ジュニア年代の選手に守備戦術を教えるときに、どんなことから教えようかなと悩む方も多いと思います。
今回は、個人・グループでの守備戦術の中の基本的なものや実際に試合で起こる現象から、数的不利の時の「1対2〜2対2の守備戦術:ディレイ」の練習メニューを紹介します。
動画で解説
1.練習メニューの概要
✔︎改善できること:
・相手の攻撃を遅らせるプレー(ディレイ)
・味方が戻った後の守備対応
・チャレンジ&カバー
✔︎対象年齢:小学3年生以上
✔︎人数:12人
✔︎難易度:低い
2.オーガナイズ
【タイトル】
・2対2の攻撃+3人目のサポート
【コートサイズ】
・15m×25m程度
(※現象が発生する割合で調整してください)
【進め方】
・攻撃チームの2人は守備の選手を交わして前方で待っている選手にパス
・その後守備役になる
・パスを出した選手は中央のコーンを回って守備に入る
・守備役がボールを奪った場合は後方のグループにパス
【ノルマ】
・攻撃側は時間をかけずに攻める
【時間】
・15〜25min
以上が練習メニューのオーガナイズです。
3.練習メニューのテーマ
【目的】
相手の前進に対する守備(数的不利な状況)
【ツール】
(戦術コンセプト)
『攻撃』
サポート(ラインを超える)、引きつける(フィハール)
『守備』
ディレイ、チャレンジ&カバー
(テクニックアクション)
運ぶドリブル
【プレー原則】
設定なし
練習メニューのテーマ作成について詳しく知りたい方は【練習テーマの設定方法】少年サッカー・レベル別に解説をご覧ください。
※紹介メニューのためプレー原則は設定していません。
■目的
相手の前進に対する守備(数的不利な状況)
■ツール
(攻撃)サポート(ラインを超える), フィハール
(守備)ディレイ、チャレンジ&カバー
4.キーファクター
最初に攻撃側のキーファクターです。
- サポートする選手はボールホルダーがプレスを受けていない時は敵のラインを超えたポジションをとる。
- ボールホルダーがプレスを受けている時はポジションを下げパスコースを確保する。その際にコントロールオリエンタードで敵を超える。
- ボールホルダーは敵がドリブルのコースを切って来たらパスを優先。
- パスコースを切って来たらドリブル・レガテで敵を超える。
- ボールホルダーはパスする際には相手を引きつける。
守備側のプレーだけに特化して改善したい場合は、攻撃のキーファクターを伝える必要はありません。
また、あまりにも守備が簡単にプレーできる場合は先に攻撃を改善しましょう。
次に守備側のキーファクターです。
- 状況が1対2の時はボールホルダーに寄せすぎず、距離をとってパスで超えられないようなポジションをとる
- 1対2の時はボールホルダーに寄せすぎず、パスが出てもアプローチできるポジションをとる
- 味方の戻りが遅れており、前進されてゴールに近づかれたらパスコースを切りながらアプローチ
- 味方が戻ってきたら通常の2対2の守備を行う
以上が代表的なキーファクターになります。
5.ジュニア年代の指導ポイント
コートサイズが大きすぎると、ディレイする時間が長くなり容易に味方が戻って来れたり、反対に狭すぎると戻る前にプレーが終了してしまうので調整しましょう。
年代としてはU-10(小学4年生)くらいから実行できる戦術ですが、高学年でも基本の導入としては十分使えるメニューです。
同じようなルールで3対2→3対3などを設定すれば、より複雑でゲームに近い形にすることもできますので自由にアレンジしてください。
最初は距離感が上手くつかめないケースもありますが、いきなりキーファクターを全て説明せずに、重要なポイントを絞ってコーチングする必要があります。
ディレイ(守備の戦術コンセプト)についてもっと詳しく知りたい方は下記のリンク記事をご覧ください。
>>相手の攻撃を遅らせて味方を待つ【ディレイ】サッカー戦術コンセプト