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代表性と転移とは?【エコロジカル・アプローチ】サッカーの練習を試合で活かす方法

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導では、練習でやったことを試合で発揮させることがとても重要です。

しかし、いくら練習しても試合になると上手くいかないということがよくあります。

僕自身、過去には「なぜ練習でできることが試合でできないのか」と悩むことがありました。

同じように以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。

・練習ではできるのに試合になるとできない子どもたち
・ドリルトレーニングの成果が試合に現れない
・どんなトレーニングが試合に活きるのかわからない

この記事では、エコロジカル・アプローチの「代表性」と「転移」という概念を使って、練習を試合で活かすための考え方から、具体的なトレーニングデザインまで詳しく解説します。

この記事を読めば、なぜ練習の成果が試合に現れないのかが理解でき、子どもたちが試合で力を発揮できるトレーニングが設計できるようになると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 転移とは何か?練習と試合をつなぐ重要な概念

①転移の基本的な意味

エコロジカル・アプローチにおける「転移」とは何かと言うと、要は練習で獲得したスキルが試合で効果的に発揮できているかということです。

練習でやったことが試合に転移しているか、この転移してるかどうかが、トレーニングの評価ポイントになってきます。

普段のトレーニングが良いとか悪いとかいうのは、結局そのトレーニングでやったスキルが試合でちゃんと発揮されているか、効果的に発揮されてるかというところが重要です。

②制約主導アプローチの優位性

エコロジカル・アプローチにある研究結果によると、伝統的なアプローチでのトレーニングよりも、制約主導アプローチの方が、転移率が高いということが明らかになっています。

簡単に言うと、例えば敵がいない状態でのドリブルをひたすらやって、ドリブルの技術がついたとしても、そのドリブル技術が試合で活きるかかというと、なかなか難しい。

それよりも、もう少し制約主導的なアプローチ、つまり状況判断があるようなドリブルの練習をしたほうが、試合で使える(転移する)可能性が高いということです。

これはドリルトレーニングが良い悪いではなくて、わかりやすい例として。

③転移を高めるカギ「代表性」

練習でやったことが試合にどれだけ転移できるのか。

そのカギになるのがトレーニングの根本の概念である「代表性」です。

この代表性が低いトレーニングをやると、転移が起こりにくい。

逆に代表性が高いトレーニングをすれば、転移が起こりやすいというイメージでいいと思います。

2. 代表性を理解する:試合に近い練習とは?

①代表性の定義

代表性が高いトレーニングとは何かというと、実際の試合環境に類似している、似ている、近い状況でのトレーニングです。

実際の試合とやってるトレーニングの類似度というか、どれだけその近い状況でやってるかという中で、近ければ近いほど代表性が高い、遠ければ遠いほど代表性が低いと表現されます。

②8対8だけやればいいのか?という問題

代表性が高いトレーニングをしようとすると、では、例えばジュニアであれば8対8の試合形式のトレーニングが良いのではないか、話になると思います。

8対8のゲームをやれば代表性が高いというか、試合そのものですよね。

「だから8対8やればいいんじゃないか」という考えにもなるんですけども、なかなかそう言い切れない部分があります。

③再現性(プレーの反復回数)の重要性

それは何かと言うと、プレイの再現性、どれぐらい同じプレイを反復できるかという話になってきます。

8対8でゲーム形式のトレーニングやったときに、ではビルドアップの部分っていうのは例えば30分中何分ぐらい出てくるかという問題があります。

逆に言うと、ビルドアップに特化したトレーニングであれば、ビルドアップのシーンが頻繁に現象として現れるので、ビルドアップという局面においてはトレーニング効果が期待できます。

他にも例えばゲーム中のサイドチェンジに課題があって、そこに特化したトレーニングがやりたいとなったときには、そこのフェーズをある程度切り取らないといけません。

だからこそ8対8のゲームばかりやればいい、という話にもなりません。

3. タスクの単純化:フラクタルとしてのサッカー

①タスク単純化とタスク分解の違い

エコロジカル・アプローチにおける代表性を高く保つための考えとして、タスクの単純化という概念があります。

これは何かというと、ジュニア年代だったら8人制の試合形式のゲームの全体性を保ちながら、選手のレベルに合わせてタスクを単純化していく、難易度を軽減するようなトレーニングデザインのことです。

