Q&A【難しい練習を嫌がる選手への対応方法】ジュニアサッカー

こんにちは、講師のカズです。

この記事は、読者の皆様から寄せられた質問にお答えするQ&Aコーナーです。

今回は『難しい練習を嫌がる選手への対応』について解説します。

◾️質問
少年団の初心者コーチです。
4年生の試合前のアップで4vs1のロンドをする時に、単純にパスを回すのではなく、ボールを2つにするとか、1プレイ毎に違うポジションに代わった方が視野が広がり、より良い練習になるのではないかと言いましたが、中心選手がそれをやりません。普段の練習は単調なドリルや紅白戦が中心で、判断を求める要素が増えると選手が拒否反応を示します。こうした状況で、難しい練習を嫌がる選手にはどのように対応すればよいでしょうか?「上手くなりたいなら難しい練習をしよう」「上手くなりたくないなら、どこのチームでもやっているような練習をしてください」と気づかせるべきでしょうか?

ご質問ありがとうございます!

・試合で必要なスキルを身につけるために難しい練習を取り入れたいが、選手が乗り気にならない
・考える要素が入ると、途端に練習への意欲が落ちてしまう
・「難しい練習をしたほうが上手くなる」と伝えるだけで解決するのか?

ジュニア年代のサッカー指導では、選手が「難しい」と感じる練習に対して「子どもたちが嫌がる」「判断する要素が増えると拒否反応を示す」といったことが起こりえます。

こうした問題に対してどう対応するのが適切なのでしょうか?

この記事では

・難しい練習を嫌がる選手の心理
・指導者が取り入れるべきオーガナイズの工夫
・選手の動機付けとマネジメント

これらについて詳しく解説していきます。

Content

1.難しい練習を嫌がる原因とは?

①学習段階の問題

トレーニングの基本的な考えは、「少し頑張れば達成できる」レベルの負荷を設定することです。

簡単すぎると退屈するし、難しすぎるとやる気をなくす。

このバランスが取れていないと、選手は拒否反応を示します。
特に、普段の練習が単調なドリルやテーマが設定されていない紅白戦中心の場合、考える要素を含むような頭に負荷のかかるトレーニングに慣れておらず、「考えること」に対して抵抗を持つことがあります。

②オーガナイズの問題

練習のオーガナイズ(構成・ルール)が適切でないと、選手は「なぜやるのか」が理解できず、拒否反応を示すことがあります。

例えば、「4対1のロンドでボールを2つ使うことや、オフェンスがプレーごとにポジションを変える」 という設定では

「目的が選手に伝わっていない」
「ルールが複雑すぎて理解できない」
「選手が「やらなくてもいい」と思ってしまう」

といった問題が発生する可能性があります。

③マネジメントの問題

質問者さんのケースでは、「中心選手が提案を受け入れない」といった問題が起きています。

これは「指導者との信頼関係が薄い」「選手間のヒエラルキーが強すぎる」「指導者が適切に介入できていない」といった可能性があります。

特に、メインコーチとアシスタントコーチがいる場合、選手がメインコーチの指示には従うが、アシスタントコーチの言葉には耳を傾けないという状況もあります。

2.難しい練習を受け入れさせるための工夫

①ルールではなく「オーガナイズ」で対応する

選手に「これをしなさい」と指示するだけでは、やらない選手も出てきます。

ではどうするか?

トレーニングのルールを工夫し、選手が自然と目的に沿った動きをするようにデザインすることが重要です。

例えば、「4対1のロンドでボールを2つ使い、オフェンスがプレーごとにポジションを変える」練習では、

『狭いスペースでプレーさせる → 止まっているとパスを受けられない状況を作る』
『パスを出した後に必ず移動するルールを入れる → 自然とポジションを変えざるを得ない』
『コーチが実演し、視覚的に理解させる → 目的が明確になる』

このような工夫をすると、選手も抵抗感なく受け入れやすくなると思います。

②選手の内発的動機付けを高める

『上手くなりたいなら、ちょっと難しい練習をしよう』
『上手くなりたくないならどこのチームでもやるような練習をしてください』
と伝えるのは一見合理的のように見えますが、あまり効果的ではないかなと思います。

なぜなら、

選手自身が「上手くなりたい」と強く思っていない可能性がありますし、 他のチームの練習を知らないので比較できない 「やりたくない」と思っている選手には響かない可能性が高いです。

より効果的な方法としては「選手の内発的動機を高めること」かなと思います。

例えば、

『試合での成功体験を積ませる → 「こうすれば上手くなる」と実感させる』
『 小さな目標を設定する → 「今日の練習では◯回成功させよう」』
『ゲーム性を持たせる → 勝敗やルールを活用し、楽しみながら学ばせる』

このように、選手が「楽しい」「もっとやりたい」と思える環境を作ることが重要です。

③信頼関係を築く

選手が指導者の話を素直に聞くかどうかは、「どれだけ信頼関係を築けているか」によります。

特にアシスタントコーチの場合、「選手と個別にコミュニケーションをとる」「選手の意見を尊重しながら指導する」「試合中やトレーニング中に適切なフィードバックをする」といったメインコーチとは違う役割やマネジメントが求められます。

3.まとめ

難しい練習を嫌がる選手の原因

・学習段階の設定
・オーガナイズの工夫
・マネジメントの問題

「ルールで縛る」のではなく、「オーガナイズ」で自然にプレーを引き出す工夫をすることや選手の内発的動機を高めること、選手との信頼関係を築き、選手が話を聞く体制を整えるというような、少しの工夫で選手の反応が大きく変わる可能性もあります。

ぜひ参考にして試してみてください!

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