こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代のサッカー指導では、試合当日のウォーミングアップがとても重要です。
しかし、試合当日は練習とは違う環境や制約があり、どのようなアップを行えばよいか迷ってしまうことがあります。
僕自身、過去には試合前に特別なアップを取り入れて、かえって選手を緊張させてしまったという経験があります。
しかし、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。
・試合当日に審判業務があり、アップに付きっきりでいられない
・会場の環境によってアップの内容を変える必要があるのか分からない
・練習試合と公式戦でアップの内容を変えるべきか迷っている
この記事では、試合当日のウォーミングアップの基本的な考え方から、環境に左右されない具体的な方法まで詳しく解説します。
この記事を読めば、どんな状況でも安定したアップが行えるようになり、選手たちが試合でベストパフォーマンスを発揮できるようになると思いますので、最後までご覧ください。
1. 試合当日のアップで最も大切な考え方

①ルーティンを固定することの重要性
試合当日のアップで僕が最も重視しているのは、練習試合でも公式戦でも同じ内容で行うということです。
僕は以前、公式戦になると「今日は大事な試合だから気合を入れよう」と思って、普段と違うアップを取り入れたことがあります。
しかし、これが逆効果でした。
選手たちが「今日はなんか緊張するね」という感じになって、パフォーマンスが大幅に下がってしまったのです。
この経験から、僕は選手たちに「練習試合も公式戦も試合は変わらない。同じだよ。だから別にいつも通りアップやって、いつも通りやるべきことやるだけ」という説明をしています。
②環境に左右されない内容を基本にする
地域によって審判業務があったり、グランド作りがあったりして、指導者が付きっきりでアップを見ることができない状況があります。
だからこそ、僕は選手たちが主体性を持ってアップできるような仕組みを作っています。
指導者がいない時でも、いる時でも同じように選手にやってもらうという感じですね。
場所によっては、5対5ポゼッションなど比較的人数が多く、広いオーガナイズでアップができなかったりする場合もあるので、最低限どこでもできる内容を基本にしています。
僕の場合、動的ストレッチ(ブラジル体操系)、パス&コントロール、何種類かのパスメニューを入れて、ロンドのような対人メニューで仕上げるという流れです。
③インテンシティを下げないことが重要
試合の日だからといって「軽くやろう」と考えて、インテンシティを下げるのは良くないと思います。
低いインテンシティで体を慣らした後に、ゲームで一番高いインテンシティが求められるわけですから、アップでやった感覚とずれてしまいます。
そのため、インテンシティは下げないでおきましょう。

2. 具体的なアップの構成と時間配分

①基本的な流れとメニュー構成
僕の場合、小学生に限って言うと、まず動的ストレッチから始めます。ブラジル体操のようなもの、ショートダッシュなどを入れて、これで10分ぐらいです。
そこからパス&コントロールですね。対面パスやコンビネーションなどをやって、最後は対人系のメニューで仕上げるという流れです。
トータルで30分前後程度。(その日の環境による)
学年によっては最初に鬼ごっこのようなものから始めて心拍を上げて、ボディコンタクトがあるメニューで緊張をほぐすというアプローチもあります。
フィジカル的な接触が多い方が緊張がほぐれやすいということもあるからです。
②時間は30分程度で短期集中
以前は1時間ぐらいやっていた時期もありましたが、今は大体25分から35分ぐらいで短期集中で行っています。
長い時間やると試合でもインテンシティが上がらなくなったり、長時間インテンシティを保ってアップすると疲れてしまったりするからです。
30分前後、そのコンディションによってですが、それぐらいがちょうど良いと思います。
短期集中で必要なだけインテンシティを上げられるかというところがポイントですね。
③対人系メニューで仕上げる重要性
動的ストレッチ、パス&コントロール、シュート練習と来て、はい試合となると、対人系がないですよね。
これだとサッカーとかけ離れてしまいます。
サッカーが上手くなるということを考えた時に、サッカーそのものが入っているグローバル系のトレーニングでちゃんと仕上げるということが大切です。
場所の広さによってはポゼッションまでできるのか、それともロンドしかできないのかという違いはありますが、グローバル系のメニューで仕上げる方が良いと思います。

3. 環境や状況に応じた対応方法

①指導者が見れない場合の対処法
審判などで指導者が付きっきりでアップを見ることができない状況は結構あります。
そういう場合でも、選手たちが自分たちでできるような内容と仕組みを作っておくことが大切です。
僕の場合は、内発的動機付けと絡めて、選手たちに主体性を持ってやらせるようにしています。
高学年や中学生になったら、もう自分たちでやってもらうという流れにしています。
これは単に手を抜いているわけではなく、選手の自立を促すという意味もあります。
②会場の制約がある場合の工夫
会場によっては、ウォーミングアップする場所が限られていたり、端っこでやらなければいけない場合もあります。
そういう時でも同じことができるように、最低限どこでもできる内容を基本にしています。
例えば、いつもラインゴールをやっているけど、場所がなくてできない時でも、基本のメニューはこなせるような構成にしているということです。
だから、ブラジル体操、パス&コントロール(何種類か)、ロンドのような対人メニューという流れを基本にして、場所があればプラスアルファで他のメニューを入れるという考え方です。
③理想的な環境での取り組み方
理想はちゃんとコーチがメインの監督やアシスタントが付いて、ちゃんとインテンシティを上げてあげるということが大事だと思います。
コーチが付いていないと、なかなかインテンシティが上がらない可能性があります。
コーチングによってインテンシティを促すことができないからです。
小学生の場合、コーチからの声かけ、選手を煽るようなコーチングやサポート、コーチングを飛ばすことによってインテンシティが上がるということがあります。
学年関係なくそういうところがあるので、それができないと本来の目的である体を温めることができないというデメリットもあります。
まとめ
・試合当日のアップは練習試合も公式戦も同じ内容で行い、ルーティンを固定する
・環境に左右されない基本メニューを決めておき、選手の主体性を育てる
・インテンシティは下げずに、短期集中で20〜30分程度で行う
・対人系のグローバルメニューで仕上げて、サッカーに近い感覚で試合に入る
・指導者の状況や会場の制約を想定した柔軟な対応方法を準備しておく
この記事では試合当日のウォーミングアップについて解説しました。
環境や状況に関わらず、選手たちが安定したパフォーマンスを発揮できるようなアップの仕組みを作ることが大切です。
皆さんの指導現場でも試してみてください!