こんにちは、講師のカズです。
サッカーコーチとして勉強していると「練習テーマや現象」というフレーズに出会います。
『なるほど、テーマを設定してオーガナイズを設定して現象を引き出す。これがトレーニングの王道パターンだ。これを繰り返していけば、選手は上手くなるはず!』
この考えやプロセス自体には特に問題ないかと思いますが、実は気をつけなければいけないポイントがいくつかあります。
僕がよく使う表現として以下のものがあります。
・コーチが指導すればするほど選手が伸びない現象
・コーチが指導しなくても選手が勝手に上手くなる現象
このような表現や内容は一切書籍等には書かれていませんが、僕が長年の指導経験を通じて現場で感じているものです。
もし、以下のような点で悩む方は、この記事を読んでみてください。
・一生懸命指導してるけど選手が伸びない
・練習のテーマにこだわりすぎて、なんだか練習がうまくいかない
・短い時間で質の高い練習をするにはどうしたらいいの?
僕自身も、指導の勉強を始めた頃や、現場での試行錯誤の中で同じように感じることがありました。
この記事では、日々のトレーニングで「何を優先すべきか」、そして「なぜそれが選手の成長につながるのか」について、僕なりの考えと具体的なアプローチを解説します。
この記事を読めば、指導の『軸』が明確になり、選手たちの成長を加速させるヒントが見つかると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 「練習テーマ」に固執しすぎた時の落とし穴

① 「練習テーマ」へのこだわりが落とし穴になる時
指導者が勉強を重ね、サッカーの理論やテーマ設定の重要性を理解するほど、「テーマを達成すること」にこだわりすぎてしまう傾向があります。
もちろん、テーマを設定することはとても大切です。
この練習でどんな現象を引き出し、何を改善したいのか、という明確な意図を持つことは指導の質を高めます。
しかし、そのテーマに固執するあまり、練習がダラダラと間延びしてしまったり、選手一人ひとりのプレー回数が極端に減ってしまったりすると、それは本末転倒だと僕は考えています。
② テーマへの固執が選手のフラストレーションにつながる理由
例えば、ある戦術的なテーマを設定し、そのための複雑なオーガナイズを組んだとします。
でも、いざやってみると、選手がルールをなかなか理解できず、説明に時間がかかったり、思うような現象が出なかったりすることがあります。
そういう時、指導者としては「なんとかしてテーマを達成させたい」という気持ちが強く出てしまうものですが、そこで無理に引っ張り続けるのは避けるべきだと僕は思います。
なぜなら、選手はテーマを理解できなかったり、プレー機会が少なかったりすることで、練習に対してフラストレーションを溜めてしまうからです。
子どもたちは「もっと体を動かしたい」「もっとボールに触りたい」というシンプルな欲求を持っています。
その欲求が満たされないと、どんなに良いテーマ設定でも「つまらない練習」になってしまう可能性があります。
コーチが勉強熱心であるほど陥りやすい、この「テーマへの固執」は、時に選手の成長を妨げる落とし穴にもなりかねません。
つまり、これがコーチが指導するほど選手が伸びない現象です
自分が学んだ知識を落とし込もうとすること自体は悪くないですが、それが目的化し、上手くいっていない練習を引っ張りすぎると選手のフラストレーションやモチベーション低下により、プレーは改善されません。
もっと極端に言うと、上手くなるどころか、全く伸びない状態になります。
では、次に『コーチが指導しなくても選手が勝手に上手くなる』ためには、どのようなポイントを抑えないといけないかを解説します。