こんにちは。講師のカズです。
この記事では、マークされている時のサポートやスペースの活用、マークを外してディフェンスラインの背後を狙う動きが学べる練習メニューを紹介します。
- 試合中にマンツーマン気味にマークをされてパスが狙われる
- マークされても動かないのでパスが出せない
- 敵の背後を取ることができない。
このような問題が起こる場合、選手が「いつ何を見てどのように動くのかが分からない」という基本的なことを理解していない可能性があります。
試合中にこのような現象が出る場合、ぜひこの練習メニューを試してみてください。
動画で解説
1.練習メニューの概要
✔︎改善できるもの:
マークされた時の動き、味方と連携した流動的な動き
✔︎対象年齢:小学5年生以上
✔︎人数:12人
✔︎難易度:高い
2.オーガナイズ
【タイトル】
・5vs5+2フリーマンのポゼッション(前進型)
【コートサイズ】
・30m×40m程度
(※現象が発生する割合で調整してください)
【進め方】
・図のようにフリーマンからスタートで、最初に2-1-2の配置とする。
・攻撃はパスをつないでフリーマンからフリーマンへの前進を目指す。
・守備は奪ったらボールをフリーマンへ渡し攻撃へと切り替わる
【ノルマ】
・守備側は下がらずに高い位置からプレスをかける
・フリーマンどうしのパスは禁止
【時間】
・15〜25min
以上が練習メニューのオーガナイズです。
レベルに応じて細かな調整をしてください。
3.練習メニューのテーマ
以下の3つの項目が練習メニューのテーマです。
【目的】
ビルドアップの始まりから前進
【ツール】
(戦術コンセプト)
サポート、マークを外す動き、スペースの活用
(テクニックアクション)
パス、運ぶドリブル
【プレー原則】
設定なし
練習メニューのテーマ作成について詳しく知りたい方は【練習テーマの設定方法】少年サッカー・レベル別に解説をご覧ください。
4.練習メニューの特徴
この練習メニューの最大の特徴は、フリーマンを除いてマンツーマンでマークされる部分です。
ジュニア年代でビルドアップをしようとすると、高い位置のプレスにハマってしまったり、マークされてほとんどのショートパスが狙われるという現象が起きます。
それらを回避するために以下のような項目を学ぶことができて、選手の戦術的な理解が進みます。
- 相手が前からプレスに来ている時に、ショートとロングを使い分けること
- マークされた時にどう動くか
- サポートした時に何を見て、どのタイミングで動くか
複雑性、難易度が高いですが、かなり実践的な練習メニューです。
5.キーファクター
では具体的なキーファクターを1つずつ見ていきましょう。
①サポートする時にフェイントを入れる+タイミングを合わせる
マンツーマン気味にマークを取られるため、普通にサポートしてもパスカットを狙われてしまいます。
パスを受ける前のフェイント(マークを外す動き)や動くタイミングを計る必要があります。
②マークされたら別のスペースへ移動する
マークされた状態で止まっているとパスカットを狙われます。そのため別のスペースへ移動します。
そうするとマークが来なければフリーになれる、マークがついてきたら味方にスペースを与えることができます。
③スペースへの移動はボールに近い選手から行う
ボールから遠い選手の動きを、ボールに近い選手が見ることはできません。
最初にボールに近い選手が動いた後にそのスペースへ移動することで、連動した動きになります。
④味方が空けたスペースでサポートする
ボールに近い選手が空けたスペースを活用して、ボールから遠い選手はサポートします。
こうすることでポジションの被りをなくしモビリティを発生させます。
⑤味方が自分のスペースへ移動してきたら別のスペースへ移動する
マークされた選手が自分のいるスペースへ移動してきた時に、そのスペースにとどまっていると1人のDFに2人がマークされてしまいます。別のスペースへ移動することでDFにジレンマを与えます。
⑥味方の動きにつられたディフェンスのスペースを狙う
このようにDFがパスカットに食いついたケースではDFの背後のスペースが狙いやすくなります。
またこの状況ではDFがついていかないとライン間を使われ、着いて行くと背後を空けるというジレンマを与えることができます。
以上が代表的なキーファクターになります。
6.指導のポイント
この練習では様々な現象が同時に起こるため、最初は選手もどう動いて良いか分からないとか、コーチも何から指導して良いか分からないということが考えられます。
このような複雑な動きを指導する際は、簡単な判断基準を順序立てて与えて行く作業が必要になります。
以下は、実際の僕の指導の仕方です。
- サポートする選手はまずは自分がフリーかどうか、敵がどこにいるかを見る
- フリーならその場に留まり、マークされたら別の場所へ移動する
- 敵の動きが見えるようになってきたら味方の動きも見るようにする
- 味方の動きが見えるようになってきたら、味方をマークしている選手の動きも見るようにする
こんな感じで、少しずつ見るべき対象を増やしたり、判断すべき要素を増やして行きましょう。
この練習を継続すると攻撃のフェーズにおいて連動した動きやモビリティが出るようになるので、ぜひ皆さんの指導現場でも試してみてください。