こんにちは、講師のカズです。
ジュニアサッカー指導において、選手に指導をしても、なかなか試合で活かされない、思ったような効果が出ないと感じている指導者の方も多いかもしれません。
・指導したことが試合で活かされていない気がする
・選手は「わかりました」と言うが、本当に理解しているか不安
・選手の理解度を正確に把握する方法がわからない
僕自身も長年の指導経験の中で、大人が難しいことを言っても、子どもに伝わっていなければ意味がないということを実感してきました。
この記事では、僕が現場で発見した選手の本当の理解度を知る方法と、それを活かした効果的な指導法について詳しく解説します。
この記事を読めば、ジュニアサッカー指導者として選手の真の理解レベルを把握し、本当に伝わる指導ができるようになると思いますので、最後までご覧ください。
1. 指導が伝わらない根本原因

①「はい、わかりました」の罠
ジュニアサッカーの現場で、特に日本の子どもたちによく見られる現象があります。
試合のハーフタイムに僕ら指導者があれこれ指示を出した時、選手は「はい、わかりました」と返事をします。
しかし、本当にわかっているかどうかは微妙なところです。
日本人の子どもは特に、指導者の話に対して素直に返事をする傾向がありますが、それが理解を意味するとは限りません。
②返事と理解は別物
指導者が満足してしまいがちなのは、選手が元気よく返事をしてくれた時です。
「今の話、わかった?」「はい!」というやり取りで、指導者は「伝わった」と思い込んでしまいます。
しかし実際には、選手は指導者の期待に応えようとして返事をしているだけで、内容を十分に理解していないケースが多いのです。
この勘違いが、指導効果を大きく下げる原因となっています。
③文化的背景による影響
日本の教育文化では、大人の話を素直に聞く姿勢が重視されます。
これ自体は良いことですが、サッカー指導においては「理解したふり」を生み出してしまう要因にもなります。
選手は「わからない」と言うことで指導者を困らせたくない、または叱られるのではないかという不安から、理解していなくても「わかりました」と答えてしまうのです。
このような背景を理解した上で、指導者は選手の本当の理解度を見極める必要があります。
2. 選手の発話が示す真の理解レベル

①選手の世界観の全てが現れる瞬間
僕が現場で発見した重要なことは、ハーフタイムに選手たちが自分たちで話をしている内容こそが、彼らが持っているサッカーの世界観の全てであるということです。
指導者の指示を聞いた後、選手同士で話し合わせる時間を作ると、彼らの本当の理解レベルが見えてきます。
その発話している内容が、彼らの現在のサッカー理解の限界なのです。
それ以上の言葉を僕らが投げかけても、子どもにとってはよくわからない状態になってしまいます。
②理解度のバロメーターとしての発話
選手たちだけでミーティングをさせた時に、指導者が練習や試合で言っていることと同じような内容を話している時は、大体理解できていると判断できます。
逆に、全く違うことを話していたり、具体性のない抽象的な会話をしている場合は、指導内容が伝わっていない可能性が高いです。
僕は定期的に選手たちだけの時間を作り、彼らの会話を注意深く聞くことで、指導の効果を測定しています。
この方法により、どの部分が理解されていて、どの部分が伝わっていないかを具体的に把握できるのです。
③選手の言葉で語られる内容の価値
選手が自分たちの言葉で説明できる内容は、本当に理解している証拠です。
指導者の言葉をそのまま繰り返すのではなく、自分なりの表現で説明できている時は、確実に理解が深まっています。
例えば、「ボールを大切にしよう」という指導に対して、選手が「パスする時はちゃんと相手のことを見てから出そう」と話していれば、具体的な理解ができているということです。
このような発話の質を観察することで、指導者は次に何を教えるべきかが明確になります。
3. ハーフタイムの新しい活用法

①従来の一方的指示からの脱却
もしかしたら、多くの指導者の方が行っているハーフタイムの使い方は、一方的に指示を出すことになっているかもしれません。
「もっと声を出せ」
「パスミスを減らそう」
「守備をしっかりやろう」
このような内容を指導者が話し、選手が聞くという形が一般的です。
しかし、この方法では選手の理解度を確認することができません。
僕が実践している方法は、まず選手たちに話をさせることから始めることです。
②選手の理解度チェックを優先する
ハーフタイムでまず行うのは、「まずは自分たちで話してみて。」と一旦任せます。
その後、「前半はどうだった?」「何を気をつけるべきだと思う?」といった問いかけを行います。
選手たちの発話を聞くことで、彼らが何を理解していて、何を理解していないかが明確になります。
その上で、選手の理解レベルに合わせた適切なアドバイスを行うことで、本当に伝わる指導ができるかなと思います。
この順序を逆にしてしまうと、選手の理解を超えた内容を一方的に話してしまう危険性がありますね。
③適切なレベルでの指導を可能にする
選手の発話内容を把握することで、指導者は彼らの世界観に合わせた言葉選びができるようになります。
難しすぎる戦術的な話ではなく、選手が理解できる範囲での具体的なアドバイスを提供できます。
これにより、「よくわからない状態」を作ることなく、確実に理解を積み上げていくことが可能になるのです。
結果として、指導効果が格段に向上し、選手の成長スピードも加速します。
4. 理解度に応じた効果的な指導法

