こんにちは。講師のカズです。
少年サッカーの指導現場において、子どもたちのポジションをどのように決定するか。
僕自身は少年サッカーの指導歴が25年になりましたが、毎年新しいチームを担当するたびに選手のポジション決定には多くの時間を割きます。
これには年齢やレベル、選手の特徴、各ポジションに求められる役割などの様々な要素が関係します。
それらを排除して、安易な考えでポジションを決定すると選手個人が成長しないだけでなくチームとしてのパフォーマンスも向上しません。
そのためコーチは、なぜそのポジションを与えているかといった理由に対して責任持つ必要がありますね。
この記事では少年サッカーの指導現場において、子どもたちのポジションをどのように決めるか、考慮すべき要素と具体例について解説します。
この記事を読めば、子どもたちのポジションをどのように決定するべきかがわかると思いますのでぜひご覧下さい。
動画で解説
1.少年サッカーにおけるポジションの決め方【3つの要素を必ず考慮】
選手のポジションを決定するには、実にたくさんの要素を考慮する必要がありますが、僕の場合は以下の3つの要素を中心に考えます。
1.選手の特徴
2.各ポジションの役割
3.選手の将来性
1つずつ解説します。
①選手の特徴
まずは選手の特徴を把握することが重要です。
選手の長所を生かしたポジションを選ぶ
ほとんどの場合、ジュニア年代の選手たちにはレベルは違えど何らかの長所・短所があります。
その中での長所の部分。
これがポジションを決定する際に重要なポイントです。
なぜなら苦手なプレーをさせるのを優先するのではなく、普通は選手が得意なことが発揮できるポジションを選びますよね。
つまり、選手の長所=ポジションの特性になります。
では、どのような特徴を考慮すべきでしょうか。
簡単に3つの項目をピックアップします。
・テクニック面での特徴
・戦術面での特徴
・フィジカル面での特徴
これらの要素と各ポジションでの役割がマッチする部分、それが選手にとって適正なポジションとなります。
※メンタル面(気質など)も考慮すると良いです。
②各ポジションの役割
次にチームが目指すサッカーにおいて、各ポジションで求められる役割がポイントになります。
例えば、FWにはどんなタイプの選手を求めるのか、サイドにはどのような特徴を持った選手を配置したいのか。
同じポジションであっても、そのポジションにどのような役割を求めるかで、必要な選手の特徴は変わります。
1つ例を挙げて解説します。
異なるタイプのセンターハーフの例
例えば3-3-1のフォーメーションにおけるセンターハーフにどんな選手を求めるか。
A.攻撃的な選手を求める場合
攻撃的な選手を配置したい場合は、ボール扱いが上手く、シュートやパスを出せるテクニックのある選手を配置する傾向があります。
このような選手の場合、周囲に気を使い、ポジションバランスをとるよりもチャンスになったら思い切って前線へ出れる選手を配置します。
B.守備的な選手を求める場合
反対に守備的な選手をセンターハーフに求める場合、攻撃のクオリティよりも、奪われた後の守備面を考慮して、ポジションのバランスを取れる選手や、攻撃から守備に切り替わった時に素早く守備が行えるなど、危険察知能力が高い選手を配置します。
このように同じフォーメーション・同じポジションでも求められる役割の違いによって、配置される選手の特徴は変わります。
③選手の将来性
育成年代の子どもたちにとっては、その選手の将来性も考える必要があります。
ただし注意点としては5年後、10年後といった現在と関係性がつかめない抽象的なものはダメです。
半年や1年後、次のステージといった比較的近い将来でのイメージになります。
設定によっては2、3年後も可能だと思いますが、あまりにも将来と現在がかけ離れると、それは逆にコーチが責任逃れをしているとも言えます。
イメージとしては4年生の時には5年生になった時のこと。
6年生であればジュニアからジュニアユースという1ステージ上がった時。
というような将来性を見ながら現在のポジションを決定することも重要です。
将来性を考慮しポジションを変更した例
これは僕自身の実際の例ですが、FWからサイドへポジションを変更した例を紹介します。
ある選手は6年生の時にチームでセンターフォワードをしていました。
しかし、このままジュニアユースへ進むと周囲のレベルも1・2段階高くなるので、このままセンターでプレーするのは難しい。
ただし、スピードもあり運動量もあるのでサイドバックやウィングなら次のステージでも活躍できる可能性が十分あるので、今のうちからサイドでのプレーを経験させておく。
