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サッカー指導者必見!【エコロジカル・アプローチ】簡単解説

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカー指導において、選手が自分で考えて判断する力を育てることは、指導者にとって重要な課題です。

しかし、一生懸命教えているのに、選手が指示待ちになってしまったり、試合で練習の成果が出なかったりすることがあります。

僕自身、以前は細かく技術を教えることが良い指導だと思っていました。
でも、それでは選手の考える力が育たないことに気づきました。

・教えれば教えるほど選手が受け身になる
・練習でできることが試合で出せない
・選手の個性が消えてしまう

この記事では、「エコロジカル・アプローチ」という新しい指導理論について、基本的な考え方から実践方法まで分かりやすく解説します。

正直、僕自身この理論を採用してから、選手の急激な成長に驚いています。

この記事を読めば、教えることを減らすことで選手がより成長する理由が理解でき、明日からの練習に活かせると思いますので、最後までご覧ください。

Content

1. 従来の指導法が抱える問題点

①「正解」を教えることの限界

従来の指導では、「正しいキックフォーム」や「理想的な体の使い方」があると考え、それを選手に教え込んできました。

軸足の位置、蹴り足の角度、体の被せ方を細かく指示していました。

でも実際のサッカーでは、選手の身長、筋力、関節の柔軟性は全員違います。
背の低い選手と高い選手では、同じボールでも見え方や距離感が違います。

それなのに、全員に同じフォームを押し付けることには無理があります。

選手一人ひとりの身体的特性を無視して画一的な指導をすることで、その選手本来の良さを消してしまう可能性があります。

②反復練習だけでは試合で使えない

コーンドリブルを100回練習しても、試合で相手を抜けない。

これは多くの指導者が経験することです。

なぜこうなるのか。

コーンは動きませんが、相手選手は動きます。
コーンには判断の要素がありませんが、試合では0.1秒単位で状況が変化します。
同じ場面は二度と訪れません。

変化のない環境での反復練習は、変化のない状況でしか使えない技術になってしまいます。

試合という複雑な環境で使える技術を身につけるには、練習環境も複雑である必要があります。

③日本サッカーの育成課題との関係

「個の力不足」「創造性の欠如」「決定力不足」。

これらは日本サッカーが長年抱えている課題です。

これらの問題の一因は、育成年代での「教えすぎる指導」にあると僕が考えてます。

選手が自分で考え、判断し、解決策を見つける機会を奪ってしまっていたのではないか。

創造性は教えられるものではなく、選手の中から引き出されるものです。

この視点を持つことが、日本サッカーの課題解決につながる可能性があります。

2. エコロジカル・アプローチの基本的な考え方

①選手を「環境に適応する存在」として見る

エコロジカル・アプローチでは、選手を「機械」ではなく「環境に適応する生き物」として捉えます。

機械は同じ入力に対して同じ出力をしますが、生き物は環境の変化に応じて行動を変えます。

暑ければ日陰を探し、寒ければ暖かい場所を探す。これが適応です。

サッカー選手も同じです。相手が近ければ離れ、スペースがあれば使う。この適応力こそ、サッカーで必要な能力です。

だから練習でも、選手が環境に適応する機会を作ることが大切です。

②コーチの役割が変わる

従来の指導者は「Solution Setter(解決策の提示者)」でした。

「こうやってドリブルしなさい」「ここにパスを出しなさい」と答えを教える役割です。

エコロジカル・アプローチでは「Problem Setter(課題の設定者)」になります。

選手が自分で解決策を見つけたくなるような課題を設定する役割です。

例えば「相手を抜きなさい」と言う代わりに、「2対1で数的優位を作る」という状況を作ります。

選手は自然とパスかドリブルかを判断し、自分で解決策を見つけます。

③スキルは「選手×環境」の関係から生まれる

ボルダリングを例に考えてみましょう。

同じ壁でも、背の高い人と低い人では登り方が全く違います。

手の長い人はホールドに届きやすく、体重の軽い人は違う利点があります。

サッカーも同じです。

足の速い選手はスペースへの走り込みを活かし、技術のある選手はボールコントロールで勝負する。

それぞれが自分の特性と環境の関係から、最適なプレーを見つけていきます。

スキルは選手個人の中にあるのではなく、選手と環境の相互作用から生まれるという考え方です。

3. 3つの重要な概念

①制約(Constraints)で学習を導く

制約とは、選手のプレーを引き出すための「条件」や「枠組み」のことです。

例えば「3タッチ以内」という制約を設けると、選手は自然とボールを受ける前に周りを見るようになります。

「周りを見ろ」と指示するより、制約によって選手が自然とその行動を取るようになります。

制約には3種類あります。

・個人制約(身長、スピードなど)
・環境制約(天候、ピッチ状態など)
・タスク制約(ルール、人数、コートサイズなど)

