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ジュニアサッカー【守備戦術が育たない理由】8人制の構造的課題を考える

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導では、攻撃の指導に比べて守備戦術の指導がおろそかになりがちです。

しかし、実はこれには構造的な理由があること感じています。

日本の8人制サッカーの環境と、ヨーロッパの育成環境を比較すると、守備戦術が育ちにくい背景が見えてきます。

僕自身、過去には守備戦術の必要性をあまり感じていませんでした。

しかし、スペイン留学で現地の育成現場を見たときに、ジュニア年代から体系的に守備戦術を教えていることに驚きました。

守備に関して以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。

・守備戦術をどのように教えたら良いかわからない
・ジュニア年代で守備戦術は必要なのか疑問に感じている
・ジュニアユースに上がったときに守備の課題が出ている

この記事では、日本とスペインの育成環境の違いから、ジュニア年代における守備戦術の重要性と、その基本的な教え方まで詳しく解説します。

この記事を読めば、守備戦術の指導がスムーズになり、子どもたちの戦術理解が格段に良くなると思いますので、最後までご覧ください。

音声で解説

Content

1. 日本とスペインの育成環境の違い

①スペインのオフサイドラインは高い位置にある

スペインのジュニア年代では、日本とは異なるオフサイドラインの設定がされています。

バルセロナなどでは、相手陣地のペナルティーエリアライン付近までオフサイドラインが広がっているのです。

これにより、攻撃側のフォワードが高い位置を取ることが自然と求められます。

このオーガナイズのメリットは、ビルドアップするスペースが広く確保できることです。

中盤のスペースの使い方を学びやすい設計になっています。

同時に、守備側もきちんと守備戦術を理解していないと簡単に崩されてしまうため、プレッシングをどうかけるかを学ぶ必要性が高まります。

②日本の8人制はテクニック勝負になりやすい

一方、日本の8人制サッカーでは、ハーフラインがオフサイドラインになります。

これにより、ハーフコートに8人対7人という人数が密集する状態が生まれます。スペースが非常に狭いため、攻撃側はテクニックのスキルが重要になってきます。

特に土のグランドでは、少しコントロールを誤るとすぐにボールを失ってしまいます。

そのため、ビルドアップよりも個人技を磨くことに重点が置かれがちです。

また、スペースが狭いため、前から行けば勝手にプレスがかかってしまい、戦術的な意図を持たなくても守備が機能してしまうことがあります。

③環境が指導の方向性に影響を与えている

こうした環境の違いが、指導の方向性にも影響を与えています。

日本では、狭いスペースでの技術向上に焦点が当たりやすく、守備戦術を体系的に教える必要性が感じられにくいのです。

しかし、ジュニアユースに上がって11人制になると、ピッチが広くなり人数も増えるため、守備戦術を理解していない選手とそうでない選手の差が顕著に表れます。

2. 守備戦術ができないことの影響

①日本人選手がヨーロッパで抱える課題

スペイン留学中によく聞いた話ですが、日本人選手は攻撃のセンスや技術は高いのに、守備戦術が全くできないと言われていました。

プロレベルでもこの課題は当時指摘されていました。

これだけボールを扱う技術があるのに、守備戦術ができないことが、ヨーロッパの指導者には理解できなかったようです。

※現在はどうかよくわかりませんが。

これは育成年代から守備戦術を体系的に学んでこなかったことが原因だと僕は考えています。

そのため、「育成年代」ということを考えると、ジュニア年代からきちんと取り組む必要があると思います。

②脳の負荷とインテンシティーの関係

守備戦術を理解していないと、試合中に守備のタスクを考えながらプレーしなければならず、脳に大きな負荷がかかります。

考える要素が多いと、インテンシティーが下がってしまいます。

これは現場で実際にトレーニングをしているとよくわかることですが、ルールが複雑なトレーニングをさせると、子どもたちの動きが鈍くなります。

これは脳に負荷がかかりすぎて、体が動かなくなっているからです。

無意識レベルで守備のタスクをこなせるようになれば、攻撃にも集中できるようになります。

③ジュニアユースで顕在化する課題

僕もジュニアとジュニアユースの両方を指導していますが、ジュニアユースに上がったときに守備の課題が明確に出てきます。

カバーリングの概念はわかっていても、カバーリングのポジションを取ったときに何を狙うべきかが理解できていないといった現象は多く見ます。

また、スライドしたときの逆サイドにいる選手の『警戒』という守備の戦術コンセプトを知らない選手もいます。

ジュニア年代で守備戦術を学んできた選手とそうでない選手の差は、11人制になると顕著に表れます。

3. ジュニア年代で教えるべき守備戦術

①戦術コンセプトから始める

守備戦術を教える際によくある間違いが、ディテールから入ってしまうことです。例えば「フォワードがプレスをかけたときに、外や内側を切りながら追い込め」といった細かい指示から始めてしまいます。

しかし、まず教えるべきはシンプルな戦術コンセプトです。

戦術コンセプトとは、プレイモデルが変わっても必要となる戦術アクションのことです。

具体的には、チャレンジ&カバー、スライド、逆サイドの警戒、ペルムータ(ポジションの交換)などです。

②ゾーンディフェンスとポジショニングの理解

戦術コンセプトを学ぶ前提として、ゾーンディフェンスの概念を理解させることが重要です。

ポジショニングを言語化して落とし込むことで、選手は自分がどこにいるべきかを理解できるようになります。

その上で、カバーリングやスライドといった戦術コンセプトをどう活用するかを教えていくのが良い手順だと思います。

ジュニア年代では、この基本的な戦術コンセプトを押さえておけば、それ以上複雑な守備戦術は必要ありません。

③2人組、3人組のユニットの関係性を作る

指導者目線で言うと、2人組、3人組のユニットの関係性をきちんと落とし込むことが大切です。

個人、グループ、3〜4人のユニットくらいのデザインをしっかりやれば十分です。

僕が現場でやっているトレーニングでは、2人組の関係性を作る練習、3人組の関係性を作る練習、4人のディフェンスラインや2ラインのユニットを作る練習というように、段階的に進めています。

④守備戦術が攻撃面にもたらすメリット

守備戦術をきちんとやると、実は攻撃面にもメリットがあります。

前から行け行けという指導だと、ボールを奪った後に、本来はいるべき場所に味方がいないという状況が起きやすくなります。

しかし、ゾーンでポジショニングを取れていると、奪った後にボールを逃すべきところに人が配置されています。

攻撃面の整理にも守備戦術は役立に立つと思います。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

・日本の8人制サッカーは、スペースが狭く守備戦術を学ぶ必要性が感じられにくい環境にある
・スペインでは、オフサイドラインの設定により、ビルドアップと守備戦術の両方を学びやすい環境が整っている
・守備戦術ができないと、脳の負荷が高まりインテンシティーが下がる
・ジュニアユースに上がると、守備戦術の有無による差が顕著に表れる
・まずは戦術コンセプト(カバーリング、スライド、警戒など)をシンプルに教える
・ゾーンディフェンスとポジショニングの理解が前提となる
・2人組、3人組のユニットの関係性を段階的に作っていく ・守備戦術は攻撃面の整理にも役立つ

この記事では、ジュニア年代における守備戦術の重要性と、その基本的な教え方について解説しました。

日本の8人制サッカーには構造的な課題がありますが、だからこそ意識的に守備戦術を教える必要があります。

まずは戦術コンセプトのシンプルな部分から始めて、段階的にユニットの関係性を作っていくことをお勧めします。

皆さんの指導現場でも試してみてください!

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