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子どもの憧れが語るもの【サッカー用具選び】を記号論で考える

こんにちは、講師のカズです。

読者の方から以下のようなご質問をいただきました。

以下、質問の内容です。

「シューズやスパイクのメーカーごとの特徴や違いなどありますでしょうか。
選手たちは有名な選手が履いているスパイクを好んで選びたがりますが、本来であれば自身の足型に合ったスパイクがいいのか、はたまたジュニア年代ではそこまで考えず、選手のフィーリングに任せてもいいのか悩ましいところです。」

ジュニア年代のサッカー指導では、用具選びの指導もとても重要です。

しかし、子どもたちがスパイクやユニホームを選ぶ際の心理について、僕たちはどこまで理解できているでしょうか。

僕自身、過去には「機能性が一番だ」という考えだけで、子どもたちの気持ちを十分に理解できていませんでした。

しかし、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。

・子どもが憧れの選手と同じスパイクを欲しがるが、足に合わないように見える
・機能性を重視すべきか、子どもの気持ちを尊重すべきか判断に迷う
・用具へのこだわりが強い子どもにどう向き合えばいいかわからない

この記事では、少し違う角度、記号論という視点から子どもたちの用具選びを考察し、指導者としてどう向き合うべきかを詳しく解説します。

この記事を読めば、子どもたちの用具選びに対する新しい理解が得られ、より深い指導ができるようになると思いますので、最後までご覧ください。

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1. 記号論から見る子どもたちの用具選び

①ロラン・バルトの記号論とは

フランスの思想家ロラン・バルトは、20世紀の記号論を代表する人物です。

彼の著書「モードの体系」では、ファッションは単なる服ではなく、社会的な意味を持つ記号であると論じています。

例えば、ファッション雑誌で「このコートで知的な印象を与える」と書かれていれば、そのコートは防寒具としての機能を超えて、「知的さ」という意味を持つ記号になります。

この考え方を子どもたちのサッカー用品選びに当てはめると、とても興味深い視点が見えてきます。

②子どもたちにとってのスパイクの意味

僕が現在指導しているU-13のチームでは、新しいユニホームができた時に、子どもたちが背番号やデザインについて熱心に話し合っていました。

また、練習中にビブスを配る際にも「何番がいい」とこだわる子どもたちの姿を見て、これは単なる好みの問題ではないと感じました。

記号論の視点で考えると、子どもたちが憧れの選手と同じスパイクを履きたがるのは、単に「かっこいい」からではありません。

その背景には、「自分もその選手のようになりたい」「周りからそう見られたい」という願望が込められているのです。

③僕自身の体験から

振り返ると、僕も中学生の時に10番を着たがったり、1990年イタリアワールドカップの時にイタリア国旗カラーのスパイクを履いたりしていました。

アディダスのスパイクは足に合わなくて痛かったのですが、それでも履き続けていました。

当時は単なる憧れだと思っていましたが、今思えば、そのスパイクは僕にとって「憧れの選手への憧れ」や「サッカーへの情熱」を表現する記号だったのかもしれません。

2. 子どもたちの自己表現としての用具選び

①ヘアバンドから見える子どもの心理

練習中にヘアバンドをつけている子どもを見かけることがあります。

髪が短い子でも、ヘアバンドをつけたがることがあります。

以前の僕なら「髪が短いのになぜ?」と思っていましたが、今は違います。

その子にとって、ヘアバンドは憧れの選手のイメージを表現する大切な記号なのです。

②背番号へのこだわりの意味

背番号についても同様です。

以前の僕は、背番号をあいうえお順や適当に決めていました。

しかし、子どもたちの背番号へのこだわりは、単なるわがままではありません。

その番号を背負うことで、憧れの選手に近づけるという感覚や、自分のアイデンティティを表現したいという気持ちが込められています。

③髪型やファッションも含めた自己表現

髪型についても同様のことが言えます。

子どもたちが特定の髪型を真似したがるのも、その選手の持つイメージや特徴に憧れを抱き、自分もそうなりたいという願望の表れです。

僕たち大人は年齢を重ねるとこうした感覚が薄れがちですが、子どもたちにとってはとても重要な自己表現なのです。

3. 指導者として大切にすべきこと

①子どもの気持ちを尊重する姿勢

これまでの経験を踏まえて、僕が大切だと思うのは、子どもたちの用具選びへのこだわりを単純に否定しないことです。

もちろん、機能性や健康面を考慮することは重要です。

しかし、それと同時に、子どもたちがその用具を通じて何を表現しようとしているのかを理解しようとする姿勢も大切です。

②デリカシーを持った対応

例えば、髪が短い子にヘアバンドについて無神経に突っ込んでしまうと、その子の気持ちを傷つけてしまう可能性があります。

僕自身、過去にはそうした配慮が足りなかったことを反省。

子どもたちの小さなこだわりも、その子なりの理想や憧れの表現であることを理解して、適切に対応していく必要があります。

③バランスの取れた指導

もちろん、足に合わないスパイクで怪我をしてしまっては元も子もありません。

大切なのは、機能性と子どもの気持ちの両方を考慮したバランスの取れた指導です。

子どもの憧れや願望を尊重しながら、同時に健康面や機能面についても適切にアドバイスしていくことが重要だと思います。

④モチベーション向上への配慮

子どもたちのこだわりを理解し、可能な範囲で尊重することは、モチベーション向上にもつながります。

憧れの選手と同じスパイクを履くことで、その選手のようなプレーをしたいという気持ちが高まることもあるでしょう。

そうした心理的な効果も、指導においては重要な要素だと考えています。

まとめ

この記事のポイントをまとめると以下の通りです。

・子どもたちの用具選びは、単なる好みではなく自己表現の一部である
・記号論の視点から見ると、用具は憧れや願望を表現する記号としての意味を持つ
・指導者は機能性だけでなく、子どもの気持ちも理解することが大切
・バランスの取れた指導で、健康面と心理面の両方を考慮する必要がある

この記事では、記号論という視点から子どもたちの用具選びについて解説しました。

子どもたちの小さなこだわりにも深い意味があることを理解し、皆さんの指導現場でも活かしていただければと思います。

普段とは違う角度からの考察でしたが、子どもたちの心理を理解する一つの参考になれば幸いです。

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