こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代のサッカー指導では、練習の「コートサイズ」がトレーニングの質を大きく左右します。
しかし、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。
・練習メニューは知っているが、コートの広さをどう設定すればいいかわからない
・同じ練習をしているのに、思ったような現象が起きない
・強豪チームの練習を真似しても、同じ効果が得られない
僕自身、過去には練習メニューの「形」ばかりに注目して、コートサイズの重要性を見落としていた時期がありました。
この記事では、コートの広さが選手に与える影響から、現象を見て調整する具体的な方法まで詳しく解説します。
この記事を読めば、同じ練習メニューでも狙った現象を引き出せるようになり、トレーニングの質が格段に向上すると思いますので、最後までご覧ください。
1. コートサイズが与える影響の基本原理

①一般的な考え方とその落とし穴
一般的には「コートが狭いと守備有利、広いと攻撃有利」と言われています。
確かにロンドやポゼッション練習では、コートが広ければボールが循環しやすく、狭ければプレッシャーを受けやすくなります。
しかし、この考え方には大きな落とし穴があります。
それは「複数人数や数的優位の状況」でのみ当てはまる原理だということです。
②1対1では逆の現象が起きることがある
以前、とあるの地域の指導イベントで印象的な体験をしました。
他の指導者の方が1対1の練習を指導していたのですが、コートが狭すぎて「フェイントで相手を外した瞬間にゴール」という状況になっていました。
これでは守備側はすぐに諦めてしまいますし、攻撃側も「抜き切る」という重要な要素を身につけることができません。
③狙いたい現象によってサイズを決める
重要なのは指導者が「どんな現象を出したいか」です。
先ほどの例で言うと、1対1での継続的な守備の対応を引き出したいなら、狭すぎたらその現象は起きません。
一定のコーチの広さがあって初めて、長い距離や広いスペースでの粘り強い守備の現象が発生します。
適切な成功率(例えば40〜60%程度)で現象が出るサイズに調整する必要があります。
2. 実践的なサイズ調整の考え方

①プレイエリアを広げる広いコート設定
例えば、僕の場合、3~4年生の指導では、あえて「縦25〜30メートル」という広いコートで1対1を行うことがあります。
これは単純な1対1スキルではなく、「ピッチに対してのプレイエリアを広げる」ことが狙いです。
狭いエリアでしかプレイできない選手が、ダイナミックな動きでプレーできるようにするイメージです。
②8人制フルコートでの現象変化
例えば、U-13(中学生)の選手に8人制でフルコートでプレーさせると、興味深い現象が起きます。
ジュニア時代の倍の距離を走らなければサポートに間に合わず、逆サイドの幅を取る(例えばタッチラインまで)動きも早めの判断が必要になります。
このように、同じフォーメーションでもコートサイズによって要求される動きが変わります。
③現象を見て即座に調整する能力
練習中に「思った現象が出ていないな」と感じたら、すぐにサイズやルールを変更することが大切です。
以前、スペイン系クラブのコーチに言われた言葉が印象的でした。
「紙(練習メニュー)は紙でしかない。大事なのは目の前でどんな現象が起きているかだ」
要するに、書籍や紙に書かれたコートサイズは目安でしかなく、重要なのはその広さでどんな現象が起きているかです。
3. 練習メニューを「コピー」することの限界

①同じメニューでも指導者によって結果が変わる
強豪校の練習メニューを真似しても同じ結果が出ないのは、こういった理由があります。
指導者には「その指導者にしか見えていないもの」があり、微妙な調整や声かけによって練習の質が大きく変わります。
②自分なりの確信を掴むことの重要性
最初はコピーから始めても構いませんが、そこから「自分なりの指導の確信」を掴むことが重要です。
僕の場合、4対2のロンドで原理原則を落とし込みますが、人によってはただのボール回しで終わってしまうかもしれません。
③ツールとしての練習メニュー
練習メニューはあくまで「ツール」です。そのツールを使って何を伝えるか、どんな現象を引き出すかは指導者次第なのです。
まとめ
この記事のポイントをまとめると以下の通りです。
・コートサイズは狙いたい現象によって決める
・1対1では「狭い方が攻撃有利」になることもある
・現象を見て即座に調整する分析力が重要
・練習メニューはツールでしかなく、指導者の確信が結果を左右する
この記事では、コートサイズがトレーニングに与える影響について解説しました。
皆さんの指導現場でも、ぜひ「起きている現象」に注目してサイズ調整を試してみてください!