こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代のサッカー指導では、選手がボールを持っていない時の動き、特に「ポジションを動かして味方を助ける動き」もとても重要です。
また、数的優位な状況を意図的に作り出すことは、攻撃を有利に進めるための基本となります。
しかし、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。
・ポジションチェンジを促しても、ただ選手が動くだけで効果的なパスコースが生まれない
・数的優位がうまく作れない
・選手たちがボールばかり見てしまい、味方の動きに連動できない
僕自身、過去の指導で「動きの質」をどう高めるかについて、試行錯誤を繰り返してきました。
単に動くことと、意図を持って動くことには大きな違いがあります。
この記事では、僕が実践している「5vs2ロンド(変則)」という練習メニューを通して、ポジションを動かして数的優位を作るための具体的な動き方やコーチングのポイントを詳しく解説します。
この記事を読めば、選手たちが試合の中で味方と連動し、意図的にチャンスを作り出す動きを理解し、実践できるようになると思いますので、最後までご覧ください。
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動画で解説
1. 練習の進め方とオーガナイズ
まずは、この練習の基本的な進め方とオーガナイズについてです。
シンプルなロンドですが、少し特殊なルール設定がポイントになります。
①概要
【コートサイズ・人数・時間】
◾️対象:U11
(Min_Age: 11)(Max_Age: 12)
◾️人数: 7人(攻撃4人vs 守備2人)
◾️コート: 12m × 12m 程度
(選手のレベルや狙いに応じて調整)
◾️時間: 15分
◾️難易度:★★★★☆
【基本的なルールと進め方】
①5vs2のロンドを行います。
②初期配置は、攻撃側が外に4人、中央に1人。
③中央の選手がポジションを動かすことで、全体のポジショニングを調整し、変則的なパスコースを作り出します。
④守備側の選手がボールを奪ったら、攻守を交代。

② メモ
この練習は5対3に設定しても可能です。
選手のレベルや慣れに応じて、難易度を調整してみてください。
③備考
中央の攻撃選手には、「自分のパスコースがDFに切られたら、次のパスコースを予測して動き出す」というノルマを設定します。
これにより、単に待つのではなく、常に次のプレーを考える習慣を促します。
2. 練習の狙いと目的
この練習は、単なるパス回しではありません。
試合中の様々な局面で必要となる「数的優位の作り方」と「前進するためのボール保持」を学ぶための重要なトレーニングです。
【トレーニングの狙い】
・ポジションを動かして局面で数的優位を作るイメージ作りと導入
・中盤の選手がポジションを下げたり、横に動いたりすることで、変則的な配置でパスコースを作るイメージ作り
【目的】
前進とボール保持
【トレーニングで意識する要素】
◾️テクニック:パス、コントロールオリエンタード
◾️戦術:サポート、ポジションチェンジ
この練習を通じて、選手たちはボールホルダーに対して、いつ、どこに、どのように動けばチームとして有利な状況を作り出せるのかを学びます。
特に、中央の選手がキーマンとなり、彼の動きがチーム全体の攻撃の質を左右します。
3. 指導のポイントとキーファクター
この練習を効果的に行うためには、指導者が選手の動きを細かく観察し、適切なタイミングでキーファクターを伝えることが不可欠です。
① キーファクター
1. 中央の選手は、直接パスがもらえないと感じたら、その次に展開する選手を予測してポジションを変える
ボールを受けることだけが目的ではありません。
自分が動くことでDFを引きつけ、他の味方のためのスペースやパスコースを作る意識を持たせることが重要です。
2. 中央の選手が落ちてきた場所にいる選手は、ポジションの高さを変える(上げる)
これは「ポジションチェンジ」の基本です。
味方が作ったスペースを、別の味方が使うという連動性を意識させます。
一人が動いたら、他の選手もそれに合わせて動くことで、常に複数のパスコースが生まれます。
3. ボールから遠いサイドにいる選手が中央のスペースを埋め、攻撃全体のバランスをとる
中央の選手がサイドに流れたり、ポジションを下げたりした際に、中央のスペースが空いてしまいます。
そこをボールから遠い選手が埋めることで、チーム全体のバランスを保ち、ボールを失った後のリスク管理にも繋がります。
② 留意点・コーチングポイント
1. 最初は中央の選手がうまくポジションを変えることができないため、適切なタイミングをキーファクターとともに伝える
僕の経験上、最初はただ闇雲に動いてしまったり、逆に全く動けなかったりします。
「パスが出せないなら、まず動いてみよう」と、動き出すきっかけを与えてあげることが大切です。
2. ただのポジションチェンジにならないように、局面で変則的な数的優位を作れているかをフォーカスする
動いた結果、パスコースが増えたか、味方がフリーになれたか、という「現象」に注目させます。
「今の動きで、DFはどう困った?」といった問いかけも有効かと思います。
3. よくあるミスとして、中央の選手が開けたスペースを埋めることができない選手がいるので、ボールではなく味方の動きを観るように促す
特にジュニア年代では、ボールに目が行きがちです。ボールを持っていない選手が、他の選手の動きを見て、次にどこにスペースが生まれるかを予測する。
「ボール」ではなく「スペース」と「味方」を観る習慣をつけさせることが、この練習の質を大きく高めます。
まとめ
この記事では、変則的な5vs2ロンドを通して、数的優位を作り出すための動き方を学ぶ練習メニューについて解説しました。
・中央の選手が起点となり、ポジションを動かすことでパスコースとスペースを作り出す。
・一人が動いたら、他の選手も連動してポジションを調整し、全体のバランスを保つ。
・ただ動くのではなく、「数的優位を作る」という目的を意識させる。
・指導者は、ボールだけでなく「味方の動き」を観るように選手に促すことが重要。
この練習は、一見するとシンプルなロンドですが、その中には試合の様々な局面で活きる「賢さ」を養うための要素がたくさん詰まっています。
最初は上手くいかないかもしれませんが、根気強く続けることで、選手たちの連携や状況判断能力は格段に向上するはずです。
皆さんの指導現場でもぜひ試してみてください!
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