少年サッカー【練習のテンポを保つ工夫】道具と導線づくりの基本

こんにちは、講師のカズです。

ジュニア年代のサッカーの練習においても「トレーニングのテンポ感」はとても大事な要素です。

テンポが良いと、子どもたちは集中しやすく、練習全体が引き締まります。

反対にテンポが悪いと、練習の雰囲気が崩れて、1日の練習がダラッとした感じになります。

しかし実際には、「どうすればそのテンポを保てるのか?」について、あまり深く考えられていないケースも少なくありません。

僕自身も、指導を始めたばかりの頃は、練習の流れが止まってしまっても「そんなものかな」と思っていました。

しかし今では、テンポを保つための「準備」や「道具の配置」、「導線の整え方」こそが、練習全体の質を大きく左右すると感じています。

この記事では、初心者コーチが意外と見落としやすい「道具の置き方」と「導線づくり」について、僕自身の失敗や工夫も交えて解説していきます。

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1. ボール・ビブス・道具の「置き方ルール」を決めておく

① 集合時の「よくあるミス」をなくす

集合のときに、ボールを持っている子はボールを触ってしまい、話が聞けない。ボールを持ってきていない子もいて、ミーティングがスムーズに始まらない。

そうすると、子ども達も「話を聞く準備ができていない状態」なので、集中力は高まりません。

よくある「話をちゃんと聞きなさい!」と注意しても、そもそも、ボールが子供たちの足元にあって、触りたくなるような環境だと集中力は高まりません。

そういったトレーニングの流れ・テンポを崩さないためにも、最初に「水筒はあそこに」、「ボールをどおどこに置いて集合」といった、基本ルールを明確にしておくことがすごく大事です。

② 子どもが迷っている時点で準備不足

僕が見てきた中でよくあるのが、子どもが「ボールどこに置くんですか?」「水筒どこですか?」と聞いてくるケース。

これは、コーチ側が事前に準備や説明をできていない証拠だと思っています。

練習が始まる前に、「わかりやすく端的に伝える」ようにし、かつスムーズな導線があれば、子どもたちは迷わず動けます。

逆に、子どもが迷っている時点で、コーチのオーガナイズ不足を見直す必要があります。

③ ビブスやマーカーの「しまう場所」を決めておく

使い終わった道具があちこちに置きっぱなしになっていると、次の練習の時に探すだけで時間がかかります。

僕の 場合は、1つの練習が終わったときに、わかりやすい口調で「 マーカーを拾ってどこどこに置いて給水」 や「 マーカーはそのままにして、給水したらボールを持って集合」 みたいに端的に伝えます。

最初は数名が間違えたりしますが、少しずつ改善されます。

他にもプレイの邪魔にならないような場所を選んで、道具専用の置き場(マーカー・ビブスなど)をグラウンドの隅に作り、必ずそこに戻すようにしています。

2. 次の練習を見越した道具の配置

① 次のメニューの準備が間に合わないとテンポが崩れる

例えば、1つの練習メニューが終わって、子供たちが給水に行ったとします。

その後ピッチに戻って きたときにまだ次のオーガナイズの準備が整っておらず、子供たちに『ちょっと待ってて』みたいなことを伝えてしまうと、その間に子供たちは集中力を欠きます。

喧嘩やトラブルが起きるのは往々にして、こういう時間を持て余している「待ち時間」のタイミングです。

一度流れが止まってしまうと、練習の雰囲気もガラッと変わってしまうので、テンポを守るためには事前準備が大切です。

② オーガナイズ変更に手間取ると空気が変わる

他にも1つの練習メニューを行っている際に、オーガナイズを変更したくなるケースがあります。

例えば練習が始まってすぐにオーガナイズを変えたいとなった場合、一旦練習を止める必要があります。

そのするとせっかくプレイが再開したのに、また止められてトレーニングのテンポが崩れます。

できるだけ流れを止めないように、 オーガナイズを変更する工夫が必要です。

③ できれば次の練習分も最初に置いておく

グラウンドの広さに余裕があるときは、最初に次のメニューで使う道具もセッティングしておきます。

そうすることで、 1つの練習メニューが終わった後に スムーズに次の練習メニューに進むことができます。次の練習メニューに取り組んでいる間に、さらに次のオーガナイズをセッティングします。