これはタスク分解とは違います。

タスク分解というのは、例えばテクニックであれば、テクニックだけを磨くみたいに要素を分解することです。

そうではなくて、テクニック、スキル、戦術、フィジカル、メンタルとか、サッカーの複雑性を保ったままトレーニングしていくのですが、8対8よりも4対4の方が、ミニゲームの方がタスクは単純化されるという認識でいいと思います。

ちなみに僕なりの表現で言えば「サッカーの本質を保ったまま複雑性を下げる」。
つまりフラクタルな構造は保ったままです。

この辺はメチャクチャ分かりやすく電子書籍で解説しているので、興味があるかたはどうぞ。

②複雑性の増減という視点

僕の言葉で言うと、これは複雑性の増減という話です。

8対8の試合より11対11の試合の方が複雑性が増すと考えます。

8対8よりも11対11の方が人数が増えるので、起きる現象のパターンが複雑になっているからこそ、複雑性が増すわけです。

これが8対8よりも6対6の方が複雑性は下がる。

6対6より4対4の方が複雑性は下がる。

皆さんもイメージできると思います。

③フラクタルという考え方

フラクタルとは何かと言うと、簡単に言うと相似関係です。

例えば、1辺が5センチの正三角形と、1辺が10センチの正三角形があったとして、この2つはフラクタル的に同じものだと言えます。

一辺の長さは違うし、面積も違うけども、どちらも同じ正三角形として捉えることができる。
これを僕はフラクタル性が一致していると表現します。

フラクタル性が一致するためには、本質的な部分が同じであることが重要です。

正三角形であれば、すべての辺の長さが同じ、3つの角が同じ角度という本質さえ同じであれば、一辺の長さが1センチだろうが10センチだろうが、1メートルであろうが、正三角形には変わりないということです。

もう一回宣伝します。
この概念はサッカー指導においてメチャクチャ重要です。

④11人制と8人制の本質的な同一性

これをサッカーに置き換えたらどうなるか。

サッカーの本質とは何かという話になってきます。

11人制サッカーと8人制サッカー、なぜどちらもサッカーと言えるのか。それはフラクタル的に同じ構造を持ってるからです。

同じ本質を持ってるからです。

試合中にお互いのチームが退場者が1人ずつ出て10対10になったとしても、これは紛れもなくサッカーのゲームです。

その時点でサッカーのゲームが終了することはない。

これが違うスポーツになることもない。

確かにプラン変更や難しさとか内容は変わったりするけど、これもサッカーだと言えます。

⑤最適な人数の考え方

もう少し例を挙げます。

4対4と3対3だと何が違うのか。

だんだんこの辺になると、細かくなりすぎて、サッカーの構造が崩れ出します。

例えば2ラインが作れないなど。

2対2とかになると2ラインが作れなくなってきます。

幅がない、サイドがないということが起きます。

そうすると、ミニマム4人っていうのがサッカーのフォーメーション的な構造を維持、保っているギリギリのラインかもしれません。

4人でフォーメーション組めば、センターバックとサイド、中盤とか、ボランチとサイド、フォワードみたいな関係性で2ラインと幅、深さができるので、まだギリギリサッカーのフォーメーション的な構造は保っています。

でもこれが3人とか2人になってくると、フォーメーションとしての構造が崩れ出します。

まとめ

この記事では、エコロジカルアプローチにおける代表性と転移について解説しました。

・練習の成果を試合で発揮させるには「転移」が重要
・転移を高めるカギは「代表性」の高いトレーニング
・代表性を保ちながら「タスクを単純化」することが大切
・サッカーの本質を保った「フラクタル」な練習設計が効果的
・4対4がサッカーの構造を保つ最小単位の可能性

理論的な部分を理解した後は、それを実際の現場でどう活用していくのか、どこまで落とし込んでいくかが重要です。

いろんなことが見えてきますし、トレーニングを考えていく上ですごく大事な部分になってきます。

皆さんの指導現場でも、まず理論をしっかりと押さえて、ではそこからどういうトレーニングをやっていけばいいのか実践してみてください!

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