コーチが操作できるのはタスク制約です。

このタスク制約を工夫することで、選手の学習を間接的に導くことができます。

この『制約がある』ということはとても重要です。
制約があるからこそ、運動が可能になり、秩序が生まれます。

②自己組織化を活用する

自己組織化とは、誰も指示していないのに、システム全体が自然と秩序を作り出す現象です。

鳥の群れが誰の指示もなく編隊を組んで飛ぶように、サッカーチームも適切な環境があれば、選手同士が自然と連携を深めていきます。

4つのゴールを使った練習では、最初は混乱していた選手たちも、時間が経つと自分たちでルールを作り、連携したプレーを見せるようになります。

これが自己組織化の一例です。

③アフォーダンスを理解する

アフォーダンスとは、環境が選手に与える「行動の可能性」のことです。

広いスペースは「ドリブルで仕掛けられる」という可能性を、狭いスペースは「素早いパス回し」という可能性を選手に提供します。

例えば、オフサイドラインを高く設定すると、選手は自然と裏のスペースに気づきます。

「裏を狙え」と言わなくても、環境が選手にそのプレーを促します。

環境が教師の役割を果たすのです。

4. 実践的な練習方法

①制約を活用した練習デザイン

通常の対面パスに制約を加えてみましょう。

「パスを出したら必ず位置を変える」「2タッチ以内」「利き足以外で」など。

これらの制約によって、選手は考えながらプレーするようになります。

同じパス練習でも、判断の要素が加わることで、試合に近い状況になります。

5分ごとに制約を変えることで、選手は常に新しい課題に適応しようとし、学習が継続します。

②スモールサイドゲームの工夫

3対3や4対4のミニゲームは、エコロジカル・アプローチの代表的な練習です。

人数を少なくすることで、ボールタッチの機会が増え、判断の回数も増えます。

さらに「フリーマン1人」を加えたり、「ワンタッチゴールは2点」などのルールを追加することで、様々な学習を促せます。

重要なのは、プレーを止めて説明しすぎないことです。選手が試行錯誤している時間が、最も学習が進む時間です。

③環境を変化させる練習

使うボールを変えることは、簡単で効果的な方法です。

サッカーボール、フットサルボール、テニスボール、時にはラグビーボールも使います。

ボールが変わると、選手は自然とタッチや力加減を調整します。

これが適応力を高めます。

「こうやって蹴れ」と教えるのではなく、環境の変化によって選手自身が調整方法を見つけていきます。

これは専門的に言うと「バリアビリティ」の拡張です。

また、このバリアビリティという概念はテクニックだけでなく、戦術面でも重要な考え方です。

5. エコロジカル・アプローチがもたらす変化

①選手の主体性が育つ

このアプローチを導入すると、選手の態度に変化が現れます。

「コーチ、次は何をすればいいですか?」という質問が減り、「こんな方法を試してみたい」という提案が増えます。選手が受け身から主体的に変わっていきます。

正直、僕自身も選手たちがここまで自分で考えて工夫するようになるとは思っていませんでした。

環境を整えるだけで、選手は自然と学び始めるのです。

②個性が活きるようになる

全員を同じ型にはめる必要がなくなります。

それぞれが自分の特性を活かした解決策を見つけるからです。

背の低い選手は低重心を活かしたドリブル、足の速い選手はスピードを活かした突破、技術のある選手は狭いスペースでのプレー。

それぞれが自分なりの方法でサッカーをするようになります。

選手一人ひとりが違う解決策を見つけていく過程を見るのは、指導者として新鮮な驚きがあります。

③指導者としての新しい発見

指導者の仕事が「教える」から「環境をデザインする」に変わることで、新しい視点が生まれます。

選手が予想しなかった解決策を見つける瞬間、自分たちで協力して問題を解決する姿。これらを見守ることは、従来の指導とは違う充実感があります。

最初は「教えない」ことに不安もありましたが、選手の成長スピードは想像以上でした。選手の力を信じて環境を整えることの重要性を、日々実感しています。

④驚くような成長

最後に、これは僕が実際に指導していて感じることですが、時折選手が「驚くような成長」を見せます。

これは誇張的な表現ではなく、実際の指導現場でびっくりしたことが何回もありました。

一人の選手が急に上手くなったり、チームが急に組織立ったり。

僕の今までの指導方法では、こうはならなかっただろうな…的なことが本当に起こり、驚いています。

この瞬間はすごく感動的で、みなさんにもぜひ味わって欲しいですね。

まとめ文

この記事のポイントをまとめておきます。

・従来の「教える指導」には限界がある
・エコロジカル・アプローチは選手を「適応する生き物」として捉える
・制約、自己組織化、アフォーダンスの3つが重要な概念
・環境をデザインすることで選手の主体的な学習を促す
・個性を活かしながら創造性を育てることができる

この記事では、エコロジカル・アプローチという新しい指導理論について解説しました。

教えることを減らし、選手が自分で発見する環境を作る。

これが選手の成長を最大化する方法かもしれません。

皆さんの指導現場でも試してみてください!

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