こうすることで、各トレーニングがテンポよくスムーズに進んでいきます。

難しい場合でも、どこに置いておくか、どのタイミングで設定するかを決めておくだけで全然違います。

④ オーガナイズは“外枠から内側に”

通常のトレーニングというのは、個人のテクニックなど簡単な練習から始まり、少しずつ複雑なグループトレーニングに進んでいくのが一般的です。

そのため僕の場合は、最初にその日一番大きなトレーニング(最後に行うことが多い)を基準にオーガナイズをつくって、その中に前半に行うシンプルな練習を“内側に入れ込む”ような構成にしています。

そうすると、最初に行った練習が終わったときに、今使ったマーカーを拾ってと伝えると、次のオーガナイズが現れてくると言う仕組みです。

この順番で組むと、練習の流れも自然だし、道具の動かし方も最小限で済みます。

オーガナイズをデザインするときには「外枠→内側」の視点を持つと、現場での動きがかなり楽になります。

グラウンドの広さに余裕があるときは、最初に次のメニューで使う道具もセッティングしておきます。

3. 水筒の置き場所一つでもテンポが変わる

① 遠すぎると「往復だけで1分かかる」

水筒をグラウンドの端っこに置くと、子どもが給水するたびに時間がかかります。

その「たかが1分」の積み重ねで、練習のテンポが崩れてしまいます。

② 近すぎると「危ない」

一方で、プレーエリアのすぐ近くに置いてあると、ボールが当たって水筒が倒れたり、子どもが蹴飛ばして転倒する危険もあります。

こういうハプニングが起きると、一気にトレーニングのテンポは悪くなります。

僕は、プレーする場所から少し離れた場所に「給水用のスペース」を決めて、そこにまとめて置くようにしています。

4. 給水タイムの導線も「オーガナイズ」する

① 行き帰りのルートを決めておく

給水タイムで水筒を取りに行って、戻るまでのルートがバラバラだと、子ども同士でぶつかったり、時間がかかったりします。

「このラインを通って、ここから戻る」など、明確に伝えておくと、混乱が減ります。

特に低学年生などになると、 他のグループのトレーニングの中を横断するようなハプニングも起きます。
それだけで、他のグループのトレーニングのテンポが悪くなりますよね。

そのためそのような状況にならないようにするために、年齢が低い選手ほどわかりやすく端的に伝える必要があります。

② トレーニング再開のタイミングを揃える

給水後の戻りがバラバラだと、練習を再開するタイミングもズレます。

「30秒後に集合」など、明確な声かけやタイマーなどで統一すると、リズムが整います。

また、先に集合した選手に対しては『集合した選手からリフティング』 このように伝えると、無駄な時間を省略することができ、選手の集中力を保つことができます。 このような細かな配慮もトレーニングの全体のテンポを崩さないためには必要です。

③ トレーニングエリア外の安全にも注意

実際の経験は少ないですが、例えばシュート練習中に、他の選手にボールが当たってしまったり、近くに置いていた水筒やコーンに当たってしまうというケースは避けたいものです。

そのため、使わない道具や水筒などは、トレーニングエリアから十分に離した位置に配置するようにしています。

こうした細かな安全面の配慮も、導線設計の一部だと思っています。

5. まとめ

・「テンポが大事」という意識が、道具の置き方や導線づくりに現れる
・水筒は遠すぎても近すぎてもNG。安全かつスムーズに動ける場所に
・ボールやビブスの置き方にもルールが必要。集合時の混乱を防ぐ
・子どもが迷う=準備不足のサイン。ルールと場所は明確に
・次のメニューを見越した配置と準備がテンポを生む
・給水導線と再開タイミングまで意識することで、練習の流れが整う

道具の配置や導線の工夫は、地味だけど練習全体のスムーズさを左右する大事な要素です。

初心者の頃は、道具や配置を“考える”ことすらなかった僕ですが、今では練習の流れを作る上で欠かせない視点になっています。

ぜひ、次の練習から少しずつ取り入れてみてください!

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