こんにちは、講師のカズです。
ロンド、日本では鳥かごと呼ばれることが多い練習ですが、皆さんのチームではやっていますか。
ウォーミングアップの定番として、なんとなく取り入れているチームも多いと思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
・ロンドをやっているけれど、ただのボール回しで終わっている気がする
・ボールは回るのに、試合になると全然つながらない
・ウォーミングアップ以外で、ロンドをどう使えばいいのかわからない
僕はロンドがめちゃくちゃ好きです。
ロンドを考えた人は天才だと思っているぐらいで、どの年代を指導する時も、ほぼ毎回練習に入れています。
ただ、僕自身、最初からロンドを理解できていたわけではありません。
バルサ系のスクールで指導していた17年ほど前、毎回トレーニングに入ってくるロンドを「体を温めるためのもの」と見ていて、後から大きな間違いだったと気づきました。
この記事では、ロンドという練習が持っている構造のすごさと、ただのボール回しで終わらせないための設定の考え方を、僕の実体験を交えて解説します。
この記事を読めば、いつものロンドが試合につながる練習に変わると思いますので、最後までご覧ください。
1.ロンドとは何か。なぜ「いい練習」なのか

①鳥かごではなく、サッカーの縮図です
ロンドは、少人数でのボール回しの練習です。
4対2や4対3、5対2ぐらいまでの人数で行うものをロンドと考えていいと思います(人数が多くなればポゼッションと呼ばれますが、厳密な定義はあまり気にしなくていいかなと思います)。
日本では鳥かごと呼ばれ、ひどい時には「バカ回し」なんて呼ばれ方もします。
罰ゲーム付きの遊びとして扱われている現場も、まだまだ多いと思います。
でも、ロンドの中身をよく見ると、敵がいて、味方がいて、限られたスペースがあって、ボールがある。
つまり、ゴールという要素以外は、サッカーに必要なものをほぼ全部内包している練習です。
ゴールがない、方向性がないという点だけは、フラクタルという観点から見ると重要な要素が抜けています。
ただ、逆に言えば、抜けているのはそこだけです。
②グローバルトレーニングとしての強み
ロンドは、技術・判断・連携を同時に扱うグローバルトレーニングです。
ボールの配給に気をつければ止まらずにプレイできるので、運動量が多く、インテンシティも上がります。
反復回数が多く、ひたすらプレイできるのも大きな強みです。
また、方向性がないトレーニングは、攻撃側が有利になります。
攻撃の動きが限定されず、守備は限定的に守ることができないからです。
この特性を理解しておくことが、後で説明する設定の話につながってきます。
③僕も最初は理解できていませんでした
僕がロンドとちゃんと出会ったのは、16〜17年前、スペイン系のサッカースクールで指導者をしていた時です。
バルサ関係のスクールだったのですが、ロンドがほぼ毎回トレーニングに入ってくるんですね。
当時の僕は、最初は体を温めるためのもの、そのうち「ビルドアップやポゼッションのための、パスを回す感覚を養うもの」と理解したつもりになっていました。
今思えば、大きな間違いでした。
あまり理解できずにやっていると、ロンドはただの数的優位な状況でのボール回しになります。
サポート、体の向き、コントロールとパス。
そういった表面的な要素だけを見て、本質を捉えきれていない状態です。
ロンドの本質は、日本ではあまり語られていないと感じています。
2.4対2でボールが回るのは当たり前。だから設定を変える

①「こうすればうまくいく」練習は、実践につながりにくい
僕が練習メニューを考える時に大切にしているのは、「こうすればうまくいく」という設定にしないことです。
うまくいく時もあれば、うまくいかない時も起きる。
うまくいかない時にどうするのか、というところまで内包したトレーニングでないと、あまり意味がないと考えています。
例えば、テーマを設定して、プレイを止めて、「今どう思う?他に選択肢はなかった?」と問いかけて、修正させると、だいたいうまくいく。
そういう進め方の練習は、僕はあまり意味がないと思っています。
わかりやすい例で言うと、サイドチェンジをすればすべてうまくいく練習ではなく、サイドチェンジしようとしたけどできない、サイドチェンジしたけどうまくいかない、というところまで内包している練習の方が、より実践に近くなります。