こういう理由でポジションを変更した選手も実際にいます。
他にも、ある時期に苦手なポジションをさせることで短所を強化する、不慣れなポジションで新しい刺激を与えるなどの方法も考えられます。
何れにしても、選手を上手く成長させるためにどのように戦略的に考えるかが重要です。
2.ポジション別に必要とされる能力(具体例)
選手のポジションを決定する際に考慮すべき要素が分かったところで、ポジション毎にどのような特徴を持った選手を配置するか具体例を見ていきましょう。
※ポジションごとに求められる選手の特徴はチームやコーチの考え方によって大きく変わります。あくまでも例なので参考程度にしてください。
ここではよくあるフォーメーション、3−3−1で話を進めます。
①ゴールキーパー
・GKとしての基本テクニック
・ビルドアップにおけるコントロール、パスの精度
・ショートとロングを使い分けることができる
基本的なゴールキーパーとしてのテクニックスキルを持っている必要はありますが、特殊なポジションなので専門的な指導を受ける必要がありますね。
ただ、ビルドアップをするチームの場合はフィールドと同じような足元のテクニック、コントロールやパスの配球が上手い必要があります。
ジュニア年代のGKについては、少年サッカー【GKは誰がやる?】ジュニア年代のゴールキーパーで解説しているのでそちらをご覧ください。
②センターバック
・1対1の守備の強さ
・スピードの速さ
・パスカットとカバーリングの巧さ
・ロングボールに対するヘディング(高学年)
優先的には守備の強さが求められます。1対1で抜かれないだけでなくボールを奪い切る能力。
高学年ならロングボールに対するヘディングやカウンターを受けた時のスピードなども重要です。
また、ビルドアップを行うチームならドリブルでプレスを外す技術やパスの精度も求められます。
③サイドバック
・1対1の守備の強さ
・スライドとカバーリングのポジショニング
・攻守にわたる運動量
・縦への突破力(ドリブル、コンビネーション)
・スピード
チームによって攻撃的な選手を配置したいか、それとも守備的な選手かで求められる要素が変わります。
上記の例は攻撃的な選手です。
ピッチの中央でプレーではなくタッチライン際のサイドでのプレーが多いので、縦型(突破力や推進力)の選手が配置されます。
④センターハーフ
・ゴール前でのドリブルやコンビネーションでの突破力
・シュートの精度
・シュートにつながるパスを出せる
・中央だけでなくサイドでもプレーできる
前述した異なるタイプのセンターハーフの例の通り、攻撃的・守備的かで求められる能力は変わります。
上記は攻撃的な例です。
⑤サイドハーフ
・1対1の突破力
・クロスやシュートの精度
・スピード ・プレッシングの理解力
このポジションもチームによって変わりますが、しっかりとプレッシングを行うチームの場合は、そのためのポジショニングや理解力も求められます。
⑥フォワード
・得点力(シュート、クロスetc..)
・動き出しの巧さ
・ドリブルでの突破力 ・スピード
フォワードにはいろんなタイプの選手がいます。
またチームによってはポストプレーができる大柄の選手という考えもあれば、小柄でもテクニックレベルが高くスピードのある選手など、相反する考えもありますね。
上手い選手=攻撃
上手い選手=中央ではない
以上、各ポジションで求められる能力の例を見てきましたが、これらはチームや監督・コーチのサッカースタイル、ゲームモデルによって変わります。
ただ少年サッカーで誤解されがちなのは、上手い選手は攻撃をやらせて、上手くない選手は守備やサイドでプレーさせられるという間違ったイメージです。
サッカーにおいてポジションどうしの優劣はありません。
実際に僕自身、チーム内で一番攻撃が上手い選手を2-4-1のサイドハーフで起用したこともあります。
それはチームの戦力やゲームモデルを考慮したらそこが一番適しているしバランスが取れるという理由です。
3.ポジションは固定するべきか?
ジュニア年代のサッカーにおいてポジションを固定するべきか、それともいろんなポジションでプレーさせるべきか、こういった疑問があると思います。
僕自身は、年齢や時期によって固定して状況を見ながら変更するという方法をとっています。
詳しくは少年サッカー【ポジションは固定するべきか?】実践的指導法を解説をご覧ください。
以上、少年サッカーにおけるポジションを決定する際に考慮すべき点について解説しました。
子どもたちのポジションを決定する際の参考になれば幸いです!