少年サッカー・ポジショニングを改善【スタートポジションを解説】

こんにちは。講師のカズです。

指導者の方なら、小学3〜4年生くらいの試合で子どもたちのポジショニングで悩む経験があると思います。

・子どもたちがポジションを理解できていない
・ポジションの説明をしてもいつも違う場所にいる
・味方と同じポジションに立ってしまう

パスを受けるためのサポートといった細かなポジショニングもそうですが、試合でのフォーメーションやシステムといった全体的なポジション取りが上手くできない選手も多く見られます。

おそらくこの問題は、攻守における『スタートポジション』を理解していないということが原因です。

スタートポジションという言葉は聞きなれないかもしれませんが、子どもたちにポジショニングの基本を教える時に重要なキーワードです。

僕がサッカーコーチとしてバルセロナに留学中、現地の小学生はすごくポジションを理解してプレーしているなという印象を受けました。

また僕自身も、日本での25年の指導経験を経て、現在は小学生を指導するときにはチーム戦術の基礎としてスタートポジションから指導します。

チームを作る時に最初に行うのはスタートポジションの整理と理解


といっても過言ではありません。

そうは言っても指導者の方の中には、試合前にポジションの説明してるけど伝わらない。どうやって指導したらいいか分からない?と悩む方も多いと思います。

この記事では試合中に選手がフォーメーションやシステムを理解してバランスよくポジションを取るための基礎、「スタートポジション」の概要と指導方法について解説します。

実際の指導現場でもすぐに使える考えなので、ぜひ試してみてください。

動画で解説

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スタートポジションとは最初に立つ場所

そもそもスタートポジションとは何か?
ということから解説します。

文字通りスタートポジションとはスタートする時のポジションです。
もしくは戻るべきポジション。

つまり攻撃と守備の局面において

まず自分が立つべきポジション。いつもそこから動き出す。


というスタート地点となる場所です。

まだイメージがつかみにくいと思いますので具体的な例を見てみましょう。

4つの局面から見るスタートポジション

サッカーには以下のように、大きく4つの局面というものがあります。

■サッカーにおける4つの局面
1.攻撃
2.攻撃から守備への切り替え
3.守備
4.守備から攻撃への切り替え

ジュニアサッカー大学では、サッカーには4つの局面と11のサブフェーズがあると定義しています。 詳細は下記をどうぞ。
>>参考:サッカーの基本構造・4つの局面と11のサブフェーズ

この中でも「攻撃」と「守備」の局面でのスタートポジションの方が、子どもたちにもわかりやすく、実践しやすいと思いますのでこの2つで話を進めます。

攻撃と守備の2つの局面の中で「選手が最初に立つ場所・そこから動き出す=スタートポジション」というイメージでOKです。

では2-3-2システムを例に具体的に見てみましょう。

攻撃時のスタートポジション例

上の図は白チームが攻められた後にキーパーがキャッチもしくはゴールキックになった場面です。

このような場面では子どもたちがポジションにつく時間が取れるのでスタートポジションを教えやすい状況ですね。

詳細に言うと、先のサッカーの4つの局面の中の「守備から攻撃への切り替え」ですが、ゴールキック、もしくはGKがキャッチしたのでポジションをとる時間が作れるので「攻撃の局面」に入る段階です。

そしてこのゴチャゴチャになったポジションからスタートポジションへ移動したのが下の図です。

図のように、GKがボールを持ったら各選手が最初にどこに立つかを指導します。
ピッチ上のラインを使って指導しても良いですし、味方との関係でもOKです。

■攻撃のスタートポジションの例
・センターバック2枚はペナルティエリアの角辺りに立つ
・サイドハーフはタッチラインまで広がる
・フォワードはサークルの端辺りに立つ


「まずは攻撃になったらピッチのここに立つんだよ」と提示したものがスタートポジションです。

まずそこにポジションをとり、そこから動き出す。
それからボールがどこに動くかによって、どんなプレーの選択肢があるかの提示は次の段階です。

まずは最初に立つ位置を決め、その後の展開によってどのように動くかを徐々に落とし込んでいきます。

この攻撃時のスタートポジションが取れないと、ゴチャゴチャした配置からスタートする形になるのでその後の展開が難しくなります。

守備時のスタートポジション

次もわかりやすく、相手チームのゴールキックもしくはGKがキャッチした場面で解説します。

先ほどの例と同じでポジションをとる時間ができるためわかりやすい場面です。

白チームが右側の相手ゴールに攻めてゴールキーパーにキャッチされました。

攻撃した後は図のように選手の配置はゴチャゴチャになります。

ここから「GKがキャッチした場合には〇〇のポジションをとる」という指導を行います。

図の例では基準をセンターハーフ⑥にしています。

■守備のスタートポジションの例
・センターハーフはサークルの中心に立つ
・サイドハーフは絞ってセンターハーフとラインを揃える
・センターバックはハーフの後方に絞って立つ
・フォワードはハーフの前に絞って立つ