②数的優位のトレーニングの前提条件
外に4人、中に守備2人のロンドを考えてみてください。
この設定では、基本的に攻撃側がミスをしない限り、ボールは回ります。
当たり前です。4対2で数的優位ですから。
これはポゼッション練習でも同じです。
4対4プラス3フリーマンのような数的優位の設定で練習して、ある側面は上手くなります。
でも、「試合中に、その数的優位はできているの?」という問いが残ります。
数的優位のトレーニングが意味を持つのは、試合中に数的優位を作ることはできている、でもそこから先が問題だ、という時です。
そもそも試合で数的優位を作れていないなら、その練習は違う目的のものになってしまいます。
ロンドも一緒です。
外4人・中2人でボールが回っているからといって、試合中に回るわけではありません。
しかも方向がないので、守備は実際の試合よりずっと大変な状況で守っています。
③僕は「サポートがいない状況」を作ります
そこで僕は、攻撃がうまくいかない状況が生まれる設定にします。
これに気づいた時、ロンドはめちゃくちゃいい練習になりました。
一つの例ですが、外に3人、中に1人という形をよくやります。
外のサポートが常にいるわけではないので、ボール保持者がサポートのない状況に置かれる瞬間が生まれます。
もう一つは、ロンドにモビリティを加える形です。
外の4人が、パスをしたら今いるスペースから出ないといけない、というルールにします。
パスしたら必ず移動するので、穴が開きます。
サポートがいない、ポジションがダブる、ということが起きる中で、どうやってボールを回すのかを問う設定です。
常に綺麗ではない。
むしろ、ある瞬間はすごく守備が有利になることさえある。
そういう「うまくいかないこと」を内包したロンドを、僕はよくやります。
このほかにも、同数のロンド、タッチ制限(ツータッチ、オールダイレクト)、前の人がツータッチ以上したら次は必ずダイレクトという「フリータッチ・ダイレクト」、浮き球で渡すロンド、テニスボールやラグビーボールを使ったマルチボールなど、組み合わせは無限にあります。
3.ロンドで鍛えられるもの、試合へのつなげ方

①敵がいる中でのテクニックアクション
ロンドでまず鍛えられるのは、テクニックアクションです。
特にパスとコントロール、そして運ぶドリブルです。
大切なのは、敵なしのスクエアパスやトライアングルパスではなく、敵がいる中でのコントロールとパスだということです。
小学生高学年や中学生ぐらいであれば、特殊な目的がない限り、ロンドの中で技術を磨くのがいいと僕は考えています。
②個人戦術とグループ戦術が凝縮されている
もう一つは、個人戦術とグループ戦術の要素が凝縮されていることです。
個人で言えば、体の向きを作ってボールを受ける、体の向きが作れなかった時に何をするかの判断、いつダイレクトでいつコントロールするか、いつ周りを見るか。
ボールを扱う技術以外の部分が、ものすごく鍛えられます。
グループで言えば、幅を取る、深さを取る、サポートの角度、移動してどのスペースを埋めるか。
つまり、チーム全体のバランスをどう取るかです。
8人制や11人制のサッカーから方向性の要素を除いたものが、ぎゅっと凝縮されているのがロンド系のトレーニングだと思います。
③ロンドからポゼッションへ、フラクタルに拡大する
僕がよくやるのは、ロンドで引き出したいプレイのイメージを、そのまま人数を増やして、ポゼッションに持っていく流れです。
4人のロンドでやっている動きのイメージを、今度は4対4プラス2でやる。
メインのコンセプトは同じですが、複雑性が増すので、認知する要素が増え、判断が増え、選択肢が増えます。
小さいユニットで作ったイメージを、拡大した時に同じように持てるか。
この流れで進めると、ロンドとポゼッションがつながり、ポゼッションと試合がつながります。
ロンドをやりながら「これ、ゲームでこういうことだよ」と伝えて、ゲームの時に「ロンドでやったでしょう、イメージ一緒だよ」と返す。
選手にとっても、とてもわかりやすい構造になります。
極端に言えば、8人制なら、ロンドと6〜8人ぐらいのポゼッション系をやれば、試合でやりたいビルドアップの原型はそこに入っています。

4.まとめ
・ロンドはゴール(方向性)以外のサッカーの要素をほぼ全部内包した、優れたグローバルトレーニングです
・4対2で回るのは当たり前。数的優位の練習は「試合で数的優位を作れているか」という前提条件で意味が変わります
・「こうすればうまくいく」ではなく、サポートがいない状況など、うまくいかないことが起きる設定を内包させることが鍵です
・敵がいる中でのテクニックアクション、個人戦術、グループの連携が同時に鍛えられます
・ロンドで作ったイメージを、人数を増やしてポゼッション、そして試合へとフラクタルに拡大していくと、練習と試合がつながります
この記事では、ロンドという練習の構造と、ただのボール回しで終わらせないための設定の考え方について解説しました。
いつもの鳥かごを、少しだけ設定を変えて、皆さんの指導現場でも試してみてください!
なお、この記事で紹介したようなロンドの練習メニューは、僕が作った無料アプリ「TRAINING DESIGNER」でアニメーション付きで配布しています。
図や言葉だけでは伝わりにくい選手やボールの動きも、動きのあるアニメーションならひと目でわかります。
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