選手をやる気にさせる【褒めるフリーズコーチング】4つのメリットとデメリット

サッカーコーチをしていると、子どもたちのために良かれと思って声をかけても反応が薄いことはよくあります。
また声かけに関しては、褒める方が良いのかそれとも厳しくする方が良いのか。

サッカーにおけるコーチング方法の1つに、フリーズコーチングというものがあります。
基本的にフリーズとは、プレーをストップして改善を促すコーチング方法ですが、これを上手く利用することで選手のモチベーションを上げることができます。

この記事では、フリーズコーチングの効果的な使い方とメリット・デメリットについて解説します。

この記事を読めば、コーチングの質が上がり選手のパフォーマンス向上につながるので、ぜひ最後まで読んでみてください!

動画で解説

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1.モチベーションを上げる『褒める』フリーズコーチング

日本の指導者ライセンスを受講すると、3つのコーチング方法を知ることができます。

  • シンクロコーチング
  • フリーズコーチング
  • ミーティング

これらのコーチング方法は割愛するとして、最初にこの記事の結論である『褒める』フリーズコーチングについて解説します。

「フリーズ」とは練習中にプレーを止めて、選手に「逆サイドは見えていた?」「どうすれば逆サイドが見えれた?」など質問しながら改善点を促す手法ですが、どうしても僕たちコーチは「選手がミスをした時にフリーズする」傾向が強いですよね。

もちろん効果はあるのですが、選手からすると「みんなの前でダメ出し」されている感じが強く、質問をしてもテキパキ答える選手は少ないと思います。

実はこの「フリーズ」ですが、反対に使うと「選手のモチベーションアップ」につながり、効果的なツールになります。

2.良いプレーを再現するメリットは4つ

選手の良いプレーを敢えて止めて(フリーズして)褒めた時のメリットは4つあります。

  • 言われた本人が、自分は良いプレーをしたことを認識してモチベーションが上がり、自信をつけたり、もっと良いプレーをしようとする
  • その後、ミスの指摘を聞き入れやすくなる
  • 周囲の選手がその選手を認めるようになる
  • チーム内にポジティブな競争が起こり、チームマネジメントがしやすくなる

以上の4つが、選手が良いプレーをした時にフリーズすることで得られるメリットです。

それぞれ詳しく解説します。

①選手が自信を持つ

プレーを止める(フリーズする)ということは、「それくらい大事なことがある」と感じますし、コーチも「大事なことがある時」にフリーズしますよね?

ミスを指摘する時でもコーチからすると「そこはこだわりたい部分」。

つまりプレーを止めて褒めるということは「コーチのやってほしいプレーをやってくれた。コーチは嬉しい!」という感情を伝えることなので、言われた選手も「自分はコーチが臨んでいるベストなプレーができた」とポジティブな感情が生まれます。

また、選手自身が「今のプレーがそこまで良いプレーだ」と思っていなくても、良いプレーとは何かの「気づき」になり、やはりポジティブな結果に。

褒めたり認めたりすることは「選手が自信を持つきっかけ」になり、「もっと良いプレーをしよう」というモチベーションアップにつながります。

②その後のミスを聞き入れやすくなる

ミスを指摘した後に褒める。
その後にフォローを入れても最初のネガティブな印象が強く、そちらの感情の方が強くなります。

反対に先にポジティブな情報を伝えると、その後にミスの指摘をされても心理的なダメージは少なくなります。

例:『ボールを受ける前に逆サイドを見たのは良かった!次は体の向きをもう少し意識しよう』

同じ原理で、フリーズして褒めた後には「ポジティブな感情」が優先しているので、その後にミスのダメ出しをしても、聞き入れてくれる可能性が高くなります。

③周囲がその選手を認める

もしグループ内にあまりサッカーがあまり上手くなく、どちらかと言うと目立たない選手がいる場合やチーム内にヒエラルキーができて自信を持っていない場合。

もしくは上手い選手数名がグループを仕切っていて問題がある場合などには有効な手段となります。

なぜなら、あまり目立たない選手のプレーの良さを「全員の前でコーチが褒める」と周囲の選手も少しずつその選手のプレーを認めるように変化。

わざとらしい褒め方は逆効果ですが、本当に良いプレーをした時にそれをポジティブに指摘することは自然で、それを繰り返すと周囲の先週も「気づかなかったけど、〇〇は良い選手なんだ」と認めはじめます。

④チーム内にポジティブな競争が起こり、チームマネジメントがしやすくなる

そうすることで、今まで味方に文句を言っていた選手も「他の選手のプレーを認める」ようになりチーム内に仲間意識が生まれます。

自分のプレーが、自分が気づかない他の選手のプレーによって助けられているといった感情や〇〇のプレーはチームの役に立っているという気持ちが芽生えればチームワークは高まります。

ネガティブな競争でなはくポジティブな競争(切磋琢磨)が生まれるきっかけを作る、すなわちチームマネジメントにおいても重要なポイントです。

3.デメリットは4つ

最後にデメリットについて。

  • 選手が疑問を抱く内容だとコーチの信頼度が下がる
  • フリーズコーチングの特性から、プレーを中断しすぎると練習のモチベーションが下がる
  • 練習のテーマから外れすぎるとトレーニング自体がブレてしまう
  • わざとらしいと選手は不快感

一見良いところばかりのようですが、使い方を間違えると選手のモチベーションを下げる結果にもつながりますので注意が必要です。

4.まとめ

今回は、モチベーションを上げる『褒める』フリーズコーチングについて解説しました。

普段どうしても選手に指摘をするときは「ミス」についてのアドヴァイスが多くなりますが、「褒める」や「認める」を上手く使うことで選手のモチベーションをコントロールする作業がサッカーコーチには必要です。

上手くいっているチームの「ポジティブ」と「ネガティブ」の割合は、ポジティブ:3に対してネガティブ:1。
すごく上手くいっているチームは、ポジティブ:6に対してネガティブ:1という研究もあります。

>>【心理学と脳科学を学ぶ】サッカー指導がスキルアップする理由

上手く取り入れて選手・チームをマネジメントしましょう。

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