こんにちは、講師のカズです。
ジュニアサッカーの現場において、人数が少ない時に「戦術の練習ができない」ということはよくあります。
僕自身もこれまでに、人数が極端に少ないケースから、逆に25人以上を一人で見るようなケースまで、さまざまな環境を経験してきました。
人数が限られていると、やりたい戦術練習が組めない…そんな悩みは、よくあることだと思います
でも、実は『人数が少ないからこそ』深められるという視点もります。
この記事では、以下のような疑問に答えながら、少人数でも可能な戦術的アプローチについて詳しく解説します。
・プレッシングの練習って、8人以下でもできる?
・ビルドアップの練習は、何人いれば成立する?
・戦術の本質って、結局どこにあるの?
選手たちの「戦術理解は人数に比例しない」 この視点があると、トレーニングの幅が一気に広がります。
この記事を読めば、少人数の場合にどのように戦術トレーニングを行えばいいのかが分かると思うので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 人数が少なくても戦術的練習はできるのか?

最初に結論ですが、できます。
ただし、極端に少ない場合、例えば2人とか3人だと難しいです。
しかし最低、練習に参加する人数が8人くらいなら十分できます。
① 少人数でも『プレッシング』は練習できる
プレッシングは8対8のような大人数でしかできないと思われがちですが、実は2〜3人のユニットでも十分にトレーニング可能です。
むしろ2人組、3人組の関係性が軸になります。
たとえば、「3対3+2サーバー」のようなメニューで、守備のスライドやカバーリングの関係性を練習できます。
重要なのは、2人組・3人組の関係性の中で、隣り合う選手同士の動きのリンクを理解させること。
このユニットの原理さえ押さえておけば、全体でのプレッシングにもつながっていきます。
② ビルドアップも『ユニット』で考える
ビルドアップの練習も、全体パターンで捉えようとすると難しく感じます。
でも実際は、「CB+CHの2人組」や「SB+SHの2人組」など、小さな関係性を切り取って反復練習することで、プレイ原則が理解できます。
例えば4対4のミニゲームを「3-1」や「2-2」などの配置にして、全体の一部を切り取ったようなイメージしてプレーさせるだけでも、ビルドアップの基礎は身につきます。
③ ゴール前の崩しも『局面』を切り取る
ゴール前の崩しも、すべての選手を使った練習が必要なわけではありません。
「3対3+2フリーマン(サイド)」や「2対2+1(サポート)」などで、崩しの局面で起こる原則(幅・深さ・タイミング)を繰り返し経験させることが大切です。
フィニッシュに直接関わる選手たちの動きが理解できれば、人数が揃ったタイミングでそれを全体に広げるだけでOKです。
2. 戦術を『フラクタル』にとらえる視点

① サッカーは”フラクタル構造”になっている
サッカーは、どの人数でも原理原則が共通するスポーツです。
4対4でも8対8でも11対11でも、『局面ごとの関係性はフラクタル(自己相似)』になっています。
だからこそ、少人数の中で戦術の“原則”に迫ることができます。

② 人数が少ないと複雑性は下がる
少人数になると、当然要素は減り、複雑性は下がります。
でも、だからこそエッセンスが浮き彫りになります。
人数が少ない=戦術の導入段階として最適な環境でもあります。
③ 小さな単位で始め、試合でリンクさせる
例えば4人のミニゲームでプレイ原則や原理原則を学ばせ、それを週末の人数が揃った練習試合などで全体にリンクさせていく。
これがジュニア年代における現実的かつ理にかなったステップだと思います。
3. 僕の現場での工夫と気づき

① 僕も少人数やバラつきに悩んだことがある
僕自身も、人数が揃わない、レベルがバラバラ、想定した練習ができない… そんな場面をたくさん経験してきました。
指導者にとって「やりたい練習ができない状況」は結構ストレスですね。
しかし、毎回「やりたい練習ができな可能性があることを前提」にすると、現場で臨機応変に対応できます。
また、人数が変動したときにも「同じトレーニングの構造」や「同じテーマ」でできるか?
これを想定しておくと、指導やトレーニングの幅はグッと広がります。
② フラクタルという視点は超重要
練習と試合がリンクしない原因は、人数の上限におけるフラクタル性を理解していないと起こります。
これを別の視点から考えると「人数が少ないと戦術トレーニングができない」となってしまいます。
そうではなく、4対2のロンドでも、2対2でも、そこに11人制や8人制と重なる、プレイ原則や原理原則があれば十分、戦術練習になります。
僕は「サッカーをフラクタルなものとして捉える」ようになってから、少ない人数の中でも共通する原則をイメージしながら、実際に指導しています。

4. まとめ
・少人数でも戦術的なトレーニングは可能
・2〜3人の関係性(ユニット)をベースに考える
・戦術は”フラクタル”に構造化されている
・練習と試合のリンクができればOK
この記事では、「人数が足りないと戦術練習ができないのでは?」という疑問対して、少人数でも「本質に迫る指導」が可能であることをお伝えしました。
皆さんの指導現場でも、ぜひ意識してみてください!