年団で、平日は1日しかグラウンドが使えない。その代わり土曜日に5時間くらい取れる。練習をどうしたらいいでしょうか、という内容です。

この場合、先ほどの一般的な時間配分はそのままでは使えません。では、どういう工夫がいるのか。ここで「本当はこうしたい」という基準が無いと、「4時間あるから、4時間ずっとドリルをやっています」「3時間ドリルをやって、残り1時間で紅白戦をやっています」というような、組み立てになってしまうことがあります。

そうではなく、基本の時間配分がある中で、「それは理想だからそのままはできない。だからここを崩して、ここはこう変えるしかない」と、自分たちの現場に適応させる。僕がいつも言う守破離ではないですが、型を知らないと、型は崩せません。

僕自身は、スペインで学ぶ前から、昔の本でこの基本を知っていました。今は、学ぶ機会自体があまり無いように感じます。

③メソッド論には、他にもこんな内容があります

今回お話ししたのは、メソッド論のごく基本的な部分です。コーチングスクールのメソッド論には、他にもこのような内容が含まれています。

・プレイモデルの考え方と、プレイモデルから課題をどう抽出するか
・要素還元をしない、システム思考的な捉え方
・「状況判断とは何か」
・文脈のある練習と、文脈のない練習(アナリティコ・グローバル・システミック)
・練習の形式(オレアーダ・ポゼッション・サーキット・適応ゲームなど)
・個人・セクトリアル・インターセクトリアル・チームという階層化
・ノルマ(制限)とコンシグナ(キーファクター)の扱い方

当時の資料を今の視点でブラッシュアップして、分かりやすい形でまとめ直そうと、今取り組んでいるところです。

まとめ

・練習時間の目安は、U-8で45〜60分、U-12以上で75〜90分。平日週3回+週末試合が一般的
・その時間になっている理由は、集中力・体力・試合時間との近さ
・90分は「体を温める20分・メイン30分・ゲーム形式30分・振り返り5分」の3パート
・1つの練習メニューは「適応→プレイ→問いかけ→修正」の順で、修正に一番時間をかける
・問いかけは短く。フリーズの後は、必ずプレイする時間を残す
・型を知らないと、型は崩せない。基本を知った上で、自分の現場に合わせて組み替える

この記事では、練習時間の目安と、90分の練習・1つの練習メニューの時間配分の基本について解説しました。

皆さんの現場は、グラウンドの事情も使える曜日もそれぞれ違い、理想どおりにはできないのが普通です。ただ、基準を1つ持っておくだけで、「では、うちの現場ではどこを崩すか」が考えられるようになります。皆さんの指導現場でも試してみてください!

なお、今回のような時間配分を毎回考えながら、練習メニューを作って並べていくのは、紙やエクセルだと作業量が多くなります。僕はその作業を軽くするために、指導者向けの無料アプリを作りました。練習メニューを盤面で作って保存し、その日の練習に並べて、記録を残すところまでスマホから使えます。無料メルマガに登録していただくと、すぐに使えます。

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