この記事は、レベル別トレーニング指導ガイドの【超初級者向け】です。 トレーニングの基本概念から練習の基本的な組み立て方まで、効果的な練習を設計するために必要な土台となる知識を体系的に解説しています。
こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代のサッカー指導では、効果的なトレーニングの理解がとても重要です。
しかし、「どうやって練習を組み立てればいいのか分からない」「子どもたちが飽きない練習って何?」と悩む指導者の方も多いのではないでしょうか。
僕自身、指導を始めた頃は何となく練習メニューを決めていて、子どもたちが集中できなかったり、思ったような効果が得られなかったりすることがありました。
練習の基本的な考え方を理解していなかったため、場当たり的な指導になってしまうことがありました。
・トレーニングの基本的な考え方が分からない
・練習をどう組み立てればいいか分からない
・子どもが楽しめる練習の作り方が分からない
この記事では、トレーニングの基本概念から、練習の基本的な組み立て方、子どもが満足する練習設計の方法まで詳しく解説します。
この記事を読めば、トレーニングの土台が固まり、自信を持って練習を計画できるようになると思いますので、最後までご覧ください。
また『内容が簡単すぎる!』という方は、本文最後に次のステップ記事へのリンクも掲載しているので、そちらにお進みください。
1. トレーニングの基本概念を理解する

①トレーニングとは「計画的な練習」
トレーニングと聞くと、厳しい練習やハードな運動をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、サッカーにおけるトレーニングはもっとシンプルな概念です。
僕はトレーニングを「選手の成長のために計画的に行う練習」と考えています。
つまり、ただボールを蹴るだけではなく、明確な目的を持って練習することがトレーニングです。
例えば、「今日はドリブルが上手くなるように練習しよう」と目的を決めて行う。
これが基本的なトレーニングの考え方です。
②効果を最大化するための3つの要素
効果的なトレーニングには、3つの重要な要素があります。
要素1:明確な目的設定
・何のための練習なのかを明確にする
・目的に応じて練習内容を選択する
要素2:適切な環境設定
・コートサイズや人数を適切に設定
・道具の準備と配置
・安全性の確保
要素3:年代別の配慮
・選手の年齢や発達段階に応じた内容
・集中力の持続時間を考慮
・楽しさと学習のバランス
この3つの要素を意識することで、練習の効果を大きく高めることができます。

③適度な練習量の考え方
ジュニア年代では、「どのくらい練習すればいいのか」という質問をよく受けます。
僕の考える適度な練習量の基準は以下の通りです。
週の練習回数
・小学校低学年:週2〜3回
・小学校高学年:週3回
・中学生:週3〜4回
1回の練習時間
・小学校低学年:60〜80分
・小学校高学年:80〜90分
・中学生:90分
ただし、これはあくまで目安です。
選手の体力や集中力、他の活動との兼ね合いを考慮して調整することが大切です。
練習しすぎのリスク
・ケガのリスク増加
・燃え尽き症候群
・サッカー嫌いになる可能性
・他の経験を積む機会の減少

2. 練習の基本的な組み立て方を学ぶ

①基本的な練習の流れ(例)
効果的な練習には、基本的な流れがあります。
以下はよくある例です。
1. ウォーミングアップ(10〜15分)
・体を温める
・ケガの予防
・集中力を高める
2. メイン練習(40〜60分)
・その日のテーマに沿った練習
・技術練習や戦術練習
・ゲーム形式の練習
3. ゲーム形式(15〜20分)
・学んだことを試す機会
・楽しさの提供
・実践的な経験
4. クールダウン(5分)
・体をクールダウン
・振り返りの時間
・次回への準備
この基本的な流れを守ることで、効果的で安全な練習ができます。
これらはあくまでもオーソドックスな流れですが、1日の練習の構成が分からないという方は、こんな感じで調整してみてください。
②時間配分の考え方(例)
練習時間の配分は、選手の年代や体力によって調整が必要です。
低学年の時間配分例(75分)
・ウォーミングアップ:10分
・メイン練習:40分
・ゲーム:20分
・クールダウン:5分
高学年の時間配分例(90分)
・ウォーミングアップ:10分
・メイン練習:55分
・ゲーム:20分
・クールダウン:5分
重要なのは、選手の集中力が続く範囲で練習することです。
また、これらの時間配分は選手やチームの文脈で考えましょう。
③テーマ設定の基本
効果的な練習には、明確なテーマが必要です。
良いテーマの条件
・具体的で分かりやすい
・選手のレベルに適している
・1回の練習で1〜2個に絞る
テーマ設定の例
・「正確なパスを出そう」
・「1対1で相手を抜こう」
・「声を出してサポートしよう」
本来の練習テーマはもう少し緻密に決める必要がありますが、コーチ超初心者の方は、こんな感じで始める方が良いと思います。
抽象的な「上手くなろう」ではなく、具体的で選手が理解しやすいテーマを設定することから始めましょう。
3. 子どもが満足する練習計画を身につける

