こんにちは、講師のカズです。
以前、「子どもが満足する練習」について書きましたが、今回はその逆のテーマ。
つまり「子どもが飽きてしまう練習」について解説したいと思います。
サッカーコーチにとって、「子どもが飽きているように見える瞬間」はよくあるものです。
ただし、そのときに焦って「もっと盛り上げなくては」と考える前に、 そもそも『飽きるとはどういう状態なのか?
これを捉え直しておくことが大切です。
以下、詳しく解説します。
1. 子どもが練習に飽きているときの『サイン』とは?

僕が現場でよく感じるのは、プレーよりも子どもの態度や反応に飽きの兆候が現れるということです。
特に低学年では顕著で、次のような様子が見られます。
・1人に1個の練習で、ボールに触れているのに、目線がよそを向いている
・無駄話が増える、ぼーっとしている
・コーチの話に反応がない
・「まだやるの?」という空気が漂ってくる
これらは全て、興味・関心が今の練習から離れているサインです。
そして指導者として大事なのは、そういう子どもたちの変化に気づけるかどうか。
2. 飽きる練習の5つの要素

僕自身の経験から、子どもが飽きてしまう練習にはいくつかの共通点があります。
以下の5つは、特に初心者コーチがつまずきやすいポイントだと思います。
① 同じことを繰り返しすぎる
特に低学年では、同じ動作を繰り返しているとどんどん飽きていきます。
目線を変える工夫や、新しい刺激を少しずつ入れていく必要があります。
メニューの発展系を要しておくのは必須です。
② 難しすぎてできない
「最初は頑張ってチャレンジできていたのに、途中からやらなくなった」
このような時は、その練習が少し難しすぎるサインかもしれません。
③ テンポが悪い
練習メニューやキーファクターの説明が長すぎる、待ち時間が長いなどで、練習にリズムがないと飽きやすくなります。
飽きる前に、メニューを切り替えたり、発展させたりする柔軟さが求められます。
④ 順番待ちが長すぎる
これは致命的です。
練習の中で「プレーしていない時間」が長いと、集中も意欲も落ちてしまいます。

⑤ 声かけや空気づくりがうまくいっていない
テンションが低いまま進んでしまうと、子どもたちの“気持ちのスイッチ”が入らないまま終わってしまいます。
敢えて、声のトーンを抑える狙いがあるなら別ですが、基本的に、特に低学年ではテンションを上げなければいけません。
『ボソボソ』とコーチングしてもなかなか響きません。
3. 飽きさせないための工夫(年代別)

以下は、僕が実際に指導する場合のポイントです。
① 低学年の場合
・1つのメニューの中でも変化をつける
・メニューを多めに用意しておく(状況によってすぐ変える)
・声かけでテンションを切り替える
・ルール変更は極力避ける(再説明に時間がかかる)
② 高学年の場合
・意識するポイントを変化させる(例:パス→視野→体の向き)
(※キーファクターを変化させる)
・オーガナイズを変化させる
・自由にやらせる時間を少し入れる(自己決定感)
③ ジュニアユースの場合
・主体性を持たせて「自らが取り組んでいる感」を作る
・モチベーションを高める(内発的動機づけがポイント)
・飽きても我慢させる(これはケースバイケース。どりらかというとマネジメントより。)
以上、ざっくりとまとめました。
年齢と、選手のレベルやサッカーに対するモチベーションを加味して、臨機応変に対応することが大切です。
4. 僕の失敗体験から

サッカーコーチ初心者の頃、子どもが飽きているのに気づいていたのに、 メニューを変化させる準備ができておらず、次にうまく進めないまま、 無理やり練習を続けてしまったことがあります。
あの空気感と冷や汗は、今でもよく覚えています。
「子どもが練習に飽きている状態」に気づいていないのは、指導者としてその前段階ですが、気づいているのに変更できない時は、完全に焦りますね。
しかし、そういう失敗を通して「事前に準備しておく」「切り替えは早めに」ということが大切だと学びました。
指導者もトライ&エラーです。
5. 実は、子どもは「集中力がない」のではなく…?

「子どもって集中力ないな」と感じたことがあるかもしれません。
でも僕は逆に、子どもはものすごく高い集中力を持っていると思っています。
ただし、それは「関心があるものに対してだけ」向く集中力です。
だから、飽きているように見えるときは、 実は「関心の対象が移っただけ」かもしれません。
この視点を持つだけで、「どうすればまた関心を戻せるか?」と考えられるようになります。
実際に僕は、何かの書籍でこの考え方を知ってから、『問題の原因は常に自分側にある』という考えに変わりました。
6. 飽きさせないポイントは『できた!』の成功体験

特に低学年の子は、「できた!」「コーチ、見て!見て!」という瞬間は集中力が高まっている状態です。
つまり、成功体験=集中=飽きにくい練習になるということ。
だからこそ、簡単すぎず、難しすぎず、 『ちょうどいい難易度』で成功体験が生まれるトレーニング計画が大事です。
7. まとめ
・飽きているときのサインは、プレーではなく反応に出る
・飽きやすい練習には5つの共通点がある
・年代によって飽きにくい工夫は変わる
・失敗から「変化と切り替えの大切さ」を学んだ
・子どもは集中力がないのではなく、関心が移るだけ
・成功体験は飽きさせないための鍵になる
「満足させる練習」を考えるよりも、「どうなったら飽きるか」を知っておくほうが、指導者の皆さんにとっては、問題解決が早いかもしれません。
この記事が、皆さんの指導現場での工夫や視点のヒントになれば嬉しいです!