①選手の世界観を起点とした指導
効果的な指導を行うためには、選手の現在の理解レベルを正確に把握することから始める必要があります。
僕の場合、選手が話している内容を注意深く聞き、彼らの世界観を理解した上で、そこから少しずつレベルを上げていく指導を心がけています。
無理に高度な内容を教えようとするのではなく、選手が理解できている部分から着実に積み上げていくことが重要です。
この方法により、選手は確実に成長を実感でき、学習意欲も向上すると思います。
②具体的な言葉選びの重要性
選手の理解レベルに合わせた言葉選びは、指導者の重要なスキルです。
抽象的で難しい表現ではなく、選手が日常的に使っている言葉や、これまでの指導で理解している概念を使って説明することが効果的です。
僕は選手の発話を通じて、彼らがどのような言葉で物事を理解しているかを把握し、その言葉を使って指導するようにしています。
この工夫により、指導内容の理解度が大幅に向上します。
③段階的な理解の積み上げ
一度に多くのことを教えようとするのではなく、選手の理解度に応じて段階的に内容を発展させていくことが大切です。
基本的な理解ができている部分については、より具体的で実践的な内容に発展させます。
理解が不十分な部分については、より簡単な表現や具体例を使って再度説明します。
このような個別対応により、チーム全体のレベルアップを図ることができるはずです。
5. 指導効果を高める観察のポイント

①選手の自然な会話を聞く技術
選手の本当の理解度を知るためには、彼らの自然な会話を聞くことが重要です。
意図的に作った発表の場ではなく、選手同士が自由に話している時の内容に、より真実が現れます。
僕は練習中や試合中の選手同士のやり取りにも注意を払い、彼らの理解度を常にチェックしています。
この継続的な観察により、指導の効果を正確に測定できます。
②理解の深さを見極める基準
単に指導者の言葉を繰り返すだけでなく、選手が自分なりの表現で説明できているかどうかが重要な判断基準です。
また、具体的な場面を想定して話ができているか、他の選手に説明できているかも理解度の指標となります。
僕は選手が「なぜそうするのか」まで説明できる時に、真の理解に達していると判断しています。
この基準を持つことで、表面的な理解と深い理解を区別できるようになります。
③継続的な確認の重要性
理解度の確認は一度だけでなく、継続的に行うことが必要です。
一時的に理解したように見えても、時間が経つと忘れてしまったり、理解が曖昧になったりすることがあります。
僕は定期的に選手の発話をチェックし、理解の定着度を確認するようにしています。
この継続的なフォローにより、確実な理解の定着を図ることができます。
途中で「積み上げる」と表現しましたが、実際には覚えたと思ったら忘れてしまったりの繰り返しです。
そのため「以前は理解できていたのに…」と焦らずに、じっくり時間をかける必要がありますね。
6. 本当に伝わる指導の実現

①無駄な指導を避ける効果
選手の理解度を正確に把握することで、効果のない指導を避けることができます。
理解していない内容を繰り返し説明したり、すでに理解している内容を何度も教えたりする無駄をなくせます。
限られた練習時間を最大限に活用し、本当に必要な指導に集中できるようになります。
この効率化により、選手の成長スピードが格段に向上します。
②選手の自信と学習意欲の向上
適切なレベルでの指導を受けることで、選手は確実に理解できるようになり、自信を深めていきます。
「わからない」状態が続くことによる挫折感やストレスを避けることができます。
理解できる喜びを味わうことで、選手の学習意欲も高まり、より積極的に学ぼうとする姿勢が育ちます。
この好循環が、長期的な成長につながる重要な要素となります。
③チーム全体のレベルアップ
個々の選手の理解度を把握することで、チーム全体の指導戦略も立てやすくなります。
理解度の高い選手には応用的な内容を、理解が不十分な選手には基本的な内容を重点的に指導できます。
また、選手同士で教え合う機会を作ることで、チーム全体の理解度向上を図ることも可能です。
このような戦略的なアプローチにより、チーム力の底上げを実現できると思います。
まとめ
最後にまとめです。
・日本の選手は「はい、わかりました」と返事するが理解度は別問題
・選手の発話内容が彼らのサッカー世界観の全てを表している
・ハーフタイムは指示する前に選手の理解度をチェックすることが重要
・選手が指導内容と同じような内容を話している時は理解できている証拠
・選手の理解レベルを超えた指導は「よくわからない状態」を作るだけ
・適切なレベルでの指導により効果が格段に向上する
・継続的な観察により選手の真の理解度を把握できる
・無駄な指導を避け、本当に必要な内容に集中できる
この記事では、ジュニアサッカーにおける選手の本当の理解度を知る方法について解説しました。
選手の発話を通じて真の理解レベルを把握し、それに応じた適切な指導を行うことで、本当に伝わる効果的な指導を実現できますので、皆さんのジュニアサッカー指導現場でも試してみてください!