こんな感じで明確な基準や人との関係から自分が立つ位置をわかりやすく伝えて、そこをスタートポジションとします。

他の基準では

『相手GKのロングキックがハーフの選手の頭を超えないポジションをとる』

というような基準づくりもできます。

その辺は、チームのやり方によって微調整してください。

攻撃と守備の局面のスタートポジションを明確にするだけでもゴチャゴチャ感がなくなり、サッカーが整理されてきます。

常にスタートポジションを曖昧にしていると、チームとしての機能性が下がり、選手たちも位置関係が混乱してしまいます。

まずは2つの局面でスタートポジションを整理することから始めるのをおすすめします。

攻守の切り替え時のスタートポジション

攻撃から守備への切り替え、守備から攻撃の切り替え。
この切り替わった瞬間でのスタートポジションは存在しません。

なぜならこの瞬間は規則的なバランスのとれたポジションが取れないからです。

ただ、切り替えの瞬間から時間を作れるケースではスタートポジションを取るのは可能です。

■例
・(守→攻)ボールを奪った際にGKまでボールを下げる間に全員がポジションを取り直す
・(攻→守)ボールを失った際に相手がバックパスして守備ブロックを作る時間ができた場合


このようにポジションを取り直す3〜5秒程度の時間が取れる場合は再度スタートポジションを取り直す時間ができますね。

これも自チームのゲームモデルと合わせて指導しましょう。

スローインでのスタートポジション(例)

もう1つわかりやすい例がスローインでのスタートポジションです。

下の図はスタートポジションが明確になっていない例です。

ジュニア年代でよくある、人を捕まえてしまう現象。
もちろんマンツーマンでやってもいいのですが、ゾーンでの守備やスタートポジションという視点ではゴチャゴチャになっています。

このような場合、⑥が頭を越されて②にが釣り出される形になって余計にカオスになります。

次の図は2-3-2システムのまま守備をするケースです。
基準としては⑥にスローインで頭を越されないポジションを基準に他の選手のポジションが決まります。

■スローイン守備時のスタートポジションの例-1
・⑥は相手の動きに関係なく頭を超えないポジションをとる
・残りのハーフ2枚は⑥を基準にラインを揃えて絞る
・FWはボールサイドに寄る
・②は⑥のカバーリングで③はラインを揃える

こうするとキレイに守備ブロックができてその後の展開にも対応しやすくなりますね。

上の図は2-3-2システムのまま配置していますが、3-3-1にしてブロックを強化する方法もあります。
その例が下の図です。

このように⑥のサイドハーフをディフェンスラインに入れ、FWの⑧をサイドハーフのポジションに入れます。
これもスローイン時のスタートポジションとして明確にしておくとサッカーが整理されてきます。

■スローイン守備時のスタートポジションの例-2
・SHの⑥はディフェンスライに入りCB2枚はラインを揃える
・FWの⑧はサイドハーフの位置+頭を越されない
・⑤④は⑧とラインを揃える

このように基準を選手に示すことで最初に立つ位置を明確にします。

スタートポジションを設定することで、子どもたちのサッカーもカオスから抜け出して、整理されたものになりますね。

ポジショニングがカオスだと基本的な戦術を学びにくい

僕がスタートポジションを重要視している理由は、ピッチ上がカオスにならないようにするためだったり、選手にポジションをわかりやすくするためでもあるのですが、もう1つ重要なポイントがあります。

それは、そもそもポジショニングの理解がないとグループやチームの戦術を落とし込みにくくなるというものです。

グループ戦術が機能しない

例えばカバーリングの概念を選手に教えたくても、そもそもカバーリングできるポジションに立っていなければ成立しません。

ポジションが取れていないのに「ちゃんとカバーしろ!」と言っても成功しませんよね。

他にもコンビネーションやサポートも、スタートポジションがバラバラで、ボールホルダーの近くに選手がいなければ成立しません。

守備のプレッシングやビルドアップ攻撃の最初の配給などは典型です。

なので、そういった戦術をチーム内に落とし込んでいくためにも、基本中の基本となるスタートポジションを低い年代の頃から理解させておくことで、その後のプレー理解の進み具合が変わってきます。

②まずはスタートポジションを整理しましょう

ということで今回は子どもたちが最初に学ぶべきスタートポジションについて解説しました。

最初はコーチがしっかりと指導しないと子どもたちはできませんが、試合中の選手たちに「〇〇の時は最初にどこに立つの?」と質問して選手がハッと気づくようになればOKです。

その後は選手たちどうしで声をかけれるようになります。

最初に整理しておくとポジショニングの指導が楽になるスタートポジション。

ぜひ皆さんの指導現場でも試してみてください!

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