サッカーの基礎【体の向きの重要性】3つのポイントと指導方法

こんにちは、講師のカズです。

この記事では、サッカーにおける体の向きについて解説します。

ジュニア年代では、プレー中に以下のような問題がよく起きます。

・簡単にパスカットされてしまう
・パスを受けてもすぐにボールを失う
・パスを受けた後に効果的なプレーができない

これらの問題は、体の向きが作れていないことが原因であることが多々あります。

個人スキルの基本中の基本となる体の向きは、ジュニア年代からマスターしておきたい必須スキルです。

この記事を読めば、体の向きの重要性や試合で使えるスキル獲得のための指導ポイントがわかるので、ぜひご覧ください。

動画で解説

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1.サッカーにおける『体の向き』とは

『体の向き』というのはサッカーにおける基本中の基本です。

スペインだと確か、Orientación del cuerpoだったと思います。

他の表現では、グッドボディシェイプ(良い体の向き)やバッドボディシェイプ(悪い体の向き)と言われることもあります。

体の向きを意識するとか、良い体の向きとか、体の向きができていないと表現されますね。

体の向きを整えるのは視野の確保のため

サッカーにおいて体の向きとは、プレー中に体の向きを整えるという意味です。

どのように整えるかというと、ボールホルダーに対して体を向けるのではなく、できるだけ進行方向(つまり相手陣地)に対して体の向きを整えます

それにより自分をマークしている相手を認識したり、スペースの有無を確認できるというメリットがあります。

つまり体の向きを整える一番の目的は視野の確保です。

図の左側のようにボールに対して体を向けると、自分の状況がわからずボールを失いやすくなります。

反対に右側のように、ポジショニングを調整して体の向きを整えることで視野を確保し、マークがいるのか、コントロールするスペースがあるのかを認識することができます。

ちなみに、図の左のようなポジショニングで体の向きを作ろうとすると、ボールホルダーが見えません。
そのためボールに対して正面に入ってしまった場合は、身体の向きを横に傾けると若干視野が広がります。

相手ゴール方向へスムーズに前進もできる

視野の確保だけでなく、体を相手ゴール方向へ向けることでボールを前進させやすくもなりますね。

体の向きができていないとどうなるか

体の向きができていない場合、どのような問題が起こるかというと、周囲の状況を把握できないことがおきます。

周囲の状況を把握できていないとは、自分がマークされているのか、ターンするスペースがあるのかを認識できていない状態。

そこで何が起きるかというと、ボールを失うか否かは対峙する相手との能力勝負になるということ。

能力勝負とは、テクニックやフィジカルで相手を上回れるかという表現です。

つまり、たとえ視野の確保ができていなくても個人技を駆使してテクニックで相手を上回ることができればボールを守ることができるからです。

例えば、体の向きを作らず視野が確保できていない状態でも、ボールホルダーの方が守備の選手よりも能力が高い場合は簡単にボールを失いません

十分に相手選手やスペースを認識できていなくても守備側の選手のレベルの方が低い場合、ボールを失いにくくなります。

つまり、能力勝負になります。

体の向きを作れなくてもテクニックがあればOK?

そうすると、体の向きを整えることもテクニックスキルを磨くことも、結果は同じではないかと思われそうですが、実際はそうではありません。

なぜならテクニックスキルが高い選手でも体の向きを整えて視野を確保することで、状況に適したテクニックスキルをもっと効果的に発揮できるというメリットがあるからです。

また年齢やレベルが上がれば上がるほど、テクニックスキルやフィジカルの能力だけでは効果的なプレーはできません。

持ち前のテクニックをもっと効果的に発揮させるためにも、体の向きを整えることで得れるメリットは多いですね。

ジュニア年代から習慣化することが大切

そのため、テクニックスキルを磨くことと同様に、体の向きを作るという基礎的な動きもジュニア年代から指導していく必要があります。

低い年代から習慣化しておくことで、無意識にプレーできるようにすることが大切です。

2.体の向きと3つのポイント

体の向きを整えるのは、視野の確保が一番重要なポイントだと解説しましたが、では何を見るべきでしょうか?

一般的には以下のようなものが挙げられます。

・味方
・相手
・スペース
 etc

しかし僕の経験上、上記の事柄を見ようとアドバイスしても、なかなか良いプレーにはつながりません。

なぜなら、コーチングが漠然としており、具体的に何を見るのか見た後にどうするべきかという一連の流れが抜けているからです。

そのため、ジュニア年代の選手にとっては、もう少し具体的に指導する必要があります。

サッカーにおいて『体の向きを作り、視野を確保する』ことは大切ですが、ジュニア年代の指導では以下の3つが重要です。
①見るべき対象を限定する
②その後のプレーコンセプトを提示する
③体の向きを作れない時の対応も伝える
漠然と「体の向きを作って見ろ!」だけでは伝わらないので具体的に指導。


