こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代において、コーチになったばかりの方は
「練習って、どんなふうに組めばいいんだろう?」
「子どもたちが満足できる練習って、どうすればいいんだろう?」
と迷うことが多いかもしれません。
僕自身も、最初は「とにかく楽しい練習にしよう」と思っていました。
でも続けていくうちに、ただ盛り上がればいいわけではなく、『子どもたちが練習を終えたとき、どんな気持ちでいるか?』が大事だと気づきました。
この記事では、初心者コーチにとって大切な『子どもにとっての満足”とは何か?』という視点を整理しながら、満足につながる練習について解説していきます。
1. 「満足=楽しい」とは限らない

① 〜モチベーションの段階で“満足の質”は変わる〜
少し、話が難しくなってしまいますが、子どもたちの『サッカーに対するモチベーションの段階』は、それぞれ違います。
指導現場でよくある誤解のひとつが、子どもたちが「笑っていれば満足」「楽しそう=いい練習」という認識です。実際に僕も過去にはそう思ってました。
でも実際には、子どものサッカーに対するモチベーションの高さによって、「楽しさの質」も「満足の形」も大きく変わってきます。
② まだモチベーションが高くない選手
この段階では、運動欲求を満たすと同時に、外発的な動機づけも必要になります。
・たくさんボールを触れた
・コーチが面白かった
・ゲームが盛り上がった
僕の経験上、この段階では「身体を動かせた」「飽きなかった」が満足になるケースが多いです。
③ モチベーションが中くらいの選手
この段階では、内発と外発のあいだを行き来するイメージです。
・少しうまくなりたい気持ちがある
・手応えや「できた感」があると満足度が上がる
これもまた、僕の経験や感覚で申し訳ないですが、こんなイメージです。
④ モチベーションが高い選手
この段階は、内発的動機づけが強い層です。
・自分で課題に取り組みたい
・失敗も受け入れながら上達したい
・成長の実感や気づきが満足につながる
上手くなりたいという気持ちがあり、一生懸命に練習に取り組める状態。
以上、ざっと説明しましたが、言いたいのは以下の通りです。
つまり、「満足」は“全員に共通のもの”ではなく、その子の状態や意欲によって変わるもの。
まずはそこを理解しておくことが、満足できる練習をつくる第一歩だと思います。

ちなみに、サッカーコーチとしてはスポーツ心理学の知識は必須です。
必ず1冊は手元に置いておきましょう。
僕は、上記以外にも数冊持っています。
2. 意欲の高い選手が“満足した”ときのサイン

サッカーへの意欲が高い選手は、練習後に次のような反応を見せてくれることがあります。
・とても疲れたが「もう少し練習したい」と感じている
・コーチのアドバイスで上手くできるようになったと感じている
・「もっと上手くなりたい」と自ら言葉にする・感じている
・「次の試合ではもっと良いプレーができそう」と感じている
・「次の練習が楽しみ」と感じている
こうした反応は、その練習が「変化」や「手応え」を生む仕掛けになっていた証拠です。
練習後にどんな発言や雰囲気があるかを観察する必要があります。
『今日の練習どうだった?』
と聞いてみてもいいかもしれません。
3. 「もう少しやりたい」と思える練習の3つの要素

子どもたちが「疲れたけど、まだやりたい」と感じるとき、そこには必ず練習の工夫があります。
僕自身の経験から、特に大切だと感じている3つの要素を紹介します。
① 成功と失敗の“ちょうどいい”バランス
簡単すぎず、でも不可能でもない。
「できた!でもまだ完璧じゃない」くらいの感覚が、挑戦意欲を引き出します。
一つ一つの練習メニューは「頑張れば達成できそうなレベル」に設定します。
② 考える余白がある
全て説明されるのではなく、「どうすれば上手くいくか?」を子ども自身が考えられる構造があることで、練習はただの“反復”ではなく、“選手自身の学びの時間”になります。
③ やりきった感がある
テンポよく動き、集中し、最後まで全力で取り組めた練習は、自然と達成感が生まれます。
練習の終わり方まで含めて“デザインする”ことがポイントです。
4. 満足しにくい練習のパターン

どれだけ意図を持って練習を設計しても、「あれ、今日の練習はイマイチだったな…」と感じることはあります。
僕の現場経験から、特に「満足しづらい」練習の共通点として、以下のようなものがあります。
① 運動量が少なく、“疲れ”が足りない
子どもは「動きたい」という根本的な欲求を持っています。
その欲求が満たされないと、「今日は何か物足りなかったな」と感じやすくなります。
② 練習の終わり方が中途半端
ミニゲームが盛り上がっていたのに、時間で唐突に終了。
勝敗がつかないまま終わったり、中途半端な状態で終わったりすると、練習全体の印象が下がってしまいます。
逆に「同点ゴールが決まった瞬間に終了!」のように、印象に残る終わり方ができると、満足感はグッと上がります。
③ 順番待ちが多く、“プレーしていない状態”で練習終了
シュート練習などで、1人ずつプレーし、他の子がずっと並んで待っているような状態。
こうした“待ち時間”が多くなると、練習への集中や充実感が薄れてしまいます。
更に、このような状態で練習が終了すると、満足感は得られません。
できるだけ「関わっている時間」を多くすることが、満足度を上げる鍵になります。
5. まとめ
・「満足=楽しい」ではなく、モチベーションによってその質は変わる
・満足している子どもは「もっとやりたい」と感じている
・成功と失敗のバランス・考える余白・やりきった感が大切
・運動量・終わり方・参加率に注意することで、満足度は大きく変わる
この記事では、「子どもが満足する練習とは?」というテーマを通して、コーチが意識しておきたい視点と工夫について解説しました。
ぜひ、指導現場でも意識的に取り組んでみてください!