①子どもが満足する3つの工夫
子どもたちが「もっとやりたい」と思える練習には、共通する工夫があります。
工夫1:成功体験の提供
・選手のレベルに合った難易度設定
・小さな成功を積み重ねられるように
・達成感を味わえる内容
工夫2:変化と楽しさ
・同じ練習の繰り返しを避ける
・ゲーム要素の導入
・競争などの要素
工夫3:全員参加
・待ち時間を最小限にする
・全員がボールに触れる機会
・個人差への配慮
これらの工夫により、選手の満足度と学習効果を同時に高めることができます。
②子どもが飽きる練習の特徴
逆に、子どもたちが飽きてしまう練習にも共通する特徴があります。
飽きる練習の5つの落とし穴
①単調な反復練習
同じ動作を延々と繰り返すだけの練習
②長すぎる説明
子どもの集中力を超えた長い説明
③待ち時間が多い
順番待ちでボールに触れない時間が長い
④難しすぎる内容
選手のレベルに合わない高度な練習
⑤目的が不明確
何のための練習かが分からない
これらの落とし穴を避けることで、選手の集中力を保つことができます。
③年代別の配慮ポイント
子どもの発達段階に応じて、練習内容を調整することが重要です。
小学校低学年
・楽しさを最優先
・短時間で内容を変える
・競争よりも協力を重視
・基本的な運動能力の向上
小学校高学年
・技術習得への意欲が高まる
・ルールの理解が深まる
・競争心を活かした練習
・戦術的な要素の導入
中学生
・より専門的な技術指導
・戦術理解が深まる
・体力的な負荷を上げられる
・自主性の尊重
ざっくりと書きましたが、大まか大体こんな感じだと認識していれば大丈夫です。
年代に応じた適切なアプローチで、効果的な指導ができます。
4. 練習環境の基本を整える

①安全で効果的な環境作り
良い練習をするためには、環境作りが重要です。
安全性の確保
・コート周辺の障害物の除去
・適切な距離の確保
・危険な行為の禁止
・応急処置の準備
効率性の向上
・道具の事前準備
・コートの明確な区分
・スムーズな移動動線
・無駄な時間の削減
集中できる環境
・騒音の少ない場所
・適切な照明
・天候への配慮
・保護者との適切な距離
これらは基本中の基本なので、必ず押さえておきましょう。
②道具と設備の基本
効果的な練習には、適切な道具と設備が必要です。
必要最小限の道具
・ボール(人数分+予備)
・コーンやマーカー等(オーガナイズ用)
・ビブス(チーム分け用)
・救急セット
道具管理のポイント
・使いやすい場所に配置
・数の管理
・定期的なメンテナンス
・選手による片付けの習慣化
③コミュニケーションの基本
効果的な練習には、良いコミュニケーションが不可欠です。
選手とのコミュニケーション
・分かりやすい説明
・適切なタイミングでの声かけ
・個別対応
・ポジティブな言葉選び
保護者とのコミュニケーション
・練習方針の説明
・定期的な情報共有
・相談しやすい雰囲気作り
・透明性のある運営
5. まとめ
この記事では、超初心者コーチ向けに、トレーニングの基礎理解について解説しました。
・トレーニングとは計画的な練習であり、明確な目的が必要
・練習の基本的な流れと時間配分を理解する
・子どもが満足し飽きない練習設計の工夫を身につける
・安全で効果的な練習環境を整える
学習のポイント
このレベルで特に重要なのは、以下の4つのポイントです。
まず理解すべきこと
・トレーニングの定義:計画的で目的のある練習
・基本的な流れ:ウォーミングアップ→メイン→ゲーム→クールダウン
・子どもの特性:楽しさと成功体験の重要性
・適切な練習量:年代に応じた時間と頻度
指導への活かし方
僕の現場では、これらのポイントを以下のように活かしています。
・毎回明確なテーマを設定する
・選手の集中力を観察しながら練習を進める
・年代に応じた内容と時間配分を調整する
・安全で楽しい環境作りを心がける
超初級者のコーチの方には少し難しく感じるかもしれませんが、重要なのは経験値=慣れ、です!
6. 理解度チェック
以下の質問に答えられるか確認してみましょう。
・トレーニングとは何か説明できますか?
・練習の基本的な流れを知っていますか?
・子どもが満足する練習の工夫を挙げられますか?
・年代別の配慮ポイントを理解していますか?
・適切な練習量の目安を知っていますか?
・安全な練習環境を整える方法を知っていますか?
すべて答えられたら、次のレベルに進む準備が(たぶん…)できています。
効果的なトレーニングの成功は、正しい基礎理解から始まります。
焦らず確実に理解を深めて、子どもたちが成長できる練習を目指してください!
7. 学習ステップ
推奨学習順序
・超初級者レベル:基本概念の理解(←今ここ)
・初級者レベル:基本的なトレーニング技術の習得
・中級レベル:トレーニング理論の実践
・上級レベル:計画的で体系的なトレーニング
このガイドの内容を理解したら、次は具体的なトレーニング技術について学習しましょう。
実際の練習メニュー作成やウォーミングアップの設計など、現場で使える技術を身につけることが次の目標です。
次のステップ
✅ [ジュニアサッカー【初級者】指導者向け:トレーニングの基礎実践ガイド]
基本的なトレーニング技術の具体的な方法について学習しましょう。
さらに上を目指すなら
📙 [ジュニアサッカー【中級者】指導者向け:トレーニングの実践ガイド]
トレーニング理論の実践について学習しましょう。
📕 [ジュニアサッカー【上級者】指導者向け:トレーニングの応用ガイド]
計画的で体系的なトレーニングについて学習しましょう。