こんにちは、講師のカズです。
この記事ではサッカーにおける3つゾーンの考え方と、ジュニア年代(8人制サッカー)の応用について解説します。
複雑なサッカーを整理するためのフレームワーク「3つのゾーン」を用いることで、サッカーを構造的に見れるようになります。
・サッカーにおける3つのゾーンって何?
・ゾーンごとの役割や攻守の特徴を知りたい
・ゾーンに基づいた指導方法や練習設計を探している
このような疑問に答える形で解説します。
また、別記事の「4つの局面と11のサブフェーズ」も合わせて見ていくと、ゲーム分析や練習メニュー構築にも役立ちます。
>>参考:サッカーの基本構造【4つの局面と11のサブフェーズ】戦術の基礎
ジュニア年代における8人制サッカーについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 3つのゾーンの様々な呼称

左から右へ攻めているとして、コートを3分割に分けます。
それぞれにいろんな名称がついていますが、正解はありません。
僕の場合は「ゾーン1」「ゾーン2」「ゾーン3」を使っています。
理由は単純で、「攻撃」「守備」どちらの局面でもニュートラルに使えるからです。
たとえば、相手陣地で守備している状況を「アタッキングサードでの守備」と言うと、ちょっと違和感がでます。
例えば図の真ん中より下にある名前。
ゾーン1 = 守備ゾーン → 相手がボールを持っている状態
ゾーン2 = 中盤ゾーン → どっちのボールでもない
ゾーン3 = 攻撃ゾーン → 自分たちがボールを持っている状態
こうすると、自分たちがボールを持っているゾーン1で、まさに「ビルドアップの始まりのフェーズ」を迎えているときに、『守備ゾーンでの攻撃の組み立て』みたいになって、わかりにくいです。
なので簡単に自陣の手前から『ゾーン1、2、3』とする方がしっくりきます。
この辺の考え方には正解はないので、自由に呼んで下さい。
2. 当然ながら3ゾーンは移動します

押し込まれている状態では当然上の図のようになります。
反対の場合は下の図のようになります。

この辺は厳密な定義がないと思いますが、まあ、雰囲気で掴んでいたらいいと思います。
3. サッカーにおけるサブフェーズと3つのゾーン

僕が「ゾーン1・2・3」と呼ぶのには単純に使いやすいだけでなく、サッカーにおけるサブフェーズと絡めたイメージが実は関係します。
3つのゾーンを11のサブフェーズ(チーム全体のアクション)と絡めると以下のようになります。
・ゾーン1=「ビルドアップの始まり」と「前進・ボール保持」
・ゾーン2=「前進・ボール保持」
・ゾーン3=「前進・ボール保持」と「フィニッシュ」
つまり、各ゾーンとそこでのチーム全体のアクション(サブフェーズ)のイメージをリンクさせている状態です。

ここからは、少しややこしい話を。
※興味がない方は飛ばしても大丈夫です。
簡単に解説します。
例えば「ゾーン1」を「守備ゾーン」と呼んだ時にはマイボール時のイメージとかけ離れてしまいますね。
ここではチーム全体のアクションとして「ビルドアップの始まり」や「前進と保持」のアクションが見られます。
敵がボールを持っているときは確かに「守備ゾーン」でいいのですが、同じゾーンでも攻撃と守備ではイメージが異なります。
また、この3つのゾーンは厳密にどこで線を引くか?は関係なく大まかな目安です。
ゾーン1で守備をする時とゾーン3で守備をする時では各選手のタスクや失点のリスクが違うので「攻撃ゾーン」と呼ぶと攻撃のイメージはつくのですが「守備のイメージ」がイマイチ。
こんな感じになります。
3つのゾーンと各ゾーンで発生する「チーム全体のアクション」はある程度関係するのと、それぞれで攻撃と守備の要素があるためシンプルに「ゾーン1・2・3」を僕は採用しています。
4. 『8人制サッカー』では2つのゾーンで考える

結論から言うと、8人制サッカーのジュニア年代では「3つのゾーン」ではなく『2つのゾーン』で考えた方が整理しやすいかと思います。
なぜなら8人制のピッチは狭いので3つのゾーンの境目がかなり重なるイメージで、わざわざ3つのゾーンに分けると細かすぎて理解しにくくなりるからです。
そのためハーフウェイラインまでをゾーン1、それより先をゾーン2と僕は読んでいます。
(※11人制サッカーと同様に、当然ゾーンは動きます)
人数が減ると戦術的な要素も減るので、必然的にサッカーはシンプルになってきます。
ちなみに11のサブフェーズ(チーム全体のアクション)と絡めるとこんな感じになります。
・ゾーン1=「ビルドアップの始まり」と「前進・ボール保持」
・ゾーン2=「前進・ボール保持」と「フィニッシュ」
先の3つに分けた場合と比べてシンプルになったのが分かるでしょうか。
また「ビルドアップの始まり」と「前進」はどこで分割されるか?など細かく考えだすとあまり意味のない議論になるので、注意しましょう。
サッカーは攻撃でもそれぞれつながった連続したアクションですし、攻撃と守備もつながっています。
あくまでも複雑な現象をできるだけ整理するためにこのような考え方があるのでツールとして使いましょう。
5. ゾーン分けは『構造化』のためのツール
最後に大事なことを。
ゾーンの分け方に“正解”はありません。
「3つに分けるか、2つに分けるか」も、目的や年代によって変わってOKです。
大切なのは、『サッカーを構造的に見て、わかりやすく・伝えやすくすること』。
・ゲームモデルを整理したいとき
・練習メニューを設計するとき
・選手にプレーの意図を伝えたいとき
そんな場面でこの“ゾーンという考え方”が活きてくるはずです。
3つのゾーンとは、あくまでもサッカーを構造的に捉えた時の『フレームワーク』です。
6. まとめ
・サッカーを3つのゾーンに分けることで、試合の構造が整理される
・ゾーン1・2・3という呼び方は、攻撃・守備どちらでも使える汎用性がある
・11のサブフェーズとゾーンの関係を知ることで、練習や分析の質が上がる
・ジュニア(8人制)では2つのゾーンに分ける方がシンプルで実践的
・ゾーンの考え方は、あくまで“構造化のツール”として活用しよう
このように『ピッチをどう見るか?』
という視点だけでも、サッカーの理解は一段深まります。
ぜひ、指導現場に取り入れてみてください!