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子どもの自主性が育たない理由は?【少年サッカーの自己決定感】

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導では、選手の自主性や主体性を育てることがとても重要です。

しかし、「自主的に動いてほしい」と思っても、なかなか選手が自分から動いてくれないということはよくあります。

僕自身、過去には選手をコントロールしようとして、結果的に選手の成長を妨げていた時期がありました。

・選手が指示待ちになってしまい、自分から考えて動かない
・練習では言われた通りにやるが、試合になると判断ができない
・失敗すると他人のせいにして、自分で責任を取ろうとしない

この記事では、選手の自主性を育てる上で最も重要な「自己決定感」という概念から、チームマネジメントの本質まで詳しく解説します。

この記事を読めば、選手の自主性を育てるための具体的な方法がわかり、チーム全体が自己組織化していく道筋が見えると思いますので、最後までご覧ください。

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1.自己決定感がなぜ重要なのか

①自己決定感とは何か

自己決定感とは、自分で自分の行動を決めて動いているという感覚のことです。

心理学的には自己決定理論や内発的動機付けと関連する概念ですが、簡単に言えば「誰かにやらされている」のではなく「自分がそう思うからそう動いている」という感覚です。

僕はこの自己決定感を、サッカー指導において最も重要な概念の一つとして捉えています。

これはサッカーだけでなく、勉強でも仕事でも、人生全般において重要な要素だと考えています。

②自己決定感がない時の弊害

自己決定感が低い選手には、いくつかの特徴的な問題が現れます。

まず、失敗への向き合い方が大きく変わります。

何かうまくいかない時に「誰々がこうしたから自分がうまくいかなかった」と他人のせいにする傾向が強くなります。

「コーチに言われたからやっている」「そうしろと言われたから、そうした」という状態では、自分の行動を自分でコントロールしていない感覚に陥ってしまいます。

その結果、物事がうまくいかない時に他責思考になり、「悪いのは自分じゃない」という考え方になってしまいます。

③親子関係での例

極端な例ですが、親子関係でもよく見られる現象があります。

子どもの頃は親の言うことを素直に聞いていたのに、ある年頃になると急に反発して「今まで親の言う通りにやってきた」と不満を爆発させるケースです。

これは完全に子どもの時から自己決定させていない結果です。

親が全て決定していると、子どもは「物事をコントロールするのは自分ではない」という認識になってしまいます。

同じことが僕ら指導者と選手の関係でも起こり得ます。

2.実際の現場での自己決定感の育て方

①ある練習での発見

過去にこんなことがありました。

週末に試合があり、その翌日の練習で、次の公式戦まで少し時間があったので、リフレッシュも兼ねて「自分たちで紅白戦をやろう」と選手に任せてみたことがあります。

単に「楽しく紅白戦しよう」ではなく、「自分たちで今後どこを、どうやって取り組んでいくのか」を話し合わせ、自分たちでテーマを決めて紅白戦をやらせました。

すると、今まで見たこともないくらい選手が活気づき、コーチングもよく飛び、「もっとあーしようこうしよう」と前向きな試合を自分たちで行っていました。

②質問の仕方を変える

他にも以前、ある選手が「コーチ、僕の今の課題はなんですか」と聞いてきたことがありました。

僕は即座に「君は自分の課題は何だと思うの?」と聞き返しました。

すると「多分こういうところだと思います」と答えが返ってきました。
それに対して僕は「じゃあ、それ自分ですでにわかってるよね。そこを取り組んだら。」と。

「自分の課題がこうだと思うけど、ここがうまくいってないから、どうしたらいいですか」という質問なら大歓迎です。

でも「僕の課題はなんですか」という質問に答えても、選手の成長には繋がりません。

③コーチの言葉に依存させない

その選手に「毎朝5時に起きて10キロ走りなさいと言ったら走るの?」と聞いたら、「言われたら走ります」と答えました。

僕は「そういう考え方はやめなさい」と伝えました。

コーチに言われたからやるという考えは、責任の所在を他人に任せていることになります。

自分がどう考え、自分がここが課題だと思ってやってみる。

うまくいかなければ相談する。

この順番が大切です。

まずは自分で考えて決定して、自分の意思で行動を起こす。

④道具の片付けでも同じ

練習終了後の道具の片付けなどでも同じことが言えます。

「誰々は◯◯係」と決めてしまうと、選手は完全にコントロールされ、管理下に置かれた状態になります。

これでは主体性や自主性は育ちません。

コーチが言わないと、コーチが不在になると、自分たちで片付けや準備ができなくなってしまいます。

これは中央制御が強すぎる状態です。

余白を残したマネジメントをすれば、誰かに指示されなくても、自分たちで正しいと思う振る舞いをしていくようになります。

3.指導者としてのスタンス

①コントロールを手放す勇気

自主性や主体性を育てたいと思った時、最も重要なのは、僕ら指導者が全てをコントロールしたり管理することをやめることです。

もちろん放任や無関心になってはいけません。
ただ放置しているだけでは適切なマネジメントにはつながりません。

選手個人やチームという複雑なシステムは、完全にはコントロールできません。

だからこそ、レバレッジポイントを見つけながら、どういう言葉を投げかけたら変化や自己組織化を育んでいくきっかけになるのかを考える必要があります。

②環境をデザインする

僕らのコーチングや立ち振る舞いを、いかに環境の一部としてデザインしていくか。

そして余白をいかに残して、選手の自己決定感を高めていくか。

種を蒔いたら、放任するのではなく、選手がきちんと芽を出して成長していくのを見守ることが大切です。

これはコントロールすることの諦めではなく選手への期待です。

「この選手なら必ずできる」
「彼だったら必ずできるであろう」と信じることです。

コントロールを放棄することは、指導者として重要な考え方であり、それが指導者の理念や哲学になっていきます。

③年齢に関係なく同じ考え方

僕の場合、小学生の低学年でも、高学年でも、中学生でも高校生でも、基本的な考え方は同じです。

年齢やサッカーに対するモチベーションによってばらつきはありますが、自己決定感を大切にするという基本は変わりません。

ジュニア年代は特に保護者の方の影響力が高いですが、子どもが決めるのではなく指導者や保護者といった大人が全てを決めたり決めてしまうと、自己決定感が下がってしまいます。

これは長期的に見て、選手の成長に大きな悪影響を与えます。

まとめ

最後にこの記事のポイントをまとめておきます。

・自己決定感とは「自分で自分の行動を決めて動いている」という感覚
・自己決定感がないと、失敗を他人のせいにし、チャレンジしなくなる
・指導者は全てをコントロールすることをやめ、余白を残すことが重要
・選手を信じて、自己組織化が起きるのを見守る姿勢が大切
・年齢に関係なく、自己決定感を育てることが選手の成長に繋がる

この記事では、チームマネジメントにおける自己決定感の重要性について解説しました。

サッカーの戦術指導においても、テクニックの指導においても、選手の育成においても、この考え方は共通します。

複雑な世の中、複雑なシステムに対して、どういう振る舞いをしていくべきか、自然と見えてくると思います。

皆さんの指導現場でも試してみてください!

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