こんにちは、 講師のカズです。
この記事では、U-11〜U-12の2シーズン、 フォーメーションの『2-3-2』を採用する中で『どのようなタスク設定を行ったか?』 を実例をもとに解説します。
8人制サッカーのフォーメーションの2-3-2を採用したけど、以下のような問題がある場合には参考になると思います。
・フォーメーションがうまく機能しない
・どのようなタスク設定をしたらいいかわからない
・タスク設定を増やしていく手順がわからない
このような疑問がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、2-3-2に関する概要を知りたい方は、先に下記の記事をご覧ください。

他にも、この記事を読むことで、以下の点が分かると思います。
・タスク設定の手順と基準がわかる
・システムに合わせた整理の仕方が見える
・2年間でどのように複雑化していくかを段階的に学べる
・複数の具体的な図で子どもにどう伝えるかのヒントが得られる
2-3-2に限らず、各種フォーメーションにおける「タスク設定」のイメージも掴んでくれたら幸いです。
※タスク設定における、初期の部分は無料で読めます!
では、さっそく始めましょう。
1.フォーメーションにおけるタスク設定とは?
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①フォーメーションだけでは機能しない
サッカーにおけるフォーメーションとは、あくまでも初期設定=初期の配置です。
ここからどのように動くかが重要になるのですが、そのためには様々なフェーズにおける「ポジション毎のタスク」を設定する必要があります。
当然、様々なフォーメーションにはそれぞれのメリット・デメリットがあるのですが、それらも踏まえて「タスク設定」を行う必要があります。

②フォーメーション+タスク設定が重要
タスク設定とは、各ポジションにおいて「どのような仕事や役割を与えるか」というものです。
サッカーは状況が刻一刻と変わるスポーツです。
そのため、様々なシチュエーション毎に、各ポジションの選手に対して「タスク設定」を行う必要があります。
ちなみにタスク設定はフェーズ、もしくはサブフェーズ毎に設定する方が分かりやすいと思います。
フェーズやサブフェーズが分からないという方は、下記の記事を参考にしてください。

③タスクはざっくりで良い
タスク設定というと、少し難しく感じるかもしれませんが、大まかに設定しても大丈夫です。
『〇〇の状況の場合、基本的にはこうする』
というくらいのイメージで大丈夫かと思います。
サッカーでは必ずイレギュラーなことや、決まったとおりに動けない場面があるので、ジュニア年代ではあくまでもガイドライン程度の認識で良いかと思います。
2.フォーメーション:2-3-2『前期のタスク設定』
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では、ここからは僕が実際に行った「タスク設定の実例」と、シーズンが進む中で「どのようにタスクを増やしていったか」について詳しく解説します。
まずは、イメージしやすいように『チームの初期段階でのタスク設定』を攻撃と守備面で解説します。
チームの初期段階では、オーソドックスなものになりますが、それでも『タスクとして設定』しておくことが重要です。
①攻撃のタスク設定(前期)
攻撃:ビルドアップ〜前進-1

GKがボールを持ったっ時、もしくはゴールキックの時、初期の段階では以下のように設定しました。
・CBはGKに対して斜めのポジションをとる
・敵に近い場合はポジションを下げる
・MFはCBの前のスペースでサポートする
・SHは幅をとる
・FWは高い位置をとる
ほぼほぼ、スタートポジションに近いイメージですね。

攻撃:ビルドアップ〜前進-2

次にCBにボールが入った時のタスク設定は以下の通りです。
・MFはCBの前のスペースでサポートする
・SHは高さを調整しながらサポートする
・CBがプレスを受けた→ポジションを下げる
・CBがフリー→ポジションを上げる
・FWはMFと被らないように高い位置でサポートする
攻撃:前進〜フィニッシュ

上手くMFやSHにボールが入れば、次は「前進からフィニッシュ」のフェーズです。
ここでは、以下のように設定。
・MFはSHに対して斜め後ろでサポート(中央からの崩しやサイドチェンジを意識する)
※ちなみにこのポジションを取ることでボールを失った時の「攻撃の警戒」になっています
・FWはコンビネーションや背後を狙う動き(モビリティ)を使いながら崩す
・逆サイドのSHが意識すべきことは2つ
1.MFにパスが出そうなら幅をとる
2.右サイドを突破しそうならゴール前へ侵入する
こんな感じで、ざっくりと攻撃のタスクを設定します。
では、次に守備のタスクも見ていきます。
②攻撃〜守備への切替時のタスク設定(前期)
攻→守①:ビルドアップ〜前進のフェーズで失った場合

先ほどの攻撃における「ビルドアップから前進」のフェースでボールを失った時のタスクは以下の通りです。
・サイドでボールを失った場合、ファーストディフェンスはMF
・逆サイドのSHはスライドして中央のスペースを埋める
・失ったサイドのSHやMFが守備をして時間を作っている間に、遠いサイドのFWがSHのスペースを埋める
当然、相手の攻撃によってFWが戻れないケースや、流れによってはSBが行く場合もあります。
あくまでもざっくりのイメージ&タスク設定なので、場合によっては細かな修正も必要ですね。
攻→守②:前進〜フィニッシュのフェーズで失った場合

高い位置でボールを失った場合も同じです。
攻撃時、MFにボランチ的なタスクを設定しているので、攻撃から守備に切り替わったとしてもタスクが矛盾しません。
③守備のタスク設定(前期)
守備①:ビルドアップ〜前進

次は守備時のタスクに関して。
相手のフォーメーションにもよりますが、基本的には以下の通りです。
・相手の中央にいる選手(GKもしくはCB)がボールを持っている時、FWはプレスに行かない
・サイドのボールが出たらプレスをかける
・逆のFWはバックパスを狙う
・サイドの選手はSHが捕まえる
・MFは中央の選手を捕まえる
・CBは縦へのスライドを行わない(ブロックを崩さない)
初期の守備のタスクでは、基本的な範囲にとどめています。
守備②:前進〜フィニッシュ

基本的には守備のフェーズでは「攻→守の切替」と同じようにSHのカバーはMFが行う設定ですが、間に合わない場合もあります。
その際には、以下のタスクを設定しています。
・MFが間に合わない場合はCBがアプローチする
・逆のCBはスライドしてスペースを埋める
・逆のSHがCBのスペースを埋める
逆サイドのSHは設定上、ほぼほぼボールと同じ高さのラインの高さにいるので、CBのスペースを埋めることができます。
以上が、初期設定の攻撃と切替、守備時におけるタスク設定です。
また、守備から攻撃への切替時はタスク設定というより、プレーモデルとしてイメージを共有していたのでここでは割愛します。
何となく「タスク設定」のイメージが沸いたでしょうか。
特にチームの初期段階で、タスクを増やし過ぎたり、複雑にすると選手が混乱する&過負荷になるので、できるだけシンプルにします。
この初期段階を『無意識レベルで行える状態』になったら、タスクを増やしたり、複雑にすることで臨機応変に対応できるようにしていきます。
※多分、U-10〜11年代では、3〜6ヶ月程度(選手による)で初期段階のタスクはこなせるようになると思います。そこからシーズンが進むにつれて、少しずつタスクを増やしていくのがポイントです。
以上、2-3-2の初期段階(前期)におけるタスク設定について解説しました!
とりあえず、ここまで読んで頂けたら、基本的な考え方は分かると思うので、ぜひ試してみてください!
ではここから、シーズンが進むにつれて、どのようなタスクを設定しバリエーションを増やしていくか。
次の章から解説します。