ここでは僕が実際に行なっている、3つの指導ポイントについて解説します。

①見るべき対象を限定すること

前述した、相手・味方・スペースを見よう!というコーチングでは十分ではありません。

なぜなら、子どもたちにとってそれらを一度に認識するのは簡単ではないからです。

選手の目線からすると、どこがスペースなのかよく分からないし、相手も味方もたくさんいるように見えます。

そのため、認知力が低い選手に対しては「見るべき対象を明確にする」ことが重要です。

また、ポジションによって何を優先的に見るべきなのかといった具体的な対象を示してあげることも有効です。

例えば以下のようなコーチングを行います。

・CB → パスを受けたら最初にサイドバックを見よう
・MF → ターンできるスペースがあるかを見よう
・FW → マークしている選手を最初に見よう

こうすると選手が意識すべきポイントが明確になります。

最初はこのように見るべき対象を限定することで成功体験を増やし、その後少しずつ見える範囲を増やしていきます。

②その後のプレーコンセプトを提示する

体の向きを作って視野を確保するといった時にもう1つ問題となるのは、見ることはできたけどその後どうしたら良いか分からないということです。

視野の確保は目的ではなく手段

視野を確保して相手や味方、スペースを認識できても、その後にどのようなプレーをすれば効果的かが分からないケースがあります。

体の向きを作って視野を確保することは目的ではなく、その後効果的なプレーをするための手段です。

そのため、状況に応じたプレーコンセプトを提示してあげることが必要です。

プレーコンセプトとは僕のオリジナルの表現ですが、戦術指導における重要な概念です。

プレーコンセプトとは?
『いつ、どのようにプレーするか』
・いつ=発動条件
・どのようにプレーする=キーファクター

例えば視野を確保した後に、以下のようなプレーコンセプトも一緒に提示することで効果的なプレーにつながります。

・パスを受けた時にプレスを受けたらコントロールで外す
・前を向けるスペースがあればドリブルで仕掛ける
・マークされていたらポジショニングを下げる

これらはほんの一例ですが、体の向きを作って視野を確保した後に、何を見てどのようにプレーすると効果的なのかといったサッカーの原理原則を伝えることも重要なポイントです。

余談ですが、体の向きを作るというフレーズは僕の中ではサポートやマークのキーファクターに含まれます。

ジュニア年代の戦術指導に関して、深く知りたい方は下記を参照してください(※有料です)

③体の向きを作れない時の対応も伝える

もう1つ重要なポイントですが、体の向きを作れなかった時の対処法も提示することは重要です。

もちろん、体の向きを作って視野を確保しベストなプレーができれば問題ありませんが、それができなかった時にどうしたら良いのか。

前進するためのサポートにおいては、ボールホルダーに対して斜め方向にポジションを取ることで体の向きを作りやすくなりますが、試合の流れによっては縦関係でパスを受けることもあります。

この時に「体の向きを作っていないからダメだ!」というコーチングで終わるのではなく、そうなった場合の対処法を提示します。

・視野を確保できなかったら無理にターンせず、前を向いている選手を使う(レイオフ)
・サポートがいなければスペースへドリブルで逃げる

このようなプレーコンセプトを提示すれば、ベストな受け方ではなかったけど、その次に最善と思われるプレーを選択することができます。

3.【指導の重要ポイント】オフザボールの動きを見逃さない

パスを受けた時に体の向きを作れていない原因の1つに、事前の準備が遅れているということが挙げられます。

例えば、ボールから遠いサイドにいる時に予測をしておらず、いざ自分にパスが入った時にはポジショニングを修正できていないということがジュニア年代ではよくあります。

そういったミスをなくすためには、コーチがボールサイドだけを注視せず、ボールから離れた位置にいる選手の動きを観察することがポイントです。

つまりオフザボールの動きを見逃さないこと


オフザボールの時にどのようなことを選手が考えているかといった『頭の中を観察』することが必須になります。

これがないと、パスを受けた時に『なぜ体の向きを作っていないんだ!』という結果論的なコーチングになってしまいます。

効果的なのは、選手に対して「今のうちに次の展開を予測してポジショニングしておかないと体の向きを作れないぞ」と事前にコーチングすることで、成功・失敗体験を通じて選手は学ぶことができます。

この辺は別記事でも解説しているので、興味があれば参考にどうぞ。

4.まとめ

最後に簡単にまとめておきます。

・体の向きとは、体の向きを整えるという意味
・体の向きを整える目的は視野の確保のため
・指導ポイントは3つ
 ・見るべき対象を限定する
 ・その後のプレーコンセプトを提示する
 ・体の向きを作れない時の対応も伝える
・指導する際はオフザボールの動きにも注意

以上、この記事ではサッカーにおける体の向きの重要性と指導ポイントについて解説しました。

ジュニア年代から必ず身につけておきたいスキルなので、習慣化するまで取り組みましょう!

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