こんにちは、講師のカズです。
少年サッカーの現場では、年齢やレベルが揃ったグループばかりではないことが多いと思います。
スクールやクラブチームに限らず、地域のサッカー教室など、さまざまな状況でバラバラなメンバーを一人で見なければならないケースがあります。
このような場合、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。
・うまい子に合わせると、できない子がついてこられない
・下の学年に合わせると、上の学年が退屈してしまう
・そもそも、バラバラなグループを一人でどう見ればいいかわからない
僕自身も今シーズン、1年ぶりにジュニアの指導に戻り、U-8からU-11まで合計20名という変則的なグループを担当することになりました。
正直、「さてどうするか」と思いながら臨んだ初練習でしたが、思ったよりスムーズに進みました。
この記事では、その経験をもとに、混合グループでも指導を成立させるための3つの基本を解説します。
特別なスキルが必要なわけではなく、指導の基本的な考え方を押さえておけば対応できます。最後まで読めば、バラバラなグループでも指導の軸が持てると思いますので、ぜひご覧ください。
1. まず「グルーピング」をする

①ごちゃまぜのまま指導しない
年齢・レベルがバラバラでも、まずやるべきことはグルーピングです。
1年生から6年生まで全員を同じグループで同じ練習させることは、ほぼうまくいきません。
よくある相談が「うまい子に合わせると下の子ができない、下の子に合わせると上の子が退屈する」というジレンマです。
これは当然そうなります。
全員を同じグループに入れている限り、このジレンマは解消されません。
まず行うべきは、ざっくりでもいいのでレベルで2グループに分けることです。
精度は高くなくて大丈夫です。
練習の初日や初見だとメンバーを把握しきれていないので、感覚で分けるしかありません。
それでも、ごちゃまぜのまま指導するよりずっと整理されます。
②メニューは共通でいい
グループを分けると「2種類のメニューを同時に回さないといけない」と思う方がいますが、その必要はありません。
両グループとも同じ練習メニューをやります。
グループが違うだけで、メニューは共通です。
これだけでも、一人のコーチが2グループを交互に確認しながら指導することは十分可能です。
シンプルな仕組みですが、まずここから始めることが大切です。
2. 「運動量とプレイ回数」を確保するメニューを選ぶ

①トレーニングの質の最低ラインとは
グルーピングができたら、次に意識するのがメニュー選びです。
年齢やレベルがバラバラでも、トレーニングの質を保つために外せないことがあります。
それが、選手の運動量とプレイ回数の確保です。
少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、運動量とプレイ回数さえ確保できていれば、少々テーマを間違えても、少々想定した現象が出なくても、選手はある程度成長します。
なぜなら、ずっとサッカーをプレイしているからです。
テーマ設定や的確なコーチングが入ることで伸び率は変わりますが、まず「プレイし続けている状態」が大前提です。
逆にいうと、待ち時間が多く、ボール拾いばかりしているような練習は、どれだけ良いテーマを設定しても効果が薄くなります。
ここが指導者として最初に意識すべき最低ラインです。
②具体的なメニューの選び方
では、どんな練習が運動量・プレイ回数を確保しやすいのかを考えてみます。
たとえばリフティングは、1人につき1個のボールでプレイするため、2年生でも5年生でも運動量は確保できます。
2年生はワンバウンドで、5年生はノーバウンドで100回できるという差があっても、どちらも止まらずプレイし続けられます。
一方、パス&コントロール系の練習はどうでしょうか。
技術の高いグループはテンポよくボールが回りますが、技術の低いグループではパスがずれてボール拾いの時間が増え、プレイ回数が大きく落ちることがあります。
この状態では「一応練習している」ように見えても、実際の運動量は確保できていません。
ポゼッション系のトレーニングは、コーチがボールを配球する形にすれば待ち時間を減らせるため、年齢に関係なく運動量を確保しやすい選択肢の一つです。
「このメニューでプレイ回数は確保できるか」という視点でメニューを選ぶだけで、混合グループでもトレーニングの質はかなり担保されます。
3. チーム全体ではなく「個人にフォーカス」する

①「きれいに進む」を前提にしない
ここが一番大切な考え方かもしれません。
指導者は練習のイメージを持ちます。
たとえばポゼッション練習をするとき、「ボールが循環して、その中でこういうミスが出るから修正していこう」というイメージがあります。
5年生のグループではそのイメージ通りに進むかもしれない。
でも2年生のグループでは団子になってしまって、ポゼッション練習として「成立していない」ように見える。
こうなると「2年生にはこの練習はまだ無理だ」と判断してしまいがちです。
でも、少し立ち止まって考えてほしいのですが、その「団子になる」という現象は試合でも起きますよね。
試合でも似たような状況が生まれるということは、その練習の中で選手は実際の試合に近い問題に直面しているということです。
練習の見た目が指導者のイメージ通りでないこととと、その練習が機能していないことは、必ずしもイコールではありません。
②個人にフォーカスするとはどういうことか
では、どうすればいいのか。答えは「チーム全体の現象を揃えようとするのをやめて、個人にフォーカスする」ことです。
チーム全体として見ようとするから、レベル差があったときに困るわけです。
5年生と2年生が混在する中でポゼッション練習をして、片方は回っていて片方は団子になっている。
この「差」を均一にしようとするから悩みが生まれます。
でも、個人にフォーカスするとはどういうことかというと、その練習の中で「この選手に今必要なアドバイスは何か」を考えることです。
2年生のグループを見て、ある選手がパスコースを作れていなければ「ここに動いてみて」と伝える。
5年生のグループを見て、ある選手がボールを止める前に顔を上げられていなければ「受ける前に一回顔を上げてみて」と伝える。
コーチがやることは変わりません。
相手が2年生でも5年生でも、「この選手に今何を伝えるか」を考えてアドバイスする。
ただそれだけです。
③なぜ年齢・レベルが違っても成立するのか
整理すると、こういうことです。
コーチが「チーム全体」を見ようとするとき、グループの現象をひとつにまとめて判断しようとします。
そうすると、レベルの高い子と低い子が混在するとどうしてもズレが生じて困ります。
でも、コーチが「個人」を見るとき、そこにあるのは「この子に今何が必要か」という問いだけです。
その問いは、相手が2年生でも5年生でも変わりません。
2年生のグループが団子になっていても、5年生のグループがポジションを取れていても、個人にフォーカスしているコーチには、それは単に「それぞれの選手のレベルに応じた現象が出ている」だけです。
どちらが良い悪いではなく、その中でそれぞれの個人を見ていけばいい。そう考えると、混合グループの指導はずっと楽になります。
まとめ
・年齢・レベルがバラバラなら、まず2グループ程度に分けることをおすすめします
・メニューは共通でいいので、同じ練習を別グループでやるだけでトレーニングは整理されます
・「このメニューでプレイ回数は確保できるか」という視点でメニューを選ぶことが質の最低ラインです
・チーム全体の現象を揃えようとするのではなく、個人にフォーカスすることでレベル差の問題は軽減されます
この記事では、年齢・レベルがバラバラの混合グループを一人で指導する方法について解説しました。
難しい状況であることは間違いないですし、僕自身も毎回試行錯誤しています。
ただ、今回紹介した3つの基本を押さえておけば、最低限のトレーニングは成立すると思います。
皆さんの指導現場でもぜひ試してみてください。
